スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

突如襲いかかる災害、モバイル対処を考える――Rakuten UN-LIMIT VIを活用、モバイルバッテリーのオススメとは

東日本大震災から10年、あらためて気を引き締めて備える

 2011年3月11日14時46分に発生した東日本大震災。大きな被害は免れた俺近辺であるが、その後イロイロと「災害に対する備え」を行うようになった。災害に襲われた時、どう対処するのがいいか、何を用意しておくのがいいか。

 でも実際、時間が経つと徐々に気が緩んでくるのであった。東日本大震災後の数年は、大容量バッテリー確保!!! 水も備蓄!!! 簡易トイレもだ!!! とアレコレ用意したものだが、ここ数年は「ん〜災害時はコレがきっと役立つけど……また今度でいいや」みたいな。

 てなわけで今回は、自らの気を引き締める意味でも、あらためて災害に対する備えについて考えてみたいと思う。切り口はモバイル。スマートフォンを中心としたモバイル的生活において、何が必要なのか、どう利用すべきかを考えてゆきたいッ!!!

予備の通話可能スマートフォンがあると安心感UPだと思うんスよね〜

 まずはスマートフォン。最近の俺の場合、「通話できるスマートフォンを複数台常時携帯しておくのがいいかも」と考えている。メインのスマートフォンとサブっていうか予備のスマートフォン。

現在の俺が常時携帯している3台のスマートフォン。左から、iPhone 12 Pro Max、iPhone 12 mini、Rakuten Mini。iPhone 12 Pro Maxにはデータ通信用SIM、ほか2台には通話可能なSIM/eSIMが入っている

 3台の端末のうち、常時電源を入れて使っているのは、iPhone 12 Pro MaxとiPhone 12 mini。iPhone 12 Pro Maxで大画面を使うと快適なアプリなどを使い、iPhone 12 miniは通話やSNSアプリなどを使っている。まあ明確な使い分けをしている感じでもないが。

 Rakuten Miniは、基本的に電源オフにしておサイフケータイによる決済専用端末として使っている。おサイフケータイは端末の電源がオフでも電池残量があれば使えるわけだが、Rakuten Miniは電池容量が少なめなので、バッテリー切れの面倒を回避するため、電源オフ運用。

 で、予備のスマートフォンという件。現状、Rakuten Miniがそれにあたる。

 予備を持つ理由は 「災害時にあるかもしれないリスク」を低減させる ため。たとえばメインの通話できるスマートフォンであるiPhone 12 miniがバッテリー切れになったり、壊れたり、あるいはiPhone 12 miniの回線が輻輳した時に、予備の端末を使うのである。輻輳とは通信が集中して通話やデータ通信が困難な状態。

 現状、メインスマートフォンのiPhone 12 miniにはIIJmioの通話対応SIMを、Rakuten Miniには楽天モバイルのeSIMが入っている。災害時にいちばん起きそうなのは携帯電話回線の輻輳だが、この2つの端末のどちらかで通話や通信ができたらイイな、と期待するわけだ。IIJmioのほーはドコモ回線、Rakuten Miniのほーはザックリ言って楽天モバイル/KDDI回線を使うわけだが、両方の回線を使えるなら、通信できる可能性もちょっと上がるかな、と。

 なお、予備スマートフォンのRakuten Miniは、電源オフで運用しつつ半月に1度くらいおサイフケータイチャージやアプリアップデートなどのために電源を入れて充電している。なので、通常に携帯していて電源を入れると、まあ90%以上はバッテリー残量がある。もともとバッテリー容量が少ない超小型スマートフォンではあるが、メイン端末使用不能時に緊急連絡をするくらいのバックアップ端末としては十分役立つ。

 ただ、これまでは「通話可能な端末を電源オフにして常時携帯すると、回線維持費がけっこーバカにならない」という問題があった。Rakuten Miniには楽天モバイルのeSIMを導入しているが、ちょっと前までは「もうすぐ0円運用できなくなって月額2980円になる」という状態だった。予備端末に毎月2980円は……ね。

 だが!!! ここに来てその状況が一変。楽天モバイルの新たな料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」からは、データ通信1GBまでは月額0円であり、Rakuten Linkアプリを使えば国内通話がかけ放題なのである。電源オフでおサイフケータイ運用の俺的Rakuten Miniは月額0円確定だゼ!!! 予備端末としても決済端末としても理想的ッ♪ みたいな。

 ただ、まだRakuten Miniのほーの電話番号は周知してないんスよね〜。ホントは「災害など緊急時にいつもの電話番号につながらない場合、000-0000-0000にご連絡ください」とかやって知らせておくべきなんだが、「また今度でいいや」が続いてしまっている。気を引き締めねば!!!

