スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

俺のステッカーづくりが止まらない!!! 自動型抜き機「PixCut S1」自腹検証でわかった画質と自作手順

 Liene(ライネン)の「Liene PixCut S1」という「自動カットフォトステッカープリンター」を買った。スマートフォンやタブレットからステッカー(シール)をつくれるカラープリンターで、被写体などモチーフを自動的に型抜きしたステッカーを作成可能。

「Liene PixCut S1」は、4×7インチ(約10×18cm)のステッカーや4×6インチ(約10×15cm)の写真をプリントできる昇華型フルカラープリンター。好みの絵や写真を型抜きされたステッカーとしてプリントすることができる。Liene直販サイトから「Liene PixCut S1 自動カットフォトステッカープリンター4×7" ステッカー用紙セット」(通常価格5万6000円)を父の日&LINE登録セール値引きにて4万5360円で購入した。※画像は直販サイトより。
プリント終了後に各図柄の型抜きカットまで自動で行われる。※画像は直販サイトより。
ステッカー用紙や写真用紙は専用品を使う。昇華印刷方式で1670万色・300dpiでの印刷が行われる。
専用アプリに写真をアップロードするとAIが被写体を切り抜き、その切り抜きがそのままステッカーになる。

 このプリンターを買った理由は「あら楽しそう♪」というのがありつつ、本連載前回にて紹介した「Liene Pearl N200 Pro」というポータブルフォトプリンターの使用感が良好だったから。「この使用感なら、同ブランドのステッカープリンターも大丈夫だろう」と思ったのだ。

Pearl N200 Proはスマートフォン用の昇華型・ポータブルプリンターで、専用のフォトシール紙にプリントされる。1枚のプリントにかかる時間は1分〜2分(印刷する画像の内部処理による)。
ポータブルフォトプリンターに採用される他の方式よりも段違いで発色やクリアさが良好。ポータブルフォトプリンターに求められがちな「独特の味」や「レトロ感」はないが、元写真の解像感や発色を忠実にプリント化してくれるという印象だ。しかもこの用紙、シールになっている。

 ポータブルフォトプリンターPearl N200 Proを気に入った俺だが、それ以前にじつはステッカープリンターのPixCut S1がヒッジョーに気になっていた。良さそうだ、と。使いたいゼ、と。購入寸前であった。

 だが「一応」と思ってステッカープリンターPixCut S1を調べてみたら、ユーザーからの評価が「ボロクソ」だった。具体的にはアメリカのソーシャルニュースサイトこと「reddit」での評価が悪かった。用紙が詰まるとか、ステッカーなのに粘着力がないとか、買うだけカネの無駄とか、叩かれまくり。

 だがよくよく読んでみるとそれら悪評は8カ月くらい前かそれ以前の投稿で、新しめの投稿では好評が多数。さらに読んでいくと、メーカー(Liene)側が何らかの対応を行ったようで、上記の問題は解消しているっぽかった。

 ということもあり、「そうなんだー現在はイイ感じで使えてるっぽい」と思って購入に至った。そしてややドキドキしつつも期待のステッカープリンターPixCut S1を使ってみたところ、軽く衝撃を受けるほど良かったので、今回はこのPixCut S1をレビューしてゆきたいッ!!!

PixCut S1はどんなモノ? なにがデキる?

 まずPixCut S1の概要から。前述のとおり、昇華型のプリンターで解像度300dpi/1670万色のフルカラー印刷ができる。用紙は専用品で、ステッカー用の4×7インチ(約10×18cm)品と写真用の4×6インチ(約10×15cm)品がある。

小さいほうが写真用紙で、大きいほうがステッカー用紙。それぞれ余白を除いたアスペクト比は、写真用紙が3:2で35mmフィルム/ミラーレスカメラのそれと同じ。ステッカー用紙のアスペクト比は約1.78:1で、16:9ディスプレイ(テレビやPC用ディスプレイなど)とほぼ同じ。

 プリントはスマートフォンやタブレットから専用アプリ「Liene Photo」(スマートフォン用)や「Liene Photo HD」(タブレット用)を使って行う。端末とプリンターの接続はBluetoothによる無線接続だ。

スマートデバイス上でデザインしたステッカー/写真が専用紙にプリントされる。ステッカーの場合は被写体の型抜き(ハーフカット)まで行われる。ステッカー用紙1枚のプリント/ハーフカット・シール処理にかかる時間は約2分。

