スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

テレワークの「耳痛」問題は骨伝導イヤフォンで解消だゼ!!!

イヤフォン常用で耳が痛い、外耳炎にも!!! だったら骨伝導だョ♪

 コロナ禍でWeb会議などの機会が増えた俺。会議中に相手の声をイヤフォンで聞くので、去年からイヤフォン使用率がグッと上がった。

AfterShokzの「OPENMOVE」。2020年9月18日に発売された骨伝導ワイヤレスヘッドセットで、ノイズキャンセリング対応マイクを内蔵。価格は9090円(税別、以下同)。

 いや〜最近は高性能なノイズキャンセリングイヤフォンが増えて、しかも外音取り込み機能も使えたりするので、快適♪ と思っていたが、去年の秋口に外耳炎(外耳道炎)になったもよう。これを解消するため、AfterShokz(アフターショックス)骨伝導ヘッドセットを使い始めた。

 骨伝導イヤフォンは頭蓋骨(側頭骨)などに振動を伝えるイヤフォン。頭蓋骨に伝わった振動は蝸牛から聴神経へと伝達されて音として聞こえる。骨伝導イヤフォンは騒音が多い場所で有効であるほか、耳の穴を塞がないので外音を聞く必要がある場合にも有用だ。

AfterShokzの「OPENCOMM」。クラウドファンディングで発売された骨伝導ワイヤレスヘッドセットだが、2020年12月頃から市販も開始された。ノイズキャンセリング対応のブームマイクを搭載している。価格は1万8180円。

 結果として、これら2機種を購入した。まず外耳炎になった直後、タイミングよく発売されたOPENMOVEを買って使ってみたら、これが意外なほど快適。イヤフォンの音もマイクの音も良かった。外耳炎は間もなく治った。

 え〜っ骨伝導のワイヤレスヘッドセットでの通話ってスゲく快適じゃん!!! と気を良くしていたら、今度はニョキッと伸びるノイズキャンセリング対応ブームマイク搭載のOPENCOMMが発売されたので追加購入。こちらはさらに使用感が良いのであった。

 ちなみに、外耳炎とは耳の穴の外耳道と呼ばれる部分にできる炎症。外耳道は耳の穴~鼓膜までの3cmほどを指し、そこに炎症が起きたら外耳炎。原因の多くは「あ〜痒っ!!!」と耳をガシガシ掻いたりすることだそうだ。

 確かに心当たりがある。インナーイヤー型の、つまり耳の穴に挿入するタイプのイヤフォンを使ってWeb会議した後、外耳が何となく痒い感じがしてよく掻いていた。まあ、頻繁にイヤフォンを使うようになったので、耳の穴に負担がかかったことや菌が付着しやすくなったこともあると思う。なお、俺の外耳炎は外耳道の入り口付近にできがち。うっかり耳の入口を指で引っ掻いて外耳炎になることがけっこうある。

 てか、「テレワーク 外耳炎」で検索すると驚きますネ。コロナ禍のテレワーク急増で外耳炎罹患者も急増しているらしい。でも、もしイヤフォンの多用が外耳炎の原因なら、耳の穴に触れることがない骨伝導イヤフォンを使えば問題大解消っスよ♪ てなわけで、今回はAfterShokzの2つの骨伝導ヘッドセット、OPENMOVEとOPENCOMMについてレビューしてゆきたいッ!!!

AfterShokz OPENMOVEに軽く感動

 まずAfterShokzのOPENMOVE。2020年09月18日に注文して間もなく入手し、使い始めた。ホントは2018年に買ったAfterShokzの「TREKZ TITANIUM」を使おうと思っていたのだが……あれ!? なくした? ん?

