石野純也の「スマホとお金」
ソフトバンクが「iPhone 17e」「Galaxy S26」を“MNPなら月1円”で販売する理由
2026年3月26日 00:00
2026年2月の決算説明会で「純増にはこだわらない」(宮川潤一社長)方針を改めて宣言したソフトバンク。その裏付けを示すかのように、第3四半期(25年10月から12月)は契約者が約10万件純減していました。
その一方で、「ロイヤリティの高いユーザーには、それなりのコストをかけて還元する」(同)としており、既存ユーザー重視の姿勢も示しています。
純増にはこだわらないと聞くと、MNPを重視した価格設定をやめてしまうかのようにも思えますが、春商戦向けに投入された新機種を見ると、必ずしもそうではないことも分かります。端的に言えば、 月額1円端末はしっかり残っています 。ここでは、「Galaxy S26」シリーズや「iPhone 17e」の価格設定から、ソフトバンクの方針を読み解いていきます。
ホントに純増は不要? MNP月1円を打ち出したGalaxy S26
純増にはこだわらないというソフトバンクですが、MNPでのインパクトある価格設定は現在も維持しているようです。Galaxy S26シリーズ発表時に、同社の執行役員 郷司雅通氏が「(月額1円は)今回もやります」と答えていたように、ベースモデルのGalaxy S26はMNPの場合、24回ぶんの支払いが月額1円に設定されています。
24回支払い後に端末を回収に出して免除される金額は、6659円の24回ぶん。15万9816円で本体を引き取ってくれる格好です。ただし、ソフトバンクの「新トクするサポート+」は、端末回収時に特典利用料がかかります。この料金はGalaxy S26の場合2万2000円。 トータルでの実質価格は、2万2024円 です。
10万円を超えるハイエンド端末としては破格の価格設定と言えますが、おもしろいのは、12回支払い後に機種変更した際にかかる早期利用料が0円になっているところ。 1年使っても、2年使っても、実質価格の差は12円しかない 形になります。じっくり2年使いたい人はもちろん、来年、新モデルが来たら早々に乗り換えたい人にもお得な価格設定と言えるでしょう。
また、特典利用料についてはソフトバンクで機種変更することで免除される「買替え応援割」があります。ソフトバンクを使い続けることで、最新のGalaxyが1年実質12円、もしくは24円になるというわけです。他社でここまでインパクトのある価格を打ち出しているキャリアはなく、ソフトバンクが目立っています。
純増にはこだわらないという方針とは矛盾しているようにも思えますが、この実質価格で使えるのはあくまでソフトバンクを使い続けた場合。宮川氏はあくまで「(短期間で乗り換える)ホッピング予備軍については、慎重に取り方(獲得方法)を変えた」ともコメントしているため、この価格設定はその反映とも言えそうです。あくまで、優良顧客予備軍向けに安くしていると言い換えることもできます。
Galaxy S26は機種変も安い、上位版はやや高めの傾向
“釣った魚にエサはやらない”のかと思われるかもしれませんが、Galaxy S26に関しては、必ずしもそうではありません。
機種変更の価格を見ると、1年での実質価格は4万4012円に抑えられています。内訳は、特典利用料が2万2000円、早期利用料が2万2000円と1年ぶんの支払いの12円です。
MNPよりは高めになっているものの、先に挙げたように ソフトバンクで機種変更した際には特典利用料の2万2000円が免除される ため、実質2万2012円でGalaxy S26を1年間利用できる形になります。昨年、「Galaxy S25」をソフトバンクで購入し、乗り換えるのに最適。来年も同時期に登場するであろうGalaxyを安価に入手できる形になります。
先の郷司氏は、「ハイエンド端末の方が1年でアップグレードされる比率が高い」と述べており、それを反映した売り方と言えるでしょう。Galaxyで捉えたユーザーをGalaxyでロックインするための戦術と言えるかもしれません。MNPで安さを打ち出す他社にユーザーが逃げないための施策と考えると、ソフトバンクの方針とも合致しています。
とは言え、ここまで安価な価格を打ち出しているのはGalaxy S26シリーズの中でもGalaxy S26だけ。
大画面版の「Galaxy S26+」はMNPこそ1年での実質価格が2万2012円に抑えられているものの、機種変更では1年実質9万1160円とやや高め。同様に、最上位モデルの「Galaxy S26 Ultra」もMNPは1年実質3万1960円と安めですが、機種変更になると1年でも実質価格は11万5120円かかります。
大元の本体価格が高い機種は、さすがのソフトバンクでも割引しきれないようです。また、ベースモデルのGalaxy S26との価格差が大きいことから、戦略的に売れ筋モデルを機種変用端末として価格設定していることもうかがえます。選択の自由度は下がりますが、コスパ重視であれば、このような端末を選択し続けていくのが正解と言えます。
iPhone 17eもMNPは月額1円、ただし機種変更は通常価格に
MNPにフォーカスを合わせて実質価格を下げているのは、Galaxyとほぼ同時期に発売された「iPhone 17e」にも当てはまります。こちらは、 MNPだと24回までの支払額が月1円 になり、端末を回収に出すことで残りがすべて免除される設定。MNPの場合だと、1年実質2万2012円、2年実質2万2024円になります。
MNPだと早期利用料がないため、1年でも2年でもあまり価格が変わらないことになっているというわけです。一方で、機種変更の場合には、ここまで極端な価格にはなっていません。1年での実質価格は5万6880円。特典利用料が免除されたとすると、3万4880円です。2年利用時は、実質6万9760円、特典利用料免除で4万7760円になります。
Galaxy S26の1年実質4万4012円と比較すると、やや高めにはなりますが、iPhoneを1年ないしは2年使い続ける金額として見れば、比較的リーズナブル。特に、特典利用料が免除された場合の金額はまずまずの安さで、機種変更しづらいとまでは言えない価格設定。アップルから直接端末を買い、自ら中古業者に端末を売却した際の差額と大きくは変わらない金額になっています。
ここまで見てきたように、純増を追わない方針に転換したソフトバンクですが、新トクするサポート+でMNPを優遇しなくなったわけではありません。機種変更でおトクになる端末はGalaxy S26など、特定のモデルに限定されており、依然として他社からの獲得を重視していることがうかがえます。
もっとも、新トクするサポート+には特典利用料が設けられているため、ソフトバンクを使い続けることでおトクになるのも事実です。宮川氏流に言えば、優良顧客予備軍と言えるでしょう。春に発売された注目の2機種を見ると、MNPの実質価格でインパクトを出していく戦術は変わっていないように見えます。
逆に 機種変更する人が端末代を抑える場合には、Galaxy S26のような戦略モデルを見極める必要 があります。Androidで言えば、グーグルの「Pixel 10」やモトローラの「razr 60s」が12回まで支払額が1円に設定されています。ユーザーにソフトバンクを使い続けてもらうためには、こうした端末をいかに増やしていけるかがポイントになりそうです。










