みんなのケータイ

混迷を極めるdアカウント

 携帯電話サービスから決済のd払いなど、ドコモのサービスを利用するために必要な「dアカウント」。もともと古いシステムをつぎはぎで拡張して、ドコモ回線の利用者を大前提としたシステムのため、ちょっと特殊なことをしようとするとあっさりとトラブルになります。

 今回、そんな目に遭ったのでご報告したいと思います。

「会員統合」でMNPできず

 もともと筆者のメイン回線はドコモでした。ただ、自宅内の電波が弱く、レピーターを導入しても改善されないようなおかしな状況で、ドコモの調査でもさじを投げられてしまいました。そうこうしているうちに「4割値下げ」騒動が起き、安くはなったことでコスト削減した結果、電波改善や5G化が遅れに遅れている、というのが最近のドコモの印象です。

 我が家周辺の5Gエリアマップを見ると、当初の予定から2年以上遅れて、ようやく5Gエリアの表示になりました。しかし、マップ上は5Gエリア内の自宅内では5Gにならず、結局電波状況は改善していません。

ようやく、自宅周辺も5Gエリア(図の赤い部分)になりましたが、今のところ自宅では5Gと4Gを行ったり来たりする状況です

 それでも以前までは使い放題の料金プランや通信の安定性を信頼してメイン回線として使っていて、ドコモ光やdカード、d払いなども利用していました。ところがご存知の通り、都内でのドコモの電波状況が悪化し、とてもメイン回線では使えない状態になっていました。

 そこで、メイン回線をMNPで他社に移行し、他社の回線をドコモにMNPして、回線を整理することにしました。

 メイン回線の電話番号とそれに紐付くメインdアカウントを他社に動かすため、まずはドコモ光やdカードに紐付く回線をメイン回線から変更します。これはもともと持っていたahamo回線をirumo回線に変更して、ここに変更します。

 続いて、メイン回線をMNPで他社に移動させます。ところがここでMNPに失敗。メイン回線に紐付くdアカウントが、「ポイント共有グループの代表アカウント」という理由でした。このグループは、家族などの複数のdアカウントのdポイントをそれぞれ共有できるというもので、グループの作成は電話かショップでしかできないようです。

ポイント共有グループは家族でdポイントを共有できるサービス。ドコモオンライン手続きでは「代表会員変更(同一名義)と廃止」しかできないようです

 このグループを作成した記憶はなく、恐らく「dポイントクラブ会員統合」をしたことで自動的に作られたのではないかと思うのですが不明です。dポイントクラブの会員統合は共有グループとは異なり、会員情報自体が統合され、どちらのアカウントを使ってもサービスが利用でき、ランクなども統合されます。ただ、dアカウントは回線に紐付くため、dアカウント自体は統合しても残り続けます。

こちらは明確に覚えがあります。「dポイントクラブ会員統合」。ここでメインのドコモ回線に紐付くdアカウントに統合しました

 メイン回線のdアカウントをベースのアカウントとして会員統合をしたため、共有グループの代表アカウントがメイン回線のdアカウントになっていたのでしょうか。いずれにしても代表アカウントを変更しなければならないのですが、統合しているもう1つのdアカウント(ahamoからirumoに移行したアカウント)は代表アカウントに設定できませんでした。

 電話サポートに聞いたところ、解決策は「ドコモショップで会員統合を分離すること」でしたが、月末にMNPをしたかったため、もうドコモショップに行く余裕はありません。そのため、さらにdアカウントを用意することにしました。

