スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

AIが空を置換? ナニそれ!? そんなのアリ?

Skylumの「Luminar 4」にビックリ!!!

 2019年11月18日にSkylum(スカイラム)から発売されたRAW画像対応の画像編集ソフト「Luminar 4(ルミナー4)」。RAW現像にも対応していながら、初心者でも容易に使え、最近ではかなり人気を集めているソフトだ。

 俺もLuminarの使いやすさ的なウワサを聞いてはいたが、画像編集とかそーゆーのはAdobe製品で統一しちゃってるからいいです~、てなスタンスだった。が、最新版となるLuminar 4には凄いAI処理機能が追加されたとのことで、トライアル版を試用。その途端に「うわっ凄っ!!!」と感じたので製品版を購入した。1万円少々。

 Luminar 4はMac版もWindows版もあり、スタンドアローンでもプラグインでも使用可能。プラグインとしては、macOSの「写真」アプリ、Adobe Photoshop、Adobe Photoshop Elements、Adobe Lightroom Classicで機能する。

 んで、凄かったのがLuminar 4の新機能「AIスカイ・リプレースメント」。その名の通り「AIが空を置換する」という機能で、写真の中の空を、別の空と入れ替えてしまうのである。この機能を使うとどうなるのか、実際に見てみよう。

左が元画像、右がLuminar 4のAIスカイ・リプレースメントを適用した画像。そっ、空が置換されたッ!!!
こちらも同様、空置換。複雑な木の枝の間でも、バッチリと空が置き換えられていてビックリ。

 何これ! マジこれ? 空があまりにも見事に置き換わったのを見て叫んだ俺なのであった。

 しかも超絶簡単なんですよ旦那さん!!! プリセットから空を選ぶだけなんですよ奥さん!!! 数度クリックする程度で空がズギャァ~ッと変わっちゃうんですよお坊ちゃんにお嬢ちゃん!!!

 凄いインパクトなのである。あまりのインパクトに思わず製品版を買っちゃった俺なのであったが、ともあれ以降、Luminar 4についてレビューしてゆきたい!!!

インパクトも大きいが、実用性も大きい

 前述のAIスカイ・リプレースメント機能は、まあ写真としてはチートになるかもしれない。合成写真なので、現実にはなかった風景。でも、映像作品として捉えればフツーにアリだと思う。そもそもコンピュータでレタッチしている時点で……とかいう細かな話はとりあえず割愛。

 Luminar 4のAIスカイ・リプレースメント機能の凄さは、人間が手動でやろうとしたら「やたらタイヘン」「とても面倒」な処理を、ほぼ全自動で行える点。AIが元画像の空の部分を見極めて範囲選択し、そこにプリセットで選ばれた空をペースト。さらに空の色などに合わせて手前にある風景などの色合いや明るさまで自動調節してくれる。どんな感じに処理されるのか、写真と説明文で見てみよう。

左が元画像、右がLuminar 4のAIスカイ・リプレースメント適用画像。ユーザーは空を選んだだけで、合成処理は全部Luminar 4が一瞬で処理する。左の木の枝や遠くの森のエッジまで完璧と思える合成が行われている。手前の地面の色も夕方っぽく処理された。凄い。
左が元画像、右がLuminar 4のAIスカイ・リプレースメント適用画像だが、自動処理後に自分で少々パラメーターを調整したもの。富士山の頂付近が不自然な合成結果になったのでアレコレ調整したが、結局この程度までしか調整できず、不自然さは残ってしまった。そもそも、橋の上の影と太陽の位置に整合性がありませんな。被写体と空の組み合わせによっては、どうにもならない不自然さが残ることもあるというわけだ。でもこれ、AIによる自動合成写真ですよって言われないと、ぱっと見では「キレイな夕景だね~」と受け入れちゃうような気が……。

 手持ちの空の写真を使うことも可能だ。自前の風景写真に対し、やはり自前の空写真を、超お手軽に合成したりするのはヒッジョーに楽しい。

左が元画像、右がLuminar 4のAIスカイ・リプレースメント適用画像。合成の元写真も、そこに加える空写真も、自分で撮ったもの。いろいろ組み合わせて「よりエモーショナルな写真」を「作り上げていく」のは案外楽しい♪

