本日の一品

簡単操作でパーソナライズできる「Soundcore Liberty 3 Pro」を、有線イヤホンユーザーが使ってみた

 普段から、音楽を外出先でも楽しむ筆者。電車や飛行機での移動時には、デジタルオーディオプレーヤー(DAP)とイヤホンは手放せない存在です。

 一方で、多くのユーザーが有線イヤホンからワイヤレスイヤホン、完全ワイヤレスイヤホンに移行している中、筆者は現在も有線イヤホンを愛用しています。

 理由は単純で、

  • 高音質で音楽を楽しみたい
  • 混線によるリスニングの中断を避けたい
  • DAPのアンプを活かしたい
  • なくしそう

ということがあり、完全ワイヤレスイヤホンの常用をつい先延ばしにしてしまっていました(4つめは気をつけろという話でありますが……)。

 一方で、完全ワイヤレスイヤホンの高音質化/高性能化が進んでおり、ハイレゾレベルの音源を再現できるコーデック「LDAC」対応や、高品質のドライバーの搭載、ノイズキャンセリング機能など、最新技術が活かされた製品が登場してきています。

 今回は、アンカー(Anker)のオーディオブランド「Soundcore」の完全ワイヤレスイヤホン「Soundcore Liberty 3 Pro」を、有線イヤホンユーザーの筆者からの側面でレビューします。

パッケージ
外観
ケース
ケースを開いたところ。上にスライドして開けるかたちで、片手ですぐに開けられます
正面から
側面から
イヤホン本体。イヤーチップで隠れてしまう部分にも高級感を感じられるデザインが取り入れられています
イヤホンとケースあわせて58g
イヤホン単体では8g

痛くなりにくい4つのイヤーピース

 まず、製品のパッケージには、本体と充電ケースのほかに4種類のイヤーピースと4種類のイヤーウイングが付属しています。

 イヤーピースとイヤーウイング共に適度なしなやかさと硬さを兼ね備えており、しっかりとフィットしつつも耳が痛くなりにくくなっています。筆者も半日程度装着していても、耳が痛くなることはありませんでした。

 また、イヤホンをカスタマイズできる専用アプリ「Soundcore」では、装着感をテストできる機能が搭載されています。自身でしっかり装着できているかの判断が難しい場合や、いつも使っているからといった思い込みは、この機能で解消できそうです。

パーソナライズは必須

 専用アプリ「Soundcore」では、前述の装着感測定のほか、「ノイズキャンセリング機能」と「イコライザー設定」をパーソナライズできます。

 パーソナライズは、ユーザー自身で数値を合わせることもできますが、同機では「耳の形の自動計測」と「聴覚感度のマッピング」で自動的に調整できます。

 「耳の形の自動計測」は、ノイズキャンセリング機能の調整で利用されます。騒音のある環境でワンタップするだけで、自動的に計測されます。

 「聴覚感度のマッピング」では、複数の周波数帯域の音声が再生され、聞こえるか聞こえないかをタップしていくことで、自動的に「ユーザーの音の聞きやすさ」をマッピングできます。

メインメニュー(左)の「HearIDテスト」から測定できる。右の画面ではすでに測定済みのものだが、サウンドテスト(聴覚感度のマッピング)では、左耳と右耳で特性が違うことがわかります

 「耳の形の自動計測」は1分程度、「聴覚感度のマッピング」は3分程度で測定できます。筆者は買った後すぐにこれを試していただきたいと思います。

 測定前の何も手を加えていない状態では、全体的に平べったい音質となっており正直な感想を言うと「聞いていられない」状態でした。

 しかし、パーソナライズ後の音声は、とても同じイヤホンで聴いているとは思えないほど楽曲が明瞭になり、解像度がワンランク上がった印象を感じました。自身が数値を合わせて設定する方法では、納得の音に仕上げるのに時間がかかってしまいがちですが、5分程度のパーソナライズでかなり理想の音を再現できたのではないでしょうか。

ノイズキャンセリングは、環境に応じて設定を自動で切り替えられます
サウンドエフェクトの「HearID Sound」で、パーソナライズされたイコライザー設定を利用できる。このほか「3Dオーディオ」(LDACは非対応)、プリセット、カスタムが利用できます

2つのドライバーでハイレゾレベルの音源を丁寧に再現

筆者のDAPと「Soundcore Liberty 3 Pro」。個人的な話ですが、耳の穴の大きさが左右で違います

 同機では、低音に強いダイナミックドライバーと、中高音域が得意なバランスドアーマチュアドライバーが、同軸上に配置されています。

 音域をカバーする2つのドライバーを組み合わせることで、楽曲の高音~低音までをしっかりとカバーできるようになっています。

 特に、同機ではコーデック「LDAC」をサポートしており、一般的な「SBC」のおよそ3倍のビットレートでより高音質な楽曲再生ができるとされています。特に、これまで難しかったハイレゾレベルの音源をワイヤレスで再現できるコーデックの一つで、ワイヤレスイヤホンを購入する際に注目しているユーザーも多いと思います。

 筆者も、早速DAPと同機をペアリングし、パーソナライズしたものでハイレゾ音源を使ってリスニングしました。コーデックは「LDAC」で990kbpsの高音質設定を使用しています。

 ポップスやアニソン、JAZZなどさまざまな楽曲を再生してみましたが、特定のジャンルが強いというわけではなく、それぞれの音を丁寧に再現していると感じられました。いわゆる「解像度が高い」印象で、高音低音を力強く鳴らしています。

 気になったのは、中音域の再現性です。まんべんなく音を再現しているため、ドライバーの性能なのか、中音域が高音域と低音域に埋もれそうに感じました。特にポップスやアニソンにおいては、ボーカルの音がもう少し出てもいいかなという気持ちです。このあたりは、イコライザー設定で調整してみても良いかもしれません。

 一方で、楽器の音がはっきりしているJAZZや、落ち着いた楽曲は、丁寧な再現性が発揮され、同機としては得意なジャンルになるのかなと思います。

 同じアーティストの楽曲でも同様で、たとえば、ラブライブシリーズ「Liella!」だと、シングル楽曲ではいわゆる「ドンシャリ系」なイヤホンという印象が感じられますが、「リエラのうた」ではボーカルの音もしっかりと再現できていることがわかります。毛色が違う音楽同士ですが、素直に再現していることがわかる一例になるかと思います。

外出時に忍ばせておきたい一品

 いろいろとお話してきましたが、「Soundcore Liberty 3 Pro」は音質もよくかつワイヤレスというメリットが活かされた一品でした。

 一度ペアリングさせておけば、ケースを開けるだけで接続が完了し、ケースに収納するだけで充電できる手軽さは、移動が多いユーザーでも使い勝手がよいイヤホンだと思います。

 今回は、音楽再生に関する内容が中心でしたが、これ以外にも「外音取り込み機能」や内蔵マイクでの音声通話機能など、テレワーク中でも使える機能が搭載されています。

 一方で、電池持ちの点で長時間継続してリスニングには向かない点や、中低音を大事にしたいという個人的な思いもあり、同機があれば有線イヤホンはいらない! ということにはならないと思います。

 これからしばらくは、落ち着いた移動が少ない場面で有線イヤホンを利用し、乗り換えの多い電車の中などでは「Soundcore Liberty 3 Pro」といった具合で、それぞれの強みを活かしたリスニング体験をしたいと思います。

製品名発売元価格
Soundcore Liberty 3 Proアンカー1万9800円