スタパ齋藤のApple野郎

マウスが加水分解でベタベタ化した話

高級マウスがベタベタと……溶剤も紫外線もダメだった

 今年に入ってからつい最近まで、デスクトップのMacではロジクールの「MX Anywhere 3 for Mac」というワイヤレスマウスを使っていた。それまで使っていたマウスはロジクールのハイエンドマウス「MX Master 3」で、そのラバー素材部分がベタベタしてきたので、ベタベタしていないMX Anywhere 3 for Macを使い始めた。ベタベタは、恐らくラバー素材(ポリウレタンなど)が加水分解し始めたのだと思われる。

ロジクールから2019年9月18日に発売されたハイエンドマウス「MX Master 3」。非常に高性能で使用感もすこぶる良好なワイヤレスマウスだったが、手のひらや親指が乗る部分のラバー素材がベタベタしてきてしまった。恐らく加水分解だと思われる。

 そこで、加水分解のベタベタが解消できるかもしれない、ひとつの方法を試した。3M「スコッチ・ブライト シャープシューター」で拭き取るという方法。詳しくはココに書いたが、もちろん自己責任でのやり方だ。

 結果、ダメ。じゃあツイデにと、手持ちの汚れ落とし溶剤なども試したがダメ。若干はベタつきが落ちたが、基本的な解決にはならず。

 もしかするとこのベタベタ、樹脂がベタつきつつピンク色などに変色する「ピンキング」という現象なのかも? 詳細はココに書いたが、これは太陽光(紫外線)に当てると解消されることがある。というわけで、MX Master 3をしばらく日光浴させてみることに。

 以前の経験では、日光浴を数日?1週間程度行ったら、ベタつきやピンクの色づきが完全に無くなった。ので、MX Master 3も数日間日光浴。その間、代わりにMX Anywhere 3 for Macを使うことにしたのであった。

ロジクール「MX Anywhere 3 for Mac」。モバイルにも向くコンパクトなワイヤレスマウスだ。

 このモバイル指向なマウスを使いつつ、ベタベタしちゃったMX Master 3を日光浴させていた。のだが、MX Master 3のベタベタは全然解消せず。結局、半年ほど日当たりの良い場所で日光浴させたMX Master 3だったが、そのベタつきはほぼ解消しないのであった。残念!!!

 でもデスクトップPCで使うMX Anywhere 3 for Mac、かなり快適。全然問題ないし、このマウスのラバー的素材部は滑らかなシリコーン。ベタベタし始める気配はない。都合がいいのでMX Anywhere 3 for Macをメインのマウスとしたのであった。

眠っ……思わず右クリック!!! 自業自得の鬱憤が連続発生

 快適に半年以上使ってきたMX Anywhere 3 for Macだったが、気温が上昇するとともに予期せぬ問題が起きた。マウスの問題ってよりは俺の問題である。

 俺の場合、暑い季節に入ると眠くなりがちなのであった。暑さで体力を消耗し、冷房で気が抜けて、それで「眠くて死ぬ」的な睡魔に襲われる。

 さておき眠さが生じると、ついマウスを握る指が弛緩し、MX Anywhere 3 for Macの右ボタンをクリックしがち。注意していても、眠くなるとやっちゃう。誤操作を頻発する結果となるのだ。

MX Anywhere 3 for Macはコンパクトなマウス。手のひらを乗せておける場所が少なく、俺にとっては「つまんで持つように使い、時々手を弛緩させた時に手のひらを置く場所が少ない」といった感じのマウスなので、眠気に襲われると右クリックしがち……なのだと思われる。

 ん? 毎日何回もマウスの右クリックを誤押下してちゃなぁ……。というわけで、ベタベタしちゃったMX Master 3を我慢して使……ったのはたったの3日。「やっぱ無理このベタベタっ!!!」となった。

 そこで使い始めたのが死蔵していたロジクール「MX MASTER 2S」。前述の「ピンキング」を起こしたマウスだが、日光浴でピンキングやベタベタが解消し、それを保管してあったのだ。

死蔵していたロジクール「MX MASTER 2S」を使うことにした。写真は新品の状態。
ロジクール「MX MASTER 2S」は、以前に使っていたら左のように「ピンキング」を起こして変色しつつベタベタしてしまった。だが直射日光に晒すことで、数日でピンキングが解消。右のような状態にまで回復した。

 このMX MASTER 2Sを使い始めて間もなく、気になることが出てきた。というのは、メインのホイールとサムホイールの滑り止めとなっているギザギザしたラバー素材がベタベタしてきたのであった。えっこんなトコロまで加水分解?