 写真プリントは普通の写真印刷。昇華方式なので発色も精細感も良好だが、まあインクジェットフォトプリンターから写真用紙に印刷したのと近く、あまり感動などはない。

 一方ステッカー用紙への印刷は非常に愉快。そしてある種、感動的。というのは、PixCut S1だけでプリントからハーフカットまでできるからだ。しかもスマートフォンやタブレットから手軽にデキちゃう♪

 これまでもステッカーやシールの自作は可能だった。単にプリントしたものを貼れるというだけなら、シール用紙などにカラーとかでプリントすればいい。前出のポータブルフォトプリンター「Liene Pearl N200 Pro」を使えば、専用紙がシールになっているので、これも簡単に「貼れる写真」ができ上がる。

 だが、図柄とか被写体のカタチに型抜きされているステッカーやシールをつくるとなると、けっこうメンドクサかった。具体的には、図柄をシール用紙などにプリントして、その後にカッティングマシンで型抜き処理を行う。プリンターとカッティングマシンの2台の装置が必要でそこそこコストがかかり、どちらもA4サイズ以上を出力することが多いので、置き場所も取った。多くの場合はパソコンも必要になる。

 PixCut S1なら、それ1台とスマートデバイスだけでOK。まあプリントサイズは小さめだが、しかし、プリントから型抜きまでワンストップで完了。また印刷時のPixCut S1フットプリントは約25×50cm(ACケーブルコネクタスペースおよび用紙カードリッジ挿抜スペース含む)程度。デスクトップ・ステッカー・メーカーって感じで、「えぇぇ〜今ってこういうマシンでサクサクとステッカーつくれちゃうんだぁ〜♪」と俺的には感動してしまうのであった。

 なお、作成できるステッカーは、いわゆるフレークステッカーとかフレークシールってヤツではない。フレークステッカーは、型抜きされたカタチのステッカー。猫のステッカーなら猫形状であり裏返しても「猫のカタチ」とわかる。

 PixCut S1でつくれるのは、各ステッカー/シールがハーフカットされたものが1枚の用紙に並んでいるステッカーシート/シールシートと呼ばれるタイプ。剥がして貼れば、フレークタイプもシートタイプも型抜きされた図柄を貼れるので同じだが、「フレークステッカーにしてコンパクトに配布したい」「小さくてかわいいカタチのステッカーをプレゼントしたい」みたいな目的は果たしにくい(けど手動で切り抜けばできないことはない)。そのあたりは、フレークシール作成対応のカッティングマシンが有利だ。

ステッカーの品質はどんな感じ?

 ステッカー/シールに関する細々は置いといて、PixCut S1ではどんな出力が得られるのか? 実際にプリント&ハーフカットしたものを見てみよう。

PixCut S1でステッカー用紙にプリントしたもの。各ステッカーは図柄に合わせてハーフカットされており、1枚ずつ剥がして使える。
プリントのディテイルもキレイ。色も精細感も明るさも、元の写真に非常に近い。右の猫はやや緑がかっているが、元の写真がこうなのだ。
300dpiの解像度でプリントされるので、元の写真のディテイルもしっかり再現される。ルーペで見ると自転車のメーカーロゴもぎりぎり確認できたりする。
ハーフカットされたステッカーを台紙から剥がすと、半透明の台紙とステッカー周囲が残る。
四角いシール多めのステッカーシート。それぞれの絵柄を個別に剥がせるが、四角いステッカーにするとアプリでの前段階処理がラク。型抜きする場合はAI処理となるが、それぞれの絵柄にAI処理をかけるため、少々時間がかかる。四角いステッカーだと被写体の背景なども残ってしまうが、写真がそのまま型抜きされるのでクイックに処理できる。
こちらは全ての絵柄をAI処理で型抜きのハーフカットにしたもの。AIによる型抜きが一発でキマることもあるが、余分な要素が残ってしまった場合は手動での削除となる。なので、AI処理に時間が少しかかり、手動処理で手間と時間がかかって面倒ということで、型抜きには時間と手間がそこそこかかるというわけだ。とはいっても、フレークシール的に図柄のカタチで貼れるのはやはり大きな魅力である。ちなみに、パソコンなどで被写体のみの背景透明PNG画像をスマートフォンにコピーしておき、それをPixCut S1でプリントする場合、非常にキレイに型抜きできるうえに、AIによる処理も不要で、ステッカー作りの効率が上がると思う。
こういった図柄をステッカー化するのにも最適。ただし用途には十分ご注意を。趣味的な個人利用なら著作権ありまくりのロゴなどをステッカーにして楽しんでOK。でも売るなどしたら法律違反であり、場合によっては犯罪となる。
1枚のステッカー用紙にぎっしりと図柄を詰め込んだ。アプリ上のAI処理(レイアウト)で「各ステッカーを無駄なく配置する」という機能もある。
昔のmacOSっていうか漢字Talkの表示をドット絵でパロディ的に再現したものだが、ドットレベルでクリアにプリントできるのは昇華方式プリンターならでは。ちなみにこの図柄は30年以上前に作成したものだ。30年の時を経てステッカーになるなんてステキ♪ 赤地に白文字の「digital」も鮮明にステッカー化できた。
Pinterestに流れていたスターバックスコーヒーのロゴ。本家がつくったステッカー? と思うほどクリアにプリントできている。

