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ソフトバンク決算、宮川社長「これからクラウドサービスの会社になる」
2026年2月10日 00:00
ソフトバンクは9日、2026年3月期第3四半期の連結決算を発表した。売上高は前年同期比8.0%増の5兆1953億9900万円、営業利益は同7.6%増の8841億4400万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は同11.2%増の4855億2300万円となり、増収増益を達成した。
全事業領域で増収、モバイルは純減も「質」重視に
すべての事業領域で増収を達成し、そのうちファイナンス、ディストリビューション、法人向け、コンシューマー向けの4つの事業領域で増益を果たした。
スマートフォン契約数は3196万件。前年同期の3127万件から70万件ほどの増加を果たした。直近3カ月では10万件ほどのマイナスとなったが、課題となっていた短期契約を解消するため、長期ユーザーを重視する方針への転換が影響している。
ソフトバンクの宮川潤一社長は、純増数にこだわらない姿勢を明確にしており、増収増益にのみ集中する考えを明らかにした。「来期はプラスマイナスゼロでもいいんじゃないかなというぐらいの感覚で、とにかく1回(社内の考えを)大改造して膿を出し切ってしまいたい」とも語った。
総務省で進められているスマートフォンの販売方法の見直しについても「端末の割引で競って得するのは海外ベンダーだけ。一定の規制は必要だと思う」としたほか「議論の中心はホッピングユーザー(短期解約者)。短期解約者にばかり資金が流れる構造になっている」とも指摘する。
同社が進める長期ユーザーの優遇について「規制の中でやるということなら、早期に制度化してほしい。長期割のほうがユーザーとしてもプラスじゃないかと思う」とも語った。一方で「KDDIやNTTドコモと比べると、まだ解約率は高い。ドコモ(の解約率)に近づけるよう改革してみたいと思うし、その基盤があるうちにやり遂げたい」と話す。
このほか、メディア・EC事業では、アスクルがシステム障害により前年同期比636億円の減収だったものの、全体では1%の増収を達成。ファイナンス事業のうち、PayPayは連結決済取扱高が14兆3000億円と前年同期比24%増を果たした。
業績が好調だったことを受けて、通期連結業績予想を上方修正した。売上高を従来の6兆7000億円から6兆9500億円へ、営業利益を1兆円から1兆200億円へ、親会社の所有者に帰属する当期利益を5400億円から5430億円へとそれぞれ引き上げた。
クラウドサービスに本腰
AI関連では、「Brain DataCenter」に「Infrinia AI Cloud OS」を導入すると説明。GPUの計算基盤をクラウドサービスとして提供するためのソフトウェアで、開発するソフトバンク側の学習環境や推論環境を効率化できるという。
同種のモデルを持つのはマイクロソフトやグーグルなど、米国のハイパースケーラーなどに限られる。宮川社長は海外進出も視野に入れて取り組むと語った。今後、推論の需要が増えるにしたがって、従来の生成AIの学習もあわせてさらに増えるとみられるGPU利用の需要にも対応する。
宮川社長は「海外の事業者と戦えるソブリンクラウドの提供を目指す。ようやく基盤ができてきたので、次世代社会インフラでクラウド環境のサービスを提供する。これからクラウドサービスをやる会社になる」と話した。
ドコモはすぐに追いついてくる
モバイルネットワーク関連では、品質面で苦戦が続くドコモが、3倍にまで基地局数を増やすと宣言しているが、宮川社長は「すぐに(ソフトバンクなど他社の品質に)追いついてくる」と予見する。続けて「パラメーターの調整やどの周波数でどのトラフィックを運ぶかはノウハウによる。我々も負けないようにしっかりと学習していきたい」と語った。
加えて、ソフトバンクでは5G SAに注力していると話す。宮川社長は、当初は5G開始直後にもっと広めるつもりだったものの、諸般の事情で予算上難しかったことから遅れたとしつつ「SAを早く展開して企業のインフラや6Gにつながるインフラを急いで構築したい」とした。
