スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

高評判のUSBコンデンサーマイク「Yeti」が「Yeti X」へと進化!!!

Yetiかぁ……いったん断念したが新型登場で、くわッ!!! と購入♪

 2021年2月18日に発売された「Yeti X」。ロジクールのBlueマイクロフォンズブランドのコンデンサーマイクで、パソコンなどとUSB接続して楽器演奏収録からビデオ会議などまで多彩な目的に使える。むむむッと思った俺は予約注文し、発売日に実質2万2374円で購入した。

Blueマイクロフォンズ「Yeti X」。従来製品「Yeti」の上位機種にあたるUSB接続式コンデンサーマイクで、 Blue独自開発の14ミリコンデンサーカプセルを4基搭載する。指向特性は、単一指向性/無指向性/双指向性/ステレオを設定できる。周波数特性は20Hz〜20kHz、サンプリングレート/ビットレートは48kHz/24bit。スタンド装着時のサイズは11×12.2×28.9cmで、重量は1280g(マイク部のみは519g)。対応OSは、Windows 10以降およびmacOS 10.13以降。

 実は以前に「Yeti」を買おうとしてたんスよ。Yeti Xが出た現在では従来機種で下位機種になる方を。各方面でスゲく評判がよく、また2万円以下の値段で買えるということもあり。外見もイイし。

Blueマイクロフォンズ「Yeti」。Yeti Xのカラーはブラックアウト1色だが、Yetiはブラックアウト/ミッドナイトブルー/シルバーの3色がある。

 ただ、調べてみたらミョーにデカいのであった。デスクトップでのちょっとした録音やテレビ会議用としてYetiの購入を考えていた俺だが、「えっ机上に置いたら肩くらいの高さになんのコレ?」と軽く引いた。Yetiは高さが29.5cmもあるのだ(Yeti Xは28.9cm)。

 じゃあ、よりコンパクトな「Yeti NANO」にしようかな、と。しかしYeti NANOの仕様を見たら「あ〜っ残念」と購入を断念。Yeti NANOは、本体でゲイン(マイクに入った音声の増幅度合い)をコントロールできないのであった。

以前のBlueマイクロフォンズ製USBマイクのラインナップ。本体でゲインコントロールができるのはYetiだけだった。

 やっぱりマイク本体にゲインコントロールがあると何かと便利。「マイクの音量がちょっと足りない?」と思った時に、マイク本体でゲインを上げればパソコン上での音量が増えるからだ。本格的なDAWなどで録音するならソチラで音量調節することもできるが、チョイ使いにはゲインコントロールがあるマイクが便利。ツイデに、ミュートスイッチがあればなお便利だ。

 そうか〜Yeti NANOはゲインのツマミとかないのか〜。じゃあYeti……でもデカいしな〜。と、俺のYeti購入意欲は中途半端に萎えていったのであった。

 そして時はけっこー過ぎて、Yeti X(と「Snowball」)が発売され、むむむッと思った俺。欲しかったYetiの新型って感じのYeti X、ちょっと良さげな仕様になっていた。

Blueマイクロフォンズ製USBマイクの現在のラインナップ。「Yeticaster」(https://www.bluemic.com/ja-jp/products/yeticaster/)はYetiとショックマウントとアームのセット品。「Yeti Pro」(https://www.bluemic.com/ja-jp/products/yeti-pro/)はUSB接続でもXLR(キャノン)ケーブル接続でも使える、より幅広い用途に対応した製品。

 くわッ!!! Yeti X、改めて欲しいゼっ!!! そんな気分になり予約購入した次第。てなわけで以降、Yeti Xの使用感などについて書いてみたい。

Yeti X、でかっ!!! でもプロ気分になれてイイよね〜(とサイズに目をつむる)

 Yeti Xを予約購入し、2021年2月18日にブツを手にした時の印象は今でもよく覚えている。「でかっ!!!」ということである。まあこういう形状のボーカル向けなマイクはある程度デカかったりするが、「いい音のマイクをちょっと汎用しよう」と考えている比較的にライトなユーザーにとっては、「これ使わない時どこにしまおう〜?」と弱気になるサイズ感である。

