ニュース

年頭所感2026:ソフトバンク 宮川社長

ソフトバンク株式会社
代表取締役 社長執行役員 兼 CEO
宮川 潤一

宮川社長(2025年5月撮影)

 あけましておめでとうございます

 2025年はAI(人工知能)の進化が加速して「AIエージェント」が登場し、社会への普及が急速に進んだ1年でした。今年はビジネスから日々の生活までAIエージェントが広く浸透していき、あらゆる場面で日常的にAIが使われる時代が訪れます。「AI共存社会」がいよいよ本格的に立ち上がろうとしていることを強く感じています。

 当社はこの時代の変化の中で、全社員が日常業務でAIを使いこなすための環境の整備を進めてきました。2025年2月には、AIによって企業の経営を変革する「クリスタル・インテリジェンス」を発表し、2026年の展開に向けて、社内でのAI活用の徹底と基盤の構築に取り組んでいます。

 単にツールを導入するだけではなく、スキル向上のための教育や活用プロセスの整備、積極的に活用する企業文化の醸成に取り組んだ結果、全社で250万を超えるAI エージェントが生まれるなど、社内へのAIの浸透が着実に進み、業務でAIを利用することが当たり前になってきました。

 事業においては、2025年度が最終年度となる中期経営計画の目標達成に向けて順調に推移しており、営業利益1兆円の達成が視野に入っています。

 コンシューマ事業は、“ソフトバンク”“ワイモバイル”ともに順調で増収増益基調を維持しており、2桁の成長率を続けているエンタープライズ事業では、Gen-AXによるAIを活用したコンタクトセンター向けソリューション「X-Ghost(クロスゴースト)」の提供開始など、企業のAX(AIトランスフォーメーション)を支援する事業が今後の成長のドライバーになると期待しています。

 これらの事業をベースに、AI共存社会に向けて構築を進める次世代社会インフラは、着実に推移しています。データ処理の要となる計算基盤は、AIの計算性能を評価する指標で国内1位を獲得し、この計算基盤を活用して開発を進めている国産LLM(大規模言語モデル)では、「Sarashina mini(サラシナミニ)」の商用サービスの提供を始めました。

 オラクルとの協業によるデータ主権(ソブリン性)を備えたクラウドサービスの提供や、AIデータセンターの性能を高める次世代メモリー技術の開発、AI時代のネットワークであるAI-RANの推進など、AI共存社会を支えるインフラや技術が形になりつつあります。

 そして今年以降は、北海道苫小牧市や大阪府堺市のAIデータセンターが順次稼働を開始し、次世代社会インフラであるコンピューティングパワーの提供に向けてさらに大きく前進していきます。

 2026年は、AIエージェントに加えて、「フィジカルAI」が本格的に動き始める年になります。AIとロボティクスの融合によって、物理空間においてAIが自律的に判断して行動する段階へ進み、次世代社会インフラの重要性がさらに高まります。この領域では既に安川電機と協業を開始しており、今後も取り組みを広げていきます。

 現在、次期中期経営計画の策定に取り組んでいます。ここからは、いよいよ次世代社会インフラを仕上げていくフェーズに入ります。

 AIが社会を支える基盤となり、産業や生活が大きく変わるこの時代に、当社はその基盤を担う存在として事業を成長させるとともに、次世代社会の中で人々や社会にとって最も役に立つ会社になることを目指し、今年も積極的に挑戦を続けていきます。