スタパ齋藤のApple野郎

恐怖の留守番電話、これって闇金の「押し貸し」?

IIJmioの留守番電話を月額330円で使い始めたョ!!!

 2022年7月末から、IIJmioの有料音声オプション「留守番電話」を使い始めた。月額330円。やや裏技的に無料で留守番電話相当の機能を使う方法もあるようだが、まあメンドくさいしIIJmioの正式な留守番電話サービスでいいかな、と。

iPhoneでIIJmioの留守番電話サービスを使っている様子。新着メッセージが録音されると通知される(左上)。電話アプリ上にも留守番電話メッセージがあることが表示される(右上)。電話アプリの「留守番電話」から「留守番電話に接続」をタップすれば自動的に発信し、メッセージを聞くなど留守番電話機能を操作できる(左下)。その後は音声メッセージに従ってキーパッドから数を入力する。IIJmioの留守番電話サービスは(も)、昔ながらの“ケータイの留守電”って感じ。テンキー操作で使う留守番電話機能だ。

 俺の場合、音声通話っつーモンが好きではない。いや通話自体はべつに好きでも嫌いでもないが、音声通話の“着信”がキライなのだ。アレはもはやちょっとした暴力である。

 だって突然かかってくるんスよ電話が。容赦なしに、室内にある、俺の所有物であるスマートフォンに、いきなり着信音を鳴らしたり振動させたりするって! これは突然自宅ドアをこじ開けられて「おーい!!! いる〜? ちょっとォ〜!!!」とか大声で呼びかけられているに等しい。

 昭和かっ! こんなコト2022年のいまにやったら炎上モンだし!

iPhoneにはいろいろな“着信を拒否する機能”があるものの、着信拒否だと「必要な連絡を受けずじまい」になってしまうことがある。ので、俺の場合はほどんどの番号からの着信を一応受ける設定で。

 まあ結局は電話ってかかってくるんスよね〜。「電話かけりゃ手っ取り早い」と思って電話かけてくる人がけっこういるわけですよね〜。

 でも突然プライバシーに割り込んでくる着信がイヤなので、俺は基本的には電話に出ないのであった。着信時にスマートフォンの画面表示を見て「あっこの人か、なにかな?」と“信頼できる人からの着信”なら電話に出るが、それ以外はスルー力(りょく)を発揮。信頼できる関係者には電話以外の連絡方法もお伝えしてあるので、電話に出なくても大丈夫だったりもする。

 ただ、その後に着信履歴を見ると、気になる。知っている人なら「あの件かな」と想像できるが、まったく知らない電話番号からの着信だと、気持ち悪いを通り越して不気味な感じがする。

 なので、以前から「Whoscall」アプリを利用している。Whoscallは知らない番号やSMSの発信者をすぐに識別してくれたり、迷惑電話をブロックしてくれたりするアプリ。

迷惑電話に対処できるアプリ「Whoscall」。着信中に発信者の情報が表示される(相手の情報が判明した場合)。着信履歴にも「どこからの着信か」が表示される(番号の下に“Whoscall:”とともに発信者情報が表示される)。ただしすべてではなく、発信者が誰か不明なことも少なくない。

 Whoscallを使えば、わりと多くの「知らない電話番号」の発信元企業などがわかる。ので「銀行から電話らしい」「宅配便かな」「So-netの勧誘か」とか。ただし、個人所有の携帯電話番号だと判明しないようだ。

 しかしそういう個人所有と思われる携帯電話番号からの着信は、ヒジョーに気になるところ。だれ誰ダレ? なんの用事? 急ぎの用とか? 悪人だったりして? みたいな。

 そこで留守番電話サービスを使い始めた。重要な要件とか急ぎの話だったりすれば、たぶんメッセージを留守番電話として残すだろう、と。また、留守番電話にメッセージが残っていれば「あっ、そうなのか」とコチラが納得できる可能性も高く不安感も減ると思った。

 えっこれまで留守番電話使ってなかったの? と思われるかもしれないが、いや使ったりヤメたりしてたんスよね。でも近年の俺は「もう電話番号による音声通話とは完全に縁を切っていきたいなあ」という方向にシフトしていたので、ここ何年も留守番電話を使っていなかったのだ。しかし一向に電話番号による音声通話と縁が切れない雰囲気なので、着信などによる不快を最小限に抑えるべく、留守番電話をあらためて使い始めた感じ。

使い始めたタイミングで、謎の企業から身に覚えのない入金がッ!!!

 IIJmioの留守番電話サービスを使い始めたのとほぼ同じタイミングで、俺の銀行口座に謎の入金があった。3300円。振込元は「ノート(カ」とあった。

 あっそういえば「note」にアカウント作った……けど、えっ? コンテンツいっこも作ってないから入金とかあるはずないし。てかnoteアカウントに銀行口座登録とかもしてないし。

心当たりも身に覚えもぜんぜんない振込みが……3300円。ほかの企業からの振り込みなどと同じく月末に振り込まれている。なんかの原稿料とかだろうか?

