三井公一の「スマホカメラでブラブラ」

「AQUOS sense8」のカメラ、その実力を街歩きで徹底チェック!

 ハイエンド端末を取り上げることが多い本連載だが、今回はミッドレンジ端末として定評のある、秋に登場した新モデルシャープの「AQUOS sense8」を試してみた。

 買いやすい価格で人気モデルのカメラ性能は果たしてどのようなものであろうか? スペックなどの詳細は関連する過去記事を参照願いたい。

2つ搭載のカメラを比較

 「AQUOS sense8」はデュアルカメラ構成だ。

 ボディのど真ん中に鎮座するセンターカメラは1/1.55型で5030万画素、35mm判換算23mm相当でF値は1.9。全画素位相差AFを搭載し、それに光学式手ブレ補正機能が採用された。

 通常はピクセルビニングでの出力で約1250万画素になるが、このメインカメラは50MPモードでのアウトプットが可能だ。

 オフセットされたカメラの端末が多い中、ボディ中心に位置する「眼」は縦位置での撮影時に確実に被写体と正対できるのが利点だ。横にある小さなカメラは広角カメラとなり、800万画素で35mm判換算15mm相当F2.4とベーシックなスペックとなっている。

各カメラの画角をチェック

 カメラの写る範囲を見てみよう。画角の変更は簡単だ。ディスプレイに表示される倍率アイコンをタップ、もしくはドラッグすればいい。

 倍率部分をタップしての細かなステップズームも可能だ。ただメインカメラの1.0x~は軽快に変更できるが、カメラの切り替えが必要な広角カメラ方向へはワンテンポ待たされる。このあたりがミッドレンジ端末という感じを受けた。

メインカメラの写りは良好だ。4倍までのデジタルズームはディテール感もあり頼もしい。広角カメラは大型センサー搭載のメインカメラと比較してしまうとまずまずと言うところか。普段使いでは問題のない描写だろう。
広角カメラ(0.6x).jpg
メインカメラ(1.0x)
デジタルズーム(2.0x)
デジタルズーム(3.0x)
デジタルズーム(4.0x)
デジタルズーム(6.0x)
デジタルズーム(8.0x)

使い勝手はなかなか良好

 「AQUOS sense8」はミッドレンジ端末ながらそこそこの動作速度だと感じる。

  撮影には「設定」メニュー内で「すばやく起動」をセットしておくといい 。とっさのシャッターチャンスでも、電源キーのダブルクリックでカメラを立ち上げることができる。スナップ撮影にはとても有効なのでオススメだ。

ユニークなのがディスプレイ内に2つ目のシャッターボタンを配置できることだ。「フローティングシャッター」と名付けられたそれは、機能をオンにすると任意の場所にもうひとつのシャッターボタンを置くことが可能だ。体勢的にデフォルトのシャッターボタンを押しにくい場合などに役に立ちそうだ。下の「AI」シーンでのスクリーンショットに写っているのが「フローティングシャッター」である。
この「AQUOS sense8」はAIオートで撮影するのがいい。優秀なAIが被写体を自動的に判別して最適な仕上がりの写真に仕上げてくれるからだ。優秀な光学式手ブレ補正機能もあり、撮りたいものにカメラを向けるだけでOKだ。この記事もすべてAI任せかつオートHDRで撮影している。どうしても写りが気に入らない場合は「マニュアル写真」に設定して、自分なりのセッティングで撮影することをオススメしたい。
AI撮影

高解像度撮影

 メインカメラでは50MPでの撮影ができるが、その設定が面倒だ。「設定」から階層を辿っていかなければならないので「いざ!」というときには注意が必要である。

 50MPの解像感は実にシャープ。銀杏の葉をきちんと描けているし、木の先端部分も明確だ。SNS投稿などでは過剰な解像度になるが、記念日の写真などプリントしたい場合は50MPでの撮影がいいと思う。