赤矢印のホイール部分には滑り止めのラバー素材が貼られている。ここがベタベタしてきちゃった?

 とりあえず拭いてみた。そしたら、あっちょっとベタベタが減少♪ それなら、ということでもっとゴシゴシ拭いていたら、アーッ!!! 滑り止めのギザギザ部分が剥落ーッ!!! ボロボロと分解ーッ!!!

 ということで、ホイール部のラバー素材を切除してみることに。けっこう簡単に切除でき、ホイール部分にこれ以上加水分解する素材はなくなった。

ホイール部分の滑り止めラバー素材を完全に除去した。マウスの硬質樹脂部分はちょっと劣化して黄ばんでいる。

 見栄えは非常に悪いのだが、操作性は問題ない。ホイールに滑り止めがなくてもまあまあフツーに使えるのであった。じゃあコレ使い続けようかな?、と思ったのだが、思い出した。「あれ? 俺ってMX Masterの備蓄をもってなかったけか?」と。

2015年発売のマウスを使う……これも加水分解するのかナ?

 ロジクール「MX Master」は、2015年4月2日発売のハイエンドワイヤレスマウスだ。発売日に予約購入して非常に気に入ったので、予備として1個追加購入していた……が、どこへしまったやら?

 なお、使っていたMX Masterは、前述のMX MASTER 2Sを購入&使用開始した時にお蔵入り状態に。その後、確か……お蔵入りのMX Masterを出してみたらベタベタしていたので処分したような記憶が。……いやベタベタしていない高級マウスを捨てるハズはなく、捨てる理由はたいていベタベタし始めたからだと思うが、まあ記憶薄だし古い話なので以下略ってコトで。

 さておきMX Master、探してみたらアッサリと見つかったが、開封するのがちょい怖い。もう買ってから6年も死蔵している。バッテリーは死んでないのか? あとコッソリと加水分解してたりして!?

 しかし開封したらノープロブレムであった。加水分解ナシ。バッテリーも生きていた。

ロジクール「MX Master」。2015年発売から6年間死蔵し、2021年に使用開始!!!
ロジクール製ポインティングデバイス用のユーティリティ「Logicool Options」からMX Masterが認識された様子。6年前のデバイスもちゃーんとグラフィックが出るんスね?♪

 MX Masterを使い始めたら、あらまあ!!! 快適!!! そう言えば発売当初、すっごく気に入って使ったのであった。あの気持ちいい使用感が蘇った感じ……という気がする。ともあれ、使い始めて即、長年使い続けてきたマウスのように手に馴染んだのであった。

 しかし、半月ほど使ってみたら、やはり6年前発売のマウスだけあり、バッテリーが少しヘタってるかナ? という感じが。半月しないでバッテリーインジケーターが1/3になる。まあ、こまめに充電すれば大丈夫っスね。

 でも使い始めて毎日手に触れたり湿気に晒されたりしているMX Master。これも徐々に加水分解しちゃうんだろうか?

 ……しかし、拙宅環境ってラバー素材が加水分解しやすいのだろうか? いや、ん?む、「これは加水分解しそうな素材だな?」と思ったものは多々あるが、全然問題ない製品も多い。まあ、加水分解はするときゃするモンで、避けられないのであろー。

 加水分解のベタベタに、諸行無常の粘りあり。南無。

【筆者追記 2021/07/30 18:33】
 後によく調べてみたところ、ラバー素材などから謎のベタベタが発生する現象は、加水分解ではなく「ブリーディング」や「ブリードアウト」と呼ばれる現象らしい(bleed/血が出る、樹液が滲み出すという意味)。これは合成樹脂の表面に主成分(ポリマー)とは異なる合成樹脂構成物質が滲み出してくる現象だそうだ。

 滲み出してくる物質は、合成樹脂に色を付ける着色剤、合成樹脂を柔らかくする可塑剤、油分など多種多様。合成樹脂表面に滲み出した物質を拭き取るなどすればベタベタは収まるが、一時的なもので、ブリーディング自体を止めることはできないそうだ。

 なお、加水分解が起きた場合もにベタベタしてくることがあるが、加水分解の場合は合成樹脂素材自体がボロボロと分解したり硬化してしまうことが多いそうだ。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。