石野純也の「スマホとお金」
「iPhone 17e」から読み解くドコモ新プログラム、MNPと機種変更で「5万円」格差のワケ
2026年3月19日 00:00
ドコモは3月5日に「いつでもカエドキプログラム」を改定し、最大2万2000円のプログラム利用料を新設しました。KDDIも、「スマホトクするプログラム」を「スマホトクするプログラム+」に変え、最大2万2000円の特典利用料を設けています。以前、本連載で解説したように、この利用料は囲い込みの強化につながる可能性があります。
プログラム改定後に導入された端末として、もっとも注目度が高く、売れ筋になりそうなのがアップルの「iPhone 17e」でしょう。昨年発売された先代モデルである「iPhone 16e」の価格設定と比較しつつ、ドコモを例に、いつでもカエドキプログラム改定後の端末の売り方を見ていきます。
MNPは安価な一方、機種変価格はアップル販売の本体価格に近づく
ドコモのiPhone 17eは、256GB版の本体価格が11万9900円。9万9800円で販売するアップルよりも、約2万円高くなっています。ドコモが設定する24回目の残価は7万6560円。24回目の支払いまでに端末を下取りに出すと、この価格が免除される形になります。
ただし、新規契約/MNPと機種変更で残価が異なっており、後者の場合は6万720円まで残価が下がります。
契約形態によって残価が変わってくるのは、果たして本当に端末の残価と言えるのかという疑問はわいてきますが、このような形で新規契約/MNPと機種変更で金額差をつけています。MNPの場合はさらに割引がつき、月額料金は1円。新規契約ではこれが1884円に上がり、機種変更だと2573円になります。
MNPと機種変更での差が、かなり大きい売り方になっていると言えるかもしれません。
ただし、上記の金額にはプログラム利用料が含まれておらず、これを合算すると実質価格はMNPで2万2033円、新規契約で6万5340円、機種変更で8万1180円になります。
また、機種変更の場合には、「ドコモ ポイ活 MAX」を契約すると3300円の「機種割引」も受けられます。また、ドコモで機種変更すると、この2万2000円は免除され、Webで掲載されている実質価格になるという形です。
MNPや新規契約はお得な反面、プログラム利用料を含めた機種変更の実質価格はアップルが直接販売するiPhone 17eに迫る価格になっており、しかもいつでもカエドキプログラムはいわゆる残クレのため、端末が手元に残りません。
これであれば、既存のドコモユーザーは無理にドコモから購入しなくてもいいのでは……と思う実質価格になっています。機種変更時にドコモ以外から端末を買うユーザーは、特にこの点を検討しておいた方がいいかもしれません。
逆に、MNPがここまで安くなるのは、5G WELCOME割が4万3307円発生し、かつ残価も盛られているため。残価とこの割引を合算し、本体価格から引くと残りは33円になります。5G WELCOME割は、ガイドラインで定められた上限である4万4000円に迫る金額ですが、その上限いっぱいまで割引をつけていることが分かります。
なお、ドコモはiPhone 17eの24カ月後の買取予想価格を8万333円としており、新規契約/MNP、機種変更ともに残価として免除する金額はこれを超えていません。これは、端末の下取りに割引が含まれていないことを意味しています。
プログラム利用料免除は割引にならないのか?
ただ、5G WELCOME割とプログラム利用料の2万2000円を免除する「ドコモで買替えおトク割」を合算すると、割引額は6万5307円になり、割引の上限である4万4000円を超えてしまいます。「すわ、ガイドライン違反か」と思われる方もいるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。
これについては以前の連載でも説明したとおり、機種変更を条件にしているため、プログラム利用料の割引原資は機種変更後の端末ということになります。
具体的に言えば、iPhone 17eの割引が4万3307円だけなのに対し、2万2000円は次に買う機種の割引になるということです。一律適用ではなく、機種変更がトリガーになっているため、このような解釈が可能になると言えるでしょう。
一方で、機種変更後の端末価格に対して直接割り引ける“枠”は、この時点で2万2000円ぶん減ってしまう形になります。いわば割引の先送りのような形になるため、最大まで割引が可能な新規契約やMNPと、機種変更での価格差が広がってしまうことも想定されます。
実際、iPhone 17eのプログラム利用料込みの実質価格を見ると、MNPが2万2033円なのに対し、機種変更は7万7880円と、5万円以上の差がついています。機種変更はより保守的な設定で割引がないことに加えて、なぜか残価の設定も新規契約/MNPと機種変更で異なるためで、結果として単純な割引の差以上に実質価格に開きが生じています。
もう少し既存ユーザーを大切にしてもいいのでは……と思うところは多々ありますが、プログラム利用料の新設によって、新規契約/MNPと機種変更の価格差が以前よりも広がっていく可能性があることは間違いありません。iPhone 17eは、その結果を示唆している端末と言えそうです。
iPhone 16e発売時より広がった価格の差
昨年発売された「iPhone 16e」と比べると、その差が分かりやすいと思います。128GB版に対し、MNPのみ4万2570円と大きな割引がついていたのは同じですが、iPhone 16eのときには「eximoポイ活」を契約した際の機種割引が5500円とより大きかったほか、残価も6万6000円と同額に設定されていました。
そのため、MNPでの実質価格が24回で1210円だったのに対し、機種変更でも3万8280円、機種割引なしでも4万3780円となっており、最大で5万円を超える差がついているiPhone 17eよりはMNP偏重ではなかったと言えます。いつでもカエドキプログラム改定後は残価に差がついたことにより、その傾向がより強まったと言えるかもしれません。
実際、ドコモは過去機種に対しても残価の額を変更しており、「iPhone Air」のように差額が大きい機種の場合だと3万円以上の違いが出てきています。前の機種のプログラム利用料を免除して割引の上限が減ることになる機種変更の方が残価は低めになっており、ここで割引の上限を超えないような調整をかけていることがうかがえます。
この状況が続くと、機種変更のユーザーに向けた在庫処分がしづらくなってしまったり、MNPの方が安いということで他社に流出してしまうおそれが出てきたりといった副作用が出てくる可能性があるかもしれません。
Androidでは3月12日に発売された「Galaxy S26」のように、MNPと機種変更の価格差が少ない機種もあるものの、どちらかと言えば全体的に機種変更の実質価格が高くなっている印象も受けました。
いつでもカエドキプログラムの改定で値上げになるとの見方もありましたが、これは半分正解で半分間違い。MNPでの価格は維持しつつ、機種変更がより高くなるという見方の方が正しいかもしれません。








