本日の一品

ぬいぐるみが喋った! 夢のボタン「Pechat(ペチャット)」

 幼い頃、3歳年上の兄がぬいぐるみでよく遊んでくれた。そのおかげか、私はお人形よりも、ずっとずっとぬいぐるみが好きだった。

お気に入りのぬいぐるみに取り付けて、喋らせることができる

 誰しも子供の頃に一度は「お気に入りのぬいぐるみが喋る」ことを夢見たのではないだろうか。そんな夢を実現する黄色いボタンがついに登場した。その名は「Pechat(ペチャット)」。ソフトバンクC&Sが手がける「+Style」で目にした本製品、ぬいぐるみに取り付けると、ぬいぐるみが喋るし、歌ってくれる。その仕掛けはもちろん魔法ではないし、最近流行のAI……というわけでもない。

かわいい正方形のパッケージ。充電ケーブルも付属している

 「Pechat」の秘密……それは、Bluetoothでペアリングしたボタン型スピーカー。直径5cmもない小さなボタンのような形状で、裏には取り付け用の穴があり、ひもやリボンを通したり縫い付けたりしてぬいぐるみに取り付けられる。前面にある4つの穴は実はスピーカーになっていて、スマホアプリを操作して、セリフを選んだりテキストを入力したりすることにより、そこからあたかもぬいぐるみが喋るように音が出るからくりだ。

 専用のアプリでは、まず最初に3種類の中から、ぬいぐるみの声を選択する。次に呼びかけの名前を設定。こちらは複数登録でき、読み方の微妙なニュアンスも調整可能になっている。

 まずはおしゃべりさせてみよう。「Pechat」のメインメニュー「セリフ」で“呼びかけ”、“おめざめ”などたくさんのシチュエーションごとに使えそうなセリフが分類されている。また好みのテキストを入力し喋らせることもできる。ある程度複雑な文章も、漢字やカタカナ、句読点を使うことで結構、自然に読み上げてくれる。

 しかし、このセリフたちを駆使してぬいぐるみとの会話をスムーズに成立させるのは、実は結構難しく慣れが必要。セリフは順番を変更したりカテゴリーを増やしたりして編集することができるようになっているので、会話の延長線上に想定できるセリフや、使用頻度の高いものをあらかじめまとめておくと使いやすくなるだろう。

定型のセリフも充実しているが、難しい会話もお手の物

 「うた」と「おはなし」というメニュー、誰もが一度は耳にしたことがあるお馴染みの童謡を歌ってくれたり、昔話を読み聞かせしてくれたりする。とはいえ、あらためて聞いてみると、案外知らなかった歌の続きがあったり、細部を曖昧に覚えていたお話もあり、大人でも懐かしく楽しめる。

 セリフやうた、おはなしを組み合わせ、「プレイリスト」というメニューで設定しまとめて再生すれば、ある程度の時間、ぬいぐるみに子のお相手をしてもらうこともできる。

 さらに「おまかせ」メニューでは、なんと設定なしでぬいぐるみがお相手してくれる。ぬいぐるみが話題提供してくれる“おしゃべり”、会話の中で製品のマイクで声を聞き取り高い声・低い声などで返してくれる“まねっこ”があり、いわゆるAIではないものの、なかなか自然に楽しませてくれるのだ。

 遊びだけでなく育児の困った場面で使える機能もある。「イヤイヤ」メニューでは“お着替えしない”“オムツの交換をいやがる”など状況別に役立ちそうなセリフがまとめられている。「タイマー」ではたとえば「5分後にお片づけを始めようね」と、約束した時に時間がくればシチュエーションに応じたセリフでお知らせをしてくれる。実に細やかに子育てに寄り沿うアプリなのだ。

 こうやって紹介すると、乳児にはまだ早いと思われるかもしれない。しかし、実は「あかちゃん」というメニューまで用意されていた。泣き声の検知や、泣きやませようとする音楽などがある。泣き声を検知すると自動的に泣き止ませるための音楽が再生されるという仕組みもある。この“泣きやみ音楽”、これまでのところ、筆者宅ではそれなりに効果があり役立っている。赤ちゃんは“キュッポン!”とした音に興味をひかれるよう。

言葉がまだわからないあかちゃん向けの機能も

 筆者の子はまだまだ小さくて言葉を理解できないので、「Pechat」には、家族へ言いづらいことを伝えてもらうツールとして期待していた。たとえば「ちょっと今月は飲み会が多いですね?」という微妙にトゲのある言葉も、「Pechat」を付けた柔らかいぬいぐるみを通してマイルドに伝わるのではという目論見だ。ところが実際に使い始めてみると、思いのほか機能が幅広く、低月齢の乳児からでも役立つ場面があったのだった。

 また製品の機能も成長していくのがPechatのいいところ。「ストア」メニューから「うた」「おはなし」のコンテンツを追加し、増やせる。「設定」ではリクエストを送ることもできるので、もしかしたら、今後メニューやコンテンツが増えるかも?

 見つけた当初は「ぬいぐるみを喋らせるだけでしょ?」と思っていたが、家族ぐるみで長く楽しめそうな予感。お気に入りのぬいぐるみにこの黄色いボタンをつけて家族や身近な人とのコミュニケーションに役立ちそうだ。

製品名提供元価格
Pechat博報堂アイ・スタジオ4988円