三井公一の「スマホカメラでブラブラ」

「Pixel 11/Pro/Pro XL/Fold」を街歩きで撮り比べ、全4モデル実写比較と超解像ズームの実力

 今年も新しいスマートフォンの季節がやってきた。グーグルから新たに登場した「Pixel 11」、「Pixel 11 Pro」、「Pixel 11 Pro XL」、そして折りたたみモデルの「Pixel 11 Pro Fold」である。心臓部には新SoC「Google Tensor G6」を搭載し、AIによるコンピュテーショナルフォトグラフィーの処理能力がさらに磨き上げられている。

 今回は、全モデルが3眼カメラ化(光学5倍望遠を標準搭載)したこの4機種のカメラスペックを整理しつつ、各画角での写りの違いや、Foldならではの撮影スタイルを試してみた。

センサーサイズとレンズの明るさが光るカメラスペック

 まずはスペックのおさらいから。それぞれのカメラ構成は以下の通りである。独特なデザインのカメラバーにユニットが収まっているのは前モデルからおなじみのスタイルだ。

Pixel 11 Pro
Pixel 11 Pro XL
Pixel 11
Pixel 11 Pro Fold
カメラ項目Pixel 11Pixel 11 Pro/Pro XLPixel 11 Pro Fold
広角画角85度82度85度
センサーサイズ1/1.56インチ1/1.3インチ1/1.56インチ
F値F/1.7F/1.68F/1.7
画素数4800万画素
Quad PD
5000万画素
Octa PD
4800万画素
Quad PD
超広角画角120度123度127度
センサーサイズ1/3.1インチ1/2.51インチ1/3.4インチ
F値F/2.2F/1.7F/2.2
画素数1300万画素4800万画素
Quad PD
AFあり
1050万画素
Dual PD
AFあり
望遠光学倍率光学5倍光学5倍光学5倍
センサーサイズ1/3.2インチ1/1.95インチ1/3.2インチ
F値F/3.1F/2.8F/3.1
画素数1080万画素
Dual PD
4800万画素
Quad PD
1080万画素
Dual PD
最大ズーム倍率最大30倍
超解像ズーム
最大120倍
超解像ズーム Pro
最大30倍
超解像ズーム

 今回特筆すべきは、「Pixel 11」にも光学5倍望遠が搭載されたことだろう。「無印」機でも望遠撮影が楽しめるのがうれしい。

 フラッグシップの「Pro」シリーズは、メインの広角カメラに1/1.3インチの大型センサーとF1.68の明るいレンズを採用。超広角カメラも4800万画素でF1.7と非常に明るく、暗所での撮影やダイナミックな風景撮影に強い構成となっている。

 望遠も1/1.95インチセンサーでF2.8と、スマホの望遠としてはかなり明るく心強い。写真撮影が好きな人にはうれしいアップデートである。

各機種の画角とAIズームを比較する

 それぞれの画角とズームの写りを見てみよう。炎天のもと、二子玉川の河川敷から風景を狙ってみた。猛暑で水蒸気が多いコンディションだが、Tensor G6のAI処理も手伝って、優秀な写りを見せてくれた。

Pixel 11の画角比較

0.5x
1x
2x
5x(光学ズーム)
30x(超解像ズーム最大時)

Pixel 11 Pro Foldの画角比較

0.5x
1x
2x(デジタルズーム)
5x(光学ズーム)
30x(超解像ズーム最大時)

Pixel 11 Proの画角比較

0.5x
1x
2x(デジタルズーム)
5x(光学ズーム)
10x
120x(超解像ズーム Pro 最大時)

Pixel 11 Pro XLの画角比較

0.5x
1x
2x(デジタルズーム)
5x(光学ズーム)
10x
120x(超解像ズーム Pro 最大時)

 「Pixel 11 Pro/Pro XL」の最大120倍を誇る「超解像ズーム Pro」は圧巻の一言である。

 高倍率になるとAIが介入してディテール補完を行う領域になるが、新AIによるノイズ処理と生成的な補完により、不自然さを抑えた仕上がりにはスマホカメラの確実な進化を感じる。30倍までは普通に使用できる画質なのも素晴らしい。

