インタビュー

NUROモバイル、「NEOプラン」に関する質疑応答で担当者が語った内容は? 「エコノミーMVNO」への考えも

 ソニーネットワークコミュニケーションズは「NUROモバイル」において、11月1日開始の新料金プラン「NEOプラン」を発表した。

 本記事では、29日に実施された記者発表会での質疑応答の様子をお届けする。質疑応答には、同社MVNO事業室 室長の神山明己氏、同サービス設計課 課長の亀井健男氏、同セールス&マーケティング課 課長の田中直樹氏が出席した。

(左から)亀井氏、神山氏、田中氏

あえて「NEOプラン」を独立させた理由

――「NEOプラン」に関して、既存の「バリュープラス」の中で容量を増やすかたちもあったかと思うが、なぜ独立したプランにしたのか。

神山氏
 今回の「NEOプラン」では高品質な専用の帯域を用意しているので、「バリュープラス」とは分けて運用することを決めた。

 また、小容量帯のユーザーと中容量帯のユーザーを比較した場合、中容量帯のユーザーはより品質の高いものを求める傾向にある。そういった意味でも、「バリュープラス」とは異なるかたちで展開する。

――「バリュープラス」では、継続利用によってデータ容量が付与される「ギガプラス」があるが、これを「NEOプラン」に導入する考えはあるのか。

神山氏
 機能としては、「NEOプラン」に導入することも可能。ただ、「NEOプラン」では20GBのデータ容量に加えて、データ繰り越しもできる。

 まずはそれをユーザーに使っていただき、「容量を増やしてほしい」「ギガプラスのようなものがほしい」という声があれば、導入を前向きに検討したい。

スピードについて

――「NEOプラン」では専用帯域を用意したということだったが、「バリュープラス」と比べてスピードは具体的にどのように変わるのか。

亀井氏
 「バリュープラス」とは別に「NEOプラン」専用の帯域を確保した理由として、”ボトルネック“の解消がある。これまで一般的に格安SIMが遅くなっていた理由のひとつは、MNOとの相互接続点の帯域がボトルネックとなっていたから。

 「NEOプラン」に関しては、ユーザーに対して十分な専用帯域を確保することで、ボトルネックを解消する設計思想になっている。具体的な数字は説明できないが、「バリュープラス」と比べて大きく品質が上がり、MNOと同等レベルの品質を目指せる。

――「MNOと同等レベルの品質」に関して、具体的な数値を示す予定は。

神山氏
 具体的な部分に関しては、帯域の設計の中身も含めて公表することはできないが、速度測定を含めた公表可能なデータを出す計画は検討している。

――それは、(通信が)最も混雑するとされる平日の昼間も含めてと思って問題ないか。

神山氏
 問題ない。そのあたりは、亀井から補足説明がある。

亀井氏
 具体的には、総務省から公開されている実効速度ガイドラインというものがあり、「しかるべき計測環境で第三者機関が測ったものを公表する」とされているので、それに向けた検討を進めている。

――ソニーのAI技術を使った帯域の自動割当という資料が示されたが、これまでの半年間でどのぐらいの効果があったか具体的に教えてほしい。

神山氏
 あくまでユーザーが実感できる部分として示したものであり、具体的な効果の公表は控える。

価格設定

――「NEOプラン」の価格は1カ月で2699円。既存の「バリュープラス」との比較で、今回のプランはMNOと真っ向勝負という印象を受ける。そのあたりの見解を教えてほしい。

神山氏
 従来の「バリュープラス」に関しては、”コスト“と”品質“のバランスのうち、どちらかというと(ユーザー側の)コストを優先して、料金を安くするというスタンスだった。

 今回の「NEOプラン」はMNOと同等の品質を目指しており、それに対してコストをかけていく。つまり、ある程度の費用をユーザーからいただくことにより、品質を維持していくというのがポリシー。

 たしかに価格的なメリットは小さく見えるかもしれないが、データの繰り越しや「NEOデータフリー」など、そういった部分で十分お得に感じていただけると思っている。

SNSの対象サービスの通信量がカウントされない「NEOデータフリー」

――「NEOデータフリー」について、対象SNSのうち動画系はすべて対象外となっている。この理由について教えてほしい。

神山氏
 今回は、デジタルネイティブのユーザーが日々使っているコミュニケーションツールの通信量をカウントフリーにするかたちで設定した。

――LINE、Twitter、Instagram以外のアプリなどに関して、対象を拡大する予定はあるのか。

神山氏
 まずはユーザーが最も使っているSNSを対象として採用した。今後の横展開に関しては、ユーザーニーズを踏まえて検討したい。

――場合によっては拡充する可能性もあるととらえて問題ないか。

神山氏
 その認識で問題ない。

「オートプレフィックス」の導入

――「NEOプラン」はドコモ回線を用いるとのことだが、なぜドコモ回線なのか。接続料に関してはソフトバンク回線が最も安かったと記憶しているが、一番安いキャリアのものを借りるのがセオリーではないのか。

神山氏
 今回の「NEOプラン」の特徴のひとつとして、「オートプレフィックス」の導入が挙げられる。それがある意味、「NEOプラン」の強みであり、他社さんとの差別化要素。

 現状で「オートプレフィックス」を導入できるのはドコモのSIMだけである、という理由が大きい。

――「オートプレフィックス」は他社も導入予定だと思うが、導入されたら選択肢を増やす予定はあるのか。

神山氏
 「オートプレフィックス」に関しては「バリュープラス」でも提供する予定でいるので、準備ができしだい、マルチキャリアというかたちで広げていきたいと考えている。「NEOプラン」でも、ニーズに合わせて検討したい。

「データ使い放題プラン」の提供終了について

――少し前にソフトバンク回線でデータ専用の「データ使い放題プラン」を提供していたと思うが、提供終了の理由を知りたい。また、大容量帯についてはどう考えているのか。

亀井氏
 正直に言うと、ユーザーニーズのボリュームや、大容量ゆえにヘビーに使うユーザーの存在など、価格と品質のバランスで少し苦戦した部分がある。

 今後あらためて、環境の変化をとらえながら慎重に判断していきたい。

MNOとの関係

――3月以降に、各キャリアが開始したオンライン専用プランに関して、MVNO側から見た影響度を教えてほしい。

神山氏
 各キャリアさんがオンライン専用プランを導入された当初、我々が今回発表した「NEOプラン」のような20GB帯を中心に参入されていた。それに対して我々は、MVNOのユーザーが最もよく使う小容量帯にフォーカスし、「バリュープラス」で参入した。

 その後はご存じのとおり、MNOの方々もオンライン専用プランで小容量帯に参入されたので、それについては当然多少の影響が出ている。

 ただ、我々の「バリュープラス」も魅力的な価格と機能を有しており、「バリュープラス」を選んでくださるユーザーが数多くいるのは、ありがたいことだと思う。

――NTTドコモが「エコノミーMVNO」ということでNTTコミュニケーションズやフリービットと提携する施策を始めたが、これがMVNO市場にどういう影響を与えると見ているか。また、これに参加するような検討はしているのか。

神山氏
 他社さんの戦略に関しては、我々が話をするという立場ではないと思っている。ただ、ユーザーがMVNOをより気軽に使えるようになるという意味では、我々の市場がより拡大するチャンスなのかなと思っており、ポジティブにとらえたい。

 また、参入に関しては現時点で検討していない。

――参入を検討しない理由を教えてほしい。

神山氏
 我々はドコモさんからこのような話を受けていないので、具体的に検討しようがない。