スタパ齋藤のApple野郎

モバイルルーターもpovo2.0とIIJmioでデュアルSIM運用……できるのか?

ときどき痛感するモバイルルーターの利便

 通信障害とかを考えると、ネットにつながらなかったときの不便をいろいろ思い出す。俺の場合、自宅の光回線が通信不能に陥って、「あーネットにつながらないのって想像を遥かに超えて大変〜」的な思いをした。

 それから、3.11。2011年3月11日14時46分起きた東日本大震災……の影響で起きた福島第一原子力発電所事故……の影響で始まった輪番停電。決められた時間になると停電し、家庭内LANも落ちるので、これまたネットにつながらなくなった。またその間はコンセントから電源を取る電気製品は一切使えないので、「ぐぬぬ、充電し忘れた」みたいなことも。

拙宅にて輪番停電の図。2011年3月で、停電の時間帯になると電気製品は一切使えなくなる。ガスランタンで対応して。することもできることも超少な〜い! みたいな状況であった。まあ静かでイイっちゃぁイイんですけどね

 輪番停電のときも光回線遮断のときも、モバイルルーターに大いに助けられた。モバイルルーターとノートパソコンやタブレットなどのモバイル端末を組み合わせれば、ひとまずネットにつながって、できることが増える。「持っててよかったぁ〜♪」と、ホントにモバイルルーターに感謝した。

現在使っているモバイルルーターはNECプラットフォームズの「Aterm MR05LN」。これにSIMを入れると“持ち歩けるWi-Fiアクセスポイント”として使えて、ネット接続が必要な各種機器をモバイルで使えるようになる

 モバイルルーターとは、SIMを入れて使うネット接続機器で、パソコンなど端末とUSB接続したりWi-Fi接続したりできる。モバイルルーターがあれば、そのままではネット接続できないパソコンやタブレットやポータブルゲーム機を、外出先でもインターネットにつなぐことができる。コロナ禍で在宅ワークが広がり、自宅でも出先でも使える汎用ルーターとして見直されているっぽい。

 ときどき、「もうモバイルルーターって時代でもないかな」と思う。SIMが格安で入手できようになりつつ、携帯するスマートデバイスもSIMが入るものが増え、スマートデバイス単体でネットにつながることが増えた。

 また、そういうスマートデバイスでテザリングを行えば、ほかのデバイスもネットにつなげられる。たとえばiPhoneでテザリングを行えば、Wi-Fiのみ対応のタブレットをiPhone経由でネット接続できる。ちなみにiPhoneの場合、ほかのデバイスからWi-Fi接続 / USB(Lightning)接続 / Bluetooth接続してのテザリングに対応している。

iPhoneでのテザリングは簡単。設定>インターネット共有から「ほかの人の接続を許可」をオンにすれば、iPhone経由でほかの端末をインターネット接続できる。スクリーンショットは、左3枚がiPhone 13 miniのもの。iPhone 13 miniでテザリングを行なっている。右はiPhone 13 Pro Maxのスクリーンショットで、Wi-Fi接続先としてiPhone 13 miniが現れている(iPhone 13 miniのテザリングによりネット接続できる)ことがわかる。同じアカウントでiCloudにサインインしている端末間でのテザリングはさらに簡単だ

 なので、大雑把に「iPhoneはモバイルルーターと同様に使えるんだから、単体でモバイルルーターを持っていなくてもいいかな」とか思うのだ。しかし、そこから少し具体的に考えると「やっぱりモバイルルーターは手放せない」と思うに至る。

 ナゼかと言うと、iPhoneでのテザリングは「一時的な利用」を想定した仕様っぽいからだ。iPhoneにつないだ端末を子機とすると、子機が一定時間ネットにアクセスしないと、iPhoneはテザリングを終了してしまうのであった。終了させない方法もあるが、それだとiPhoneのバッテリーの保ちが心配になる。確かBluetooth接続だとネット接続が維持されたと思うが、Bluetooth接続だと通信速度的に支障が出るケースが少なくない。

 実際にiPhoneでテザリングを行うと、「あっまた切断された」「iPhoneの電池の減りが速い〜」「いちいちテザリングをオンにするのが面倒」などなど、いろいろな鬱憤がある。Apple製品以外でもiPhoneのテザリングを使い、iPhoneを汎用モバイルルーターとして利用しようとすると手間が多くなる感じなんですな。

 というわけで、フツーにWi-Fiルーター然として使えるモバイルルーターは、緊急時のためにやはり持っていたいよなぁ、と。たま〜にしか使わないモバイルルーターだが、いつでも使える状態で保管している俺なのであった。

povo2.0のSIMはAterm MR05LNで使えるかニャ?