スマートフォン決済は便利♪ でも現金は必須

 おサイフケータイなどのスマートフォン決済は超絶便利。現金使うなんて面倒臭ぇ〜と思わせるほど快適に使える。だが俺の場合、やはり現金の携帯は必須だと考えている。

 ひとつは、都市部以外ではまだ電子決済が不能な店舗が少なくないこと。自動販売機やコインパーキングもそうで、クルマで郊外に出かけた時におサイフケータイしか使えないとヒッジョーに困っちゃうシチュエーションがアリガチだ。

ビニール袋に現金を入れてバッグの中に忍ばせておくと、電子決済バリバリのユーザーでも郊外への外出も安心。

 災害時はどうか? 災害にもよるが、電子決済で販売する側の停電や通信回線輻輳・遮断により、電子決済を行えないケースが出てくる。電子決済では「停電すると詰む」というケースが多数考えられる。「アーッ!!! モ〜ッ!!! ボクのおサイフケータイの中には数万円の電子マネーが入ってるのに目の前のペットボトル水1本すら買えないーッ!!!」みたいなことが起き得るのだ。

 なのでおサイフケータイなどの電子決済手段とともに、現金も携帯するのが無難だ。特に硬貨。1万円札×1枚を常時携帯していても、1万円札を使える自販機はまずない。自販機からコインパーキングから店舗まで幅広く使える硬貨はリアルに必須だ。ちょっと重いんスけどネ。

紙幣は軽くて携帯性が良いが、実際に役立つことが多いのは硬貨かもしれない。どの種類の現金がより実用的か、よく考えるべし。

 さらに細かい話をすれば、100円玉と10円玉をそこそこの枚数持っていると安心。「アーッ!!! モ〜ッ!!! ボクはもう脱水症状直前なのに、この自販機は釣り銭切れ!!! 500円玉入れてもカランって戻ってきちゃうーッ!!! あぁ……なんか目の前が暗くなってきた……」みたいなことが起きるかもしれないので、そうならないように「500円玉があれば済むんじゃね?」じゃなくて、持ち歩くべき硬貨種類をマジメに吟味したいところ。

バッテリーとバッテリーとバッテリーとバッテリー

 モバイラーにはモバイルバッテリーのことばかり考えている人が少なくない。そしてそんなモバイラーは、2011年3月11日14時46分以降、さらにモバイルバッテリーについて考える時間が増えたものと思われる。

 俺もそう。災害のもとモバイルバッテリーの有り難みを痛感したのは、俺在住エリアで始まった輪番停電(計画停電)の時だ。震災により電力会社の電力供給能力が下がり、電力供給量が電力需要に追いつかなくなった。そのままだと大規模停電が起きる。それを回避するために、一定の地域ごとに電力供給を停止し(つまり停電させて)、全体での電力供給バランスを保とうとしたわけだ。区域限定の大規模停電ですな。

 それまでにも、たまに停電はあったものの、少々待てば済んだレベル。だが、震災後の一部地域での輪番停電はけっこー厳しいものがあった。

 俺在住エリアだと、毎日4〜5時間くらい停電時間帯が設定された。その間は電力が供給されないので、デスクトップPCが使えないわ、光回線経由でのインターネットアクセスは不可能になるわ(光回線ONUが使えないため)、炊飯器やトースターも使えないわでターイヘン。

夜の輪番停電だと家の中は真っ暗だし、外の街灯とかも消えちゃうから超暗いョ!!! エアコンもファンヒーターも点かないから寒い!!! 明るくしたいし少し暖かくもしたい!!! ということで、キャンプ用のランタンを使ったゾ!!! もちろん輪番停電が始まるとすぐ、アウトドアショップではランタンもガスも全部売り切れたンだっ!!!
テレビも点かないからラジオでニュースを聞いて比較的に暗澹たる気分になりつつスマートフォンなどの端末でさらに情報収集してもっと暗澹たる気分になっていたョ!!! 災害、ダメ、絶対ご勘弁!!!
輪番停電時、なんかサンドイッチ(電気ナシで作れる)とかカップ麺(ガスで湯が沸かせれば作れる)とか、そーゆーモンばっかり食べていたョ!!! あと酒!!! だって電気ないとイロイロ不自由だしヒマになっちゃうし暗澹たる気分になっちゃうし寒かったんだもーん!!!