進化したUI「クイックアクセスコントロール」と「カメラスタイル」

 画質だけでなく、操作系UIも洗練された。新しくなった「クイックアクセスコントロール」は、撮影画面から直感的に明るさやシャドウ、ホワイトバランスなどの調整パネルへ素早くアクセスできる。

 光の状況が刻々と変わるスナップ撮影において、瞬時に意図した設定へ切り替えられるのはストレスフリーだ。

 具体的には、画面上に4つのコントロールポイントが現れ、それぞれの設定を素早く変えられるのだ。「Pixel 11 Pro Fold」の画面を開いた状態でもとても使いやすく、自分の意図を写真に反映することが容易であった。

 さらに注目したいのが「カメラスタイル」である。7種のカラープリセットだ。自分好みの色合いやコントラストのトーンなどをあらかじめ設定し、撮影時のデフォルトとしても適用できる。

 これまでは撮影後にレタッチしていたような独自のテイストを、ファインダーをのぞいた段階でリアルタイムに確認しながら撮れるため、作品作りへの没入感が格段に増している。もちろん「クイックアクセスコントロール」にも登録可能だ。

デフォルト(デフォルトの効果には、オリジナル、ナチュラル、シャドー、バニラがある)
マガジン
ベルベット
クラシック
デジカメ
モノクロ
ミニマル

決定的瞬間を逃さない「マジックキャプチャー」

 Tensor G6の恩恵を強く感じるもう一つの新機能が「マジックキャプチャー」だ。これは被写体の動きをAIが予測し、シャッターを押す前後のフレームからベストな瞬間を高画質に記録・生成してくれる機能である。

 たとえば、動き回るペットや遊ぶ子どもなど、これまでは「あ、シャッターを押すのが遅れた!」と悔しい思いをしていたシーンでも、マジックキャプチャーがさかのぼって最適な一枚を提案してくれる。

 被写体ブレもAIが高度に補正してくれるため、失敗を恐れず、直感のままに撮影できるのは非常にありがたい。初心者には大きな助けになりそうだ。

Pixel 11 Pro Fold × Pixel Watch 5 でリモート撮影

 今回は「Pixel 11 Pro Fold」ならではの撮影スタイルも試してみた。本体を少し開いて自立させ、「Pixel Watch 5」と連携したリモート撮影である。

Pixel Watch 5のカメラリモート操作画面のスクリーンショット
Pixel 11 Pro Foldでリモート撮影した作例

 手元のWatch 5の画面でしっかりとアングルや構図を確認しながらシャッターを切れるのが非常に便利だ。被写体から少し離れた位置にスマートフォンをセッティングすることで、手持ちとは違う自然なアングルを狙える。

 フォルダブル端末の「置いて撮れる」利点とスマートウォッチの組み合わせは、撮影の自由度を一段と引き上げてくれるのを感じた。

 もちろん写真と動画のモード切り替えや、ズームなどもリモートで変更可能。記念写真だけでなくセルフィーや、遠隔での監視などにも使える。

新たな相棒と秋のブラブラ実写スナップへ

 「Pixel」でのスナップ撮影は相変わらず素晴らしい。電源ボタンのダブルクリックで即座に立ち上がるカメラが気持ちよく、新SoC「Google Tensor G6」によって描写も動作速度も十分で、使っていて楽しくなった。多くの人に使ってほしい端末に仕上がっている。

Pixel 11

夜の地下鉄入口を撮った。「夜景番長」と呼ばれるほど低照度下での描写に定評がある「Pixel」シリーズだがそれは健在である。看板に貼られたステッカーをしっかりと判別できる
ポートレートモードのボケも自然だ。もちろんあとから「Google フォト」で調整できるが、ピント位置の移動幅が減ったようだ
望遠カメラの描写がいい。ガラスの透明感と写り込みの微妙な表現力が好ましい
再開発が続く渋谷駅。工事現場を撮ったが、コンクリートの生々しい感じがよく捉えられている。やはりカメラが3つあると撮影が楽しいね

