インタビュー

y.u mobileが仕掛ける通話定額値下げ、そして今後のサービス進化の考えは――Y.U-mobile鹿瀬島代表インタビュー

 12月15日、y.u mobileは、10分かけ放題の料金を月額858円から月額550円に、無制限かけ放題の料金を月額2970円から月額1400円に、2022年1月分から値下げすることを発表した。

 本誌では、発表直前の14日、y.u mobileの運営会社であるY.U-mobileの代表取締役社長 鹿瀬島 礼氏に取材を行った。そのインタビューの様子をお届けする。聞き手は関口 聖編集長。

Y.U-mobileの代表取締役社長 鹿瀬島 礼氏

「激動の1年」はどうだった?

――2020年~2021年は本当に激動の1年間だったと思います。この業界の移り変わりをどう見ていますか?

鹿瀬島氏
 菅総理大臣になられてからは期待値が非常に高かったです。一方、大手キャリアさんは、結構きつかっただろうなと思います。

 携帯電話はあって当たり前の存在だけに、日頃は一般メディアに大きく取り上げられることはあまりありませんが、当時は朝のニュースや総合紙の一面でも語られるなど、かなりクローズアップして取り上げられた時期でした。業界の活性化という意味では、かなりポジティブだったと私は思っています。

――政府の値下げ政策が先行し、価格競争になって、企業にとっては利幅が薄くなるネガティブな面もあったと思います。MVNOのビジネスにとっては、結構厳しかったのではと思ったのですが、実際にはいいかがでしたか?

鹿瀬島氏
 全体感としては、大手携帯各社さんやサブブランドから新しい料金プランが登場し、MVNOも値段を下げざるを得ないといった形になっています。
 MVNOの多くは、NTTドコモさんから通信回線を借りています。その接続料と、エンドユーザー向けの価格とのバランスが、必ずしもマッチしていないところがあります。接続料がマッチしていないにも関わらず、大手携帯電話会社が安い料金プランを出してきて、つらいところが正直ありました。

 ただ、当社については、グループ23社で帯域を有効活用していますので、他のMVNOさんほどキツい状況ではありません。

 また、先日リリースした「シングル U-NEXT」のような、動画配信サービス「U-NEXT」と組み合わせた独自色も押し出せています。

 y.u mobileはまだまだ認知度が高くないので、ユーザー数を伸ばしていかないといけない、やる気に満ち溢れている状況です。ただ、接続料はもっと下がっていいのではないかと言いたいですね。

――グループで帯域を有効活用とは、具体的にどんな活用なのでしょう?

鹿瀬島氏
 大きく言うと、有線放送です。夜間に帯域を使っています。イメージとしては、通信カラオケですね。

 有線放送自体は映像ではなく音楽なので、通信量はそこまで大きくはありませんが、何十万というユーザー様がいらっしゃいます。

 また、IoTで店舗経営をスマート化する「USEN IoT PLATFORM」もありまして、モバイル通信経由での配信も可能になっています。

 このほか、USEN-NEXT LIVING PARTNERSという会社があるんですが、大手のディベロッパーさんと協力してスマートロックなど家のスマートIoT化を行っています。

 個人宅には光回線が普及していますが、モバイル通信が必要なところに関しては我々の方から提供しています。

 つまり、「y.u mobileはコンシューマ向けビジネス」ですが、USEN-NEXT HOLDINGSとしてはB2BもしくはB2B2Bのビジネスも展開しているというわけです。

――夜間、コンシューマが使っていない時間帯に帯域をうまく利用できているわけですね。

新プラン「シングル U-NEXT」が好評

――今春、y.u mobileは月額基本料の値下げやシングルプランの増量を行いました。2020年3月にy.u mobileが登場し、約1年で値段は変わりましたが、「シングル」と「シェア」という形は大きく変えず、2つのプランを軸にしている点は維持されています。今春の段階で、どのような考え、狙いがあって、新しいプランに行き着いたのでしょうか。

鹿瀬島氏
 ちょうど、1年前(2020年12月)にドコモさんが「ahamo」を発表されましたが、我々は2021年1月19日、「シングルプラン」の値下げ(月額1690円から1490円に値下げ)とデータ容量の増量(3GBから5GBへ増量)を発表しました。