 といった感じで画質や発色について、趣味やライトなビジネスに使うには十分高品位といった印象。濁りが非常に少ない発色的なキレの良さや、クッキリとしたコントラストの高さ、さらにドット単位での解像感まで、「やっぱりこういう用途には昇華型がいいなぁ〜」と思わせるクオリティだ。

 ではステッカーとしてはどうか? 俺的印象を書いてしまうと、紙に対してもツルツル面に対しても十分実用的な粘着力がある、と感じられた。また、やや複雑な型抜きのステッカーでも、台紙から容易に剥がせて対象へとシワなどにならず貼れるという印象。

PixCut S1でつくったステッカーを紙に貼ってみる。貼ってから指でグイッと押して定着させると、ステッカーを剥がすと紙も破れ剥がれる程度、強い粘着力がある。ステッカーとしては薄めなので、ノートなどに貼るのにも適する感じ。
スマートフォンケースに貼ってみた。貼って指でならすと、剥がすのにやや手間がかかる程度強い粘着力がある。しっかりくっついてしまった状態で剥がそうとすると、ステッカーの表面の層と粘着層が分離して壊れてしまうほど。薄いのでスマートフォンとケースの間に貼るとか、台紙ごと挟むといったことも現実的。猫の頬や頭部に白い出っ張りが見えるが、これはAIが猫の毛まで被写体として判断し、その外側をカットしているからだ。手動で被写体の範囲を修正すれば、外枠がスムーズにカットされる。

 ステッカーとしてひとつ気になる点があるとすれば、表面のコーティング(ラミネート層)。プリントの最終段階で表面がラミネート加工されるので、絵柄が擦れたりしにくい構造にはなっているが、ラミネート層自体があまり厚くないので、爪先で強く擦ったりするとラミネート加工&インクがしみ込んだ層が剥がれる(というか破壊される)こともある。十分な耐久性がある市販ステッカーと比べると「ちょっと華奢なステッカー?」みたいなイメージになるが、通常使用では耐久性にも問題はないという気がする。うっかり擦って図柄に傷が入ったら……またプリントすればよくない? とか思ったりも。

アプリの使い勝手は?

 PixCut S1はスマートフォンやタブレットのアプリから使う。アプリ上でステッカーなどのデザインを選ぶかつくるかし、それをPixCut S1でプリントするという流れだ。スマートフォン用アプリでもタブレット用アプリでも、できることはだいたい同じなので、スクリーンショットで「どう使えるか?」「なにができるか?」などを見ていこう。

スマートフォン用アプリ「Liene Photo」を使っている様子。あらかじめ用意された図柄をプリントして楽しむという使いかたができる。また、LieneのDiscordコミュニティでは、ユーザー同士でステッカーのデータを共有・交換することも可能。
スマートフォン背面や交通系ICカードやクレジットカードのテンプレートが用意されており、そこにピッタリに貼るためのステッカーを手軽につくることもできる。スマートフォンの対応機種(テンプレート)は非常に多く、各スマートフォンにちょうど貼れるステッカーを自作できるのは、ステッカーを簡単に型抜きできるPixCut S1ならではの利便だ。
ステッカーを本格的に自作したい場合は、メインメニュー「ステッカー」>「+キャンバス」>「+新規作成」から空白のキャンバスを表示させる。写真をステッカーにしたい場合は「アップロード」から(スマートデバイス内の)写真を読み込み、それを「AI切り抜き」で型抜きし、キャンバス上に並べていく。テキストや図形など写真以外の要素を加えていくこともできる。
こちらはタブレット版アプリ「Liene Photo HD」を使っている様子。各種表示がより大きく操作しやすく、表示される情報量も多いので、凝ったステッカーをつくるならタブレットの使用がオススメ。
iPadなどデジタルペン対応のタブレットなら、「AI切り抜き」後に修正したい部分をより精密に編集していける。ステッカーを自作する場合はプリント・カットの前に行う写真など素材選びやAIによる型抜きとその手動修正などにけっこう時間&手間がかかるので、ステッカー自作を時短したいならタブレットを使うのがいい。

