スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

アーッ!!! Adobe Photoshopの新AI機能が凄いーッ!!!

空の置き換え、顔の美化、どっちもツカエル!!! エヴァンゲリオンもいるョ!!!

 最近、AIの活用によりスゴい画像編集をサクッと手軽に行えるようにしているアドビ。Adobe Senseiってヤツですな。たとえばPhotoshopだと、被写体の範囲選択を非常に手軽に行える。

たとえばこんな猫の写真
メニューから、範囲選択>被写体を選択、と選ぶ
すると一発で範囲選択完了

 なんか便利ゲでしょ? 超絶便利っス〜こういうAI処理。まあ上の例では白猫なので、猫の体の範囲選択は手動でもしやすい部類ではある。

 でもコマンドの「被写体を選択」ってのが凄い。ユーザーは何も指定していないのに、PhotoshopのAIが「これが被写体だよネ」って猫が被写体であることを認識しているのだ。ほかにも、人物や乗り物などいろいろな画像を「これが被写体であろー」と認識するAdobe Sensei。

 そして、つい最近Photoshopに実装されたAI機能に、かなりのインパクトがあった。いくつかあるが、たとえば「空を置き換え」や「ニューラルフィルター」。

 空の置き換えは、文字通り風景写真の空をAIにより認識させて別の空に置換しちゃうという新機能。Skylumの「Luminar 4」というアプリでも同様のことができたが、アドビも空を置換しちゃうのである。

左が元の写真。これに対して新AI機能「空を置き換え」を使うと、好みの空が広がった写真を作ることができる。空エリアをAIが認識してくれるので、ユーザーは複雑な範囲選択から開放される

 エーッ!!! アドビもそういうコトやっちゃうんだー!!! てな感じ。俺的には大歓迎である。何しろこういう合成をする時のユーザーの労力が激減するからだ。

 それからAIによる新機能「ニューラルフィルター」もなかかな凄い。ベータ機能を含めるとたくさんの機能があるが、たとえばモノクロ写真のカラー化を全自動で行える。

 もうね、ニューラルフィルター内で「カラー化」をオンにするだけなんスよ!!! 白黒だった写真が、な〜んとなくノスタルジックにカラー化された。犬の色はコレでだいたい合っている感じ。

 てなわけで今回は、かな〜り実用レベルの高いAdobe SenseiによるAI処理機能を見てゆきたいッ!!! なお、以下で使用しているアプリは、Adobe Photoshop 2021(デスクトップ版/2020年10月リリース/バージョン 22.0)だ。

「空を置き換え」機能、アドビならではのUIの良さが光る

 まずは「空を置き換え」機能から。空を含んだ写真に対し、メニュー>編集>空を置き換え...と選べば、空を置き換えられる。実際に空を置き換えている様子を、写真と説明文で見ていこう。

これは元の写真。この写真を表示させ、メニュー>編集>空を置き換え...と選んでいくだけ
プリセットの空を選んでいくと、それが元写真の空部分に合成される
虹もプリセットにあった。プリセットはどれも「実用性の高い空の画像」って感じ。手持ちの空写真をプリセットに加えることもできる
空の色に応じて手前の風景の色や明るさが自動調整されたりもする
パッと見では違和感のない自動合成が次々と行われる

 プリセットの空の選びやすさもなかなか好印象。プリセットを表示するウィンドウは自由なサイズにでき、もちろんサムネイルサイズも自由に変えられる。Photoshop上の新ツールとしてフツーに快適に利用できちゃう。

 それと、空を合成している時、よーく見るとツッコミどころが散見される。「ここは空じゃないのに空が合成されてる」とか「空と手前の風景の色味がかなり違う」とか。ただ、そのあたりは設定により自由に調整していける。

これはプリセットの空を選ぶウィンドウ。ウィンドウサイズもサムネイルサイズも自由に変更できて使いやすい
プリセットの空をどう合成していくか、細かく調整できる。合成する空は拡大縮小できつつ、自由に動かすこともできる。手前の風景の色味がどう変化するかも調整可能
実際に作業中のウィンドウ表示例。プリセットの空を選択するウィンドウは、他のウィンドウと排他表示で、ウィンドウ外をクリックすると消える

 こんなふうに空の合成を行っていく……というかAIに行わせていくわけだが、「うん、この空でいい」と合成を完了した後も使いやすい。不自然な部分をレタッチしやすいのだ。

