スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

ミニミニAndroid「Jelly 2」はどうなのか?

世界最小級おサイフケータイ対応Android端末「Jelly 2」を3週間使ってみて

 今回のネタはUnihertzの「Jelly 2」。3インチ画面を備えた“超小型”と言って差し支えないAndroid端末である。↓こ〜んなに小さいっ!!!

Unihertz「Jelly 2」のサイズは幅95×高さ16.5×厚さ49.4mmで質量は110g。手のひらサイズのスマートフォンで、OSはAndroid 10。クラウドファンディングで発売された端末だが、現在は日本国内向け販売が開始されている。お値段219.99ドル(約2万4000円)。

 イイっスね〜愉快っスね〜小型スマートフォン♪ そしてこのJelly 2、おサイフケータイに対応している。同じく超小型Android端末であるRakuten Miniと並んで「おサイフケータイ対応端末としては世界最小クラスなのだ。↓はJelly 2とRakuten Miniのサイズ等比較表。

Jelly 2Rakuten Mini
サイズ(幅×高さ×厚さ)49.4×95×16.5mm53.4×106.2×8.6mm
体積約77cm³約49cm³
重量110g79g
画面サイズ3インチ3.6インチ

 俺の場合、Rakuten Miniを決済専用端末にしている。おサイフケータイ端末として使用しているんですな。おサイフケータイ対応端末は、端末電源がオフ状態でも電子マネーによる決済が可能なので、通常は電源オフで運用。チャージなどのためにたまに電源を入れるというスタイルで使っている。小さくて非常に便利。

 決済用端末としてのRakuten Miniは非常に便利なのだが、少々不満点がある。ひとつはセキュリティ面で、生体認証は顔認証にしか対応しておらず、マスクな時代の現在において少々不便。もうひとつは、バッテリー容量が少ないこと。

 まあ俺の場合、Rakuten Miniは基本的に電源オフでおサイフケータイ機能だけ使っているので、生体認証もバッテリー容量も「ちょっとした不満」という程度ではある。が、時々電源をオンにして使っていると「指紋認証ないとやっぱり面倒」「電池がけっこうすぐ減るな〜」と気になったりする。

 その点、Jelly 2は良さそう。生体認証は顔認証にも指紋認証にも対応しているし、バッテリー容量はRakuten Miniの2倍近くある。また、本体縦横サイズつまりフットプリントもRakuten Miniより小さい。

 ……決済端末として、Jelly 2はRakuten Miniよりイイのでは? たまに電源入れて使った場合も快適なのでは? と思い、購入したのであった。

 そしてJelly 2を主におサイフケータイ端末として使いつつ、時々電源入れて使ったりもしつつ、約3週間が経過。以降、Jelly 2の使用感などについて書いてゆきたいッ!!!

Jelly 2はどんなスマートフォン?

 Jelly 2をおサイフケータイで云々の前に、まずJelly 2はどんなスマートフォンなのか? 写真と説明文で見ていこう。

Jelly 2は3インチ(854×480ドット)の画面を搭載したAndroid 10スマートフォン(SIMロックフリー)で、サイズはは幅49.4×高さ95×厚さ16.5mm、重量は110g。緑がかった深い青のような不思議なカラーが印象的。日本仕様のみおサイフケータイ(FeliCa)に対応する。
nanoSIMスロット×2を搭載し、DSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)に対応する。2ndのnanoSIMスロットと排他利用でmicroSDカードを使用可能。本体右側にUSB-Cポートがある。赤いボタンは1回押下/2回押下/長押しでアプリや機能を呼び出せるショートカットボタンで、設定の「Smart Assistant」からカスタマイズできる。
本体上部には赤外線ポートや3.5mmオーディオジャックがあり、赤外線リモコンアプリやFMラジオアプリがインストールされている。背面には、上からアウトカメラ(1600万画素/オートフォーカス)、LEDライト、指紋センサーがある。インカメラは800万画素。
ホーム画面は3画面。左側にユーザーにマッチするコンテンツを提示するGoogle Discover(グーグル・ディスカバー)画面がある。合計4画面でアイコン数も少ないシンプルなホーム画面構成で、プレーンなAndroid 10といった印象。アプリドロワー(インストール済みアプリ一覧表示)がないUIなので、ホーム画面に全てのアプリが並んでいる。
独自機能(アプリ)も少々あり、ツールボックス内からユニークな機能を利用可能。アウトカメラを指で覆って心拍数を測れたりもする。
生体認証は顔認証と指紋認証に対応している。