 というわけで発売日にOPENMOVEをポチッとしたのであった。ヨドバシ・ドット・コムにて9990円(税込)で488円のゴールドポイント還元。9502円で手に入ったことになる。1万円以下で買える骨伝導イヤフォンというわけですな。以下、OPENMOVEの概要を写真と説明文で見ていこう。

パッケージにはOPENMOVE本体のほか、USB-C充電ケーブル、キャリングポーチ、イヤープラグ(耳栓)、取扱説明書が同梱されている。
質量は29g。Bluetooth 5.0準拠のチップQualcomm「QCC3024」を搭載し、BluetoothプロファイルはA2DP/AVRCP/HSP/HFPに対応。充電時間は最長約2時間で、連続再生時間は6時間以上、連続待機時間は約10日間。
こんなふうに装着する。耳の前方に見える楕円の部分がドライバーで、この部分が振動して骨伝導イヤフォンとして機能する。耳の穴は一切塞がれない。
軽いことに加えてフィット感が良好。走ったり頭を振ったりしてもまず外れることはない。防水防塵等級はIP55に対応するので、スポーツ中の使用も現実的。IP55は、有害な影響が発生するほどの粉塵が中に入らず(防塵形)、あらゆる方向からの噴流水による有害な影響がないこと(防噴流形)を意味する。

 実際の使用感だが、まず耳の穴を一切塞がないので、周囲の音が全て聞こえる。耳の穴に触れることもないので、イヤフォンの接触が原因での外耳炎も発症しない。

 音質は、低音や高音があまり強く出ないので、音楽を高音質で聴くには向かない感じ。だが、BGM的に音楽を流しておくような使い方ならフツーに良好音質だと感じられる。

 イコライザーも搭載している。音声再生時に「音量+」ボタンと「音量ー」ボタンを約3秒同時押しすると、「スタンダードモード」「ボーカルモード」「イヤプラグモード」に順次切り替わる。ボーカルモードにすると人の声の帯域がよく聞こえるようになるので、通話やWeb会議はこのモードにするとイイ感じ。イヤプラグモードは同梱の耳栓を使ってより高音質で音楽などを楽しむ場合に使う。

右耳の後ろに位置する箇所に電源ボタンやボリュームボタン、充電用USB-Cポートがある。

 で、前述のとおり外耳炎になった時にOPENMOVEを使ったわけだが、「あー耳に当たらない〜快適〜♪」と軽く感動。まあ骨伝導イヤフォンなので当然だが、「そうだよな〜このテがあったんだよな〜」と骨伝導イヤフォンの利便を改めて実感した。

 Web会議などで相手の声もしっかり聞こえる。ただ、声の大きさや声質などによっては、耳の付近が「こそばゆい」という感じになることも。その場合、ドライバーが当たる位置を少しずらしたり、音量を抑えたりすると対処できることが多い。また「一瞬のこそばゆさ」でもあるので、俺の場合はそーんなには気にならない。でも、も〜しかするとこの「こそばゆさ」について「一瞬でもくすぐったいのはムリ!」って人もいるかもしれない。

 それと、OPENMOVEはノイズキャンセリング機能付きのマイクが内蔵されている。Web会議では据え置きマイクを使っているが、試しにOPENMOVE内蔵マイクを使ってみたら、予想外に実用的だった。こちらの声だけをしっかり伝えてくれる。話し終えるとこちらの音がミュートされるようにマイクからの音がカットされる感じもなかなかイイ。

 ただ、話し声がしっかり伝わるものの、マイクの音質自体は人工的に加工された音という感じで、高音質というイメージではない。コンプレッサーとリミッターが強く効いた高圧縮音声、みたいなイメージだ。

左側ドライバー外側にマルチファンクションボタンがある。マルチファンクションボタンの機能は以下の表のとおり。

 あと、メガネを掛けつつOPENMOVEを装着すると、メガネのフレーム(モダン)と干渉することがある。そしてメガネのフレームとOPENMOVEの耳掛け部分が擦れて「ギュッギュ」と音が出ることがある。OPENMOVEの内蔵マイクを使っている場合、この音は相手に伝わってしまう。メガネの上からOPENMOVEを装着するとそうなることが多い。OPENMOVEを装着してその上にメガネを掛けると解消されることが多い。

 ほか、マルチポイントペアリングに対応していて2台のデバイスに同時接続しておける。使い方によっては便利だと思うが、俺の場合はWeb会議中などに音声が不意に別のデバイスに切り替わったら困るかもな〜と考えて、マルチポイントペアリングは全然使っていない。

