石野純也の「スマホとお金」
ドコモの新料金プラン「ポイ活20」はどんな人にピッタリ? わかりにくい点をスッキリ解説
2025年6月5日 00:00
eximoの後継として登場するNTTドコモの新料金プラン「ドコモMAX」や、irumoを刷新した「ドコモmini」は、いずれも、既存の料金プランをアップデートしたような内容。サービスが追加されたり、料金が上がったりしてはいるものの、料金体系自体はこれまでと地続きになっているため、理解しやすいと言えるでしょう。
一方で、ドコモの新料金プランの中には、こうした枠組みの中に納まらないものもあります。それが、「ドコモ ポイ活 20」です。このプラン、 名称からは“20GBプラン”という印象を受けますが、実は段階制 。料金も「ドコモ ポイ活 MAX」よりは安くなっているものの、“ポイ活”なしの選択肢はありません。
ちょっと不思議な「ドコモ ポイ活 20」ですが、ここでは、その特徴や位置づけを解説していきます。
料金は20GBまでとそれ以降の二段階、「ドコモMAX」より割安なことも
「ドコモ ポイ活 MAX」は、「ドコモMAX」に、「ahamoポイ活」は「ahamo大盛り」にポイント還元率が上がる特典をつけた料金プランですが、「ドコモ ポイ活 20」はそれらとはやや趣が異なります。 ベースとなる料金プランがなく、ポイ活プランのみ存在するのがその他の料金プランとの大きな違い と言っていいでしょう。「ドコモ 20」のような料金プランはないというわけです。
20という名称も少々紛らわしいのですが、ahamoやドコモminiのように、ここまでしか使えないというのではなく、どちらかと言えば「ドコモMAX」に近い段階制の料金体系。
各種割引適用後の料金は、 20GBまでが7898円、それを超えると無制限になり、9570円まで料金が上がります 。ポイ活がつきながら、20GBまでの金額は「ドコモMAX」の無制限になったときの8448円より安くなっています。
無制限のときの料金も、9570円のため、 「ドコモMAX」より1122円高いだけ 。ポイ活プランとしてアップするポイント還元ぶんを加味すれば、「ドコモMAX」よりもおトクになる可能性が高い料金プランと言えるかもしれません。
当然ながら、無制限一択で各種割引適用前の料金が1万1748円の「ドコモ ポイ活 MAX」よりも料金は割安。データ使用量を20GB未満にすれば、差額も3850円と大きくなります。
ただし、 「ドコモMAX」よりも特典は少なめ 。大きいのは、「DAZN for docomo」や海外ローミングの無料特典がないことでしょう。逆に、Amazonプライムの最大6カ月無料特典はついています。
割引も同様で、「ドコモMAX」のような「長期利用割」はありませんが、「みんなドコモ割」「dカードお支払割」「ドコモ光/home 5G セット割」「ドコモでんきセット割」には対応しています。
各種割引適用後の料金は、 20GBまでが4380円、それを超えると6490円 になります。DAZNや、海外ローミングにはあまり興味がないものの、ドコモ回線を使いたい、かつd払いやdカードでのポイント還元を多めに受けたいユーザーには、いい選択肢と言えるかもしれません。
ポイ活プランの1つではあるものの、素の料金プランに近いという点では以前の「eximoポイ活」に近い位置づけの料金プランと言えそうです。
ポイント還元率は低め、ノーマルdカードは特に注意が必要に
一方で、「ドコモ ポイ活 MAX」と比べると、上がるポイント還元率はやや抑えめになっています。1カ月の上限額も低めです。
最大還元率は5%ですが、これは「dカードPLATINUM」を使った場合。「dカードGOLD」や「dカードGOLD U」では、ポイント還元率が一気に2%まで落ちます。ノーマルのdカードは1%になり、「dカードPLATINUM」とは5倍の差があります。
還元額の上限は、2500ポイント。「dカードPLATINUM」で5%還元を受けている場合だと、5万円ぶんの買い物でここに達します。
買い物だけでは厳しいかもしれませんが、家賃や水道光熱費などの支払いに「dカードPLATINUM」を使っていれば、すぐに達成できる金額。上限までdポイントをもらい、“元を取る”のは比較的簡単と言えそうです。