 モバイルルーターの件を思い出すと同時に「あったまにはモバイルルーターのバッテリー充電しないと」とか思い出しつつ「そういえばこのモバイルルーターってデュアルSIM対応だった」と思い出した。先日はメイン端末のiPhone 13 miniをデュアルSIM化したし、そうだこのモバイルルーターもデュアルSIMにして使えるように準備しよう! と考えた。

 現在、Aterm MR05LNにはIIJmioのSIM(ドコモ網)を入れて(たま〜に)使っている。デュアルSIM化するにあたり、じゃあpovo2.0(auのオンライン専用料金ブランド=au網)のSIMを入れましょう〜、と思った。

NECプラットフォームズ「Aterm MR05LN」はデュアルSIM対応のモバイルルーター。背面のフタを開いてSIMを入れるが、nanoSIMが2枚入る

 Aterm MR05LNはSIMロックフリーのモバイルルーターで、さまざまなキャリア・MVNOのSIMに対応している。またAPN設定もあらかじめ用意されており、SIMをセットしてSIM供給元に合うAPN設定を選ぶ程度で通信できるようになる。

Aterm MR05LNのAPNリスト。入れたSIMの供給元に合わせてリストからAPNを選べば通信できるようになる

 だがしかし、Aterm MR05LNのAPNリストには、povo2.0が含まれていない。Aterm MR05LNの「接続確認済LTE/3Gサービス事業者リスト」にはpovo2.0が含まれているので、手動でAPN設定を行う必要がある。

 また、povo2.0の対応端末(動作確認端末)には、Aterm MR05LNは含まれていない。NECプラットフォームズ側ではpovo2.0のSIMを入れて動作確認が取れているわけだが、KDDI側は「Aterm MR05LNにpovo2.0のSIM入れてもサポート外」ということだと思うので、自己責任で試してゆきたい!!!

 なお、povo2.0のAPN設定についてはpovoサポートページで説明されている。手動でAPN設定をするには以下の内容を入力すればいいようだ。

  • 名前:povo2.0
  • APN:povo.jp
  • APNプロトコル:IPv4 / IPv6
  • その他の項目は入力不要

 で、そのとおりに入力した結果、あっさりと通信可能状態に。Aterm MR05LNの場合は「サービス名」を「povo2.0」に、「APN」を「povo.jp」にしただけでOKであった。たぶんサービス名はテキトーでも、APNが「povo.jp」だったら大丈夫なような気が……。

Aterm MR05LNでこのように設定したら、povo2.0のSIMでもデータ通信できるようになった
Aterm MR05LNでどちらのSIMを使うかは、ショートカット画面の「SIM切替」からクイックに行える

 あらイイかも〜、俺のAterm MR05LNがデュアルSIMで使えるようになった。たま〜にしか使わないが緊急時には超役立つモバイルルーターが、IIJmio(ドコモ網)とpovo2.0(au網)となり通信回線として冗長化され、安心感もグッと高まった♪

 あとこのAterm MR05LN、SIMの切り替えが速い。10秒ほどで完全に接続先が切り替わる。これはフラストレーションフリーで快適〜♪

 またAterm MR05LNの場合、設定すれば2枚のSIMのどちらを使うか自動的に切り替えられる。通信量 / 時間 / クレードル装着の有無に応じ、どちらのSIMで通信するか自動切り替えが可能だ。

 余談だが、じつはAterm MR05LNの前の機種であるAterm MR04LNも持っているのであった。これもデュアルSIM対応。両機は細々した点が違うが、大きな違いとしては入るSIMがmicroSIMかnanoSIMかという点。もしものときにAterm MR05LNが故障したら、そのバックアップとしてAterm MR04LNを使うゼ(SIMサイズアダプターを使って)という感じ。

 そしてさらに余談だが、Aterm MR04LNもAterm MR05LNもそれぞれ、予備バッテリーを1個ずつ用意している。どちらのモバイルルーターも電池の保ちはよく、1日たっぷり使えるが、でも万が一の状態が数日続いたら心もとないので、予備バッテリー。同様のモバイルバッテリーが2台で、2台とも2個のバッテリーが使えるので、いろいろ安心感が高いのだ。

Aterm MR05LNの細かな設定はパソコンやスマートデバイスから

 Aterm MR05LNの使用感だが、俺の場合はNECプラットフォームズのWi-Fiルーターやモバイルルーターばかり使っているので、とても使いやすく感じられる。Atermシリーズは簡単に設定してすぐ使い始められるが、もちろん細かくカスタマイズもできる。

 細かなカスタマイズはパソコンやスマートデバイスからAterm内のWebサーバー(Webページ)の「クイック設定Web」で行う。俺の場合はこのクイック設定Webを使い慣れているので「Atermシリーズはどれも使いやすい」と感じられるのだと思う。

Aterm MR05LN内の設定ページ「クイック設定Web」にスマートフォンでアクセスした様子。非常に細かくカスタマイズできるが、スマートデバイスから設定できない項目もあるので、パソコンから設定したほうが無難かも
パソコンのWebブラウザーからクイック設定Webにアクセスした様子
たとえばAterm MR05LNのWi-Fi設定などを細かく行える。SIM関連の項目がある以外は、だいたいほかのAtermシリーズルーターと同じような設定項目になっている。Aterm慣れした人にとっては非常に扱いやすい
デュアルSIMの自動切り替えの条件などもクイック設定Webから設定する

 てな感じで、Aterm MR05LNはNECプラットフォームズの据え置きWi-Fiルーターのような感覚で扱える。細かく設定しようとするとAterm MR05LNに接続したパソコンかスマートデバイスが必要になるものの、好みに応じて自在に設定を詰めていけて気持ちがいい。

 しかしまあAterm MR05LN、息の長い製品ですな。発売日は2016年9月1日のようだ。Wi-Fi界隈もけっこう変化があったので、そろそろ新型が出るのかな?

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。