 専用アプリの「Liene Photo」(スマートフォン用)も「Liene Photo HD」(タブレット用)も、多機能ということもあって、最初はややわかりにくいという印象がある。用紙サイズ(写真用とステッカー用)を知っておけば迷うことも少なくなるが、ある程度の慣れと試行錯誤は必要。ただ、一度理解してしまえば効率良く使っていけるアプリだとは思う。

 なお、作成・保存したキャンバス(ステッカーシートのデザイン)はアプリ間で共有することもできる。ただし現在のところ、「Liene Photo」(スマートフォン用)と「Liene Photo HD」(タブレット用)の間では共有できないもよう。ちなみにアプリへのログイン方法は、IDとなるメールアドレスを入力するとパスコードが送られてくるというタイプだ。

 なので、「Liene Photo」(スマートフォン用)アプリで「これはイイぞ」というステッカーシートができて「細かい部位をタブレット(「Liene Photo HD」アプリ)で修正しよう!」と思っても、ソレができないようなのでご注意を。PixCut S1を利用するのに使うデバイスをあらかじめ考慮しておいたほうが後々混乱がないだろう。

ランニングコストは? 美点と難点は?

 最後にPixCut S1のランニングコストについて。ステッカー用紙の直販価格は7200円で、用紙72枚および必要分のインクが含まれている。ので、1枚100円。つくるステッカーのサイズにもよるが、1枚の用紙に5枚のステッカーをレイアウトするとしたら、ステッカー1枚が20円。プリクラ的な四角いステッカーなら10枚くらい入れ込めるので、1枚10円。図柄のカタチにハーフカットまでしてくれてこのランニングコストなら非常に安いのではないだろうか。

 もちろん用紙1枚全体に大きめのステッカー1枚を印刷するという使い方もある。ステッカー用紙のステッカー部サイズは4×7インチ(約10×18cm)なので、このサイズのステッカーが100円でつくれると考えても、非常に安いような気がする。

 なお、PixCut S1を写真プリンターとして使った場合、フォト用紙の直販価格は72枚(と必要インク)で5600円。1枚約78円となる。シールにはならないフォト用紙なので、こちらのランニングコストは「高いってほどではないけどフツー」みたいな?

 ちなみに、Liene直販サイトではたびたびセールを行っており、PixCut S1専用紙が上記より安価に売られることもある。ので、PixCut S1でプリントしまくりたい人はそういったセールを狙ってみるといいかも。

 といった感じのPixCut S1。やはりスゴいのは、スマートデバイスを使って簡単にステッカーのカラー印刷から型抜きまでできることだろう。ステッカーそのものを販売する目的だと、PixCut S1から出てくるステッカーは業者クオリティとか業者耐久性みたいなものはイマイチ望めないのだが、趣味や少量の販売を目的とするなら十分イケる品質。セールやキャンペーンを狙うとプリンターと用紙のセットが5万円を切る価格で買えたりもするので、「オリジナルなステッカーつくるゼ!」「シールつくりた〜い♪」という人はジックリと狙ってみてほしい。

 ただ、難点も少しある。ひとつは、机上に置きっぱなしにするには少し大きいこと。PixCut S1の本体サイズは約28.1×19.6×10.45cmで重さ約2.9kgだが、使用時は給紙トレイを後部に挿すため、それより大きなフットプリントとなる。具体的には印刷時のPixCut S1フットプリントは約25×50cm(ACケーブルコネクタスペースおよび用紙カートリッジ挿抜スペース含む)程度。A4フラットベッドスキャナくらいは場所を取る。

使用時は本体に格納されている給紙トレイをいったん出し、本体後部に挿すカタチでセットする。また本体左側面には付属ACアダプターのケーブルがつながる。これらにより、けっこう大きめのフットプリントが必要になる。ただ、プリンターとカッティングマシンを置くよりはずっと少ないスペースで使える。

 それからアプリ間でのデータ共有がやや不安定なことがある。ただこれは最近解消されているようで、同じプラットフォーム向けのアプリを使うなら大きな問題にならなさそうだ。

 ということで、俺的には非常に満足している「Liene PixCut S1」。ステッカーの元画像をPNGファイルで毎日つくっており、この梅雨はステッカーばかりつくっていそうな気がする。いや〜ステッカーづくり、なんでこんな楽しいんスかねぇ〜! シール/ステッカーが好きな方はゼヒ!

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。