 てゅーか、なんなの3300円って? 原稿料っぽい……けど、えーと、んん〜、ぬぬぬ? 記憶を探り、3300円をキーワードにパソコンからメールから徹底的に検索したが、完璧に身に覚えのない入金なのであった。気持ち悪っ!!!

 このような場合はその銀行に“振込元の金融機関名などの情報を開示”してもらうことができる。銀行に連絡して「身に覚えのない振込みがあったので、振込人の情報を教えてください」的にリクエストすれば、数日程度で情報を開示してもらえたりする。だが振込元銀行などがそれを拒否することもあり、そうなると振込元情報は得られない。

 で、銀行にその3300円の件を連絡。情報開示をリクエストした。その場ですぐ、というわけにはいかず、銀行側で調査・関係者に連絡を取るなどした結果を、後日こちらの携帯電話へと知らせてくるという。電話待ちですな。

 すると1週間後に銀行から電話連絡があった。電話嫌いな俺は銀行からの連絡を留守番電話により知ったのであり、おっイキナリ留守番電話機能が役立ってる〜と思いつつ、銀行へと折り返し電話をかけた。

 結果、振り込み元銀行から情報開示を拒否されたという。誰が3300円を振り込んできたかの手がかりは得られず。いや〜ん、ナニこれ?

 同じタイミングで、じつはぜんぜん知らない携帯電話番号からの着信があった。2つの携帯電話番号からの着信だ。留守番電話にはそれら携帯電話番号からのメッセージは残されていなかった。

 なんかこう、事件性のよーなモノを感じざるを得ない!!! 気持ち悪いとかを通り越して、これは恐怖に近い不安感がある!!!

 このような恐怖感を感じた場合の俺は比較的に前のめり。敢えてこの謎の電話番号に電話して、この謎の着信に事件性があるのかないのか確かめてゆくッ!!! あ〜もちろんこちらの番号は非通知で。

こちらの電話番号を非通知として発信する方法として、まずはよく知られる「かける電話番号の前に“184”を追加する」という方法がある。iPhoneの場合、設定アプリで「電話」>「発信者番号通知」>「発信者番号通知」をオフにするという方法もある(スクリーンショットはオンの状態)。

 そうして電話をかけてみた結果、ひとつの携帯電話番号は「現在利用できません」のメッセージが、もうひとつは「現在電話に出ることができません」のメッセージが。昼間なのに! 2つの電話番号とも!

 つーか電話出ないってアリエナクな〜い? なにこれマジ考えられないんですけど〜ウケる〜!!! と、すべてが明るくポジティブになるというギャル思考法を試したが、その恐怖感をスルーすることはできなかった。怖っ!

 ……電話したら「あっすみません、間違って振り込んじゃって」的な話になったりすると安心だニャ〜とか期待したのだが、その期待の入り口にすら辿り着けず。また、間違い振り込みだったら先方から“組み戻し”(振り込みの取り消し手続き)の要求があることが多いと思うが、それも一向になし。

 なんだろう、この3300円の振り込み。その謎は、少しずつ増幅する恐怖を伴い、手がかりなしで残り続けるのであった。

これって闇金の“押し貸し”?

 なんだろう? どういうことだろう? と思い起こしたり考えたり妄想したりしているうちに、ある可能性が見えた。もしかしたら、これ、闇金の詐欺行為のひとつである“押し貸し”なのでは? と。

 押し貸しとは、違法金融業者が一方的に金を貸し付けてくるというもの。こちらの銀行口座へと一方的に入金してきて、後日に法外な金利を含んだ金銭の返済を求めてくるという詐欺だ。

 しかし押し貸しを受ける心当たりもない。押し貸しは、過去に闇金を使ったことがある人(闇金側が銀行口座や連絡先を知っている人)に行われることが多く、闇金を使ったことがない人がこの詐欺にかかることはあまりないようだ。

 ちなみに、この3300円が押し貸しだとしたら……何日経つといくらに膨れ上がるのかニャ? 「お金の計算ツール」サイト「闇金金利シミュレーション」があったので、計算してみた。

「お金の計算ツール」サイト「闇金金利シミュレーション」で計算すると、3300円を“トゴ”(10日間で50%の金利)で借りると1カ月後には1万1138円、2カ月後には3万7589円になる。

 3300円を“トゴ”(10日間で50%の金利)で借りると1カ月後には1万1138円、2カ月後には3万7589円になって、なんかウシジマくんの世界だなぁ、と。勝手に3300円振り込んで2カ月後に「ゴルァ!!! てめぇサイトー!!! 借りた金は返せやア!!! 合計3万7589円じゃ!!!」とか音声恫喝すると元手が10倍とかになる可能性があるんだから、これはこれで凄まじい商売っていうか悪辣な犯罪である。

 そして360日後に音声恫喝すると、「7,207,742,550円=72億774万2550円」となる。これなら逆に恫喝されようがなにをされようが支払えないので安心感がある。だが180日後の恫喝だと487万7043円となって、なんかこれは闇金的にとても嬉しい額なのでは?