 当時、月額1490円で提供していたのは、MVNOでも我々以外はmineoさんぐらいだったと思いますが、口火を切ってムーブメントを作れたなと思っています。もともとMVNOは低容量、ahamoは中容量で、大手携帯電話会社を選ぶ方はMVNOを選ばない傾向がありますし、MVNOが得意な低容量でやっていこうという狙いがありました。

 我々の独自色はU-NEXTとの組み合わせですが、それ以外にギガの永久繰り越し、お客様負担0円の「スマホ修理費用保険」もあります。

 高いか安いかを決めるのはお客様ですし、1490円に比べると多少高いですが、それらのサービスを含めて1600円台。SNSやお客様の声でも「U-NEXTと保険が付いているから良い」という評価をいただけたと思っています。

 その後、ちょっと市場が“壊れた”と思っているのが、月額990円、1078円のプランを提供するMVNOさんが出てきたことです。1500円、1600円ぐらいだと思ってたところに、「MVNO自ら崩しちゃったな」と感じたのが正直なところです。

 我々はシングルプランで、当時最高のプランを提供していたと、今でも自負しています。

 (独自サービスの)「修理費用保険」や「ギガの永久繰り越し」が含まれていますが、MVNOは低容量かつ安さを求められているので、残念ながら絶対金額では少し高いプランになってしまって、今年の5月、6月、7月は踊り場になっていました。

 今の接続料だと(さらなる値下げは)正直、厳しかったんですが、お客様の声を真摯に受け止めて、料金改定をやらないといけないだろうなと。

 ただ、値下げ合戦になってしまうと、本当に元も子もないというか……。我々にできることは何かを考え、シングルでもU-NEXT付きのプランを出して欲しいという声があったことから、社内で議論し、思い切ってahamoと同金額の2970円で「シングル U-NEXT」を発表しました。

 たとえば大手携帯電話会社のプランでは、“1回5分の通話かけ放題”を付けているものがあります。一方、当社は「U-NEXT」が付いているという形です。

 基本の容量10GB、U-NEXTポイントを使うとプラス10GB、合計20GBといった形でサービスインにこぎ着けました。

――今秋までの流れを一気に振り返っていただきました。単なる低価格はMVNOの提供する価値ではないという考えに基づかれているわけですね?

鹿瀬島氏
 そうですね。

 価格競争になって1000円だけのプランになると、通信の速さを提供できなくなると思います。

 先ほど申し上げた通り、我々はグループ展開で帯域を使っているため、他のMVNOさんよりも通信速度ではお客様の評価をいただいています。

 ただ、さらに料金が下がって接続料は今の状態となってくると、ビジネス観点から、やはり速度がなかなか厳しくなってきます。MVNO、格安SIMでも、安かろう悪かろうは論外だと思っているので、安くて、キャリア品質まではいかないんですが、それに準ずる形で満足いただけるようにしたい。逆にそうしないと、今後eSIMが普及すると乗り換えが簡単にできるようになるので、選ばれないだろうと思っています。

――ユーザーはy.u mobileの新しい料金プランをどう受け入れ、どんな使い方をしているのでしょうか。シングル、シェア、どちらのユーザーが多いですか?

鹿瀬島氏
 具体的な数は開示できませんが、11月と12月それぞれ単月の加入状況としては、シングルプランとシングル U-NEXTが45対45、シェア U-NEXTが残りの10%といった割合です。

 シングルプランは5GBで1070円、データ通信のみだと5GBで800円と非常に安いこともあり、SIM2枚使いの方に好評です。

 10月にサービスインした時は、65対30くらいでシングルプランの方が多かったんですが、ここに来てシングル U-NEXTがじわりじわりと認知とともに広がってきています。

――11月、12月だけで見た場合はシングル U-NEXTが増えてきているんですね。コロナ禍でリモートワークの人が増え、料金も携帯電話の使い方も変わり、個人的にはシェアプランユーザーが増えたのではと想像していました。映像を楽しむ人が増えてきたのでしょうか。

鹿瀬島氏
 詳しい状況は私どももわからないのですが、たとえば「家族が一気にMVNOに乗り換える前に、やはりお父さんなりが実際に使ってみて、通信速度がどうなのか試して、それが良かったら家族に勧めよう」という形なんじゃないかと思っています。

 当然、我々としては「シェア U-NEXT」に加入してくださると非常にありがたく、ロイヤルカスタマーとしてずっと重宝していただきたいと思っていますが、「シングル U-NEXT」もそういった形で利用されているのかなと思っています。

――ユーザー層はやはり男性の方が多いですか?