ポートレートモード

 背景をぼかすことができるポートレートモードも搭載されている。

 設定は簡単で「ポートレート」モードにして「ぼかし」量のスライダーを動かしボケの大きさを変更するだけ。人物を撮る場合はそのとなりにある「美肌」スライダーを使ってのスキントーンの調整も可能だ。

 ボケ量を最小、中間、最大と変化させたが、境界判定もまずまずでボケ感もいい印象を受けた。

ナイトモード

 光学式手ブレ補正機能が搭載されたので夜の撮影が楽しくなった「AQUOS sense8」。カメラ画面で「ナイト」モードに切り換えて撮影もいいが、AI、オートHDR同様に端末任せで撮るのが気軽でいい。 「設定」で「オートナイト」にすればOK だ。

 夜の野川を撮ってみると「ナイト」モードだと川面や河原に生える草の暗部が持ち上がって、ディテール感が出ているのが分かる。空の階調も同様だ。光学式手ブレ補正機能があるが両手でしっかりと構えてシャッターを切るのがコツだ。また強力な点光源があるとフレアが発生するので注意したい。

「AQUOS sense8」でブラブラとスナップ実写

「AQUOS sense8」はその価格から考えると上々の写りを得られる。しかも端末任せでイージーに撮れるのがいい。メタリックな建物の質感がいい
光学式手ブレ補正機能があるのでイルミネーションなどを撮る機会が多いホリデーシーズンにも大活躍する。「ナイト」モードもいいが通常モードでも撮影結果もまずまずだ
手のひらになじみポケットへの収まりがいい「AQUOS sense8」は気になった光景を気軽に撮影できる端末だ。写りもよく軽量コンパクトで薄着のシーズンでも携行が楽だろう
AIによる被写体認識、全画素位相差AFなどを地味なボディにしっかりと搭載した「AQUOS sense8」はスナップに好適だと感じた。「すばやく起動」がとてもいい
カフェの中で撮ったカット。ホワイトバランスもほどよく現場の雰囲気を残し、露出も見た目に近い感じに仕上がった。端末任せでほとんどのシーンで満足できるのではないか?カジュアルに撮影をエンジョイできる端末だ
弱点は強力な光源だ。太陽、点光源などがフレームの周辺部にある場合は盛大なフレアとゴーストの発生を覚悟しよう。うまくフレーミングで逃げる工夫をしたい
仕上がりはスッキリあっさり系だ。コンピュテーショナルフォトグラフィーでゴリゴリと今どきの絵にした感じではない。いわゆるデジタルカメラライクに近い印象だ。好みに応じて編集アプリで現像作業をしよう
「AQUOS sense8」は大型センサー、光学式手ブレ補正機能搭載と暗所には比較的強い端末だ。国分寺崖線を歩いていてふと気付いたこんなシーンも自然な仕上がりでキャプチャーできる。優しく見た目に近い写りがいい。星も空に確認できる
全画素位相差AF、被写体認識は良好だ。思ったところにスッとフォーカスが来てくれる。センサーが大きいのでボケもナチュラルで好印象だ

まとめ

 「AQUOS sense8」は見た目が地味なので損をしていると感じた。ソリッドで剛性感あるボディには優秀なカメラだけでなく、多くの特徴を備えている。

 5000mAh大容量バッテリー搭載、microSDカード対応、イヤホンジャック装備、ピン不要のSIMトレイなど注目点が多い。

 派手なルックスとマーケティングで耳目を集めるハイエンド機も楽しいが、店頭で実機を試して写りを体感すると「AQUOS sense8」のカメラに驚くかもしれない。その良さを味わえるイベントなどがあると人気も高まりそうだ。

三井 公一

有限会社サスラウ 代表。 新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。 雑誌、広告、ウェブ、ストックフォト、ムービー撮影や、執筆、セミナーなども行っている。Twitter:@sasurau、Instagram:sasurau