みんなのケータイ

「交通系ICこそ最強」から「クレカタッチ乗車が侮れない」へ変節するに至った、2つの個人的体験
2025年9月24日 00:00
電車やバスに乗る時は、交通系ICカードさえあればどうにでもなる。つまり最強──関東圏に済む筆者にとって、これが常識でした。JRと地下鉄、公営バスと民営バスを問わず、SuicaとPASMOという2つの交通系ICカードは社会に極めて浸透しており、小銭レスで当たり前のように乗車できます。
ただ、その持論を引っ込めなければならなかいかもしれない。おサイフケータイにモバイルSuicaだけ登録しておけばいい時代ではない。そんな想いに至るエピソードが、ここ半年で2つほどありましたので、ご紹介したいと思います。
まず1つ目。石川県小松市にプライベートで旅行へ行ったときの事です。北陸新幹線延伸で話題になった、JR西日本・IRいしかわ鉄道の小松駅には、複数のバス路線が乗り入れています。
筆者のお目当ては、同駅と小松空港を結ぶ自動運転バス。小松市を中心とする企業連合が主体となって展開するもので、、旅程としては約15分、運転手さんも念のため乗車するという形ではありますが、有料かつ通年で運行されています。
車内には、恐らくはレーダーで観測しているであろう、周辺交通状況の分析モニター映像などが表示されていて、とても楽しめました。そして乗車賃の精算は、交通系ICカードが使えます。
一方で、同じ小松駅で多数の路線を展開する北陸鉄道バスでは、原則として交通系ICが使えません。しかしクレジットカードでのタッチ決済はできるというのです。
地方部のバス事業者が交通系IC非対応のケースはままありますが、にも関わらずクレジットカードタッチ決済に対応しているのは個人的に初めての体験でした。ちなみに、前述の自動運転バスはクレカタッチ決済には非対応です。このギャップたるや。
そして2つ目です。東京の新橋駅からお台場や豊洲の臨海部を結ぶ「ゆりかもめ」において7月14日から、クレカタッチ決済での乗車(改札通過)が可能になりました。クレカタッチ乗車は福岡の地下鉄で一度体験したのですが、ついに都内へやってきてくれました。
そこで実際、乗車してきました。プラスチック製のクレカではなく、AndroidスマホのGoogle ウォレットに登録したクレカでも問題ないかを検証するのが目的です。今回は、Pixel 10 Proに決済サービス「Kyash」のカード(厳密にはプリペイド仕様)を登録してあります。
結論から申し上げると、全く問題ありませんでした。プラスチック製カードと比べて大ぶりなスマホを端末にタッチしようとしたら、物理的に干渉してできないのでは? というのも杞憂でした。
ただし、駅にある自動改札機全てがクレカ対応ではなく、1台だけの対応となっているようでした。改札タッチ時にスマホの画面ロックを解除しておく事もお忘れなく(普段の買物決済時と同じです)。
発見だったのは、金額引き去りのタイミングです。Kyashでは原則、決済が発生すると即座に、アプリへプッシュ通知が届きますが、これがなかなか見慣れないものでした。
ようは、降車時にリアルタイムに引き去るのではなく、1日の利用額を合計して翌日以降にまとめて引き落とすとのこと。この仕組みだと残高不足になる可能性があるので、十分注意してねという内容です。
これは、ゆりかもめでのクレカタッチ決済時に、1日の運賃上限が820円となる制度とも関わってくるのでしょう。この金額は、ゆりかもめの1日乗車券の金額と同じ。「今日は丸1日、ゆりかもめに乗りまくるぞ」と心構えすることなく、気付いたら沢山乗っていた……というシチュエーションでも運賃がお得になるのは、かなり実用的だと思います。ゆりかもめ沿線は観光施設が充実していますしね。
さらに驚いたのは、この1日上限制の導入と同時に、磁気券式の一日乗車券の販売が終了したことです。1日乗車券は、観光客向けの運賃割引制度としてはかなりポピュラーな存在だと思うのですが、今後こうした領域でもチケットレス化が進展してくのかも?
……という訳で、この2つの体験を経て、クレカタッチ決済に対する見方が大きく変わりました。もちろん、これは筆者の例であって、普段どんな公共交通機関を利用しているかによって事情はかなり変わってくると思います。毎日の通勤にクレカタッチ決済がフィットするかはわかりません。
しかし筆者が小松駅へ訪れた例のように、旅行先・出張先でもキャッシュレス乗車したい場合に、クレカタッチは見過ごせない存在になってくるでしょう。少なくとも1枚は、タッチ決済対応のクレジットカードをお財布にしまっておくと、今後は何かと安心できそうです。