 以上がJelly 2のザックリとした概要だ。この他の仕様などについては公式ページをご覧いただきたい。

 気になる処理速度だが、Jelly 2に搭載されたHelio P60はミドルレンジのプロセッサー(SoC)とのことで、実際に使っている状態で「遅い」「引っかかる」「モッサリする」といったことは一切感じられず、軽快に使える。メモリを6GB実装しているあたりも軽快な使用感に寄与していると思われる。

 それと、期待の生体認証。顔認証と指紋認証だが、顔認証は至ってスムーズに動作する。指紋認証は、場合によって全然認証してくれなかったりする。が、指紋を再登録するとスムーズに動作するようになる。のだがしかし、また全然認証してくれなくなったり。だが原稿執筆中の現在試してみると、認識されまくりなのであった。……全体的に見ると、な〜んか不安定って気がする。

 それと、拙宅Wi-Fi環境下にて、Jelly 2は5GHz帯での接続ができないのであった。謎。指紋認証の不安定や5GHz帯接続不能問題、アップデートとかで直ってくれたら有り難いが……。

おサイフケータイ使用開始……直後に問題発生

 さてジックリと使用。まずはRakuten Miniの各種電子マネーをJelly 2へと移行する。俺の場合、モバイルSuica、モバイルWAON、nanacoモバイル、楽天Edyを使っている。ちなみにJelly 2では、モバイルSuicaとモバイルPASMOのうち、どちらかひとつだけ入れることができる。

 で、各電子マネー移行時にイキナリ、最初の難関に当たった。おサイフケータイの電子マネー移行(機種変更)時、移行先の端末上でパスコードやパスワードの類を何度か入力することになるが、Jelly 2のソフトウェアキーボード表示は予想以上に小さかった。

左から、Jelly 2、Rakuten Mini、Google Pixel 4a。同様にソフトウェアキーボード(QWERTY)を表示させているが、Jelly 2のソフトウェアキーボードは極めて小さい。俺の場合、使い始めはタイプミスを連発した。
ソフトウェアキーボード上に指を置いた状態。QWERTYキーボードだと最初はかな〜りタイヘン。慣れてくると職人技的にわりと的確に入力できるようになるが、タイプミスもよく起きる。じゃあ12キーキーボード(フリック入力)にすれば少しはマシか? と試みたが、あまり変わらず。フリック入力自体慣れていない俺にとっては、12キーキーボードでもQWERTYでも同様に「入力するのがタイヘ〜ン!!!」なのであった。

 まあでも、キーボードの小ささには徐々に慣れたりもする。また、俺の場合はJelly 2を主におサイフケータイとして使っているので、ソフトウェアキーボードが小さすぎて入力タイヘン問題は、た〜まに訪れる難関って感じ。どうにかなる。

 しかし、おサイフケータイを設定しているうちに、次の難関が。文字サイズの問題である。Jelly 2のフォントサイズ設定の初期値は「大」で、3インチ画面でもメールやウェブサイトなどのコンテンツを読みやすくしてあるようだ。

 だがこのフォントサイズ設定だと、アプリによっては「一部文字が隠れるなどして表示されない」「レイアウトが崩れる」などの問題が発生する。そしてこの問題がおサイフケータイの一部アプリで発生してしまった。

Jelly 2のフォントサイズ設定の初期値は「大」となっている。が、この状態だと例えば「nanacoモバイル」アプリの表示で問題が生じる。例えば右上には16ケタのnanaco番号が表示されるが、フォントサイズ「大」の状態だと最後の1ケタが表示されない。他のおサイフケータイ用アプリでも一部文章が見えないとか、レイアウトが崩れるなど、けっこう問題が生じるのであった。
いろいろ試した結果、フォントサイズは「小」が無難。フォントサイズ「デフォルト」でもどうにかなるが、ボタン上の文字列が一部見えなかったり、レイアウトが妙に崩れたりする。フォントサイズ「小」だとそういった問題がほとんど起きないようだ。

 まあ「表示がちょっとヘン」「文字の端が見えない」といったことなので、だからと言って大問題ってことではなく、使えないことはない。でもこの表示問題に加え、極小キーボードでの入力がタイヘン問題もある。んむむむ〜Rakuten Miniではこういうコトなかったが、んむむ〜Jelly 2でおサイフケータイはダメなのかぁ〜?

