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28GHz帯/39GHz帯の電波を特定方向へ向けられる透明な反射板、KDDI総研など開発

デュアルバンド透明メタサーフェス反射板

 KDDI総合研究所と日本電業工作は、28GHz帯と39GHz帯の両電波を特定方向へ反射できる「デュアルバンド透明メタサーフェス反射板」の開発に成功したことを発表した。1枚で2つの周波数帯に対応する透明メタサーフェス反射板の開発は世界初だという。

 デュアルバンド透明メタサーフェス反射板は、導電性フィルムと透明樹脂を用い、景観に配慮しながら5Gサービスエリアを構築できる透明なメタサーフェス反射板。1枚で28GHz帯と39GHz帯の両周波数に対応する。

 反射板に多層化技術を適用し、反射素子に配置する構造体には複数の周波数帯で相互に干渉しにくい新たな構造を採用したことで、1枚の反射板で2つの周波数帯への対応が可能となった。

反射素子の構造とデュアルバンド透明メタサーフェス板の反射電力の方向特性例

 メタサーフェス反射板は電波を鏡面反射と異なる方向に反射できる反射板。金属などを用いた鏡面反射の反射板と異なり、電波を特定方向に反射できるため、通常の基地局を開局する場合と比べ、電源・回線不要で低コストでのサービスエリア拡張が可能。

デュアルバンド透明メタサーフェス反射板の特長と利用イメージ

 同反射板を用いたフィールドによる実証実験では、28GHz帯、39GHz帯ともに、設計した反射方向の電波強度が向上することを確認した。

デュアルバンド透明メタサーフェス反射板を使った実験結果

 KDDI総合研究所は実用化に向け、設置場所の景観に配慮しながら、5Gサービスエリアを迅速に拡張する技術の確立を目指していく。