 余談だが、OPENMOVEは電源オンオフ時や各種モード切り替え時に、Audrey(オードリー)という音声案内が流れる。日本語で女性の声。たとえば電源をオンにすると「AfterShokzへよこそ」と、ちょっと元気が出る雰囲気のアナウンスがある。他にもいろいろ。下の表のとおり。

 フツーに便利な音声案内機能だが、電源をオフにした時の音声が微妙に切ない。「終了します」という音声なのだが、イメージ的には「終了します……(´・ω・`)ショボーン」みたいな、ちょっと物悲しい声に聞こえるのであった。完全に余談なのであった。

AfterShokz OPENCOMMも買っちゃえ〜♪

 OPENMOVEは予想以上に使用感が良かった。でも俺的には内蔵マイク音質がもう一歩という感じだったので、Web会議などではOPENMOVEを骨伝導イヤフォンとして使い、マイクは別のものを使っていた。

 そんなところへAfterShokz OPENCOMMが登場。最初はクラウドファンディングでの販売だったが、12月頃に市販が始まったので購入した。

左がOPENMOVE、右がOPENCOMM。OPENCOMMにはノイズキャンセリング対応のブームマイクが搭載されている。なお、価格はOPENMOVEが税別9090円、OPENCOMMが税別1万8180円。ちょうど倍。

 購入理由はノイズキャンセリング対応のブームマイク。きっとマイク音質重視のヘッドセットに違いない!!! と考えたのであった。以下、OPENCOMMの概要を写真と説明文で見ていこう。

パッケージにはOPENCOMM本体のほか、専用のマグネット充電ケーブル、キャリーケース、説明書類が同梱されている。
キャリーケースはOPENCOMM専用。本体をピッタリとホールドする窪みが設けられている。
専用のマグネット充電ケーブルは、磁力によりOPENCOMMに吸着。脱着が手軽で便利。だが、断線した場合を考えると、フツーにUSB-C充電でもよかったのかな、と。でもプレミアム感はある。
質量は33g。Bluetooth 5.0準拠のチップQualcomm「QCC3024」を搭載し、BluetoothプロファイルはA2DP/AVRCP/HSP/HFPに対応。充電時間は最長約1時間で、連続再生時間は最長16時間(音楽再生は最長8時間)以上、連続待機時間は約14日間。また、5分の急速充電で最大2時間の使用が可能。NFCによるペアリングにも対応している。
こんな感じで装着。マイクは口の近くまで来る。不使用時は上方や後方に向けておける。耳のカタチによっては、マイクを後方に向けても耳に当たらない。
フィット感は良好で、頭を振ったりしても外れることはないが、ブームマイクがあるのでスポーツにはあまり向かない感じ。防水防塵等級はIP55に対応。IP55は、有害な影響が発生するほどの粉塵が中に入らなず(防塵形)、あらゆる方向からの噴流水による有害な影響がない(防噴流形)という防水防塵性能。
ボタン類および充電用ポートは右耳側に集まっている。ボタンは、電源ボタン、ボリュームボタン、マルチファンクションボタン(ドライバーの外側)がある。マルチファンクションボタンの機能は以下の表のとおり。

 ブームマイクに期待しての使用感について、結論から書いてしまうと、前出のOPENMOVEよりも「ちょっとマイク音質がいいかな」といった感じ。倍のお値段だからマイク性能がドーンと上がる……ということはなかった。やや残念。でもWeb会議や通話には十分高音質であり、ノイズキャンセリングもしっかり機能していて実用性は高い。

 音質については、これも前出のOPENMOVEより……ちょっとイイかな……でも大きくは変わらないかな? みたいな。とは言っても、OPENMOVEもOPENCOMMも、どちらも音楽を楽しめるレベルの音質。骨伝導イヤフォンとしてはかなり高音質だと思う。

 明らかにナイスだと感じられたのが、OPENCOMMの耳に掛かる部分の細さ。前出のOPENMOVEよりずっと細くてフィット感がワンランク上だと感じる。また、メガネを掛けた上にOPENCOMMを装着しても双方が干渉しにくく、その材質からか擦れても「ギュッギュ」というような音は出ない。

