本日の一品

オンラインでもオフラインでも録音と文字起こしが楽になる、「Notta Memo」と「Zenchord 1」を試す

 聞いた話を文字起こししてほしい、あるいは要約してほしいと思うのは、ライターという職業と関係なく、会議、商談、ブレインストーミングを日常的にこなす人たちの願いであろう。

左から「Zenchord 1」と「Notta Memo」

 むしろ、週に1度ほどしか取材に行かない筆者より、会社勤めしているビジネスパーソンの方が、「この会議内容を誰かまとめてよ~」と切望しているかもしれない。

 そんなビジネスパーソンのお役立ちアイテムになりそうなのが、「Notta Memo」である。今回、このNotta Memoと、(記事執筆時点で )クラウドファンディング中の「Zenchord 1」をお借りしたので、レビューする。 (編集部注:掲載時点でクラウドファンディングは終了しています)

 Nottaは、国内に拠点を構えるNotta(企業名はサービス名と同じ)が提供するAIによる音声自動テキスト化サービスだ。ブラウザでアクセスし、ログインすればパソコンからでもスマートフォン、タブレットからでも利用できるという便利さがある。

 そのNottaサービスの利便性を増すのがNottaの提供するハードウェアで、今のところNotta MemoとZenchord 1がそれにあたる。Notta Memoは、プレートのような形状で、ボタン類は2つしかない。1つは録音開始/終了ボタン、もう1つはモード切り替えスライダーだ。

ボタンは本体上部に配置されている。左側がモード切替スライダー、右側は録音開始/終了ボタンだ

 本体への充電は専用充電ケーブルを使って行う。一般的なUSB Type-C端子ではなく、マグネット式ピンを採用しているが、これがなかなか楽である。

 というのも、USB Type-C端子の場合、バッテリーが切れそうだと慌てているとうまく端子に挿せず、端子周りを傷つけてしまう。老眼で端子の位置を確認しづらいということもある。

充電には専用ケーブルを利用する。マグネット式コネクターで、ピタッと吸着するので楽だ

 しかし、マグネット式充電ケーブルなら、コネクタを本体のポゴピンに近づけるだけで吸着し、充電をスタートさせられる。暗がりでも扱えるのでかなり便利である。Notta Memoのパッケージには、本体のほか、前述の専用充電ケーブル、MagSafeレザーケース、MagSafe金属リング、そして紙類が付属する。Notta MemoをMagSafeレザーケースに入れておけば、本体が傷つくのを防げるだけでなく、iPhoneの背面に取り付けて常に持ち歩けるようになる。

付属物。本体から時計回りにMagSafe金属リング、紙類、専用充電ケーブル、MagSafeレザーケース
こちらはMagSafe金属リング。iPhone以外で利用するならこれを使おう

 もちろん、それだけではない。録音モードを「通話録音モード」に切り替えることで、iPhoneにかかってきた電話の内容を録音することができるのだ。もう、耳の穴に入れるマイクを使わずに済む。

スライダーのオレンジ色が見えていて、ディスプレイに受話器マークが表示されている状態が通話録音モードだ

 録音したいときは、iPhoneなどスマートフォンを持つそのままの手の形で、Notta Memoの録音ボタンを2回押すだけだ。録音した通話中の音声は、受話口から出てくる音そのものであった。

 これなら対面でも通話でも、要件を確実に記録できる。メモとペンを持たずに、さらにいえば相手を待たせることなくすぐに“メモ”を取れるよう常にスタンバイできている状態である。外回りの多いセールスパーソンならこの便利さを実感できるに違いない。

 なお、対面(オフライン)でのやり取りを記録するには、録音モードを「ライブ録音モード」に切り替えておこう。モードがどちらになっているのかわからなくなった場合、切り替えボタン(スライダー)を上下に動かしてみよう。

 上部にあるディスプレイに、電話マークあるいは2人の人型アイコンが現れるので、それにより判別できる。

スライダーが下げられていて、ディスプレイに2人の人形アイコンの見えている状態がライブ録音モード

 Zenchord 1では、さらに通話中の録音が簡単に行える。左右どちらかのボタンを長押しすれば録音が始まるので、その状態でこれまた左右どちらかのボタンを短押しして受電する。これで、イヤホンを通じて聞こえてくる音と自分の声の両方が録音されるのだ。

 さて、肝心の音質と文字起こし精度についても触れておきたい。

 とある製品の発表会でNotta Memoを実戦投入したのだが、不思議なことに、文字起こしでは企業名や製品名、人名を正しく認識できていなかったのに、AI要約では「ああ、これはあのことね」と判別できる程度にテキスト化できていた。

 また、発表会前に雑談していた内容を「PLAUD AI」では要約の中に取り込んでしまっていたのに対し、Nottaでは不要なものと判断したのか、要約ではバッサリカットしていた。「冷房が効いていない」、「暑いですね」という本当に不要なものだったので、これには少し驚いた。

 要約で抽出されなかったものの、「どれそれについて話されたはずなんだけど、なんだっけ?」と気になる場合は、文字起こし後に表示されるキラキラアイコン(AIチャット開始ボタン)をタップして質問すれば、すぐにその部分だけを抽出してまとめてくれる。これが記事を書く際に非常に便利であった。

写真右から、Nottaアプリのアイコン、文字起こしした結果に表示されるキラキラアイコン、そしてAIチャットで質問をして返ってきた結果

 音質も比較的良いと感じた。AIノイズキャンセリング機能が優秀なので、話者の声が、雑音を除去した後であっても自然で、合成音っぽくなかった。ただし、通話録音で試したZenchord 1では多少の合成音っぽさが残っていた。

 AI文字起こしといっても、100%の精度に達することはないだろう。それならば、聞き直したときに自然に聞こえる方が良い。人間が判断して、「ここはこう言っているんだな、AIでは聞き取れなかったみたいだけど、あれのことを言っているんだな」と判断できる方が良いのではなかろうか。

 共有やエクスポート、さまざまな議事録テンプレートなど、まだまだ試せていないものばかりなのだが、使いこなせれば話の内容をまとめたり、次のアクションを抜き出したりするのに手間がかからず、作業効率化に寄与しそうなデバイスとサービスだと思った。

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