スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

「モバイルBOY2」はネタ枠じゃない! 300本ゲーム内蔵バッテリーの意外な実用性

 クラウドファンディングで「モバイルBOY(モバイルボーイ)2」というモノを買った。これは「容量5000mAhのMagSafe対応モバイルバッテリーで300本のレトロゲームを搭載しApple Watchにも充電でき半固体電池を採用していて画面サイズは約2.8インチでQi充電も可能でストラップはUSB-Cケーブルになっている」というスグレモノであるが、これを読んだアナタは「おまえは何を言っているんだ?」って感じのミルコ・クロコップ気分? ともかく、コレを8400円で手に入れた。

モバイルBOY2はポータブルサイズのネット非依存ゲーム機として使える。内蔵するゲームは300本。
MagSafe対応モバイルバッテリーとしても使える。容量は5000mAh。
MagSafe対応スマートフォンをワイヤレス充電できる。USB-Cポート出力もあるので有線充電も可能。スマートフォンなどを充電中にゲームで遊ぶこともできる。

 上の写真を見ても「え? 何が起きているの?」って気分の人もいるかもしれないが、つまりはポータブルゲーム機としても使えるモバイルバッテリーである。クラウドファンディングサービスのGREEN FUNDINGでコレを見つけて「あらオモシロそ~」と思いつつ、仕様をよく見たら「なんか実用性も高そう~」と後押しされてプロジェクトに参加。

 そして最近リターンであるモバイルBOY2が届いたのでイジってみてビックリ。モバイルバッテリーとしてしっかり使えつつ、レトロゲームを楽しめるポータブルゲーム機としても意外なほどイイ感じ♪ なので今回はこのモバイルBOY2をレビューしてゆきたいッ!!!
 なお、モバイルBOY2のほかにモバイルBOY1も存在する。モバイルBOY1は旧機種ということではなく(旧機種はモバイルBOYで数字なし)、モバイルBOY1が縦型でモバイルBOY2が横型だそうだ。モバイルBOY1とモバイルBOY2の基本スペックは同じ。

モバイルボーイ2、ゲーム機としてどうなのか?

 モバイルボーイ2のモバイルバッテリーとしての性能や機能性については後回しにして、まずはゲーム機としてどうなのか? を、ザックリと。

 モバイルボーイ2には300のレトロゲームが内蔵されており、単独でプレイ可能。インターネット接続環境は不要で、またモバイルボーイ2自体がモバイルバッテリーなので別途電源も必要ない。約2.8インチのカラーディスプレイとスピーカーも搭載しているので、本体横にあるスライドスイッチで電源を入れればすぐにゲームを遊ぶことができる。

 なお、ゲーム連続プレイ時間は満充電から最大約30時間(画面明るさやスピーカー音量による)。スマートフォンを充電しながらゲームをプレイすることもできる。「遊べる時間」や「遊べるタイミング」においてもけっこーちゃんとしているのであった。

モバイルボーイ2のサイズは約15×7.3×2(最厚部)cmで重さは187g(ともに実測値)。約2.8インチのカラーディスプレイとスピーカーを搭載する。ハンディサイズで軽いポータブルゲーム機だ。
本体左端のスライドスイッチでゲーム機の電源をオンオフする。
十字キーと4つのボタンでゲームを操作し、4つの機能キーで各種機能にアクセスする。画面は小さめであるものの、表示はクリアで十分明るい(明るさ調節対応)。
ゲームは300種類を内蔵。今どき的なゲームはほぼなく、ほとんどが「レトロゲーム」と言える「ドット絵」「単純なルール」「目的はハイスコア」といったタイプのゲームだ。※画像はプロジェクト公式サイトより。

 300種類ものゲームがあり、ゲームは4つのカテゴリーに分類・収録されている。それぞれ「カジュアルゲーム(87本)」「パズルゲーム(39本)」「シューティングゲーム(11本)」「クラシックゲーム(163本)」となっている。

ゲーム機を起動するとこの画面になる。カジュアルゲームやシューティングゲームというカテゴリーが見える。コレクションゲームはユーザーがお気に入りとしたゲームをブックマーク的に保存したカテゴリーだ。
パズルゲームやクラシックゲームといったカテゴリーもある。

 ゲームを全部プレイしてはいないが、ザックリとした俺的印象を述べると……「クソゲー」とソコソコ遊べるレトロゲームが混在してた~くさん詰まっている、というイメージ。一部、言葉は悪いが、まあそういう感じ。

下から上に昇ってくる風船を打つシューティングゲーム。ゲーム性がほとんどなく、途中で終われず、たまにバグってリセットされたりして、「開発中のゲーム?」みたいな1本。クソゲーとしてのレベルが非常に高い。300本中にこういうのがけっこう含まれている。

 ただし「クソゲー」と言ってもファミコン時代(ファミコン発売年は1983年)の「驚くほどどうにもならないゲーム性しかなく腹立たしささえ起きないレベル」ではない。ATARI LYNX時代(LYNX発売年は1989年)のミニゲームくらいの「クソゲー」で「これで発売しちゃうんだ~」という印象の「ゲーム性に乏しいので2度目のプレイはない」みたいなレベル。

