石野純也の「スマホとお金」

auとUQなら「ネトフリ」が実質728円? 「Netflixパック」より「サブスクぷらす」が安くなる条件とは

 岡田准一さんが主演、プロデュース、アクションプランナーを務めた「イクサガミ」や、WBCの独占配信などなど、何かと話題になることが多いNetflix。そんなNetflixと、いち早く提携し、料金プランの一部に組み込んできたのはKDDIです。

 同サービスを料金に組み込んだ「Netflixパック」は、その時々の料金体系に合わせて提供されています。

 一方、KDDIは6月に提供を開始した「サブスクぷらすポイント」で、動画配信サービスなどのポイント還元にも注力しています。もちろん、Netflixもこのサービスの対象。

 契約している料金プランにもよりますが、最大で料金の20%がPontaポイントとして返ってきます。また、12月にはNetflixが最大で5カ月間無料になるキャンペーンも実施。

何かと話題作の多いNetflix。KDDIは、早くから同社とパートナーシップを結び、料金プランを提供してきた

 どちらかと言えば、パックプランよりもこちらを推しているようにも見えてきます。では、実際にNetflixパックを契約するのと、サブスクぷらすポイントでNetflixに加入するのはどちらがおトクになるのでしょうか。こうした料金プランからは、KDDIの戦略も透けて見えます。

Netflixパックはauバリューリンクプランにも、ただし料金は……

 auの中心になっている現行の料金プラン「auバリューリンクプラン」にも、Netflixパックは受け継がれています。12月に導入される「マネ活2」と同様、核となる料金プランにつける“価値”の1つというのがその位置づけ。

 いわばオプションのような見え方になっている一方で、形式としては、あくまで料金プランそのものとして提供されています。

マネ活やコンテンツパックは、あくまでベースとなる2つの料金プランに追加するバリューになる。そのため、Netflixパックなども新料金プランにそのまま受け継がれている

 “素”のauバリューリンクプランは、各種割引適用前が8008円。割引フル適用で、この料金が5478円まで下がります。これに対し、「auバリューリンクプラン Netflixパック」は割引前が9207円、割引後が6677円になっています。

 適用できる割引は、「家族割プラス」、「auスマートバリュー」、「au PAYカードお支払い割」の3つ。割引額も変わらないため、素のプランとNetflixパックの差額は、常に1199円になります。

 このNetflixパックについてくるのは、Netflixが月額890円の「広告つきスタンダード」。700円払えば「スタンダード」に、1400円払えばより解像度の高い「プレミアムプラン」にアップグレードすることもできます。

 とは言え、個人的なオススメは、広告つきスタンダードで十分だと感じています。広告も地上波と比べればはるかに少ないですし、解像度も1080pに対応、2台のデバイスまで視聴可能だからです。

Netflixパックの方が安くなると思いきや、auバリューリンクプランとNetflixをそれぞれ契約した時の方が料金は安い

 それはさておき、素のプランとNetflixパックの差額である1199円は、Netflix単体の890円を上回っているため、単にNetflixをおトクに見たいだけであれば、このプランを契約するのは得策ではありません。

 なぜ、単体契約よりも高いかというと、Netflix以外のサービスも含まれているため。名称はNetflixパックではあるものの、実際にはKDDIとテレビ朝日が共同で運営するTELASAも入っての1199円になっています。

 TELASAを単体で契約した際の料金は、月額990円。Netflixとの合計額は1880円になります。2つのサービスに個別に入るよりも、毎月681円安くなるというわけです。

 こう捉えるとおトクに聞こえますが、Netflixだけを使いたい人には、逆に309円割高になってしまいます。309円の追加でTELASAを見ることができるのをおトクと感じるかは、その人の視聴習慣次第。安いと感じる人もいれば、抱き合わせで高くついたと思う人もいるはずです。

Netflixパックという名前ではあるが、このパックには動画配信サービスのTELASAも含まれる。こちらの月額料金は990円

 象徴的なサービスとして、パック名にNetflixが冠されている一方で、Netflixだけがお得になるサービスではない点には注意が必要です。auの通信サービスと、Netflixさえあれば十分という人は単体契約するのがオススメ。サブスクぷらすポイントにラインナップされているため、毎月の料金に対し、大幅なポイント還元を受けることができます。

ポイント還元を加味した実質価格は? 複数サービス利用時はパックプランに軍配

 12月から開始されるNetflixの最大5カ月無料キャンペーンも、このサブスクぷらすポイントの枠組みを使ったもの。12月1日から26年3月31日まで、先に挙げた広告つきスタンダードが4月30日ぶんまで無料になるというキャンペーンがこれです。

 auもしくはUQ mobile経由で初めてNetflixを申し込む人が対象。個別にNetflixを契約している人も、切り替えれば5カ月分、料金が無料になります。UQ mobileも対象というのが太っ腹な印象を受けます。

12月1日から4月30日までの5カ月間が無料になるキャンペーンを実施する。しかもUQ mobileまで対象だ

 広告つきスタンダードが5カ月ぶんというのは、特典を分かりやすくするためで、実際には5カ月間、890円が値引きされる形です。つまり、スタンダードやプレミアムを契約してもOK。広告がどうしても受け付けないという人は、差額を払ってアップグレードするのも手です。