Pixel 11 Pro

教会の尖塔を120倍の「超解像ズーム Pro」で。見事な写りである。AIが介入しているはずだが、このような被写体だと単独で見ている分にはそれがわからない
神田川を渡る丸ノ内線。「Pixel 11 Pro」はしっかりとピントを合わせ続けながら走行中の様子を容易に捉えることができた
「禁煙」のプレートと有刺鉄線。その金属感とコンクリートの質感がリアルだ。なくならない喫煙とポイ捨てがなくなるといいね
お稲荷さんとポートレートモードで。石像の質感と発色が見た目通りに写っている。ホワイトバランスが秀逸に感じる

Pixel 11 Pro XL

東京都庁を見上げて。建物のエッジ、窓の一つ一つがきちんと描かれている。薄曇りの薄暮感も的確に表現している。「Pixel 11 Pro」と「Pixel 11 Pro XL」のカメラは共通である
池に浮かぶ葉。その上にある水滴。驚くほど美しく「Pixel 11 Pro XL」はそれを描写している。これには驚かされた
隅田川のほとりで休むアオサギを遠くに見つけた。それを120倍の「超解像ズーム Pro」で捉えた。野鳥や動物撮影にこの機能は大いに役立つだろう
お盆恒例の隅田川・とうろう流し。夜間+超望遠+手持ちにもかかわらず「Pixel 11 Pro XL」はムーディーに風物詩を写しとってくれた。ミラーレス一眼でも難しいシーンをこのスマートフォンはパッと撮影可能だ

Pixel 11 Pro Fold

「Pixel 11 Pro Fold」は画面を開いた状態での撮影が楽しい。アウトプットは変わらないのだが、大画面で「クイックアクセスコントロール」を表示して撮るのがいい感じである。このような何気ない風景も質感豊かに撮ることができる
編集部近くを夜にブラブラとフォトウォーク。「Pixel 11 Pro Fold」も夜景に強く、自動販売機の細かい様子もブレずに撮影できた。しかし飲み物の価格もかなり高くなりましたねえ
「Pixel 11 Pro Fold」はフォルダブル端末でカメラ性能は「Pro」シリーズより「無印11」に近い。しかしながらその写りはなかなかのもの。何よりもオープン状態での撮影体験がユニークだ
渋谷のビルを「クイックアクセスコントロール」を使ってアンダーめに撮影。この新機能は「Pixel 11 Pro Fold」での撮影をより楽に面白くしてくれた。ハイライト部とシャドウ部の絶妙なトーンを表現できた

まとめ

 究極のズーム性能と大型センサーの高画質を求めるなら「Pixel 11 Pro/Pro XL」、手軽に高画質なトリプルカメラを楽しむなら「Pixel 11」、そしてリモート撮影など新しい撮影スタイルを模索するなら「Pixel 11 Pro Fold」。どれもコンピュテーショナルフォトグラフィーの熟成を感じさせる仕上がりと言えよう。

 最後に一つ付け加えておきたいのが、「Pixel 11」のデザインだ。カメラ部の出っ張りが前モデルよりも抑えられており、ケースを装着すると背面がほぼ平らになる。ポケットへの収まりが格段に良くなり、日常のスナップ機としての機動力がさらに向上しているのはうれしいポイントである。

 「C2PA」規格にも対応しており、AIによる加工や関与があったかはGoogle フォトで確認可能だ。まだまだ暑い日が続くが、これらの新しい相棒とともに、秋のブラブラ撮影を楽しんでみたいと思う。

三井 公一

有限会社サスラウ 代表。 新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。 雑誌、広告、ウェブ、ストックフォト、ムービー撮影や、執筆、セミナーなども行っている。Twitter:@sasurau、Instagram:sasurau