インタビュー

NUROモバイルの担当者が語る「NEOプラン」の秘密、そして今後の計画は

 ソニーネットワークコミュニケーションズが、「NUROモバイル」で11月1日に提供開始した「NEOプラン」。

 月額2699円の同プランでは、同社が“MNOと同等レベル”とうたう高品質なデータ通信量を月に20GB使える。また、対象のSNSサービスの通信量がカウントされない「NEOデータフリー」も、同プランの大きなセールスポイントとなっている。

 NEOプランのリリースの背景にあるものとは、そして今後の計画は――? 同社MVNO事業室の担当者に話を聞いた。

インタビュイー(すべてソニーネットワークコミュニケーションズ)
  • MVNO事業室 室長 神山明己氏
  • MVNO事業室 サービス設計課 課長 亀井健男氏
  • MVNO事業室 セールス&マーケティング課 課長 田中直樹氏
左から田中氏、神山氏、亀井氏

NEOプラン誕生のきっかけ

――まずはNEOプランが誕生したきっかけを教えてください。また、この1年間の携帯電話業界の動向をどう受け止められていますか。

神山氏
 やはりMNOからオンライン専用プランが出されたということが、NEOプランをリリースする大きなきっかけになりました。

 我々としても昨今の市場の変化に対しては危機感をおぼえていまして、従来の(プランの)延長ではなかなか対抗できないということで、“強い船”をつくることを目指しました。

 そこでNEOプランよりも先に「バリュープラス」を出しまして、ユーザーの方々の支持も得られているので、いい船出になったと思っています。

 しかし、MNOのオンライン専用プランが出たことによって、新たに20GBのマーケットが生まれました。

 我々の足元を見ますと、バリュープラスは30代~50代が主軸のユーザーになっています。

 一方、MNOのオンライン専用プランは20代~30代の“デジタルネイティブ”が客層の中心。バリュープラスではその層に十分リーチできない状態が見えていたので、高品質な通信を利用できるNEOプランをリリースしました。

神山氏

――NEOプランの構想はいつごろからあったのでしょうか。

神山氏
 構想自体は以前からありましたが、まずはバリュープラスを優先しました。

 NEOプランの設計に着手したのは春ごろからで、バリュープラスはその時点で最大8GBのプランまでだったので、それ以上の容量についてどのようなプランを打ち出すかを議論しました。

 議論の結果、バリュープラスとはターゲットなどが異なるということになり、(バリュープラスと)切り離してリリースしたかたちです。

気になる手応えは

――NEOプランの提供開始から1カ月が経過しましたが、手応えはいかがですか。

神山氏
 先ほど、ターゲットは若年層のユーザーとお伝えしましたが、それに関しては狙い通りになっています。

田中氏
 NEOプランに関しては、申し込まれたユーザーの50%以上が20代~30代です。

 バリュープラスは30%程度なので、今回のNEOプランに関しては、我々がリーチを狙っていた方々に情報が届いています。

田中氏

 たとえばNTTドコモさんのahamoも、ユーザーの年齢層は同じような傾向だと思いますが、そういった市場への足がかりができたかなと思っています。

 これから春商戦に入りますので、他社さんの動向なども見ながら、バリュープラスと同様、NEOプランもいろいろな意味でバージョンアップを考えていきたいと思います。

NEOプランをこの時期にリリースした理由

――NEOプランを出されたタイミングについて、意図を教えてください。

神山氏
 バリュープラスを継続していれば、(MNOのオンライン専用プラン登場に伴う)春先のエネルギーの“うねり”のようなものも続いていたかもしれませんが、NEOプランを打ち出すことによって、我々からも変化を起こしたいと思いまして。

 ユーザーの方がプランを変えるきっかけを作りたいと思っていましたので、まさにそういったタイミングでリリースしたかたちです。

他社のプランや動向について

――変化といえば、楽天モバイルの0円プランや、KDDIの「povo2.0」のような、ちょっと変わったプランに関してはどのように受け止めていますか。

神山氏
 他社さんの戦略に関して我々が何かを言う立場ではないのですが、安く使いたいというユーザーの方は当然いらっしゃると思います。

 あとは、今回の楽天さんの参入によって、「SIMを2枚使うことが当たり前になった」ということも需要の変化だと思います。デュアルSIMの端末も増えてきましたし。

 「2枚目のSIMとしての需要」は、我々だけでなく他社さんにとっても、新たな市場として出てきたものだと思っています。

――最近ではドコモの通信環境について懐疑的な意見も(取材する立場として)聞きますが、ユーザーからのクレームのようなものはありますか。

神山氏
 ドコモさんに関しては通信障害があって、(それに関して)業界全体としての不安はあると思います。

 ただし、ドコモさんの通信環境に特化したクレームは、現時点で我々としてはいただいていません。

NEOプランが重要視するのは“通信の品質”