 また、このキャンペーンはサブスクぷらすポイントとして申し込むため、終了後にはポイント還元を受けられます。

 還元率は料金プランによって異なるものの、Netflixは比較的太っ腹で、auはもちろん、UQ mobileもポイント還元の対象になっています。

 先に挙げたauバリューリンクプランの場合は20%。Netflixの広告つきスタンダードは税抜きで809円のため、162ポイントが還元される格好。このポイント還元を加味すると、Netflixの実質価格は728円になります。

キャンペーン終了後はそのままサブスクぷらすポイントになり、最大20%の還元を受けられる

 この728円を、auバリューリンクプランと合算すると、毎月の請求額は各種割引適用前で8736円になります。先に挙げたNetflixパックは9207円だったので、パックプランを契約するよりも実質471円安くなる計算。

 あくまで単体契約ではありますが、TELASAが不要な人にとってはこちらの方がオススメ。無料キャンペーンに打って出ていることからも分かるように、KDDIもどちらかと言えば、サブスクぷらすポイントに注力していることがうかがえます。

ポイント還元を加味した実質価格では、Netflixパックとの差額がさらに広がる

 では、NetflixとTELASAの両方にサブスクぷらすポイントで入った場合はどうでしょうか。TELASAもauバリューリンクプランでは20%還元を実施しています。TELASAの還元額は税抜きの900円に対して180ポイント。実質価格は810円になります。

 こちらを上記の合計額である8736円に足すと、合計金額は9546円。Netflixパックの9207円よりも、339円ほど割高になります。

TELASAまで加味すると、Netflixパックの方が料金は安くなる

 Netflixだけが目当てであればサブスクぷらすポイント、TELASAも含めて契約したいのであればNetflixパックの方がおトクになるというわけです。

 ただ、サービスをある程度自由に組み合わせられるのがサブスクぷらすポイントの魅力。NetflixとTELASAというように決め打ちで入りたいサービスが決まっている場合をのぞけば、基本的にはサブスクぷらすポイントを視野に入れておいた方がよさそうです。

UQ mobileでも最大20%還元、キャリア経由にしない手はない

 注意したいのは、料金プランとNetflixのプランの掛け合わせで還元率が決まるというところ。auバリューリンクプランや「使い放題MAX+」など、データ容量に制限のない料金プランはおおむね20%還元ですが、「U16バリュープラン」や「シニアバリュープラン」など、年齢別の料金プランでは15%還元になることもあります。

 それでも15%還元なので、auユーザーであれば経由しない手はないのですが……。

 また、こうした料金プランの場合、Netflix側をスタンダードやプレミアムにしている場合、還元率が10%まで落ちてしまいます。より料金が高くなるため、そのぶん還元額は上がることになりますが、おトクさが落ちてしまうのは否めません。この点からは、Netflixが広告つきスタンダードを推していることもうかがえます。

Netflixの還元率はほとんどが20%だが、U16バリュープランなど、一部は15%まで下がる。また、その場合、Netflixの上位プランは10%還元になる点にも注意が必要だ

 一方で、無料キャンペーンと同様、サブスクぷらすポイントは、サブブランドのUQ mobileでも利用可能。しかも現行の料金プランである「コミコミプランバリュー」や「トクトクプラン2」では、auのauバリューリンクプランと同様、還元率が20%に設定されています。

 トクトクプラン2は5GB以下が、各種割引適用後で1628円。ここにNetflixのポイント還元が162ポイントつくのは、かなりおトク感が高いと言えそうです。

 UQ mobileには、Netflixパックのようなパックプランがないため、コンテンツサービスに加入するならサブスクぷらすポイント一択。auのように、比較する必要もありません。

 また、新規受付を終了した「コミコミプラン+」や「トクトクプラン」、さらには「ミニミニプラン」などの格安な料金でも、サブスクぷらすポイントでポイント還元を受けることができます。

UQ mobileもサブスクぷらすポイントの対象。しかも現行上位プランは、20%還元だ

 こちらの料金プランの場合、先に挙げたU16バリュープランなどと同様、還元率は広告つきスタンダードで15%、それ以外が10%まで下がります。

 とは言え、ミニミニプランの場合、各種割引適用後で1188円と格安なため、122ポイントの還元でも十分元が取れる格好。太っ腹すぎて、ふさがれないかが心配になってきます(笑)。

 ただし、「コミコミプラン+」を除いた旧料金プランは、NetflixとTELASA以外のポイント還元には非対応。Netflixとのセットが、いかに条件がいいかがうかがえます。

旧料金プランも対象。小容量プランでも15%還元がつく大盤振る舞いぶりだ

 ドコモには「爆アゲセレクション」、ソフトバンクには「エンタメ特典」という、同様のサービスがある一方で、ここまで還元率が高く、かつ料金プランの縛りが緩いのはKDDIだけ。還元率の高さは、早くからパートナーとして展開してきたからこそと言えます。

 いずれにしても、単独で契約するのはあまり得策ではありません。大手キャリアの回線を持っている人は、キャリア経由の契約でしっかりポイント還元を受けておくことをオススメします。

石野 純也

慶應義塾大学卒業後、新卒で出版社の宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で執筆、コメントなどを行なう。 ケータイ業界が主な取材テーマ。 Twitter:@june_ya