プレイヤーは犬となり、襲いかかる3匹の猫と戦うんだ! 猫をどついて倒し、アイテムを手に入れてラウンドクリアーとハイスコアを目指せ! みたいなアクションゲーム。つまらなくはないが「んんん~もう一工夫しません?」的な残念さが残る1本。

 そんなクソゲーがそこそこ入っていて、また、カブって(つまり同じゲームが別名とかで入って)いたりもする。さらにそういうゲームの場合はゲームオーバーになるまで終われなかったりしがちでリセットボタンで本体を再起動するしかない、みたいな。なお、本体を再起動しても大きな問題はないが、ボリュームが最大に戻ってしまうのが微妙にツラい。

 一方、遊べるゲームもけっこうたくさん入っている。タイミング勝負のアクション性のあるゲーム、パズルゲーム、シューティングゲームなど、1~2度プレイすればすぐルールを把握できる単純明快なゲーム性がある。また、そこそこゲームバランスが整っており、グラフィックやサウンドも飽きにくいものが多いので、案外ハマれる。

アーチェリーで左右に動く的を狙うゲーム。立ち位置、的の動き、風向き、矢を放つ強さのバランスがそこそこイイ感じのゲーム性となっているレトロゲームだ。「その荒野はドコか?」「帽子の人は誰か?」といった世界観などの説明がまったくないのもレトロゲームらしさ……かもしれない。

 そういった「わりと遊べるレトロゲーム」をプレイしていると、ポータブルゲーム機のATARI LYNXで遊んでいる感触を思い出す。ATARI LYNXはアメリカのゲーム機で、ゲームも全体的に「大味で単純」なものが多かったが、それでも時間やスコアに立ち向かわせるようなミョーにハマれるゲーム性があった。「プレイするとスピードやタイミングを求めて没入できるが、ゲーム性を客観視すると行き着く先が見える」みたいな。「瞬間的にハマれるが、ずーっと味わい続けるようなゲームでもない」的な。

 レトロゲームの単純明快さをたっぷり味わえる、けっこうイイ感じのゲームがたくさん入っているわけだが、でもそういうゲームは何時間もプレイし続けられるわけではなく、飽きも早い。のだが、しばらくすると「あのゲームまたやってみよ♪」って気になる。ユーザーを束縛せず「来るものは拒まず」「世界観も物語も語らない(ていうか最初からナイ)」的にプレイ感も上達した先の世界もずーっと単純明快であり続けるゲームたちであり、「これぞレトロゲーム」というテイストだ。

ビリヤードゲームのような感じで、自分のボールを相手のボールに当てて場外に出す。失敗したときの「くっそぉ~」という感触がリプレイにつながったりする。成功が続くと楽しくなったり痛快になったりする。しかし単純な内容なので数ゲームをプレイすると飽きたりする。

 まあでも、パズルゲームのカテゴリーは、上記のような典型的なレトロ感ではなく、いまでもシッカリ通用するゲームが数多く含まれている。「昔ながらのパズル」って感じで「数独」なんかも含まれているが、心穏やかにヒマを潰せるゲームがたくさん入っている。

駐車場から赤いクルマを外に出すゲーム。駐車されたほかのクルマをうまく動かし、赤いクルマが外へ出られるルートをつくる。「箱入り娘パズル」とか「15パズル」など、特定のコマを目的の地点に動かすパターンのパズルゲーム(スライディングブロックパズル)のひとつだ。

 なお、ちょっと気になったのが、モロに亜流のゲームも入っていること。公式には「本製品に収録されているゲームは、すべて正規ライセンス取得済のオリジナル作品で、第三者の著作権を有するゲームは収録しておりません」としていて著作権的には問題ないようだ。しかし「えぇぇぇ~っ、コレってボンバーマンの劣化コピーじゃないの?」みたいなゲームが散見される。まあでも「なるほど爆弾すり抜けられるのも面白いし爆弾置くのがお姫さまなのもシュールで楽しい」みたいに遊んじゃうが。

障害物がある碁盤状のステージに漂うモンスターを爆弾でやっつけるわよ! 爆弾を置くのはわたし、プリンセスなんだからっ! プリンセスだから爆弾の上を歩けるんだし! ロボット爆弾置きとは華麗さが違うんだしっ! 的なゲームだが、妙におもしろかったりする。

 といった感じで、クソゲーも少々目立つわけだが、しっかり遊べるゲームもたくさん収録されている。後述のモバイルバッテリーとしての機能性に加えて上記のようなゲーム機にもなるという観点で言えば、「どうせならモバイルBOY2のようにゲーム機にになったほうがいい!」と思う。こういうようなゲームならスマートフォンアプリにもある、とも言えるが、しかし、モバイルボーイ2のゲームは「プレイしていても広告などは一切出ない」「課金への誘いもまるでナイ」というのが意外なほどの良さだと感じたりもした。

 余談だが、現在のデジタルな娯楽は、ユーザーをいかに長時間捕らえ続けるかがキモだと思う。ゲームもSNSも全部、ユーザーの時間をマネタイズしているようなものであり、ユーザーはある種「サービス提供者の養分」扱いだと思うが、モバイルボーイ2のゲームには当然だがそういう方向性がない。「昔のエンターテインメントってこうだったんだねー」みたいな。そういう側面についても「モバイルボーイ2のゲームってホントにレトロだなあ」と思わされる。

モバイルボーイ2、モバイルバッテリーとしてどうなのか?