「お金の計算ツール」サイト「闇金金利シミュレーション」で計算すると、3300円を“トゴ”(10日間で50%の金利)で借りると、360日後には72億774万2550円となった。トゴってすごいネ!

 いやトゴじゃなくてトイチだと、などと3300円の借金はどう膨らんでいくかをおもしろがっていた。しかし、その現実逃避は数分で終了。

 続いて、そもそも押し貸しって実際に被害に遭うとどうなるの? とか調べ始めた。

 いろいろなケースがあるようだが、数千円から数万円の額を一方的に振り込まれて、すぐに電話連絡が自宅や家族や会社にバンバンかかってきて、どうにかそれをやめさせようと不法な利子とともに支払っちゃうパターンらしい。だが再度押し貸しされて……という無限連鎖パターンもあるらしい。

 こっわ! 押し貸しだったらマジでヤだな〜。

いやいや、どう考えてもヘンだろこれ、そして結果は……

 押し貸しだったらマジこぇぇ〜とかビビって恐怖してガクブルした俺であった。だが、落ち着いて冷静に考えたら「これやっぱ押し貸しとしてはおかしいな」と考えるに至った。

 というのは、謎の振り込み後に2つの異なる携帯電話番号から着信があっただけで、その後は着信がないから。3300円をトゴで180日後音声恫喝で487万7043円取り立て作戦なら、振り込み後間もなくの電話連絡はしないだろうし、すぐ電話したら詐欺の儲けとしては大したことない金額しか請求できない。

 押し貸しは5000円くらいから数万円くらいまでの額で振り込まれることが多いそう。また、多くのケースで細かな端数がある、たとえば1万1237円のような額らしい。こういう入金だと「あれ? これなんか税金とかの返金?」とスルーして忘れ去られやすいのかもしれない。

 俺の場合は3300円。いかにも3000円に消費税を加えた額というのも怪しい気がするが、しかし、俺に消費税を支払うというのも押し貸しとしては奇妙な金額設定という気もする。

 でもまあ、電話での支払い催促とかぜんぜんナイし、その後もなんにもナイし。ネットでは押し貸しお悩み相談に対する弁護士のコメントが多々見つかるが、こういう場合は「とりあえずスルーして、なにか不利益が起きそうなら弁護士に相談」ということなので、しばらく放置しておくことにした。

 するとスマートフォンに着信の痕跡が。留守番電話にメッセージが入っている。押し貸しかもしれない3300円の入金後、約10日後だ。

 10日だと、トゴなら利子込み金額4950円だぞ、音声恫喝が早すぎないか、あっコレって「ゴルァ金返せやすぐ返せやァ!!! ガチャ」で返済振込先を教えないで相手の存在だけ確かめるパターン!!! 直後に同じ口座へと一気に数十万円振り込んだりしてバッキバキに返済額を膨らませてから音声恫喝を行うという、闇金的にすニャらしい勝利パターンなのかーっ!!!

 とか妄想を膨らませて手に汗したが、とりあえずメッセージを聞いてみることに。すると、振込元情報開示を依頼した銀行からであった。なので、折り返し銀行に電話を。「お電話ありがとうございますぅ〜先日の情報開示ですけれどぉ〜確認が取れましてぇ〜振込元の電話番号をお伝えできることにぃ〜(以下略)」ということになった。

 そして3300円を振り込んできたヒトの携帯電話番号が手に入った。ぐぬぬ。これは。電話すると「そうじゃワシが振り込んだんじゃ〜貸した金返(以下同文)」で、一方的にガチャっと切られて、数十万単位で振り込んできての闇金すニャらしい勝利パターン(以下略)と改めて妄想したが、とりあえず発信者番号非通知で電話してみた。

 結果、3300円の振り込みは、まさにあの「note」からのものであった。内容は印税で、昔の仕事の印税が一定額たまったので、振り込んだという。noteで仕事していない俺だが、その印税の支払い元が諸事情でnoteになったそうだ。なーるほど。そうスか。ホッ。

 不気味で超怖いと思えた3300円の振り込み事案は、あっけない形で疑問解消したのであった。そしてモヤッとまとわりついていた恐怖も消えた。あーよかった。

 にしても、電話を受ける必要がありつつ、電話に出たくない気持ちが非常に大きいシチュエーションにおいて、留守番電話サービスってホント便利だなぁと思った。好きかも〜留守番電話。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。