 電力会社から電気が供給されない状況下、モバイルバッテリーが役立つ役立つ。拙宅にてはモバイルルーターを使って多くの端末の通信をまかなっていた。確か当時、スマートフォンのテザリングは端末やキャリアによってできたりできなかったり。回線なしの端末でモバイル通信する場合はモバイルルーターが主流だったように記憶している。

 で、モバイルルーターを使いまくりで、モバイル端末も使いまくりだと、両者ともどんどんバッテリーが減るので、モバイルバッテリーから給電・充電する必要が超増えたのであった。まあ、その後は「停電が終わったら速攻でUSB-ACアダプターから充電!!!」という習慣ができたわけだが、「停電中に電気を供給できるのはモバイルバッテリーだけ」みたいな刷り込みがなされ、モバイルバッテリーは凄いし偉いし必須だし素敵だし大好き〜♪ みたいな考えになった気がする。

 なので置き場所に困るほどモバイルバッテリーを持っている俺なのだが、常時携帯すべきモバイルバッテリーは10000mAhまで程度の容量のものが1本あればいいかな、と考えている。もちろん携帯するモバイル端末の個数や使用スタイルにもよるが、そのくらいの容量があれば1台のスマートフォンを2日くらい使い続けられると思う。

たとえばこんなの。Amazonで購入したOMKUYブランドのモバイルバッテリーで、容量10000mAh、質量は約256g、サイズは長辺160×短辺75×厚さ14mm。携帯しやすいサイズで、ケーブル内蔵型なので「アーッ!!! バッテリーはあるけどケーブルがないーッ!!!」ということもない。ちなみに、コネクタはLightning/microUSB/Type-C。それぞれ最大出力電流は2.1Aで、合計最大出力電流も2.1A。
コンセントに直差しして充電することができる。つまり「アーッ!!! 充電用USB-ACアダプターがないーッ!!!」という問題もない。

 まあ、仕様や容量は個々のニーズに合わせればいいと思う。キモは「常時携帯して突然の災害時に役立てられること」だ。携帯することが肝要。そして実際に機器へ給電できることが重要。上のようなケーブルもACプラグも付いているモバイルバッテリーなら、携帯さえすれば役立つハズだ。

 災害時、出先で「災害のためにモバイルバッテリーが必要になった」というような場合、その後にすぐ家に帰れるとは限らない。一時的に避難場所にとどまる必要が出るかもしれない。恐らく、そんな場所にはコンセントがあってUSB-ACアダプターを挿して手持ちのモバイル機器を充電できると思う。のだが、コンセントが埋まっちゃってるかもしれない。そんなコトあたりまで考えると、↓で紹介したUSB-ACアダプター関連の機器が役立つかもしれない。

 基本は容量的にやや余裕のあるモバイルバッテリーを「常時携帯」することだと思う。……とか言いつつ、俺とかモバイルバッテリーの常時携帯あんまりやってないんスよね〜。というのは移動がもっぱらクルマだから。モバイル機器はクルマのUSB給電ポートを使って充電すればいいじゃない〜、みたいな。

 でも災害時はそういう考えが通用しない場合もある。そのあたりをマジメに考えると、多少重くてもモバイルバッテリーを常時携帯し、避難先でも充電できるようにUSB-ACアダプターとかマルチタップなんかの携行も考える必要がある。……とか言って内心「また今度」って思ってるでしょ〜>俺!!! ダメだダメだダメだ>俺ッ!!!

