スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

iPhoneと一体化するキーボードケース「Clicks Keyboard」の実用性はいかに!? 使いやすさを追求してみた‼

 これはオモシロそ〜!!! と思って後先考えずに買ったのが、英Clicks Technologyの「Clicks Keyboard」

英Clicks Technologyの「Clicks Keyboard」。
カラーバリエーションはスパイス、オニキス、サーフの3色。
ケースとしてはMagSafe対応で、USB-Cポートも備えていて充電やデータ転送ができる。

 iPhone向けケースなのだが、下端にQWERTY配列のキーボードを備えていて、タイプすればiPhoneに文字入力ができたり、キーボードショートカットを利用できたりする。iPhone 16 Pro Max用を24,800円で買った。

 買ったのだが、買った直後に「これ実用性が低いのでは?」と思った。上記のとおりiPhone 16 Pro Max用を買ったわけだが、「iPhone 16 Pro Maxはそこそこ重いし、ケースの下端を両手で持って使う感じだし、前方にパタンって倒れたり、うっかり落としたりしそう?」と。

 で、間もなく届いたClicks KeyboardにiPhone 16 Pro Maxを入れてみると……あら!!! キーボード部分を両手の親指でタイプしたら、打鍵感は非常にイイのだが、タイプ時の重量的バランスがヒッジョーに悪い!!!

Clicks KeyboardにiPhone 16 Pro Maxを入れた様子。長〜くなっちゃうが、iPhoneの使用には大きな問題はない。
基本的には両手親指でタイプするので、こんなふうに持つことになる。

 上の写真のように両手親指でタイプする場合、両手の親指以外を使ってかなりしっかりiPhone 16 Pro Max入りClicks Keyboardをホールドしないと、前方に倒しそうになったり落としそうになったりする。片手で端末を持ってもう片手の指でタイプしてもいいのだが……それじゃあなぁ。

 あっちゃ〜ヤラカシたゼ!!! iPhone 16の他の機種なら、タイプ時の重量バランスがギリギリでイケるのかもしれないが、iPhone 16 Pro MaxでClicks Keyboard使い続けるの無理〜!!! 重量バランスにストレスがあり過ぎ〜!!!

 ところが……。

バンカーリング的な指通しホルダーで問題解消

 あっ、でも? そう思って、MagSafe対応のバンカーリング的な指通しホルダーを使ってみた。iPhone 16シリーズ用のClicks Keyboardは、MagSafe対応(ケース内にマグネットを内蔵)なのだ。

iPhone 16シリーズ用のClicks KeyboardはMagSafe対応。ケースにマグネットが内蔵されており、各種MagSafe対応アイテムを非常に強く吸着する。鉄定規もこんなふうにくっつく。
TORRASブランドのMagSafe対応スマートフォンリング。ピンクの部分に指を通して使う。リング状のパーツを起こすとスタンドとしても使える。
こんなふうに指を通してみたら、その手の親指だけでもタイプできるほど、安定的にホールドできた!

 あらま!!! 凄い!!! MagSafe対応スマートフォンリングだけで、いきなりiPhone 16 Pro Max用Clicks Keyboard使用時の重量バランス問題が解消された!!!

 もうひとつ。MagSafe対応のカードケース・スタンドを使ってみたら、これまたイイ感じでClicks Keyboardを使えたのであった。

こんなMagSafe対応カードケース・スタンド。
カードケース機能とiPhoneスタンド機能がある。
スタンドを使ってClicks Keyboardを机上に置いてタイプすると非常に安定的に使える。スタンドを机面に当て、両手でClicks Keyboard下端を少し持ち上げるようにして使っても快適。

 あとバンカーリング的な指通し式スマートフォンホルダーもイイ感じで使えた。片手でほぼ完璧にiPhone 16 Pro Max入りClicks Keyboardをホールドできるので、軽快に両親指タイプができる。

本家バンカーリング。指通し式のスマートフォンホルダーだ。リング部分を起こして使う。リング部分は自由な方向に回転する。
これも片手でほぼ完璧にiPhone 16 Pro Max入りClicks Keyboardをホールドできた。

 なーんだ、身近なグッズで重量バランス問題クリアできた! まあプラスαしないと問題が残るのはどうかと思うが、これで24,800円のケース型キーボードを活用できるようになった!

Clicks Keyboardの使用感は?

 さてさて、ようやく本題。Clicks Keyboardの使用感だが、ちょっと前述したとおり、2本の親指を使っての打鍵感が秀逸なのである。適度なクリック感があり、硬くもなく柔らかくもなくスイッチが入って入力できる。……BlackBerry Bold 9700みたい〜!!!

Clicks Keyboardのキー配列。QWERTY配列で、123キーとの同時押しでキー右上の数字や記号を入力できる。同時押しでなく「123キー押下して離して→すぐに目的のキー押下」としてもキー右上の数字や記号を入力できる(コマンドキーについても同様)。またモードを変えるとWASDやIJKLが方向キー(カーソルキー)として機能するなど、十分な実用性を備えている。ちなみにバックライトも搭載しており、任意にオンオフする機能もある。

 打鍵感もイイのだが、両親指で打ったときの「うまく打てる感」が不思議。キーサイズは直径6mm程度と非常に小さく、俺の親指の先だとキーを9個くらい覆ってしまう。のだが、「なんでこんなに誤押下しにくいの?」というスムーズなタイプ感があるのだ。

 たぶん、キーの形状や高さなどが、「親指先端にうまく押されるように」チューニングしてあるのだと思う。ルーペでよーく見ると、キートップが向いている方向がぞれぞれ異なっているように見える。この独自の傾きなどが「タイプ感の不思議な良さ」をもたらしているのだと思う。