――NEOプランでは“MNOと同等の通信品質”をアピールされていますが、このあたりのコンセプトについてあらためてお聞かせください。

神山氏
 我々としては、データ通信量を多く使うユーザーの方々は、品質に対しては多くのお金を支払うというように認識しています。

 ですから、そうしたユーザーの方々に対しては、単純に価格を安くするだけでは評価していただけないと判断しました。

 そこでバリュープラスとは真逆のようなかたちで、ユーザーの方々からいただいたコストを品質のほうに振っていく、というのがNEOプランです。

――なるほど。そういったコンセプトなどについて、貴社の中で異論のようなものはなかったんですか?

神山氏
 いえ、異論はやっぱりありました(笑)。

 バリュープラスの成功は、プライシングとターゲティングが大きな要因になったと思っています。ですから、8GB以上でも容量を刻んで提供すれば、より多くのユーザーの方々に選んでいただけるのではという仮説がありました。

 ただ、先ほどもお伝えしたように「ターゲットの違い」が、NEOプラン提供の大きな理由になりました。インターネットが生活の一部になっているユーザーの方々にとっては、やはり品質が重要であると思っています。

――事業的にペイするのかな、という疑問もあります。

神山氏
 実はバリュープラスを出したときも、「この価格で(ビジネスとして)やっていけるのか」という懸念はありました。ただ、今は多くのユーザーの方々に選んでいただき、非常にありがたいと思っています。

 NEOプランは、バリュープラスで培った低コストオペレーションをベースにしつつ、それとはコンセプトが異なります。「品質にコストを振る」という考えに共感する多くのユーザーの方々に選んでいただければ、事業としては成り立つと考えます。

品質をどのようにアピールしていくのか

――通信の品質を示すためには通信速度のデータが必要になると思いますが、それについて教えてください。

亀井氏
 通信速度に関してはだいぶレギュレーションが厳しくなってきたという状況で、総務省から提示されている「実効速度ガイドライン」では、指定された第三者機関で計測した数値でなければ公表できないとされています。

 速度の計測や公表に関して、NEOプランの開始には間に合いませんでしたが、先方とのスケジュールを調整しながら、春ごろには間に合わせたいという温度感で進めています。

 ちなみに同じ春ごろの話として、バリュープラスからNEOプランへの変更についても、その時期にリリースすべく準備中です。

亀井氏

――他社との比較や、SNSでのアピールなどの予定はありますか。

亀井氏
 ほかの通信事業者さんの速度を我々が用いることはできないので、相対比較は計画していません。

 また、先ほどの話にもあった通り、基本的には第三者機関が測った数値でないと公表できないので、自分たちで測定した速度をSNSでアピールするようなことも考えていません。

今後の計画について

――NEOプランにおける「NEOデータフリー」では、新たにLINEの音声通話・ビデオ通話も対象となりました。今後も拡充を続けていく予定ですか。

神山氏
 はい、拡充に関する検討は継続的に実施しています。動画系に関しては無料でやるのか有料でやるのかのバランスが難しいところもありますが、品質やコストを確認しながら決めていきたいと思います。

――先日は、NEOプランで「Gigaプラス」も開始されました。

神山氏
 バリュープラスのほうでは高評価をいただいていて、以前からNEOプランにも導入しようとは思っていましたが、12月というタイミングで導入することを決定しました。

――NEOプランとバリュープラスは、今後まったく違うものとして考えていくのか、それともある程度の共通性を持たせていくのか、どちらでしょうか。

神山氏
 NEOプランとバリュープラスは、ベースのプラットフォームという点では同じ設計になっています。ただし、NEOプランで提供しているものを、バリュープラスでも提供するかというのはまた別の話です。

 (両プランの)バランスを考えた場合、まったく同じにはしないと思います。

――NEOプランとバリュープラスの両方を武器にしながら、今後はどういった事業者になることをイメージされていますか。

神山氏
 我々は、業界の“うねり”をつくるプレイヤーになりたいと思っています。

 今後も、いろいろなことに対してアグレッシブに取り組みながら、ユーザーの方々にご評価いただけるようなサービスを提供したいと考えています。

――ありがとうございました。