本日の一品
“頼れる周囲の人の声”を利用して応答できる「録音くん」
2025年7月28日 00:00
令和のいまでは、若年層も高齢層も「ひとり暮らし」が決して珍しくなくなった。特に都市部では女性の単身世帯や、高齢者のひとり暮らしが顕著に増加しており、それに比例して「防犯意識」も年々高まっている。
その背景には、ネットを通じた住所特定や空き巣被害の巧妙化、不審者の訪問、宅配業者を装った詐欺など、現代的で多様なリスクがある。そんな時代の空気を敏感に読み取り、「自分で応対しなくてもいい」という新発想のガジェットを偶然見つけた。それが今回紹介する「録音くん」である。
一般的な防犯グッズには「声色変換装置」が存在する。女性の声を低音の男性の声に変えて相手に誤認させるものだ。
しかし、この「録音くん」はそうした“リアルタイム変換”ではない。もっと自然で、もっと確実な生で“録音した声”を単純に再生するスタイルなのだ。録音くんは、最大15件の音声を録音可能。ボタン1には最長160秒、ボタン2~15にはそれぞれ10秒のメッセージを保存できる。
録音した音声は、専用ホルダーに収められた本体からワンタッチで再生できる。インターフォンやドアホンの前で「1~15の再生ボタン」を押すだけで、まるでほかの誰かが応答しているかのように装える。
この「誰か」の声は、信頼できる人であれば誰でも良い。家族、パートナー、上司、推しの声……バリエーションは無限だ。パッケージでは「女性のひとり暮らしを悟られないように」「高齢者だけとバレないように」と明確に用途が打ち出されているが、実はもっと柔軟に活用できる。
防犯以外にも、推しの名台詞を最大15個コレクションする「推し活グッズ」として、あるいは簡易なボイスメモとしても使える。LR44電池3個を含めても実測63gと軽量なので持ち歩きも負担なし。
離れて暮らす親族や友人、ペットの声などを録っておき、必要な時に聴き返せるという点では、ちょっとした“音声のタイムカプセル”にもなる。
筆者宅では、録音くんを自宅のインターフォン横に貼り付けて使用している。専用ホルダーに入れたまま再生しても問題はないが、やや音が遠くこもり気味になるため、応対時は手に取ってインターフォンのマイク付近へ近づけるようにしている。
応答メッセージの内容によっては「今、手が離せません」や「主人が対応します」など、定型文で十分なケースも多い。
さらに、面白い活用法としては、来客時の「お断りメッセージ」をあらかじめ登録しておくことで、訪問販売や勧誘の応対を完全自動化できる。特に在宅ワーク中など、自分の声を出せない場面では非常に便利だ。
本来であれば、このような防犯対策グッズが必要ない世界こそが理想だ。しかし、現実は甘くない。リスクと向き合いながらも、少しでも安心して暮らす術を私たちは探し続けなければならない。
「録音くん」は、まさにその答えのひとつだ。自分で全部を背負わなくてもいい。他人の“声”を借りて自分の“生活”を守るというこの”他力創発スタイル”は、単なるガジェットを超えて「見守り」と「つながり」の象徴にもなりうる。
そして、録音をお願いするという行為そのものが、新しい人間関係を生み出すかもしれない。「ちょっと声を録らせて」と頼むことで、相手との距離が近づく。そんな小さな“副作用”も、録音くんの魅力の一部かもしれない。
| 商品名 | 発売元 | 実売価格 |
|---|---|---|
| 録音くん | ライソン | 818円 |