拙宅仕事机の上に鎮座するYeti X。その右の赤いのはiPhone 12 miniである。Yeti Xのサイズは11×12.2×28.9cm。背の高さが30cm近いのであった。
ディスプレイの前に移動させたYeti X。iPhone 12 miniも一緒のズッ友(古っ)……だョ!!! Yeti Xの後にある黒いツヤ円柱物体はMac Pro。右の青いのは11インチiPad Pro。この場でのYeti Xと11インチiPad ProとMac Proの背の高さはだ〜いたい同じ。

 でもYeti Xのフットプリントはそーんなに広くなく、台座自体は直径11cmの円状。机上を専有する感じではない「デカさ」だ。背の高い細マッチョなイケメンということでヒトツ……。ともあれ、あらためてYeti Xの概要を写真と説明文で見ていこう。

Yeti Xの外観。基本的にはスタンドに装着した状態で使うが、スタンドは取り外すことができ、ショックマウントやマイクスタンドに装着しての使用も可能だ。
上部にあるメッシュの中にBlue独自開発の14ミリコンデンサーカプセルが4基入っている。
Yeti Xは、音源が立ったマイクと正対するようにして使う。マイク上部(先端)を音源に向けるのは間違った使い方だ。
マイク下部(底面)には3.5mmイヤホンジャックとmicroUSBポートがある。中央の穴は、いわゆるSHURE規格(5/8インチ)のネジ穴で、ショックマウントやマイクスタンドに取り付けるためのもの。ゴムの簡易フタ付き。
本体背面には指向特性を切り替えるためのボタンがある。押す毎に、ステレオモード→オムニ(無指向性)モード→カーディオイド(単一指向性)モード→バイディレクショナル(双指向性)モード→ステレオモード……と切り替わる。
Yeti Xは4つの指向特性を切り替えられる。
本体前面にある「スマートノブ」操作で、ゲイン調節やミュート操作、ヘッドフォン音量操作、ヘッドフォンでモニターする音声のミキシング量調節が行える。通常使用時はLEDにより入力レベルをモニタリングできる。操作モードの切り替えはノブの長押し(1秒)。マイクやヘッドホンの形のランプが点灯して操作モードを示す。
通常使用時はLEDにより入力レベルが示される。マイクの形のLEDが点灯しているので、この状態でツマミを回すとゲイン調節となる。
ゲインを調節している様子。
ゲイン調節モードでノブを1秒長押しするとヘッドホン音量調整モードへ移行する。ここでノブを回すとヘッドホン音量調整を行える。
さらにノブを1秒長押しするとブレンドモードへ。ノブを回すと、PCからの音声とマイクからの入力音声のミックスバランスを調節できる。このモードでノブを1秒長押しすると、ゲイン調節モードになる。
ノブの1秒長押しで、ゲイン調節モード→ヘッドホン音量調整モード→ブレンドモード→ゲイン調節モード……と切り替わるが、どのモードでもノブを短押しするとミュート状態となる。ミュート状態でノブを短押しすればミュートが解除される。

  操作性における使用感を俺的に述べれば、ヒッジョーに使いやすい 。指向特性は通常ひとり使用なのでカーディオイドにしており、指向特性切り替えボタンはあまり触れる必要がないため、それが背面にあるのはイイ感じ。ただ、たま〜にマイクの向きを変える時にボタンに触れてしまい、指向特性が変わっちゃったりして、そこはちょっと注意が必要。

 スマートノブも便利。短押しでミュートができるのがまず実用的だし、1秒押しで各モードが切り替えられ、LED表示で現在どのモードにあるのもわかりやすい。全体的に優れた操作性のUSBマイクだと感じられた。

単体で使って、とりあえずイイ音っ!!!