「dカードGOLD/GOLD U」の場合だと、還元率は2%に下がるため、上限達成のハードルは上がります。こちらは、 1カ月あたり12万5000円 。可処分所得がどれだけあるかにもよりますが、支払いの多くを寄せていく必要があるかもしれません。また、 dカードだとこの達成額が25万円 に上がるため、毎月上限に達するのはかなり難しくなります。
筆者の場合、毎月のクレジットカード請求額は少ない時だと1ケタ万円。海外出張の航空券を立て替え購入した際や、パソコンなどの大物を買った際にはもっといくこともありますが、毎月コンスタントに上限達成するには「dカードPLATINUM」が必要になります。
よりクレカ払いを意識すれば、「dカードGOLD」でもなんとかなるかもしれませんが、ちょっとした努力は必要。dカードだと、達成は不可能です。
そんな筆者の懐事情はさておき、この還元率・還元額は上位プランの「ドコモ ポイ活 MAX」と比べると低めです。こちらは、「dカードPLATINUM」で10%、「dカードGOLD/GOLD U」で5%、「dカード」で3%の還元率が設定されており、かつ還元額の上限も5000ポイント。「ドコモ ポイ活 20」の2倍の還元額になります。
そのため、このポイントを料金に充当した場合の実質料金は、無制限同士の比較だと、「ドコモ ポイ活 MAX」の方が安くなります。各種割引適用後の料金からそれぞれ上限までもらったポイントを引くと、「ドコモ ポイ活 20」は3740円、「ドコモ ポイ活 MAX」は2948円になります。
ポイント還元目当てで、かつデータ使用量が20GBを超えるのであれば 、「ドコモ ポイ活 20」より「ドコモ ポイ活 MAX」の方が貯まりやすく、実質的な料金も安くなります。
ただし、「ドコモ ポイ活 20」は「ドコモ ポイ活 MAX」と違い、20GBを境に料金が下がります。ポイント還元率や、還元されるポイントの上限はデータ使用量に左右されないため、そのぶんだけ料金が安くなります。20GB以下だったときの実質料金は2068円で、「ドコモ ポイ活 MAX」を下回ることになります。
シンプルでハードルも低いahamoポイ活の方がお得になるケースも
まとめると、「ドコモ ポイ活 20」はポイント還元率が低い一方で、料金も安く、特に 20GB以下でポイント還元を組み合わせるとおトク になる料金プランと言えます。「ドコモMAX」のような特典もないため、比較的シンプルな料金プランを求めている人向けとも言えるでしょう。
注意点として挙げておきたいのは、通常の「dカード」の場合、上限いっぱいまでポイントが還元されるハードルがかなり高まるということ。お得に使うには、「dカードGOLD」以上がマスト、できれば「dカードPLATINUM」があった方がベターと言えるでしょう。
「dカードGOLD」でも、10万円で上限の5000ポイントに達する「ドコモ ポイ活 MAX」よりも、ポイ活自体がしづらい点は考慮しておくべきだと思います。
一方で、ポイ活プランには「ahamoポイ活」もあります。料金的には、割引なしで7150円の一択。割引などはなく、シンプルな料金体系に仕上がっています。
料金的には、割引なしなら「ドコモ ポイ活 20」より安め、逆に割引適用後と比較すると「ahamoポイ活」の方が高くなります。割引条件を満たすのであれば、「ahamoポイ活」を選択する理由が薄いのでは……と思われるかもしれませんが、ポイ活まで加味すると必ずしもそうではありません。
「ahamoポイ活」の還元上限は4000ポイント。還元率も、「ドコモ ポイ活 MAX」と同様、「dカードPLATINUM」で10%、「dカードGOLD/GOLD U」で5%、通常のdカードで3%になっています。しかも、現在、ahamoポイ活はキャンペーン中で、クレジットカードの種類を問わず、一律で10%還元を受けることができます。
eximoポイ活のキャンペーンは7月31日で終了、「ドコモ ポイ活 MAX」では、還元キャンペーンを実施することが表明されている一方で、「ドコモ ポイ活 20」は還元率が5%に抑えられています。
7150円で110GBが利用でき、かつdカードやd払いであれば(現状では)4万円の支払いで上限の4000ポイントがもらえるahamoポイ活は、手軽さと安さが両立していると言えます。
ahamoの場合、店頭サポートが有料になってしまったり、留守番電話・転送電話などがなかったりといった違いはある一方で、海外ローミングが30GBまで無料という特典もつきます。こうした点を加味すると、「ドコモ ポイ活 20」が合うユーザーはかなり限定的と言えるかもしれません。