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ロマサガ2をやったら待ち遠しくなったネットワークスライシング
【Galaxy Z Fold6】
2024年12月6日 00:00
なかなか時間が取れず、コロナ禍で遊んだ『FINAL FANTASY VII REMAKE』以来すっかりご無沙汰になっていたゲームを、再びやり始めた。筆者がまだ中学生だった31年前にハマった、『ロマンシング サガ2』が『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』(以下、ロマサガ2RoS)としてフルリメイクされたからだ。31年前と同様、据え置き機で遊んでみたいということで、今回はPlayStation 4版を購入。5ではないのは、特にこだわりがあったわけではなく、単純にハードを持っていなかったからである。
3Dグラフィックスにフルリメイクされたロマサガ2RoSだが、歴代皇帝として1000年を超える歴史を駆け抜けていくスケール観や、うっかり選択肢を間違えると特定エリアが滅んでしまう大胆なフリーシナリオは健在。おなじみの技も派手なエフェクトで復活しており、遊びだしたらすぐにハマってしまった。現在、1週目をクリアし、「強くてニューゲーム」をできる状態になったところだが、時間が許せばもう1周ぐらい遊んでみたい。
久々にハマったコンソールゲームだが、テレビの前だけだとどうしても使える時間が限られてしまう。移動中に、スマホをいじっている時にサクッと遊べたらなぁ……と考えた筆者。それで思い出したのが、PSの「PS Remote Play」だった。PS Remote Playは、PS4と5の両方が対応している機能。離れた場所から、スマホやタブレットを使って自分のPS4/5にアクセスし、ゲームをプレイすることができる。
自宅にあるPSを、自分専用のクラウドゲームサーバーにするような機能と考えれば理解しやすいだろう。「PlayStation Portal」は、この機能を専用ハードウェア化したものだ。筆者は、PS Remote Playのデバイスとして、メイン端末の「Galaxy Z Fold6」を利用した。フォルダブルスマホのいいところは、画面が大きく、ゲームの迫力が十分なところにある。かと言って一般的なタブレットほど大きくはなく、画面上のバーチャルコントローラーも操作がしやすい。
また、PS Remote PlayはスマホとコントローラーをBluetoothで接続すると、そのコントローラーで操作ができる。フォルダブルスマホの場合、半開きの状態にすると本体を立てることが容易になるスタンドなしでも机の上に置いて遊べる、というわけだ。実際、家でPS4が接続されているテレビが使えなかったときには、この方法でロマサガ2RoSを進めたこともあった。
ただし、これはイレギュラーな時だけの使い方。基本的なシナリオは自宅のPS4でこなしつつ、皇帝継承直後のパーティ編成や、装備/合成術開発を進めるための戦闘など、すき間のプレイにRemote Playを頼ることが多かった。据え置き機ながら、PS Remote Playのおかげで、合間合間でプレイできる携帯ゲーム機のようなよさも味わえたと言えるだろう。
とは言え、どこでも気軽に遊べたかというと必ずしもそうではない。PS Remote Playを利用するには、通信環境が非常に重要になる。仕様的には、最低5Mbps、できれば15Mbpsあればいいはずだが、リアルタイムなやり取りを要求されるゲームは、安定性も重要になる。スマホ側でした操作をPS4に伝えて、即座にその結果をスマホ側に返さなければならないため、バッファをためておける動画のストリーミングよりも環境はシビアだ。
実際、高速で移動する電車は、環境として特に厳しく、1時間弱の移動中に何度も接続が切れ、その都度、接続をし直すことになった。その時に乗った電車は急行だったこともあり、速度が速かった。移動のスピードが速いと、そのぶん基地局を移るハンドオーバーの頻度も上がり、接続の安定性が落ちてしまう。また、鉄道沿線といっても線路に沿うようにキレイなエリアができているわけではないのだろう。スポット的に通信速度が落ちるような場所もあるはずで、これもレスポンスが悪化する原因になりうる。
逆に、自宅や事務所、都内を走るバスでは多少途切れたり、瞬間的なフリーズはあったりしたが、とりあえず、大きな問題はなくゲームをプレイすることができた。ただし、最後のバスは完ぺきではなく、静止時と比べると瞬断が増えた印象。30分ほど乗ったバスで、1回だけPS4から切断されてしまうこともあった。また、ロマサガ2RoSのようなRPGはいいが、よりシビアな操作が求められるアクションゲームはモバイルネットワークだと少々厳しいと感じた。
以前、KDDIとソニーがPS Remote Playを使った5G SAの実証実験を公開していたが、スループットの揺らぎが多いと、やはり5G接続でも瞬間的な停止が発生し、体感品質が落ちることが分かっている。これを解決するのに必要なのが、ネットワークスライシングだった。PS Remote Playのようなクラウドゲームに最適化するには、周囲の影響を受けないようにし、スループットを一定品質で安定させるスライシングになるという。爆速だったり、超低遅延であったりする必要はないが、安定していることが重要になるというわけだ。
どちらかと言えば法人向けのユースケースが紹介されることの多い5G SAのネットワークスライシングだが、PS Remote Playで実際に遊んでみて、初めて「5G SAやネットワークスライシングはコンシューマーにも必要かも……」と思った次第だ。少なくとも、現状のNSAだと、やはりPS Remote Playを遊ぶのには不十分。もし、今、安定度を上げるゲーム用スライスを月額課金で利用できたとしたら、ポチっとボタンを押してしまっていた可能性が高い。海外では、コンシューマー向けにネットワークスライシングを提供している事例もあるため、日本での展開にも期待したい。