特集:5Gでつながる未来

5Gでクルマはどう変わる? 通信×自動車の最新事例をドコモが紹介

 NTTドコモは、東京ビッグサイト・お台場周辺エリアで11月4日まで開催される「東京モーターショー2019」にブースを出展する。ドコモブースでは、5G時代に向けた取り組みを中心に、同社による「通信×自動車」の最新事例が紹介されている。

低遅延の5Gで実現される遠隔運転

 近未来の自動車の姿として想像できる自動運転や遠隔運転には、大容量の映像伝送を手軽にでき、なおかつ速やかに指示を伝達できる低遅延という特性も兼ね備えた5Gが欠かせない技術となる。

 今回は5Gを活用した遠隔運転のデモンストレーションが披露されており、会場に設置されたコックピットから、横須賀市にあるドコモのR&Dセンターに置かれた車両を5G経由で遠隔操作する様子が見られる。

 車載カメラの高精細映像を会場にリアルタイムで中継し、必要に応じて有人での制御をタイムラグなく行う様子が確認できる。実験用のシステムには、Valeo社の遠隔運転技術「Valeo Drive4U Remote」を用いる。

 「自動運転時代の遠隔運転技術」を目指して開発されており、指定ルートの走行と障害物を検知した際の停止までは自動で行い、障害物の回避操作を有人の遠隔操作に切り替えて行うというケースを想定する。

車内のデータ通信を使い放題に

 9月に開始した新サービス「docomo in Car Connect」に関する展示も行われる。車内でのデータ通信を速度制限なしの定額制で提供するという試みで、既にLTEを利用した商用サービスとして提供されているものだが、大容量の通信がより身近になる5G時代を見据えたサービスとも言える。

 同機能は、日産自動車が9月に発売した新型「スカイライン」に搭載されるほか、パイオニアの「サイバーナビ」シリーズの新製品もdocomo in Car Connectに対応する。

 Wi-Fiスポットとして動作し、同乗者がスマートフォンやタブレットなどで通信量を気にせず移動中にさまざまなサービスを利用でき、また、ナビゲーションシステムそのものの通信も無制限になることで機能向上に繋がる。

自動車にeSIMを組み込むと何ができる?

 IoTデバイスのほか、スマートフォンでもiPhoneやPixelシリーズなど対応機種が増えつつあるeSIM。従来のチップ型のSIMカードと異なり、物理的なカードの差し替えを必要しないため、遠隔でのアクティベートや書き換えが可能になり、利用シーンの拡大につながる技術として期待される。

 自動車とeSIMの関係は、「テレマティクスeSIM」と「コンシューマーeSIM」の2つに大別される。前者は主に自動車メーカーが製品・サービスの品質を高めるための通信手段に使われ、車両情報の収集や故障分析、メンテナンス時期の予測、ナビ情報の提供などの用途で採用が進む。

 次の段階としてドコモが取り組むのは「コンシューマーeSIM」、つまりユーザー自身の回線契約に紐付いたサービスを自動車で使えるサービスを検討している。

 具体的な提供形態や料金などはまだ定まっていないが、たとえばスマートフォンの契約内容とリンクした形で、車載の通信機器を使って通話したり、契約中の動画配信サービスを使って車内で映像を再生したりといった使い方が想定される。

車内での安定した5G通信を支える技術

 5Gでまず使われる周波数帯は、従来のモバイルネットワークに使われてきたものよりも周波数が高いため、伝搬特性の関係でエリア設計の難易度は増すとされている。

 中でも電波が入りにくくなることが予想される屋内向けの対策として、ドコモやAGCが開発を進めている技術が「ガラスアンテナ」だ。

 建物向けとしてだけではなく、自動車内での通信を安定させる目的での活用も想定し、フロントガラスなどに自動車のデザインを崩さずにアンテナを埋め込んだ物が試作されている。