 それと、マルチポイントペアリングに対応していて2台のデバイスに同時接続しておける。が、OPENMOVEと同じ理由で、俺の場合はこの機能は使っていない。

 あと、OPENCOMMでもAudrey(オードリー)という音声案内が流れる。「終了します……(´・ω・`)ショボーン」みたいな切なさもOPENMOVEと同様だ。

 ひとつ残念なのが、イコライザー機能。説明書にほぼ説明がないのでイマイチよくわからないが、恐らく通常音質と会話向け音質を切り替える2種のイコライザーが搭載されていると思われる。切り替えは音声再生時に「音量+」ボタンと「音量ー」ボタンを約3秒同時押し。イコライザーの働きは良好だが、切り替え時の音声案内が「イコライザを変更しました」だけなので、音源によっては「あれ今どっちのイコライザーに切り替わったのかな」と戸惑うことがある。どちらのイコライザーを適用したのか明示的に案内してほしかった。

 OPENCOMMについて、率直なところ、前出のOPENMOVEの倍の価格というのがちょっと引っかかる。OPENCOMMはフィット感もいいし、イヤフォンやマイクの音質もけっこうイイし、バッテリー持続時間も16時間と長い。使っていて非常に快適なこともあり、税別1万8180円という価格にもまあ納得できる。

 のだが、OPENCOMMにわりと近い性能のOPENMOVEが税別9090円。OPENMOVEのコストパフォーマンスが高すぎると言えばそれまでだが、な〜んかこの価格差には釈然としない。

 でもWeb会議用や通話用に買うならOPENCOMMかな、と。フィット感の良さとバッテリー持続時間長さ、これらは大きな機能性だ。一方、単にいい音の骨伝導イヤフォンを使いたいというだけなら、OPENMOVEのコスパの高さが魅力になると思う。

3つの点が気にならないなら、かなり「買い度」が高い骨伝導ワイヤレスヘッドセット

 OPENMOVEもOPENCOMMも、どちらもWeb会議や通話において使いやすく、骨伝導イヤフォンとしてはかな〜り高音質だと感じられる。骨伝導イヤフォンとして完成度高いっス。

 でも、俺としては「もしかしたら人によって大きめの難点になるかも」と思える点が3つほど感じられた。それぞれご説明したい。

 まず、「耳がこそばゆい」と感じることがある点。聞く音や音量によって、骨伝導イヤフォンのドライバー部分(耳の穴の近く)の振動が「くすぐったい」と感じられたりする。まあこれは骨伝導イヤフォンだからしょうがない。でも「耳の近くが超敏感!」って人にとっては、この振動は「無理」かもしれない。

 それから音漏れ。俺的観点では、AfterShokzの骨伝導イヤフォンは音がけっこう漏れる方だと思う。たとえば音楽を聴いている場合、隣の人に「何の曲を聴いているのか」がわかってしまうと思う。Web会議の会話も、隣の人に内容を聞かれてしまう場合があると思う。電車の中で音楽を聴いたりすれば、周囲の人にシャカシャカ音が伝わって迷惑になると思われる。

 あとはマイク音質。これはヘッドセットにわりと共通している問題だが、やはりマトモな単体マイクの方がずっと自然で明瞭な音であり高音質だ。今回紹介した2品のマイクは、このテのヘッドセットとしてはいい音の部類で実用的だとは思うが、やはりマトモな単体マイクの音質には及ばない。

 このあたりが気にならないなら、どちらも骨伝導イヤフォンも「買い」だと思う。使い方によっては、普通のワイヤレスイヤフォンやワイヤレスヘッドセットより「ワイヤレスの骨伝導のほうがず〜っと便利♪」と感じられると思う。

 なので、「欲しいかも」って人は、やはり、ゼヒ!!! 一度試聴してみてほしい。

 ちなみに、AfterShokzの骨伝導イヤフォンは、「購入日から30日以内、 返品・返金保証」サービスが使えるようだ。買って使ってみたら「こんなハズじゃなかった」という場合は、積極的に「購入日から30日以内、 返品・返金保証」を使うのがいいと思う。

Amazonで購入

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。