鹿瀬島氏
 そうですね。

 MVNO全般として男性が多くはなっているんですが、シングル U-NEXTについては、U-NEXTに既にご加入頂いてる方が、オプション的にy.u mobileに入るといったことも徐々に増えています。今後、女性はそちらを中心に伸びてほしいなと思ってます。

――他社さんの場合ですと、データ量をカウントしないという形で、グループ外の映像サービスと連携しています。ユーザーはシングル U-NEXTのどこに魅力を感じていると分析しているのでしょうか。

鹿瀬島氏
 U-NEXTはお陰様で約240万会員がいらっしゃいますが、そちらの方々に10GB、場合によってはU-NEXTポイント使って最大20GB、月額781円で音声SIMが1枚持てるという部分ですね。これがまずあります。加えてU-NEXTは31日間無料体験もできます。

 コンテンツの内容自体は我々も自信があるんですが、U-NEXTの利用料は月額2189円です。金額的には、他社さんと比べて高いという声があります。……否定したいところではあるんですが(笑)、実際そういう声があるのは事実です。

 そういったお客様に、「月額2970円、つまり781円追加で払っていただいたら、音声通話付きで1カ月10GBデータ通信が利用できてU-NEXTも見られます、安いですよね」と訴求できます。実際、そういった声を沢山いただいています。こうした方法で加入を伸ばしていきたいと思っています。

――余談になりますが、U-NEXTではどんなコンテンツを見ている人が多いのでしょうか。

鹿瀬島氏
 もともと、U-NEXTは、韓流やアニメに強いと言われてます。

 当然、オールジャンル取り揃えているんですが、直近ですとHBO(Home Box Office、米国の衛星およびケーブルテレビ放送局) の海外ドラマ、「SATC(Sex and the City)」などが見られます。個人的には「チェルノブイリ ―CHERNOBYL―」を観て感動しました。

 弱いとされていた欧米系のコンテンツも今、充実しています。

 あとはライブですね。コロナ禍になって大きく変わったところですが、格闘技も揃っています。

――なるほど、個人的にHBOに惹かれますねぇ……。

かけ放題オプション料金を値下げ

――ここまでのお話を踏まえると、「他社との違いを押し出しつつ、携帯電話サービスとして必要なパーツは揃えている」という印象です。まだ足りないところがあると見ていますか? 次の一手はどういったことになるでしょうか。

鹿瀬島氏
 他社さんがやっていてy.u mobileで足りていないのは、eSIMの対応です。

 iPhoneがデュアルのeSIMに対応してきたことは、なかなかやるなと思いました。キャリアさんも解放せざるを得ないという状況だと思いますが、全体的には、eSIMに対応しているところは、まだまだ少ない。

 AndroidでもeSIM対応機種が増え、デュアルeSIMみたいな形になっていった際には、eSIMに絶対対応したいと思っていますし、それが我々のサービスを選んでいただくチャンスだと思ってます。具体的な対応時期はまだ言えませんが。

――業界動向的には、MVNOへの電話番号割り当て、具体的なサービスとして始まっているものとしては、プレフィックス番号の自動付与があります。業界全体で音声通話周りに変化が訪れている感じがありますが、ユーザーにどんな新しい体験を提供したいと考えていますか?

鹿瀬島氏
 通話の料金が下がったことに関しては、これはもう、8月に着任された総務省の担当課長さんの努力というか、本当にありがたいと思っています。

 ただ、MVNOを契約するユーザーさんは、通話料もありますが、データ通信の方を気にされています。

 y.u mobileでは通話をたくさんされる方に「10分かけ放題」と「無制限かけ放題」を提供していますが、無制限かけ放題の利用料は月額2970円と高い。シングル U-NEXTのSIM1枚分の税込み料金と同じなんです。それはちょっとビジネスとして成り立たない形になっていますし、我々も世の中の流れを受けて、2022年1月から1400円で提供させていただくことになりました。既存ユーザー様も自動適用になります。

――税込み1400円、既存ユーザーも値下げになると。

鹿瀬島氏
 また、y.u mobileの一般利用では10分かけ放題が多く、こちらも今は税込みで月額858円なんですけど、それを思い切って550円にします。

――ワンコイン的な感じですね。

鹿瀬島氏
 従量の電話料金を変更する予定は特にないんですが、10分かけ放題、無制限かけ放題は、申し込みしやすい料金に変更します。

――仕組みとしてはプレフィックス番号を使う形ですか?