 モバイルボーイ2は、モバイルバッテリーとしてMagSafe対応で容量5000mAh(19.35Wh)。出力は2ポートで、USB-C(最大20W)と複合的なワイヤレス出力(最大15W)。バッテリー残量は4段階のLEDランプによる表示となっている。まあ、なんか、MagSafe対応モバイルバッテリーとしては平凡な仕様に見える。

モバイルボーイ2は容量5000mAhのMagSafe対応モバイルバッテリーだ。USB-C出力も1ポート備えている。

 だが俺観点では、モバイルボーイ2はモバイルバッテリーとしてけっこう好感触である。率直なところ、今どきのモバイルバッテリーとしては高級感や手触りがいまひとつな感じであり、バッテリー容量なども魅力的ってほどではない気がする。だが、細々した点で「この仕様はイイよねえ」と思う。

 たとえばワイヤレス給電部。MagSafe対応iPhoneなどを充電でき、最大15WのQi給電が可能なので、スマートフォン以外にもAirPodsなどのイヤホンケースを充電することができる。それに加え、この部分にはApple Watch充電器も組み込まれており、マグネット吸着してのApple Watch充電にも対応している。

ワイヤレス給電部にはiPhone、Apple Watch、AirPodsケースのアイコンが描かれている。
Apple Watchの充電には専用の充電器が必要だが、モバイルボーイ2にセットしても充電できる(しかも充電時はApple Watchをマグネット吸着する)。つまりモバイルボーイ2はApple Watch専用充電器と同様にも機能するというわけだ。

 単純に「Apple Watchの充電にも対応」という点がスゲく便利。ゲーム機にもApple Watch充電器にもなるとは、ほかのモバイルバッテリーの隙間を埋めまくっての「のし上がり」って感じである。

 それから半固体電池を採用している点。従来のリチウムイオン電池と比べると安全性が高く発火リスクなどが低い「より安全なリチウムイオン電池」を使っている。この点もなかなか嬉しい仕様だ。

 それから細かい部分だが、ストラップホールがある点。まあポータブルゲーム機なので必須の要素かもしれないが、モバイルバッテリーにも「吊るせたり落下防止したりする取っ掛かりが必要」と思うので、この点もありがたい。

 またモバイルボーイ2にはストラップが付属するが、このストラップがUSB-Cケーブルになっているのがナイス。とっさの「ケーブル充電したい!」要求にも最初から応えてくれている感じ。

モバイルボーイ2にはストラップホールがある。またUSB-Cケーブルとして使えるストラップが付属する。
とっさのケーブル充電にも対応。もちろんこのケーブルを使ってモバイルボーイ2本体を充電することもできる。

 という感じで、モバイルボーイ2はモバイルバッテリーとしてもなかなかシッカリ企画されたプロダクトだと思う。まあ見た瞬間「ゲーム機だっ!」という目立ち方をするので「ネタのガジェットなんでしょ?」と思われがち。プロジェクト公式ページに「ネタに終わらない便利さ」として紹介されているが、確かにモバイルバッテリーとして実用性が高いと感じられる。あと好き好きではあるが、ポータブルレトロゲーム機としても十分な実用性があると思う。

 モバイルボーイ2について残念な点を述べるとすれば、ひとつはゲーム機として起動したときに「最大音量」となること。移動中の電車やバスのなかとか待合室などでは、起動や再起動の直後にVOLボタンを押して音量を下げないと……みたいなところが残念。

 もうひとつは本体の質感。プラスチック感丸出しな感じで、なーんか安っぽい。落としたら割れそうな感触も……。多用できるガジェットだけにこのチープ感が惜しいところ。

 それからバッテリー容量が5000mAhは微妙に物足りない。ゲーム機としてもバッテリーを消費するので、10000mAhかそれ以上あってもよかったような気がするが、まあでも重くなっちゃうとよろしくないかもしれない。

 てな感じのモバイルボーイ2。けっこう遊べるポータブルレトロゲーム機としてなかなか満足度が高く、モバイルバッテリーとしても好印象。8400円で買ったのだが、「こういう感じだったら縦型のモバイルボーイ1も買っちゃえばよかったかなー」というくらい気に入っている。なかなか愉快な製品なので、一般販売が始まったらジックリとチェックしてみてほしいッ!!!

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。