スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

紙書類のスキャンはもっぱらスマートフォンで行う俺

スキャナー専用機が不要になりつつある時代?

 スマートフォンはさまざまなモノを吸収してしまった。携帯ゲーム機でしょ〜時計でしょ〜音楽プレイヤーでしょ〜電卓に辞書に雑誌でしょ〜……挙げればキリがないし、挙げるほどにな〜んか寂しくもなってくる。

 残すべきモノもあると思うのだが、まあそれはさておき、スマートフォンに吸収されて「こりゃ便利」と思えるのが「デジタルカメラ」だ。最近のスマートフォンは特に高画質化が著しいので、コンパクトデジカメなどの出番が激減している。

今時的スマートフォンのカメラは高性能。これはiPhone 12 miniだが、デジタルカメラとして十分に役立てられる性能がある。
iPhone 12 miniで撮ったスナップ。場合によってはミラーレスデジタル一眼カメラよりも「好印象」と思える写真が撮れちゃたりする。

 そんなわけで俺もスマートフォンのカメラを使いまくり。そして気づいてみたら紙書類のスキャンもスマートフォンで行いまくりになっていた。また、そのためのアプリもけっこう存在している。

例えば「CamScanner」アプリ。iOS版Android版があるが、スマートフォンのカメラで紙書類を撮影すると半自動で整形してくれる。

 ちょっとした紙書類のデジタル化なら、スマートフォンで↑こういうよーなアプリを使えば事足りてしまう。特に最近のスマートフォンだと、そもそもカメラが高画質なので十分に実用的なスキャンができる。

 なのだが、このテのアプリを使うと、「ラクに紙書類をスキャン」できるものの、そのラクさのしわ寄せも出たりする。使い方によってはスキャン結果がイマイチになったり。後で「アーッ!!! 読み取れない箇所があるーッ!!!」みたいなコトも。

左がCamScannerでスキャンしたもの。斜めの画像を処理しているため、場合によってはカメラ本来の解像度でのスキャンができなかったりする。右はスマートフォンのカメラアプリで撮ったもの。その差は歴然だ。なお、どちらの画像もiPhone 12 Pro Maxによるもの。また、この書類(以降もサンプルとして登場する)は平成4年(1992年)の俺の預金通帳であり、現在の俺は昔の預金通帳をスマートフォンを使ってデジタル化している最中なのであった。

 上のスキャンの違いはやや極端ではあるが、お手軽スキャンアプリだと原本のイメージがけっこう損なわれることがある。そうならないためには、お手軽スキャンアプリであっても、ある程度マジメな姿勢と環境でスキャンする必要がある。

 となると「な〜んだ、あんまりお手軽じゃないじゃん」と。そして「最初からスマートフォンのカメラアプリで撮ればいいかな」とも。まあこのテのお手軽スキャンアプリは、撮影もその後のファイル管理までアプリ任せにできるといったトータルのお手軽さが良いのだが。

 さておき俺の場合、近年はスマートフォンの純正カメラアプリを使い、紙書類のスキャンを行っている。で、そのスキャン方法(撮影方法)がだいぶ固まり、かなり良好な結果がコンスタントに得られるようになったので、今回はその方法などについて書いてみたい。なお、以降でスキャン(撮影)に使っているスマートフォンはiPhone 12 Pro Maxだ。

紙書類を置く斜めの台(書見台)などを使う

 まずは原稿の置き場所から。結論から言えば書見台のような「原稿を斜めにして置ける台」を使うのが良い。

 原稿を机上に置いて撮った場合、スマートフォンや自分が影になったり、あるいは原稿に何かが反射したりして、なかなか良好な結果が得られないのはご存知のとおり。書見台のような斜めの原稿台を使えば、書類に照明が均等に当たり、スマートフォンの影もできず、撮影もしやすいというわけだ。以下、写真と説明文で見てみよう。

俺が多用している書見台。スキャン原稿を斜めに置くことで、天井からの照明が原稿へと均等に当たって影が出づらい。表面に光沢がある原稿の場合、書見台の角度調節により原稿表面の反射を除去しやすい。原稿の真正面にスマートフォンのカメラを構えられるので撮影しやすく、原稿を真正面から撮れるのでスキャン結果が台形に歪むようなことも少ない。なおこの書見台はAmazonで2380円で売られている「essante ブックスタンド(307×210mm)」。使いやすくコンパクトにしまえて非常に便利。
書見台に置いた原稿。書見台をある程度寝かせれば、紙書類がうまい具合に自立したりする。中央はそのスキャン(撮影)結果で、右はドットバイドットの画像。。しっかり読み取れる(実際の画像はもっと高画質)。……なんか電話料金高いしローンの支払がけっこう高額だぞ〜大丈夫か〜?>約30年前の俺。
原稿が自立しなかったり、原稿を書見台の中央など特定の位置にセットしたい場合は、コクヨのソフト粘着剤「ひっつき虫」などを使い、原稿を書見台に貼り付ける。