 ところで、現在マジメに導入を検討しているモバイルバッテリーがある。モバイルバッテリーとしては巨大で超ヘビー級なのだが、EcoFlow Japanの「EFDELTA1300-JP」という製品。

詳しい仕様はリンク先を見てほしいが、すご〜く大容量で、出力ポートも充実していて、6系統の100V ACアウトレットもある。モバイル機器やPCへの充電はもちろん、多くの家電製品を使えたりする。e-bikeの充電にも使えちゃうョ!!! 自宅用の災害用バッテリーとして大活躍しそう。重量は14kgもあるが、置き場所を変えるという意味で、持ち運び可能重量と言えよう。

 でも10万円オーバーのデカくて邪魔そうなバッテリー……なかなか購入に踏み切れない。でも「アーッ!!! あの記事書いてる時に買ってれば、こんなことにならなかったのにーッ!!!」ってマジでなったらヤなので、そろそろ腹を決めて買っちゃおうかナ!?

ラジオとワンセグ

 東日本大震災が発生した直後、都心部にいた人はいろいろと「困難」だったようだ。多くの人が口を揃えて言うのは「とにかく情報が入手しにくかった」ということ。当時はスマートフォンとフィーチャーホンが混在していて、2011年度にスマートフォンの出荷台数がフィーチャーホンのそれを上回った頃。

 で、当時都心部にいて困難を味わった友人曰く「衝撃を受けたんですよ、ガラケー(フィーチャーホンのことだョ!!!)でワンセグ見てる人が、いちばん多く震災情報を得ていたんですよ」と。スマートフォンでインターネットから自由自在に情報を得るのが最先端……と思う人が多かったのに、フィーチャーフォンのワンセグの方が有利とは!!! みたいな。

 結局、東日本大震災のような災害時、人口が多いエリアでは、まず通信回線が輻輳しちゃうのであった。つまりは今までのようにはネット回線を使えなくなる。ネットから情報を得られなくなる。

 そんな状況下でより役立つのは、電波で放送しているメディアからの情報。ラジオやテレビは、電波で情報を四方八方に送っている。ので、その電波を受信できさえすれば、情報を得られる。

 というわけで、災害時のモバイルを考えると、ラジオやワンセグ対応端末が必須になってくる。ラジオやワンセグの機能を備えたスマートフォンでもいいとは思うが、災害時に輻輳で使えない状態のスマートフォンは、電源をオフにして「次のチャンス」に備えたい。そう考えると、単体のラジオやワンセグ受信機が魅力的だ。

 ラジオ? ワンセグ? どっち?

 俺的にまずオススメしたいのはラジオ。AMとFMが入るポータブルっていうかポケットラジオがいいと思う。たとえばソニーの名刺サイズラジオ

ソニーの名刺サイズラジオ各種。小型軽量で100時間など長時間連続使用できる製品がある。価格レンジは税別9080円〜16880円。実勢価格はもっと安いョ!!!

 こういうのを常時携帯。放送を聴取してみて、好きな番組が見つかって、いつも聴くようになったらしめたもの。自然と常時携帯するようになりつつ、日々使うことで電池残量を把握するようにもなる。イザという時に電池切れの憂き目に遭うことも減るだろう。

 それからポータブルのワンセグテレビ。映像で情報が得られるので、より豊富な情報を効率よく得られる。以前はソニーなど大手メーカーから作りも性能も優れた製品が発売されていたが、現在はかなり事情が変わり、日本メーカー製は激減してしまったようだ。

 だが、Amazonあたりで探してみると、ポータブルワンセグテレビにFM/AMラジオが付いて手回し充電にも対応してスマートフォンなどへの給電もできる的な外国製品が多々。そういう品を吟味しつつ災害に備えるというのも楽しそうだ。

 Android端末では、ワンセグ対応やラジオ受信対応という機種もある。災害時にそれら機能を使うというのもアリだと思うが、その場合、スマートフォンのバッテリー残量には十分注意したい。ワンセグ視聴で情報収集に熱中するあまりに、スマートフォンのバッテリーが切れてしまうのは……災害時においてちょっと怖い。単体で使えるスマートフォン向けワンセグチューナーというカテゴリーもあるが、これもまた、スマートフォンを画面として使うことになり、やはりバッテリーが心配だ。
 てな感じで、東日本大震災から10年経つ現在、あらためて気を引き締めつつモバイル関連の災害対策について考えてみた。我ながらまだイロイロと不足しつつ不備があるような感じだが、これからも鋭意積極的に考えてゆきたいッ!!! そして何か良い機材や方法があったらお伝えしてゆきたいッ!!!

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。