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楽天グループ決算、三木谷氏「モバイル事業は十分利益が出る」

 楽天グループは、2021年12月期の第1四半期決算を発表した。

 売上利益は3915億1300万円(前年同期比18.1%)、営業利益は-373億4000万円、四半期利益は-255億8200万円となった。

 本記事では、楽天グループのモバイル事業関連の話題を中心に取り上げる。

楽天三木谷氏「モバイル事業は十分利益が出る」

 代表取締役会長兼社長の三木谷 浩史氏は、スマートフォンについて「健康状態のチェックやお金を払ったり、スマートフォンは単純な電話というものではない」としたうえで、「使った量(データ量)を気にしながら使わなくちゃいけないとか、非常に(利用料金が)高額であるというのは非常に悪い。国際レベルから見て適切なレベルかそれ以下に持っていく必要がある」とコメント。

 楽天モバイルの事業については「十分利益が出る」(三木谷氏)とし、仮想プラットフォーム「RCP(Rakuten Communications Platform)」での運用とその輸出、楽天エコシステムへの貢献などで「レガシィを引きずらない強さ」を強調。楽天カードなどの金融事業を例に挙げ、既存の規制業種の企業とは違うと考えを示した。

 RCPの輸出について三木谷氏は「巨大モバイルカンパニーと話した」とコメント。その中で「RCP以外にもポイントプログラムなど、RCP以外の輸出もありうる」と、今後のグローバル展開を示唆した。

利益獲得に向け順調に推移していることをアピール

 楽天モバイル代表取締役社長の山田 善久氏は、「MNOサービスから1周年を迎え、ワンプラン『Rakuten UN-LIMIT』は大変好評を頂いている」とコメント。特に、1GBまで0円で使える段階制料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」は、発表後に新規契約数が急速に加速しているという。また、MNPでの転入の割合も増加しているという。

 楽天グループと日本郵政の資本業務提携において、モバイル分野では、郵便局への基地局設置を進めておりすでに約400局が設置済みで今後500局以上で設置する。このほか、郵便局のイベントスペースを活用した申込みカウンターの設置や、配達網を活用した広告宣伝などを5月目処に実証実験を行うとしている。

 ネットワークについて、山田氏は「3月末までの目標としていた4G人口カバー率80%を達成」と実績をアピールした上で、「夏までの人口カバー率96%達成」を目指し引き続き取り組む姿勢を見せた。

 また、5Gについては「総務省より新たに1.7GHz帯(東名阪以外)の追加割り当て」により5Gエリアの展開を加速させられるとし、第2四半期以降の5Gスタンドアローン(Stand Alone、SA)の実装など5Gのサービス展開を加速させるとしている。

 業績については、基地局関連費用の増加や顧客獲得に伴うローミング費用が増加した。

 一方で、2020年4月から開始してきた「1年無料キャンペーン」が終了するユーザーが出てくることに伴い利益の増加が見込まれることや、人口カバー率の増加により基地局関連費用やローミング費用が抑制されることにより、損失額は徐々に減少すると見込んでいる。

 山田氏は「1人あたりのデータ通信量」についても言及した。契約者1人あたりのデータ通信量は、契約翌月と9カ月後を比較すると9カ月後のほうが42%多いことを挙げた。

 三木谷氏は「(段階制に切り替わって日が経っていないが)通信量全体としてはどんどん上がっている。(料金プランが段階制になっても)あまり影響がないのでは」と考えを示した。

 段階制の料金プランである楽天モバイルの、競争力と利益率のアップに期待を寄せる内容となっている。

アミン氏「楽天の改善スピードに注目」

 タレック・アミン氏は「楽天モバイルのネットワークは、完全なOpen RANの採用やエッジコンピューティングを活用した高度なネットワーク構造、ネットワーク運用の自動化による運用コスト削減ができている」としたうえで、「より注目すべきは『楽天の改善スピード』」とコメント。

 オープンシグナルの調査結果を挙げ、2021年4月の調査結果では、2020年10月に評価された「アップロード速度」に加え「音声アプリ」に関するユーザー体験評価が高く評価されたという。アミン氏は「楽天のクラウドネイティブモバイルネットワークの品質とレジリエンシーの高さの証明といえる」と評価。

 また、「楽天モバイルの分散されたエッジデータセンターによるネットワーク構造は、低遅延でリアルタイムなサービス提供を可能にするもので、高度な自立ネットワークのリーダーとして認められつつある」とコメント。コミュニケーションアプリ「Rakuten Link」の進化とともに、「RCPが次世代クラウドネイティブネットワーク業界の見本になる」としている。

楽天モバイルによる新規ユーザーの獲得が進行

 楽天グループ常務執行役員兼CMOの河野 奈保氏は、「楽天モバイルのユーザーから楽天サービスの新規ユーザーが拡大している」ことを指摘。

 楽天モバイルの新規契約者のうち、楽天サービスを利用していなかったユーザーが累計で20%近くとなっており、徐々に割合が増加してきているという。

 河野氏は「すべての人に最適なプランを提供する楽天モバイルが、これまでに楽天をご利用いただけなかった方への楽天エコシステムの入口となっていることがわかります」とコメント。楽天モバイルをきっかけとしたクロスユースが拡大していることをアピールした。

1GB未満利用のユーザー「思ったより少ない」

三木谷浩史代表取締役会長兼社長

 三木谷氏は、データ使用量1GB未満のユーザーについて「非開示だが極めて少ない。もっと多いかと思っていたが、僕の予想をはるかに下回る数字だった」とコメント。

 また、回線を持ったまま全く使わなくなった「休眠回線」については「管理コストもかかるためにどこかの段階でやめていただくことになると思う」としながらも「想定よりはるかに少ないということで安堵している」とした。

RCPの損益についてアミン氏「5Gは巨大な市場」

楽天モバイル代表取締役副社長兼CTO タレック・アミン氏

 RCPの売上の見通しについて、アミン氏は「5Gは非常に巨大な市場で1兆ドルぐらい5Gに投資すると言われている」とコメント。具体的なクライアント名の公表は控えたが、「来週中になにか発表できるかも」とした。

iPhoneの取扱開始「直接販売できることが大きな違いを生む」

 楽天モバイルが4月からiPhoneに正式対応し、取り扱いを開始した。三木谷氏は「アップルはネットワークの品質要件がとても厳しいが、日本のモバイルユーザーの50%がiPhoneを使っているため、アップルと合意に至った」とコメント。

 そのうえで、「既存のiPhoneユーザーが、ほかのキャリアから楽天モバイルに切り替えやすくなったこと」を挙げ、大きな影響があったという。

 また、iPhoneの取り扱いについても「ライセンシングの能力ということで、iPhoneを直接コンシューマーに販売することができるということが大きな違いを生む。iPhoneだけではなく、Apple Watchやそのほかアクセサリー、周辺機器の取り扱いをさらに強化していこうと思う」(三木谷氏)と自身の思いと今後の方針を示した。

NTTの接待問題、ソフトバンクからの訴訟について

楽天モバイル代表取締役社長 山田 善久氏

 NTTの接待問題について、山田氏は「今調査が進んでいるみたいですので、この結果を待ちたいと思います」とコメント。

 三木谷氏は楽天グループについて「我々の方はそういうことはない」と回答を付け加え、多くは語らなかった。

 ソフトバンクからの訴訟については、同発表会で言及されなかった。

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