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仕事の写真編集もiPadでこなせてしまうことに気がついた

アドビのLightroom(iPad版)。普段使っているパソコン版の方は、この手の仕事の定番アプリでもある

 筆者の仕事では、製品レビューでもインタビュー取材でもイベント取材でも、基本的に筆者自身がデジカメで写真を撮影し、それをパソコンで編集してから編集部などへ納品している。パソコン上で使っているアプリはド定番のアドビ「Lightroom」だ。

 製品レビューでもインタビュー取材でも、使わない写真を含めて大量に撮影するので、まずは「Lightroom」上で使用しそうな写真にフラグや「★」を付けて選別していく。続いて選別された写真の明るさ調整やトリミング、必要に応じてモザイク処理などを行う。そしてそれらの写真を納品時のサイズで出力する(幅1200ピクセルくらい)。最後にその写真をZIP形式でまとめて適当なオンラインストレージにアップロードし、編集部と共有する。

 こうした作業には、パソコンが必須だ、と筆者は思っていたが、どうやらそうでもなくなりつつあるようだ。上記の写真の編集作業、iPhoneやiPad上の「Lightroom」アプリでも可能ということに最近、気がついた。

左がLightning - USBアダプタ、右がLightning - SDカードアダプタ。USBアダプタはキーボードやオーディオインターフェイスもつなげて地味に汎用性が高い

 デジカメで撮った写真は、アダプタやケーブル、カードリーダーがあれば簡単にiPhone/iPadに取り込める。最新版の「Lightroom」アプリなら、OS標準の「写真」アプリを介さず、デジカメから直接「Lightroom」アプリに取り込めるので、iCloudのストレージ容量を消費しないで済む。実はこれ、仕事写真とプライベート写真を分離する上でけっこう重要で、以前はこれができなかったことが、筆者がこれまでiPadのLightroomを仕事で使っていなかった理由のひとつだったりする。

 写真の編集も、筆者がやるような簡単な作業なら、iPhone/iPadでも十分に行なえる。ユーザーインターフェイス的にパソコンの方が使いやすくも感じるが、それもパソコンに慣れてるというだけの話で、慣れればタッチやApple Pencilが使えるiPadの方が便利に思える面もあるだろう。

ファイルアプリでZIP形式の圧縮ができる。実はコレ、19年秋のiOS/iPadOSからの新機能だったりもする

 かつてはファイルの自由な操作ができなくて仕事で使えないと言われていたiPhone/iPadだが、いまはわりとイロイロできる「ファイル」アプリがある。「ファイル」アプリでアクセスできるのは、許可されたアプリのフォルダやクラウド上のフォルダだけだが、余計なフォルダにアクセスできない分、シンプルで作業しやすくもある。

 「Lightroom」アプリは、「ファイル」でアクセスできるフォルダに通し番号付きの写真ファイルを一括出力できる。「ファイル」アプリ上では、出力された複数のファイルをZIP形式でまとめることができる。Dropboxなどのオンラインストレージアプリを入れておけば、「ファイル」アプリ内でドラッグアンドドロップするだけでアップロードまでできる。

 このように、通常の写真加工作業なら、iPhone/iPadでもこなせてしまう。さすがに画面が小さくマルチウィンドウもないiPhoneだとシンドイ部分もあるが、iPad miniならストレスなしに作業できる。

 いくらiPhone/iPadで作業ができると言っても、筆者の作業フローからパソコンがなくなることはないだろう。固定環境では大型ディスプレイをつないだデスクトップパソコンの方が確実に快適だし、モバイル環境でもテキスト入力環境としても優秀なノートパソコンの方が有利なことは多い。

iPad miniとMacBook。iPad miniは立ったままや移動中にも使いやすいという利点もある

 しかしiPad miniならセルラーモデルでも約308g、対するMacBook Airは約1.25kg。筆者はより軽い旧モデルのMacBook(約920g)を使っているが、それでもその重量差は600g以上ある。長時間、背負ったまま取材したり移動したりするとなると、600gは大きな差だ。イベント取材や1泊の出張であれば、MacBookの代わりにiPad miniを持ち出せば良いかな、と思っている。

 1週間くらいの海外出張とかだと、荷物の総重量に対してMacBookはそれほど重くないし、そもそも取材中は重たいものをホテルに置いておけば良いので、MacBookを持って行くことになる。しかしMacBookを持っていても、それが壊れたときなどのための予備環境として、iPhone/iPadは活躍しそうだ。

 正直に言うと、筆者はいままで、仕事の写真加工フローではiPadは使いにくいと思い、活用してこなかった。しかし最近のiPad版「Lightroom」とiPadOSのアップデートにより、それなりに使いやすい、実用的な環境が整いつつある。細かい作業フローではまだどうすれば良いかわからない部分もあるので(編集が済んだ写真のアーカイブ方法など)、そのあたりを勉強しつつ、iPhoneやiPadでも写真加工ができるようにしていきたい。