三井公一の「スマホカメラでブラブラ」
世界初の85mm-125mm光学ズームも広角も! バランス良しの「Xperia 1 IV」で目黒や浦賀を撮り歩く
2022年6月3日 00:00
今回は話題の「Xperia 1 IV」だ。何といっても世界で初めて85mm〜125mm間において光学ズームを搭載したからである。デジタルズームではないのだ。いわゆるペリスコープ式構造なのだが、あの薄いボディによくも光学ズーム機構を押し込んだものである。手にしてもちょっと信じられないほどだ。
目黒→武蔵小山へ、手作りサコッシュで有名な「みやがわスポーツ」も(以下、作例はすべてクリックorタップで元ファイルを表示)
このカットは知り合いの写真家が目黒で展示を行っていたので、それをのぞいた帰りにテレ端で中目黒のタワーマンションを写したもの。ちょうど目黒通りと駒沢通り間を撮った感じだ。あいにくの曇天だったがさすが光学ズーム! と思いきや、ちょっとモヤモヤとした写り。光学式ズームになったがセンサーサイズが小さくなった影響だろうか? 曇天だから?
同じ場所でワイド端。こちらはカリッとした写り。「Xperia 1 IV」のディスプレイで見ているとそこまで差を感じなかったが、パソコンのディスプレイで確認するとその差は歴然。
そのまま武蔵小山までブラブラと「Xperia 1 IV」で撮り歩き、手作りのサコッシュで有名な「みやがわスポーツ」を訪れた。ここのサコッシュはスマートフォンやタブレットを入れるのにピッタリで愛用しているのだ。
店内を物色していると宮川さんが「お、初代ロゴのを使ってくれてるんだね」と、昔買った自分のものをメンテナンスしてくれた。実にうれしい。外観は昔ながらの店だが、ここ数年、ファッションやアウトドア業界からのコラボがひっきりなしらしい。別注や限定モデルの制作で大忙しとのこと。店頭にはさまざまなカラーやサイズのサコッシュがあるので、きっとケータイ Watch読者にも刺さる製品があるはず。オススメですぞ。「Xperia 1 IV」の広角カメラは精細感があっていい写りだね。
“現実に近い”写りが好印象
「Xperia 1 IV」は、16mm(超広角)有効画素数約1220万画素/F値2.2、24mm(広角)有効画素数約1220万画素/F値1.7、85mm-125mm(望遠)有効画素数約1220万画素/F値2.3-2.8の3カメラ構成だ。レンズの切り替え方法がイマイチだが、写りはいわゆる「デジカメ」的でいい。あまりコンピュテーショナルフォトグラフィーっぽくないのがうれしい。
望遠カメラのワイド端(ちょっとややこしい笑)で夜の電波塔を撮った。ISO800で細かい部分の描写はやや溶けがちだが、ディテールと発色はなかなかに感じた。ヒトの目で見た感じに近い現実感がいい印象である。
浦賀の海沿いをブラブラ、船や戦跡をパシャリ
豊かな光量がある日中での精細感はバツグンである。造船所の扉を撮ったものだが、金属の重厚感と塗料の厚塗り感がしっかりと捉えられている。先ほどの電波塔の写真と同じ85mm相当でのカットである。
超広角カメラの写りも鮮明で気持ちがいい。発色もニュートラルで、やや色かぶり感もあるものの個人的に好みの仕上がりである。
各カメラの写りはこのようなものに。上から超広角カメラ、広角カメラ、望遠カメラ(ワイド端)、望遠カメラ(テレ端)、デジタルズーム最大となっている。望遠カメラ(テレ端)は線が太いものの、日中での写りはいい感じの印象に変わった。
望遠カメラの両端での比較だ。ワイド端85mmとテレ端125mmだが、ワイド端の写りの方が断然いい。テレ端は像が甘く不鮮明に感じる。光学ズームするに従い画質が変化してしまうようだ。
広角カメラはとても写りがいい。戦跡を訪れた時のカットだが、レンガの質感から色合いまで素晴らしい。明部と暗部も自然な絵作りで、いわゆるコンピュテーショナルフォトグラフィーぽさも少なく「デジタルカメラ」的な好ましい写りに感じた。
洋上を行く漁船を望遠カメラのテレ端(最大デジタルズーム)で。極薄でホールドしにくいボディ形状なので動く被写体を追うのが大変だが、独立したシャッターボタンがあるおかげでなんとか撮影できた。ここまで遠方の被写体をしっかりと写せるスマートフォンはなかなか存在しないだろう。
いろいろな撮影効果を試す
撮影は「Photography Pro」で行う。スマホ然としたUIの「ベーシックモード」、デジタルカメラ的にモードを変えて撮影できるその他のモードがある。こちらはその他の「シャッタースピード優先」モードの1/8秒で、東名高速道路を撮ったもの。意図的にさまざまな撮影効果を出せるモードを搭載するのがAndroid機のいいところだと思う。
こちらは祖師谷大蔵にある「AHIRU」という店。ふだんは手作り菓子の店なのだが、月火の夜だけスタンディングスナックになる面白いところ。ビール片手にご機嫌なオーナーのイチローさんを美しく浮かび上がらせてくれた。「Xperia 1 IV」の境界認識はなかなか。
いわゆるポートレートモード的な「Bokeh」を出すには「ぼけ効果」を使う必要がある。暗いスナックの中でもポテトサラダに合焦し、しっかりと「赤星」をぼかしてくれた。
ひとことコメント
この端末は、やはりトータルバランスでカメラ性能がいいところが特徴だ。特に広角カメラの写りは素晴らしい。今回のウリである世界初85mm〜125mm光学ズームもまずまずの写りで、特に85mmはいい印象を持った。
気になったのはカメラの選択がしづらいところだ。もっとカンタンに直感的にカメラを切り替えて撮影したい。
「α」ゆずりのUIも今まではよかったが、今後ファンクションが増えていくに従って見直さなければならなくなってくると感じている。あとは「Xperia PRO-I」、「Xperia PRO」などとの差別化も気になっているところである。