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VRゲームの遠隔対戦、アバターと会話しながらドライブ――5Gによる未来をドコモが披露

 5月29日から5月31日まで、東京ビッグサイトで「ワイヤレスジャパン2019」「ワイヤレス・テクノロジー・パーク(WTP)2019」など無線・通信関連の展示会が開催される。WTP 2019の会場内では、5G関連の取り組みを紹介する特設パビリオン「5G Tokyo Bay Summit 2019」をNTTドコモが出展している。

 9月20日にプレサービスを開始するドコモの5G。2015年から毎年開催され、5回目となる今回の「5G Tokyo Bay Summit」では、5Gの本サービスが始まれば比較的早期に実現できるものから将来的な実現を目指しているものまで、同社が計画している5G関連のさまざまなサービスやソリューションが披露された。

顔認証で安全・安心な街に。「スマート街路灯」をNECと共同開発

 今回披露された技術のなかでも、早期に実現可能な物の1つだという「スマート街路灯」。LED街路灯に複数の機能を組み込んだ物で、NECと共同で開発している。

 ネットワークカメラが搭載されており、画像解析技術によって通行人の数や男女、推定年齢などを把握できる。たとえば、商店街に設置された街路灯であれば、時間帯ごとの客層の変化を知ることでマーケティングに役立てられる。また、顔認証で迷子を検知するといった使い方もできる。

 既存の通信方式でも実現可能ではあるが、無線ネットワークによる設置コストの削減や効率化、高精細映像を伝送できる強みを活かした高精度な顔認証の実現などを、5Gを利用するメリットとして挙げる。

VR車いすレース「CYBER WHEEL」を5Gで遠隔対戦

 ワントゥーテン(1→10)が2017年に発表した「CYBER WHEEL」は、パラスポーツの普及・振興を目的に、車椅子レースを近未来風にアレンジしたVRゲームだ。

 ドコモの5GとCYBER WHEELを組み合わせることで、大容量のVR映像をプレイヤーが遅延を感じない状態で共有しながら、多人数での遠隔対戦が可能になる。

車内にアバターを呼んでドライブ、リアルタイムで体験を共有

 日産自動車と共に取り組む「Invisible-to-Visible(I2V)コンセプト」では、将来の自動運転車における新たな移動体験を提案する。

 ARを活用して車内に3Dアバターを出現させ、同乗者がいるような感覚で移動時間を楽しめる。仮想空間のキャラクターを呼び出せるというだけではなく、遠隔地にいる家族と車内や車窓の様子を共有しながらコミュニケーションを取る、あるいは語学講師をARで呼んで移動時間に学習するといった、さまざまな利用シーンが想定されている。

車両間通信で前の車が“透けて”見える安全運転支援技術

 Valeoの車両間映像伝送システム「XtraVue」は、自動車同士の通信によってカメラ映像を後続車に共有することで、後続車から見ると、「前方車の向こう側にいる歩行者」のような肉眼では見えにくい部分の危険まで見通すことができる安全運転支援技術。

 車両間通信に5Gを利用することで、高速・低遅延での高精細映像のリアルタイム伝送が可能となり、このような機能を実現できる。

車載端末で安定した通信を実現する「ガラスアンテナ」

 「5G Tokyo Bay Summit」では、5Gネットワークを支える新技術も披露されている。その1つである「ガラス一体型5Gアンテナ」は、現時点では車載用として開発されており、高周波数帯を使う5Gで安定した通信を実現するための新技術。

 5G用の周波数帯としては、LTEで使われている周波数よりも高い周波数、言い換えれば直進性が強い周波数が割り当てられている。このため、自動車や建物の中では電波が弱まってしまう傾向がある。

 自動車のガラスに小型・薄型かつ透明のアンテナを埋め込んでおくことで、外観を損ねずに車載端末の安定した高速通信が可能になる。2019年4月~5月に東京都墨田区で行われた実験では、同アンテナを利用して400MHzの帯域幅で下り最大3.8Gbpsの通信に成功した。