固定回線、設備共用で効率化へ
宮川社長は、決算発表に先だって公表されたソニーネットワークコミュニケーションズ(SNC)との合弁企業での具体的な事業についても説明した。
両社では今後、NTT局舎内に設置されるそれぞれの設備を新会社で保有することになる。両社で設備を共有することで投資効率を向上させる狙いで、NTTから借りている光ファイバーも共同で利用するため、1回線あたりの収容効率をあげてコスト削減につなげる。
一方で、宮川社長はサービス面では競争を続けるとしており、設備面では5G JAPANと同様の構想で効率化を目指すという。
将来的にはAI普及によるトラフィック増大に対応するため、5Gと光回線の両輪でインフラを支える必要があるとして「NTTとKDDIに加え、ソフトバンクとソニーの連合が第3の選択肢になれば」とも話す。
CFOの藤原氏が退任
22年に渡り、ソフトバンクのCFO(最高財務責任者)を務めた藤原和彦氏がその役職を退任し、4月から現 執行役員 財務統括の秋山修氏がCFOに着任する。
藤原氏は、同社が1000億円ほどの赤字を抱えていたCFO就任当時を振り返りつつ「今期は1兆円の営業利益を創出できる会社に成長した。現中期経営計画の最終年度に時価総額10兆円の節目を迎えられ、私にとってもひとつの区切りになった」と語った。
質疑応答
――競合他社は競争環境に変化がないとしていますが、ソフトバンクはどう見ていますか? また、楽天モバイルの1000万契約突破についての受け止めをお願いします。
宮川社長
競争環境はあまり変わっていないと認識しています。当社は、新規顧客獲得の手法を一部変更し、大量申し込みや短期解約(ホッピング)の可能性があるユーザーの対応を工夫したため、獲得数が減少しました。
しかし、これは半年後ぐらいに解約率の改善として現れると予測しており、おおむね想定通りの動きです。他社の動きも大きく変わっておらず、新規獲得に強い楽天モバイルが少し抜けている印象です。 楽天モバイルの1000万契約突破については、創業者ならではの強さと粘り強さを感じており、まずはお祝い申し上げます。
ただ、4キャリア体制による通信インフラの強靭化という観点では、ローミングに依存するビジネスモデルであれば残念に思います。
――端末購入プログラムについて、早期返却による業績への影響はコントロールできていますか? また、総務省での端末割引規制の見直し議論についてどう考えますか?
宮川社長
端末購入プログラムについてはうまくコントロールできていると思います。端末割引については、過度な競争は海外ベンダーが得するだけなので、一定の規制は必要だと考えます。
議論の中心はホッピングユーザー。我々の資金がホッピングユーザーに流れてしまう構造になっている。自分たちで止められないかと9月からチャレンジしていますが、規制の中でやるのであれば、早く制度化してほしいとも思います。
個人的には長期割のほうがユーザー目線ではプラスではないかと思います。当時は新規参入事業者もあったので、こういう規制になりましたが、事業者目線オンリーだったのではないでしょうか。ユーザー目線に立ち返ると長く使って恩恵を受けるというのは、ほかの業界ではいくらでもあるので、もう一度立ち位置を見直したほうがいいのではないかと感じています。
――ドコモが2026年度初頭から衛星とスマートフォンの直接通信を提供するがソフトバンクは? 衛星通信での差別化は可能ですか?
宮川社長
やります。来年度中には…。差別化は難しくなるでしょう。理想は日本製の衛星で日本の通信環境に合わせてつくることですが、現状は追いつけていません。(他社との)サービスに差分があるとよくないので穴を埋める対応をしましたが、中長期的にはさまざまなトライを続けたいと考えています。
――ドコモの3G終了に伴うユーザー獲得競争について、端末値引きなどの特例措置を活用する考えはありますか?
宮川社長
3Gからの移行ユーザーはホッピングユーザーとはみなしていないため、積極的に獲得に行きます。






