Jelly 2は物理的におサイフケータイとして使いやすい

 ともあれ、Jelly 2へとおサイフケータイを完全移行。設定も完了。フォントサイズ「小」設定にしたのでおサイフケータイでの表示がヘンってこともなく、最初の設定が済んだらソフトウェアキーボードを使う頻度も激減。俺の場合はJelly 2を主におサイフケータイのために携帯しているので、通常は電源オフ。使い始めたら、前述のフォントサイズやキーボードの問題は全然気にならない……というか完全に忘れた。

 そしてJelly 2で決済〜決済〜♪ コンビニやドラッグストアやスーパーの電子マネー読み取り機にJelly 2をタッチしているわけだが、んんんん? Jelly 2でのタッチ決済が、ミョーに行いやすいような……どういうコトだろう?

 Jelly 2での決済時、意識していたらその理由がわかった。Jelly 2は電子マネー読み取り機にかざしやすい(タッチしやすい)サイズ&形状なのだ。側面が丸みを帯びていて厚みもある。指でつまむにちょうど良い大きさと丸みなので、どの位置の読み取り機にもかざしやすいのであった。

手のひらサイズのJelly 2は、鷲掴みのようにして持てる。またそうしても、Jelly 2背面に指が突き出にくい。ポケットのJelly 2を鷲掴みで取り出してそのまま読み取り機にかざすorタッチする、ということが自然に行える。
こちらはRakuten Mini。鷲掴みにできるサイズではあるが、薄い端末で側面も狭いので、指が端末背面に突き出てしまう。このまま読み取り機にかざすと、読み取り機に指が当たることが多く、かざすorタッチする動作がやや不自然になることが多い。
Google Pixel 4aの場合。側面の狭さはRakuten Miniとだいたい同じだが、鷲掴みにできるサイズではない。両サイドを掴むようにして持つが、指は端末背面に突き出る。俺的にはRakuten Miniより読み取り機にかざしにくいという印象になった……落としそうになるんスよね〜大きめスマートフォンでおサイフケータイ使う時って。

 掴みやすさ、かざしやすさタッチしやすさに加え、もうひとつ。Jelly 2は読み取り機の上に置きやすい。一瞬置いて、決済直後にすぐに持ち上げて回収できる。やはりこれも側面が丸みを帯びていて厚みもあって、置きやすくつまみ上げやすい形状になっているからだろう。

 まあ非常に細かな話ではある。また、メーカーもそういうタッチ決済のしやすさを考えてこの形状にした、というわけではないと思う。偶然っスね偶然。でもJelly 2、おサイフケータイとして物理的にヤケに使いやすく感じられるのであった。

カメラはどうか? Rakuten Miniとも比較

 Jelly 2のカメラ機能については、ほぼ興味ナシであった。が、渋滞中に車窓から何となく撮った写真が案外良かったので、その後Jelly 2でアレコレと写真を撮り始めた。以下の作例はJelly 2で撮ったもので、左側がリサイズしたもの、右側がドットバイドットの画像である。

渋滞中に車窓から撮った夕景。アラちょっとイイじゃな〜い。ダイナミックレンジが広めのようで、明暗階調もなかなか豊富だと感じられる。ディテイルはシャープさに欠けるように見えるが、たぶん光量不足も影響しているものと思われる。
近所にあるムーミン谷。光量が十分あると細部まで比較的にクリアな描写がなされる。
なんかスナップ写真用途なら十分高画質な気がする。
枝の細部までわりとしっかり描写されている。ちなみにオリジナルの画像は4672×3504ピクセル。

 Jelly 2のカメラ機能、なかなかイイ♪ この手のひらサイズのスマートフォンでここまで撮れるって、なんかスパイ装備的な妙味があって愉快である。てゅーか、Jelly 2は超コンパクトデジカメと言えよう。