 Yeti Xの音質だが、総じて声をしっかりバッチリ詳細にクリアに拾ってくれる。ネット通販の最安値圏では2万3000円を切る価格で買えるが、この価格帯で買えるコンデンサーマイクとしては音質的コストパフォーマンスは十分高いと感じる。前述のボタンなどの操作性を考えれば、ライトユーザーがこれから使い始める高音質USB接続コンデンサーマイクとしては選択肢の上位に入れるべきと思う。

 楽器などの音も十分クリアかつ繊細に拾ってくれるマイクではある。が、楽器の音などは他にもっと良いソリューションとなるマイクがあったりする。机上にポンと置き、口に正対させて音声収録。Yeti Xはそんな使い方に最も向いていると思う。

 てゅーか、パソコンにUSB接続して、何の調節も工夫もナシにいきなりハイレベルな音質って、凄いっスねこのマイク。あと、細かいことを言えば、こういった価格帯より上のコンデンサーマイクと比べると、細かな騒音・雑音を拾いにくい特性もある気がする。そういった音質的バランスの良さを実感すると、前述の本体のデカさとかは全然許せてしまう。

 全体的な使用感としては、個人的にはゲイン調節が手軽にでき、その音量幅も十分あるのが非常に好印象。声を張らずとも自然に十分な音量の音声をPCなどに入力できる。手間がかからず、高音質。非常にイイ。

 あとミュートボタンが便利。ボタンの丸い発光部が赤く光るのでミュート状態がわかりやすいのも良い。もう少し軽い押下力でミュートできたらより便利とは思うが、ともあれ、俺としてはやはり、ミュートボタンとゲイン調節ボタンがないUSBマイクにはますます手を出せなくなった。

 ただ、ボタン押下時の音をマイクが拾ってしまう。「コクッ」的な音だ。使用中にモードを頻繁に切り替える場合、ストリーミング配信などでは何度も「コクッ」音が配信されてしまうかも? ただ、いったんミュートにしてからモードを切り替えれば大きな問題にはならない感じ。この音がイヤならアプリなどでミュートを行うということになるが、このボタンの音の対策もしっかり行われていたらなぁ、とは思う。

 なお、ボタン押下でミュートする場合は必ず「コクッ」音が入ってしまう。逆にミュート解除時には入らない。聴いている側にとってこの「コクッ」的な音は、耳障りではなく「あ、なんかボタン押したのかな」くらいの音ではある。

 それから指向特性もなかなかシッカリと切り替わるという印象。いつもはカーディオイドを使い、専らマイク手前の音声だけを拾うようにしているが、周囲の雑音はあまり拾わなくて「狙い通り」という感じ。ほかのモードはほとんど使わないが、ステレオモードではけっこうシッカリしたステレオ感が得られるのにチョイと驚いた。

 老婆心から言えば、Yeti Xはかなり高性能のコンデンサーマイクなので、「Yeti X使えば目的の音だけキレイに録れるんでしょ」というスタンスではヤバいかもしれない。繊細な音までしっかり拾うマイクだけに、周囲の騒音・雑音対策を行いつつ、適切な指向特性モードを使わないと、騒音・雑音も拾われてしまうのであった。

 たとえば、キーボードの周囲にYeti Xを置いてビデオ会議用マイクとして使い、時々キーボードを叩いたりすると、キーボードを叩いた音もその振動も、Yeti Xが拾ってしまう。マイクの向きやキーボードを叩く強さに気をつけたり、あるいはYeti Xをショックマウントに取り付けるなどの対策が必要になるだろう。

Yeti Xの活用幅を広げるLogicool G HUB

 Yeti Xには「BLUE VO!CE ブロードキャスト・ボーカルエフェクト」という機能がある(以下、BLUE VO!CE機能)。別途アプリを使うとリアルタイムでの音声エフェクト効果が得られるというものだ。Yeti Xで拾った音声を好みの音質に変えられるわけですな。