鹿瀬島氏
 専用アプリ「0035でんわ」を使っていただくと、自動的にプレフィックス番号が付与されて通話する形になります。

――今ある料金ですと、IIJmioの「通話定額10分」(月額913円)より安くなるんですね。

鹿瀬島氏
 私調べ、半径5mマーケティングだと(笑)、10分かけ放題は最安だと思います。

――10分かけ放題の月額550円は、かなり意欲的なびっくりする値段だと思います。がっつり毎日電話する人というよりは、ちょっと使う程度の人が多いと見込んでいるのでしょうか。

鹿瀬島氏
 はい、そうです。10分かけ放題で十分かなと思ってます。ビジネスなので、利益をいただける部分はいただきたいと思っていますが、電話のところでお客様にご満足いただくようにするには、どうするのがいいか社内で議論し、500円ですね。税抜き500円、ワンコイン。これがお客様に1番納得いただけるのではないかと。

――そういう意味では、今冬あるいは来春に向けて、通話は競争軸の1つになっていくという見立てでしょうか。

鹿瀬島氏
 そうですね。当然、1400円だったり550円だったりに魅力を感じて入ってくるお客様がいらっしゃるとは思うんですけど、それよりもシングル U-NEXTやシングルプランで、お客様にしっかり魅力を伝えていきたいですね。

 y.u mobileは残念ながら、まだまだニッチなサービスという形になっているので。そこがまず競争軸だと思っています。

 「通話が安い」ことが売りというよりも、きっちりしたプランがあって、さらにかけ放題も申し込めるという戦略で行きたいと思っています。

――「○○がないからちょっとなぁ……」と思われる機会を減らしていきたいということですね。

鹿瀬島氏
 まさにそうですね。

“0円プラン”“エコノミーMVNO”についての考え

――他社では、0円から始まる料金プランもあります。こういったプランについては、どういう考えをお持ちですか?

鹿瀬島氏
 非常に思い切ったというか大胆なというか……悪口になってしまうかもしれませんが、率直に言わせていただくと、解約抑止な側面もあるのかなと個人的には思いました。

 当然、戦略があってやっていらっしゃるので否定するわけではないんですが、私の所感としては、そちらの方が強いのかなと思っています。

 繰り返しになるんですけども、私たちはビジネスとしてやっていますので、0円で提供することになると、通信速度を落とさざるを得ないことになってきます。真摯にビジネスとしてお客様に速さを提供する代わりに、最低限の料金は今の条件でいただきたいと思っています。

――もうひとつ、ドコモが始めた「エコノミーMVNO」についてです。NTTコミュニケーションズのOCN モバイル ONEと、12月15日には「トーンモバイル for docomo」も加わることが発表されました。今までにない展開の話ですが、どのように受け止めていますか?

鹿瀬島氏
 フリービットさんのグループ会社であるトーンライフスタイルさんとNTTコミュニケーションズさんに追従する事業者が出てきていない。ドコモさんがお声がけしているのは、直接ドコモさんと契約している事業者ですので、我々には声がかかっていません。

 どういう条件か分からないんですが、とはいえ、ビジネスチャンスとしてメイクセンス(合理的)するのであれば、ぜひチャレンジしていきたいと思います。

 たとえば「ドコモ光」はいろんなプロバイダーさんに対応していますよね、ああいう形で展開されるんだったら、我々としてもぜひ参画させていただきたいと思っています。ただ、まだ2社に追従するところが出てきていないので、注視していきたいと思います。

――エコノミーMVNOに対応すると、実店舗での取り扱い機会が増えるようですが、サポートコストがどう分析されるのか注目しています。

鹿瀬島氏
 エコノミーMVNOで個人的に興味を持っているのはdポイントですね。

 dポイント経済圏の構築、その使い勝手、使われ方、これがどうなるのか、一業界人として興味があります。もしdポイント連携をどんどんされていくという話なら、我々としてもぜひチャレンジしたいと思っています。

