みんなのケータイ
勝手に続・混迷を極めるdアカウント
2025年1月16日 00:00
スマホとお金にまつわる連載を持っていることもあり、筆者は各キャリアのオンラインショップをチェックする機会が多い。その際に、気づいたら端末を購入していたこともある(笑)。ところが、先日ドコモオンラインショップにアクセスしたところ、端末ページのメニューから「機種変更」が消えていることに気づいた。もちろん、ログインしているdアカウントはドコモ回線に紐づいたものだ。
カートで機種変更に変更すると、「ドコモのご契約電話番号のdアカウントでログインしてください」というエラーが出てしまう。逆に、カートから新規契約で手続きを進めようとすると、今度は「ドコモ回線と紐づいていないdアカウントが必要となります」と表示される。思わず、画面に向かって「どっちやねん」とツッコミを入れたくなってくる(そして、実際にツッコんでいた)。
ログアウト&ログインしたり、別端末からパスキーでログインしたり、さらにはブラウザのキャッシュやCookieを削除したりしても、一向に状態が変わらない。今すぐ機種変更したかったわけではないが、今年もかなり高い確率で利用するため、この状態はいただけない。ということで、ドコモのサポートに問い合わせてみることにした。
最初に案内されるのは、ログインのやり直しやキャッシュやCookieの削除。ただ、ほかの端末からアクセスしても同じ状態になるため、これで効果がないことは分かっていた。「また、同じ操作を繰り返すのかぁ……」と思いつつも、サポート側でも要因を1つずつ潰していかなければならない事情は分かるので、黙って従ってみた。とは言え、セルフトラブルシューティングでもその辺はすでに実施済みだったので、当然ながら効果はなし。あれこれやり取りしているうちに、合計で2時間近くが経過していた。
結果として、4人目ぐらいのサポート担当が原因としてありえるとしたのが、dアカウントの会員統合だった。完全な不具合の特定ではないものの、過去に近い事例があるため、疑わしいとのこと。ちょうどその時、筆者も「みんなのケータイ」に掲載されていた小山安博氏の同記事を読んでおり、何となく会員統合が怪しいと思い始めていたところだった。
とは言え、小山氏同様、筆者も会員統合の手続きをした記憶がほぼない。思い当たる節があるとすれば、8月に子ども用のキッズケータイを購入したときか。上記の記事にもあるように、dアカウントの会員統合解除はなぜかドコモショップでしかできないため、近場のショップを予約して向かうことにした。
ドコモショップで色々と確認したところ、筆者の予想とは異なり、過去に「5Gデータプラス」で契約していた回線に紐づいたdアカウントがあり、それがメインのdアカウントと会員統合されていたことが発覚。5Gデータプラスの回線はすでにポートアウト済みで、いわゆるキャリアフリーのdアカウントになっていたはずだが、なぜかメイン回線のdアカウントと統合されたままになっていた。回線の紐づいたdアカウントとキャリアフリーのdアカウントが統合されていたところまで、小山氏と同じだったというわけだ。
これを解除したところ、ドコモオンラインショップで機種変更のボタンが表示され、手続きができるようになった。小山氏の場合、キャリアフリーのdアカウント側でログインしたd払いにエラーが出ていたようだが、筆者はその逆。なぜか、ドコモ回線が紐づいたdアカウントがドコモオンラインショップ側から正しく認識されていなかった格好だ。
小山氏は「ドコモ回線に紐付くdアカウントは統合できるが、ドコモ回線に紐付いていないdアカウントは統合できないのに、統合したままのアカウントをMNPしてドコモ回線でなくなるとシステムがバグる」と述べていたが、バグの出方も色々あるようだ。同記事が掲載されたのは23年9月のこと。約1年半、バグが放置されていた形になる。
そもそも、dアカウントは非常に使い勝手がよくない。1アカウントに紐づけられるのは1回線まで。そのため、先に挙げたキッズケータイや5Gデータプラスのような2回線目、3回線目を持とうとすると、その都度dアカウントを作成する必要がある。1アカウントに複数回線を紐づけられれば管理の手間もかからないが、なぜかそのようになっていない。その上、回線を解約してもdアカウント自体は生きたまま。小山氏の場合も筆者の場合も、回線を解約したのにも関わらず会員統合がそのままの状態になっていた。
しかもその解除がドコモショップでしかできない。これには、筆者も頭を抱えてしまった。元々、ドコモは18年に顧客基盤を回線からdポイントに転換しており、それに先立つ形で15年からdアカウントをオープン化している。今年でオープン化から10年が経つ。ところが、その際にも1つのアカウントに対して1回線しか紐づかない形が残ってしまった。
顧客基盤をアカウントベースに転換するのであれば、本来、回線ごとにアカウントを持っている状態は不自然。このときに過去の形を引きずらず、大胆にdアカウントをリニューアルしていれば、ここまで複雑な状況にはならなかった気もしている。最後に小山氏の「いいかげん、お茶を濁さずに古く時代遅れの会員管理のシステムを刷新して柔軟性を確保すべきでしょう」という言葉を引用して、本記事の結論としたい。