BLUE VO!CE機能を使うには「Logicool G HUB」アプリが必要。ゲーム関連のハードウェアを一括して設定するためのアプリだが、Yeti Xも設定できる(BLUE VO!CE機能を使える)。別途インストールが必要だ。
Logicool G HUBアプリからは、ゲインや指向特性などYeti Xの各種設定が行える。また、プリセットを選ぶことでマイクの音質も変えられる。
Yeti Xのボタン周囲にあるLEDの色も変えることができる。ボタンのリング状LEDライトはブリージング(呼吸するような感じで明るさが増減)させることもできる。
ブレンドモード、ヘッドホン音量調整モード、ゲイン調節モード、指向特性もアプリから設定できるので、Logicool G HUBアプリを使えばYeti Xに触れずとも全てのマイク設定が行えることになる。

 Logicool G HUBアプリを使えば、Yeti Xをパソコンから完全に設定・調節することができるわけだが、特にBLUE VO!CE機能が興味深い。基本的にはプリセットから音質を選ぶだけで済むわけだが、プリセットを別名保存して細かく微調整して好みの音質に追い込んだりすることができる。

 また、Logi ID(ロジクールアカウント)があれば、他ユーザーが作成したプリセットをダウンロードして使うこともできる。ダウンロードしたプリセットを調節することも可能。

Logicool G HUBアプリの「マイク」からBLUE VO!CEプリセットを選んで音質を変えてみる。気に入ればそのまま使っても良いが、プリセットをコピーしてユーザー好みの音質に微調整することもできる。中央と右はプリセットのコピーに対し、ボイスEQの微調整を行おうとしている様子。
「その他のプリセットを参照」からは、LOGI IDユーザーが作成したBLUE VO!CEプリセットをダウンロードして使うことができる(要Logi ID)。BLUE VO!CEプリセットのみならず、膨大なLogicool G HUBアプリ対応データがあるが、「Yeti X」や好みの音質などで絞り込み検索していける。そしてクリック一発でダウンロード完了。右のように、ダウンロードしたプリセットをそのまま使うもよし、自分好みに調節するもよし。

 イチから自分で音声エフェクト(音質)を作り上げていくのも楽しいが、けっこう知識が要ってタイヘンだったりもする。たとえばコンプレッサーやリミッターをうまく設定できれば、小さめの声から叫び声まで音量などを整えて収録することができるが、設定を誤れば話し始めだけ声が大きいと思ったら途中で音量が不自然にダウンするなど聴きにくい音声になったりもする。

 なので、たとえばBLUE VO!CEプリセットを選んで、高度な設定はそのまま使い、ボイスEQだけイジって低音を増して深みのある声にしたり、高音を増して聞き取りやすくしたりなどすれば、ハードルが低い。BLUE VO!CEプリセットを使ってみて、「ここをもうちょっと……」というところだけ変えていくのが、BLUE VO!CE機能の大きな利便という気がする。

 先達の自作BLUE VO!CEプリセットをダウンロードして使えるのもイイですな。探してみると「そうそう、そういう音質にしたかった」という自作プリセットがけっこう見つかる。無料だし、ありがたく使わせていただきたいところ。

 このBLUE VO!CE機能、自分の声の印象がかなり変わる。好印象な方向で変えられ、「本番用の声」をいくつでも用意しておける。Yeti Xを買ったらぜひ使いたい機能のひとつだ。

 なお、BLUE VO!CE機能はPCとLogicool G HUBアプリによるリアルタイム音声エフェクトによるもの。なので、Logicool G HUBアプリがインストールされたPCにYeti Xをつないで使った場合以外は、Yeti Xのプレーンな音質になる。PCでBLUE VO!CE機能を使いYeti Xの音質を変えて、Yeti Xを別の機器に接続して使っても、その音質変化の効果は得られないというわけだ。

 でも非常にツカエるBLUE VO!CE機能。マイクを多用するユーザーは、ストリーミング配信用、ゲームでのボイスチャット用、ビデオ会議用などとして、最も適したボーカルエフェクトのプリセットを多数用意するといいのではなかろうか。

 てな感じのYeti X。音質的素性が非常に良いと感じられるし、Logicool G HUBアプリと併用すれば音質幅がグググッと広がってさらに実用的になる。操作感もいい。非常にコストパフォーマンスが高い製品だと思うので、USB接続コンデンサーマイクを探している人はぜひチェックしてみてほしい!!!

Amazonで購入
スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。