――エコノミーMVNOについて、ポジティブに発言するMVNOがあまりいなかったので、少しびっくりしました。

鹿瀬島氏
 y.u mobileは後発で、まだ認知度が足りません。

 気持ち的には社員一同、「MVNOの中で、(他社と比べ、サービス面で)ないものはないよね、絶対勝っているよね」という気持ちでいるんですが、また全然お客様に知られていない。

 y.u mobileというと、ワイモバイル(Y!mobile)か、UQ mobileか、紛らわしい名前だと笑い話みたいな感じで言われるくらいなんですが(笑)、じわりじわりとは来ている感覚があります。

 そうして選ばれるか選ばれないかは、サービス自体、努力次第という形になってくるのだと思います。

――Y.U-Mobileは、ヤマダホールディングスとUSEN-NEXT HOLDINGSの合弁会社です。ここまでU-NEXTの方のお話を中心にうかがいましたが、ヤマダの販売力も発揮されているのでしょうか。

鹿瀬島氏
 約500店舗で即日開通が可能になっています。

 y.u mobileはデジタルでの露出が多く、実際そちらからの申し込みが多いですが、特にシングル U-NEXTを発表した時には、オンラインはちょっと不安だというお客様がヤマダさんの店舗を訪れて、店員から話を聞き、即日開通でSIMを持って帰るといった形が顕著でした。

 件数は申し上げられませんが、ヤマダさんのチャンネルでの契約件数は月次で2倍近く伸びています。

――その体制は、引き続き続けるということですね。

鹿瀬島氏
 続けます。

 古くはU-mobile(ユーモバイル)のときから「YAMADA SIM powered by U-mobile」という名前でやらせてもらっていますし、2017年に合弁会社を作って「ヤマダ ニューモバイル」、2020年3月に「y.u mobile」と、ヤマダさんと一緒に歩んできておりますから。

 あともう1つ、シングル U-NEXTを出したことによって、テレビコーナーでも展開できています。これはヤマダさんに限らずですが、テレビにはリモンが付いていて、主要メーカーの最新モデルのリモコンにはU-NEXTのボタンが付いていますので、「これでU-NEXTを安く観られますよ」という訴求ができます。

――なるほど、すごい売り方ですね。テレビを買いにきたつもりがU-NEXT、y.u mobileまでお勧めされると(笑)

鹿瀬島氏
 店頭で契約までできるわけではないと思いますが、タッチポイントが広がるのは非常にありがたいと思っています。

――他社にないタッチポイントですね。量販店では昔から「ウチの光回線にしてもらったらテレビが安くなりますよ」という売り方もしていますが、そういう方法もありえるかなと勝手ながら思ってしまいました。さすがに、そういう施策はやっていないですよね。

鹿瀬島氏
 キャッシュバックは、つい最近まではやっていたんですけども、今は料金を思い切って下げて、我々のロイヤルカスタマーに投資させていただこうという形でやっています。思ったより解約も少なく、非常に好評です。

――最後に、2022年、ここに期待してほしいという部分があれば教えてください。

鹿瀬島氏
 これも時期はまだ未定なんですが、料金の口座振替に対応したいと思っています。

 競合他社では、固定回線とセットの場合、口座振替に対応しているところはあります。しかし、MVNO単体で銀行の口座振替に対応しているところは、まだないはずです。

 とある大手銀行さんと話を進めています。コロナ禍でコード決済のような非接触決済は慣れてきていますが、やはりクレジットカードの抵抗感はまだあると感じていますので、そこのニーズにはしっかり応えていきたいですね。U-NEXTを口座振替で利用したいという方もいらっしゃると思うんです。そのお客様に対しても訴求できますので。

――結果的にシングル U-NEXTに入ってもらうような形になりますね。サービス面のお話なのかなと思っていましたが、決済なんですね、ちょっと意外でした。

鹿瀬島氏
 当然、サービス面も拡充していきますが、そちらは今回の音声かけ放題の値下げで、当面できることはなくなったと思っています。あとは質をいかに高めていくか。また、変化の激しい業界なので、新しい技術が出てきたら速やかに取り入れていきます。

――業界動向への見解も含めて、多岐に渡るお話をうかがえました。本日はありがとうございました。