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クアルコム新CEOのアモン氏、「MWC Barcelona 2021」で5Gについて語る

 米クアルコム(Qualcomm)の新CEOであるクリスティアーノ・アモン氏は、世界最大のモバイル関連展示会「MWC Barcelona 2021」で、5G通信に主眼をおいた基調講演を行った。本記事では、その内容をお届けする。

クリスティアーノ・アモン氏

5Gによってもたらされる経済成長

 アクセンチュアの予測によれば、5Gによって、2025年までに欧米の経済に数兆ドルのGDPがもたらされるという。また、中国では5Gの商用化により、350万人の雇用が創出されると推定されている。

拡大を続ける5G

 過去16カ月の間に、165以上の通信事業者が5Gの商用ネットワークを立ち上げ、さらに270以上の事業者が5G技術の導入に向けて投資を行っている。

 その中でクアルコムのソリューションは、スマートフォンからXRグラスまで、約1000件の「Design-win(デザインウィン:他社市販品に自社製品が採用されること)」を達成している。

ミリ波とSub6の両方を活用することが重要

 アモン氏は、5Gのポテンシャルをフル活用するためには、あらゆる種類の周波数帯を利用することが重要とし、ミリ波とSub6の両方を活用することの必要性を語った。

 クアルコムのモデムシリーズ「Snapdragon 5G Modem-RF System」を搭載したスマートフォンでは、米国におけるミリ波の平均ダウンロード速度はSub6の16倍、そしてLTEとの比較では38倍という驚異的な速度を実現している。

 2022年の北京冬季オリンピックでミリ波を導入する予定のチャイナユニコムをはじめ、45カ国以上で180以上の通信事業者がミリ波に投資しているという。

5Gモデム「Snapdragon X65」の公開デモ

 5Gモデム「Snapdragon X65 5G Modem-RF System」の公開デモが実施され、ダウンロード速度が10Gbpsを突破している。

5G RANプラットフォーム「FSM 200」シリーズ

 スモールセル用の5G RANプラットフォームとして「FSM 200」シリーズが発表された。

 4nmのプロセスにより、電力効率に優れる。また、ミリ波で1GHzの帯域幅をサポートしており、最大8Gbpsのデータ速度が実現する。

「Snapdragon 888+」の発表

 新チップセット「Snapdragon 888+」が発表された。CPUのクロック速度は最大3GHzで、搭載端末は2021年第3四半期に発表される見込み。

「Release 17」の紹介

 アモン氏は、5Gによる革新を拡大していくものとして、5Gの新仕様「Release 17」を紹介。「5Gで次の時代を作っていくことを楽しみにしている」と語った。