 原稿をセットする台として、サンワサプライの「データホルダー 201-DH319W」も使っている。サンワダイレクトで2980円(税込)。↓こんなの。

データホルダーとしてもホワイトボードとしてもブックスタンド(書見台)としても使えるサンワサプライ「データホルダー 201-DH319W」。A4書類をセットでき、ホワイトボードの面は磁石が吸着するので、磁石で原稿をセットするのにも向く。ただし角度は固定なので照明の位置によっては使いにくい場合があるかもしれない。また、写真より実物のほうが大きいというイメージで、収納時はやや嵩張る。

 ともあれ、書見台を使った途端にスマートフォンによるスキャン結果が劇的に向上したりする。ので、まずは書見台を超絶オススメしてゆきたい!!! まあ斜めに原稿をセットできる台なら何でもイイんスけどネ。タブレットスタンド+適当な板とかでも。

デスクライトなどで原稿を十分明るく照らす

 続いて照明にも一手間。デスクライトなどで原稿をしっかり明るく照らすのである。って、撮影でしっかりした照明を使うのは当たり前と言えば当たり前だが、そのアタリマエについてマジメに一手間かけると、スキャン結果は向上する。

デスクライトなどを使って原稿を明るく照らす。今時的スマートフォンは暗い場所でもけっこう撮れちゃうモンではあるが、暗いと画像にノイズが増え、明暗階調も不自然になり、手ブレしやすくなったりもする。スマートフォンによるスキャンにおいて、光量不足はいろいろ不利なのだ。
左が天井の照明だけを使って撮影したもの。右がデスクライトも併用して撮影したもの。デスクライトを使って原稿を前方から照らすと、原稿表面に生じる僅かな影も消すことができる。……あっ何その「KKNリソク 1451円」って!? 1990年頃、例えば郵便貯金の3年以上定期預金の金利(利息)はナンと6%以上もあった。が、その頃から利息はどんどん右肩下がりになるのであった。
左が天井照明のみ、右がデスクライト併用で、どちらもドットバイドットの画像。デスクライトを使って撮った方は、黒い印字の明暗階調が豊かで細部もよく再現されている。通帳台紙の小さな文字もより鮮明に見える。

 書見台を使えばスキャン結果がグッと良好になり、デスクライトを加えればスキャンのクオリティがさらに1段高まる。ここまで、大した手間ではないので、スマートフォンで紙書類などをスキャンするなら、ぜひ書見台&追加照明を使ってほしい。

プラスαで歪み原稿対応、枚数多めでも大丈夫

 さらに少々モノと手間を加えると、より幅広い対象をスキャンできるようになる。例えば若干の歪みがあるような原稿のスキャン。方法としてはアクリル板やガラス板を使えばいいだけだが、効果は大きい。

こちらはA4サイズの硝子板。厚みは6mmある。これを書見台に乗せた原稿の上に被せれば、原稿表面の歪みをなくしたり緩和することができる。
左はガラス板なし、右はガラス板あり。ガラス板を被せることで原稿表面の歪みがほぼ解消された。
そのスキャン結果。左はガラス板なし、右はガラス板あり。歪みによる原稿上の影は照明の当て方でも解消できるが、ガラス板で原稿の平滑性を高めれば、スキャン結果の鮮明さがより高まる。……あれ〜平成4年8月にローン引き落とし増えてない〜大丈夫〜?>昔の俺。

 ガラス板1枚使うだけで、やはりスキャン結果がだいぶ違ってくる。ちなみにA4サイズで厚手のガラス板はネットで探すと1500円くらいで手に入ったりするが、意外なほどこのサイズは売られていない。A4サイズのアクリル板はけっこう売られているが、薄いものが多いので「原稿を押さえつける用途」にはイマイチ向かないかもしれない。

 あと、書見台とガラス板を組み合わせて使うと、ページをめくりながらのスキャンもわりと効率よく行える。ガラス板の下部を支点として、ガラス板を手前に倒してページをめくって、ガラス板を元に戻して原稿を押さえつけて撮影、みたいな。ただし、いちいちスマートフォンを置くことになるので、この場合は三脚などを使うのがいいだろう。

原稿を置く台の手前にスマートフォンを三脚とホルダーで固定。こうすればページ数や枚数が多い原稿でも、効率よくスキャンしていける。
こちらはBluetoothリモコンシャッター。こんなものを併用するとさらに効率よくスキャンしていける。

 書見台、ソフト粘着剤、デスクライトにガラス板まで使えば、今時的スマートフォンを使ってかなりハイクオリティな紙書類スキャンが可能だ。そして、ミニ三脚とスマートフォンホルダーとBluetoothリモコンシャッターを加えれば、ある程度枚数の多いスキャンも効率よく行える。「紙書類をデジタル化したいけど、スキャナーを買うってほどでもないんだよな〜」てな方は、ぜひスマートフォンでの高画質スキャンを試してみてほしい♪

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。