 ツイデにRakuten Miniとの画質比較も行ってみた。以下の作例は、左側がJelly 2による写真で、右側がRakuten Miniによるもの。どちらもリサイズのみ行っている。

左のJelly 2による写真の方が実際の色に近いという印象。後で思い起こしての記憶色という点では、右のRakuten Miniによる写真の方が好印象だ。
ムーミン谷にはカフェまであるが、その入口。Jelly 2はちょっと青が強く、Rakuten Miniは青が少し弱い。
Jelly 2は少し緑色がかってしまった。
今度はRakuten Miniの方が現実の色味に近い。なおRakuten Miniの作例で左上が暗い画像があるが、俺の指の映り込みっス。失礼。Rakuten Miniのアウトカメラは端末の角にあるので指が映り込みやすいのであった。Jelly 2のレンズは中央にあるので指の映り込みはまずない。
これもRakuten Miniの方が現実の色味に近い印象になった。

 Jelly 2のカメラ画質はなかなかイイが、Rakuten Miniと比較すると「Rakuten Miniの方がイイ感じに盛ってくれて全体的に好印象となる写真が多く撮れる」という印象になった。Jelly 2は若干青っぽくなったり、ホワイトバランスが少し崩れるケースがあるように思う。

 また、Rakuten Miniには少々のシャッタータイムラグがあるが、Jelly 2はシャッターを押した瞬間撮れる感覚。Jelly 2には手ブレ補正機能もあり、Rakuten Miniと一緒に持ち歩いて撮り比べていると、Jelly 2の方がブレ写真の発生率が低いと感じられる。

ショートカットボタンとFMラジオ……好きかも

 Jelly 2を使っていて「コレいいね」と思えたのは、ショートカットボタンとFMラジオだ。ショートカットボタンはJelly 2をグッと便利にし、FMラジオ機能はJelly 2を常時携帯したいと思わせる。

 ショートカットボタンは本体右側にある赤い物理ボタンで、特定の機能やアプリを呼び出せる。初期設定は、1回押下でGoogleアシスタント、2回押下でスクリーンショット、長押しでLEDライト点灯となっている。設定の「Smart Assistant」からこれら機能をカスタマイズできる。

本体右側にあるショートカットボタン(プログラマブルキー)。機能やアプリを素早く呼び出せる便利ボタンで、メタリックな赤でデザイン的なアクセントともなっている。
設定>Smart Assistant>Shortcut Settingsからショートカットボタンをカスタマイズできる。本記事作成中には長押しでスクリーンショットを撮る設定にしたが、実に便利。多用するアプリを登録しておくと手早くJelly 2を活用できる。

 それからFMラジオ機能。俺的には全てのスマートフォンにFMラジオ機能を搭載して欲しいと考えているが、最近はFMラジオ機能搭載端末が少ないっスね〜。でもこの超小型スマートフォンJelly 2ではFMラジオが聴ける!!!

録音にも対応したFMラジオアプリを利用できる。イヤフォンジャックに接続したイヤフォンをアンテナとしてFM電波を受信・再生する「ストリーミングラジオじゃない本来のFMラジオ」なので、通信回線が輻輳していようが機内モードだろうがFM放送を聴取できる。ワイドFMに対応しているので、AM放送を聴取することもできる。なお、周波数や放送局名などのプリセットはないので、ユーザーがセット/入力する必要がある。

 この小さなスマートフォンにホンモノのFMラジオ機能が搭載されている。偉い。ツカエル。素晴らしい!!! ……これに加えてワンセグ受信機能が備わっていたら俺としてはJelly 2をあと3台くらい買っていたであろー。

 てな感じのJelly 2。画面が小さくてソフトウェアキーボードが扱いにくく、やはり画面が小さいので表示文字列を読みづらいわけだが、でも小さくてカワイイ〜♪ そして、おサイフケータイとして物理的な使いやすさも◎。

 俺的スタンスでは、Jelly 2を電源オフ状態で持ち歩いておサイフケータイにて決済。そして緊急時はサブの電話として、さらにはFMラジオとして利用。超小型スマートフォンってだけではなく、ピンポイントで超役立ってくれる実用性が非常に好きである。なかなか楽しいミミニミスマートフォンなので、興味があればゼヒ、ジックリとチェックしてみてほしいッ!!!

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。