 ちなみに俺の場合、iPhoneのソフトウェアキーボードはQWERTRY配列のものを右手人差し指だけで打つことが多い。だがタイプミスがけっこー多い。なので音声入力することが多い。

 一方、Clicks Keyboardだと(音声入力キーも備えているが)、両親指タイプが快適。そして、けっこう素早く入力できる。なので音声入力を除いては、iPhoneへのキーボード入力はClicks Keyboardが最も快適という気がしている。

 ちなみに、Clicks Keyboard+音声入力、という使い方もできる。Clicks Keyboard使用中に音声入力したくなったら、Clicks Keyboard上の音声入力キーで音声入力モードにし、声で文字を入力。途中、Clicks Keyboardから入力したくなったら、音声入力キーを押してClicks Keyboardから入力。Clicks Keyboardの音声入力キーを使い、物理キーボード入力と音声入力をクイックに行き来して使える。

日本語入力はフツーに便利、メールアドレスの入力も快適

 実際にしばらくClicks Keyboardを使っているが、前述の指通し式スマートフォンホルダーを使い始めた直後には慣れられた。付属の説明書もメーカーサイトも全部英語だが、ちょっと目を通せばClicks Keyboard独自の機能や使い方もすぐ覚えられる。AI翻訳しちゃえばいいですな。

 もちろんClicks Keyboard上で日本語・英語・顔文字などの使用IM切り替えを行えて、日本語文章に必要な記号類も入力できる。なので、説明書もメーカーサイトもClicks Keyboardのキーも全部英語ではあるものの、日本語入力用キーボードとして問題なく使える。

 それと、ソフトウェアキーボードなしで文字入力できるので、入力時に写真やテキストなどより多くの情報をiPhone上に表示したまま入力できてなかなか快適だ。画面の広さと入力の快適さが両立するというわけだ。

Geminiに相談中。こんな表示のままClicks Keyboardから入力できるので、従来はソフトウェアキーボードが表示された面積も情報表示に使える。
比べてみるとソフトウェアキーボードの表示領域が意外に広く、画面上の情報量が少なくなってしまうことがわかる。

 余談だが、多用する記号類もだいたいキートップに刻印されているので、たとえばメールアドレスの入力などはソフトウェアキーボードよりもハードルが低くて快適。まあでも記号類に関しては、人によって「よく使うあの記号がない!」となったりもする。その場合はClicks Keyboard上にあるソフトウェアキーボード展開・格納キーを押して、ソフトウェアキーボードから記号入力したり変換したりして入力するのが素直な方法かも。

 それからキーボードショートカットも便利。コマンド+X/C/V/Hなど、iOSで使える物理キーボード用キーボードショートカットをClicks Keyboardでも使えるのだ。

入力言語切り替えキーやコマンドキー、ソフトウェアキーボード表示・格納キー、音声入力キーがあるので、Clicks Keyboardとソフトウェアキーボードのそれぞれの便利な操作感を並行的に利用できる。

 まあiPhoneの場合はタッチ操作とソフトウェアキーボード操作で快適に使えるように設計されているので、そこにキーボードショートカットが加わっても「すんごい便利!」ってわけではないが、「ちょっとこのフレーズをコピペしたい」的なときに、Clicks Keyboardによるスムーズな操作について「やっぱり物理ボタンは便利だ」と感じたりする。

 それと、かなりスゴいのが、iPhoneの各種機能をClicks Keyboardのキーボードショートカットで呼び出せること。具体的には、Appleのショートカットアプリの「各種ショートカット」をClicks Keyboardにキーボードショートカットとして登録できる。その方法は、Clicksの情報ページ内の「How to Turn The Clicks Keyboard for iPhone Into a Remote Control For Your Life」に書かれている。

 実際に試してみたら、たとえばClicks Keyboardの「Clicksボタン+F」でiPhoneのフラッシュライトのオンオフができたりした。あーらおもしろい!

 ただ、ショートカットをあまり使っていない俺の場合、Clicks Keyboardのキーボードショートカットを使って、どう便利にAppleのショートカットアプリを活用すればいいのかニャ? みたいな感じであり、まだまだ使い方を模索中である。

Clicks Keyboard設定アプリも利用できる。バックライトのカスタマイズ、基本機能の設定、ファームウェアアップデートなどができつつ、Appleショートカットアプリ用のショートカットのダウンロードも可能。ただ、Clicks Keyboard+ショートカットの設定方法はアプリ内からは見ることができない。

 そんな感じのClicks Keyboardだが、難点も少々。俺的に感じる難点は、既に十分大きいiPhone 16 Pro Maxが、さらに長〜くなっちゃうこと。なので常時使う気にはなれない。場所と気分を変えて屋外で文字入力しようかな〜というとき? には? 使う? ……ん〜、iPad mini使うかなーそういうときは。みたいに、役立てるシーンがあまりない気がしているが、24,800円もしたので役立つシーンを模索中である。

長〜い。スマートフォンには見えない。これを見た人はみんなギョッとしてユーザー的には楽しいと言えよう。

 あとUSB-Cポートで充電はできるのだが、俺の場合はデータ通信ができない。仕様ではデータ通信も可能なハズだが……ファームウェアアップデートとかで解消されるのを期待したい。

 iPhoneで使える物理キーボードとしては最小サイズのClicks Keyboard。打鍵感も上々で実用性も高い。のだが、やっぱりマニアなアイテム。でもマニアの人とか俺とかにとっては楽しく遊べるアイテムなので、気になる方はジックリとチェックしてみてほしいッ!!!

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。