 もともとahamo回線がなくなったので、ahamo回線を作るために楽天モバイルからMNPする予定でした。そこでdアカウントを作成して代表アカウントに設定。その結果MNPができるようになり、無事にメイン回線とdアカウントを他社に移行できました。

d払いにもトラブル

 さて、メイン回線が他社になり、dアカウントも他社回線に紐付きになり、いわゆるキャリアフリーの状態です。このdアカウントを設定することで、d払いやdポイントがキャリアフリーでも使えるようになります。

 d払いは、ドコモ回線に紐付くdアカウントで利用していると、まれにログアウトしてしまうとWi-Fi環境ではログインできず、回線認証が必要になります。ドコモ回線が入っていないスマートフォンではログインできないため、端末も固定されてしまいます。

d払いでありがちな表示。デュアルSIMでデータ通信をドコモ回線にしていない場合など、今では普通に起こりがちですが、ドコモ回線紐付きのdアカウントでd払いを利用しようとすると回線認証が求められます

 そうした不便さがあったので、d払いをキャリアフリーにして、どの端末でも設定できるようにしたいと考えていました。

 実際にキャリアフリーのdアカウントを使うことで、d払いのログインはできるようになりました。ところが、今度はd払い残高の設定ができません。d払いにログインすると、最初にd払い残高の利用設定になって、預け入れた残高が返金される、ということで、返金メールも届いたのですが、d払いアプリにログインしても残高が無効化されて設定できません。

 また電話サポートに問い合わせたところ、これも「会員統合しているため」という回答。残高が失われるのもシャクなので、いよいよ会員分離の作業をすることにしました。ショップでしかできないというのでショップの予約をして訪問。店員のタブレット端末では処理できないというのでカウンターの端末に移動して会員分離をしてもらいます。

d払い残高が設定できない状況に。このエラーメッセージで会員統合が原因とはとても分かりません

 要するに、「ドコモ回線に紐付くdアカウントは統合できるが、ドコモ回線に紐付いていないdアカウントは統合できないのに、統合したままのアカウントをMNPしてドコモ回線でなくなるとシステムがバグる」という状態だったようです。

 そして分離は成功。はれて分離されたdアカウントで改めてd払いを立ち上げてみると、すべてのデータが消滅していました。d払いを使っていた履歴も、dポイントの履歴も、すべて消え去りました。

 一瞬焦りましたが、翌日には履歴や残高も戻ってきました。dポイントに関しては、旧メイン回線のアカウントを、ショップでポイント共有グループに改めて参加させることで対応。ただ、会員統合によってdポイントクラブのランクは「4つ星」でしたが、分離したことで「1つ星」になってしまいました。

 しかし、まだこれからです。d払いの支払い方法としてdカードを設定しようとすると、「別のdアカウントに登録中のクレジットカードは登録できません」というエラー表示。エラーコードは異なりますが、同様のヘルプ(https://service.smt.docomo.ne.jp/keitai_payment/app/help/detail/0290.html)がありました。

 結局、「ドコモ回線に紐付くdアカウントで設定されているd払いに登録しているdカードを解除する」(長い)という必要があるようで、解除を試そうとしたのですが、そのアカウントでd払いの支払い方法を変更しようとしても、「電話料金支払いに利用中」との表示でdカードが解除できません。確かに、このdアカウントに紐付くドコモ回線の支払いはdカードです。その状態だと、dカードが支払い方法から削除できないというのです。

今度はdカードが登録できず。d払いにdカードを設定するよりは、ドコモ回線の支払いにdカードを使った方がお得でしょう

 結局ドコモ回線紐付きのd払いを解約しても、ドコモ回線の支払いがdカードなのでキャリアフリーd払いにはdカードを登録できませんでした。会員統合ができればいいのですが、ドコモ回線に紐付かないdアカウントは統合できません。

 最終的に、ドコモ回線をすべて解約するかdカードを使わずにd払いを利用するか、d払いを利用しないかの3択ということになりそうです。まあ、遠回りをした結果、d払いを使わないという選択肢にたどり着かされた印象です。

 ドコモは、あまりにも強固に結びついてしまっているアカウントと回線の関係に関して、今一度見直すべきだと思います。いいかげん、お茶を濁さずに古く時代遅れの会員管理のシステムを刷新して柔軟性を確保すべきでしょう。

 いずれにしても、皆さんもdアカウントの会員統合とMNPにはご注意ください。