 従来は手間がかった風景と空の合成が、ヒッジョーに簡単に行えるLuminar 4。元写真の構図や光の向きなどを考えて計画的に使えば「どう見ても本物のリアルな風景」を生成できたりする。かなりオモシロイしインパクトがある機能なので、とりあえず無料のトライアル版を試してみるといいだろう。

他にもイロイロ、Luminar 4のAI系機能

 Luminar 4には、他にもAI関連機能がいくつか加わったようだ。具体的には、ポートレイト写真を手早く修正できる「AIスキン・エンハンサー」や「ポートレート・エンハンサー」、それから「AIストラクチャ」といったあたり。それぞれ写真と説明文で見ていこう。

「AIスキン・エンハンサー」の使用例。左が元写真で右が機能適用後。スライダーを動かすだけで、肌のディテールが美化される。これを手動のレタッチで行おうとしたらかなりタイヘンですな。
こちらは「ポートレート・エンハンサー」。右写真が適用後だが、顔の部分の光量を増し、白目をより白くし、目の輝きを増し、目の下のくまを軽減し、顔を細くし、眉毛を濃くし、唇に少し赤みを加えている。それぞれスライダーを動かして手動で調整する機能だ。
「AIストラクチャ」の使用例。対象の質感をより強調する処理だが、顔には適用されていないのが大きな特徴。人物は自然な雰囲気のまま、周囲の被写体の質感を際立たせることができる。

 こ~んな感じで、スライダーをちょちょっとイジるだけで、プロっぽい照明技術とメイクさんの化粧技術を、カ~ンタンに後付けできてしまう。あお、上の作例ではそれぞれの機能を個別に適用しているが、もちろん各機能を同時に適用していくことができる。そうすると、かな~り顔などが美化されて驚くので、これもまたトライアル版でお試しあれ。

全体的に簡単、効果の出方もかなり自然

 一通りLuminar 4を使ってみて感じられるのは、全体的に容易かつ直感的に画像処理ができるということだ。もちろんレタッチなどに関する専門用語は出てくるものの、「これって何の機能だろう?」とスライダーを動かしてみれば「なるほど、そういうコトね」と理解できるケースが多い。どんな機能をどんな雰囲気で使えるのか、スクリーンショットと説明文で見ていこう。

キヤノンのコンパクトデジカメで撮影したRAWデータ(.CR2)を読み込んで現像した様子。スライダーを動かしていけば「何をするとどうなるか?」が直感的にわかる。
こちらはキャンバスにある消去ツール。Photoshopにある「コンテンツに応じた塗りつぶし」や「スポット修復ツール」のような働きをする。邪魔な被写体を塗りつぶせば一発消去! みたいな。
左が元画像で、右がエッセンシャルにあるライトを使用した結果。明るい部分や暗い部分を個別に調節することで画像の明暗バランスを整えられる。
エッセンシャルのランドスケープ・エンハンサー(左)とディテール補整(右)の処理結果。ランドスケープ・エンハンサーは風景写真の霞のような空気感を除去したり、一部色調の彩度を高めたりでき、これによりリアルさや臨場感を増すことができる。ディテール補整では被写体細部の精細感を高められる。
左が元画像で、右がクリエイティブにある太陽光を適用したもの。任意の位置に太陽っぽい光源を置くことができる。
左がクリエイティブの神秘的を、右がグローを適用したもの。どちらもソフトフォーカス的なエフェクトのようだ。
左が元画像で、右がプロフェッショナルにある高度なコントラストを適用したもの。明るさの違う箇所に応じて、コントラストなどを調節できる。
左が調整可能なグラデーションを、右が写真フィルターを適用したもの。調整可能なグラデーションは指定したエリアを2分割して、それぞれの露出やコントラストなどを調節できる。写真フィルターではモノクロ写真やセピア写真を作れるほか、色調を様々に変化させられる。

 といった感じで、全体的に直感的な操作ができつつ、パラメーターも調整しやすいという印象。また、処理が極端にかかりすぎるケースも少なく抑えてあるようで、レタッチが過剰な写真にもなりにくいような気がする。ともあれ、基本的な機能はシッカリしているし、AI系の機能はオモシロかったり実用的だったりするので、ぜひトライアル版を試してみてほしい。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。