空を置き換え機能で合成した直後の画像。空は夕方だが、手前の風景の夕方っぽさが足りないような……
合成後の画像には、それぞれの要素がレイヤーとして追加されている。なので手前の風景(背景レイヤー)と空を個別にレタッチすることができる
合成した空をさらに夜に近づけ、手前の風景の色味や明るさも変えてみた。もうちょっと調整が必要な感じではあるが、手軽でスムーズなワークフローだと感じられる

 AIによる自動範囲選択や自動合成はそーんなに珍しくない感じになってきた昨今だが、Photoshopの「空を置き換え」機能については、その使いやすさが光る。合成する空を選んで、合成後の空と手前の風景の色や明るさを調節して……という程度で↓こんなふうに写真がダイナミックな変化を遂げる。

 ヤバい!!! ラクに自由に、そしてより幅広い写真表現が可能に!!! みたいな。Photoshopユーザーはぜひ試してみてほしいッ!!!

ニューラルフィルターでポートレイト写真がイイ方向に激変!!!

 続いてニューラルフィルター。Photoshopのフィルターのひとつとして使えるようになった、AIによるポートレート写真の自動処理である。

 AIが人物を認識し、自動的にアレコレと処理してくれる機能だが、なかなか秀逸。肌をスムーズにしたり年齢を調節したり、どれも違和感のない結果が出て驚かされる。一見すれば「なるほどネ!」と理解できる機能なので、写真と説明文で見ていこう。

ニューラルフィルターを起動すると、写真内の人物を認識する。ムサい写真でスイマセン
「顔をスムーズに」を適用した様子。顔のシワやシミなどが自然な感じで除去された
「スタイルの適用」では、写真全体をアーティスティックな雰囲気に変換できる
マトリックス風?
ベータ版のニューラルフィルターもいくつか使える。「スマートポートレイト」では、顔をダイナミックに変化させられる。ただ、現段階では「不自然な顔になった」という処理結果も少なくない
スマートポートレイトで「年齢」パラメータを最大限若くしてみたもの
こちらは最大限歳を取らせてみたもの。これらは極端な例だが、「ちょっとだけ若く」「もう少し老けた感じに」という塩梅で調整すると、さらにリアルな顔になる
髪の量を減らすこともできる!!!
もちろん髪の量を増やすことも可能。しかしこの場合だと顔の左側に長い髪のようなものが生成されてしまった。だが、ニューラルフィルターでも新たに生成された画像は新レイヤーとして追加されるので、奇妙な部分を手動でレタッチしていくことも容易。この画像なら顔左側の髪を消したり、顔周囲のモヤッとした部分を消せば、違和感のないポートレートに仕上がる
AIによりモノクロ写真をカラー化することもできる。写真は若き日の俺である
クリック一発でカラー化できる。色味の調節も可能。新たに生成された画像は新レイヤーとして追加されるので、Photoshopのさまざまな機能を使って発色を調整していける

 ニューラルフィルターは、オモシロ機能という雰囲気も若干あるが、適度に効果を調節しつつ、処理後に新たに追加される「AIが生成した画像のレイヤー」をレタッチしていくことで、一見では合成やAI処理だとは見破れないポートレートができあがったりする。すご〜い!!! しかも使いやすいし。↓コレとかヤバくないすか?

 前述のとおりニューラルフィルターのスマートポートレートだが、このテのAI処理でこんなにリアリティがある画像が生成されたのは初めてである。ともあれ、オモシロかったり非常に実用的だったりするので、Photoshopユーザーはぜひお試しあれッ!!!

おまけ。AI技術搭載アプリ「Adobe Photoshop Camera」にエヴァンゲリオンがっ!!!

 以降は記事の本筋としては余談だが、ユニーク&楽しい写真を手軽に量産できるアドビのカメラアプリ「Adobe Photoshop Camera」に、期間限定で「エヴァンゲリオンレンズ」が利用できるようになった。↓こんな感じ。

空に……
使徒がっ!!! AIが空を認識して、使徒および別の空を合成しているんですな
部屋に……
エヴァンゲリオンがっ!!!
エヴァンゲリオン種類により、風景の色や明るさも自動的に変化する

 このレンズ(Adobe Photoshop Cameraの特殊効果)は「エヴァンゲリオン 01」で、2021年4月21日まで使用可能。また、2020年11月からは、追加レンズ「エヴァンゲリオン 02」も提供されるとのこと。エヴァンゲリオンでAI写真を遊びたい人はゼヒ!!! みたいな。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。