みんなのケータイ

SIM2FLYのeSIM版を日本からオンラインで契約

【iPhone 11 Pro Max】

 年末年始を海外で過ごした人も多いだろうけど、海外でのスマートフォン利用は24時間980円で利用できるauの『世界データ定額』、NTTドコモの『パケットパック海外オプション』が提供されたことで、随分とラクになった。

今回滞在したインドネシアでは主回線のauもeSIMのAISも現地のTELKOMSELのネットワークをつかんでいた

 筆者を含め、ご同業のライター諸氏も渡航先でプリペイドSIMを買うことが減り、短期の滞在であれば、2社の国際ローミングで済ませることが多い。

 ソフトバンクは24時間980円のサービスを提供していないものの、iPhoneであれば、「アメリカ放題」が使えるので、アメリカ出張時はソフトバンクのSIMカードを挿したiPhoneを利用している。

 ところが、1週間以上の長めの渡航になると、国際ローミングを利用するのかどうかは悩みどころ。NTTドコモのパケットパック海外オプションは、渡航先によって、3日間、5日間、7日間の割安プランを提供していたり、auの世界データ定額もau STAR会員を対象に、月に1回は無料で1日分が利用できるなど、多少の割引は期待できるが、1週間となれば、5000円以上の負担は避けられない。

 そこで便利なのが本コーナーでも何度か取り上げてきた海外の携帯電話事業者が提供する国際ローミング対応のSIMカード。

 Vodafoneアイルランドの「RED Roaming」などを取り上げてきたけど、ここ数年、個人的に愛用しているのがタイのAISという携帯電話事業者の「SIM2FLY」というプリペイドSIM向けのサービス。

 詳しくはSIM2FlyのWebページを見て欲しいけど、アジア&オーストラリアなどの20カ国なら、8日間で最大4GBまで高速に利用できて299バーツ(約1100円)、米国及び欧州などの81カ国は15日間で最大4GBで799バーツ(約2900円)、タイ近隣のカンボジアやマレーシアなど、4カ国は7日間で最大2GBまで99バーツ(約360円)という安さ。

 通信速度も十分で、iOSとAndroidのアプリでデータ通信量や有効期限も確認できるし、旅行者のローミングSIMとしては最強とも言われる内容。

 ちなみに、SIM2FlyのプリペイドSIMカードはAmazonなどでも購入でき、手続きは日本もアジア&オーストラリアの対象地域に含まれているので、利用できる。プリペイドSIMに残高をチャージし、申し込みをすれば、もちろん、タイ国内でも利用することが可能。

 そんなSIM2FLYが昨年、iPhone XS/XS Max/XRなどを対象にeSIM向けのサービスをスタートさせていた。ただし、このeSIM版SIM2FLYを申し込むには、タイのAISのショップで手続きをしなければならない。知人がひと足早く申し込んだのが羨ましく(笑)、筆者も8月にバンコクに出かけた際、自分が持つiPhone XSで新規で契約をしてみた。

 手続きは簡単で、AISのショップに出向き、eSIM版のSIM2FLYを申し込みたいと話せば、あとはパスポートなどを提示し、料金を払えば、iPhoneへの読み込みに必要なQRコードが提示され、それをiPhoneのモバイルデータ通信のメニューから読み込んで、セットアップ完了。言葉はお互いに片言の英語だったけど、AISショップのお兄さんもにこやかにセットアップを手伝ってくれた。ただ、旅行のついでとは言え、eSIMを追加するために、わざわざタイまで出向くなんて、万人向きの話ではないので、本コーナーでは取り上げてなかった。

 ところが、最近、日本からオンラインで申し込みができる方法があることを知り、昨年12月、年末の旅行に合わせ、昨年9月に購入したiPhone 11 Pro Maxで申し込んでみることにした。

「eSIM2Fly Shop」で申し込むと、端末に登録するときに使うQRコードがメールで贈られてくる。支払い額はPayPalの手数料を含め、約20米ドル

 eSIM版SIM2FLYの申し込みを受け付けているのは「eSIM2Fly Shop」というサイト。ただし、ここは携帯電話事業者のAISが直接、運営しているわけではなく、どうやら、以前、本コーナーでも取り上げたプリペイドの残高をチャージ(TopUp)できる「MobileTopup.com」の業者がAISの代理店のような形で運営しているようだ。

 プランはアジアの21の国と地域で8日間、最大5GBまで利用できる「Asia Plan」が19米ドル(約2000円)で用意されている。物理SIMカードのプランよりも少し高く見えるけど、eSIMの登録料などが含まれているので、実質的には数百円の手数料を取られている程度。

 ちなみに、同サイトによると、対応機種はiPhone 11/11 Pro/11 Pro Max/XS/XS Max/XRに加え、Pixel 3/4も含まれている。日本で販売されているPixelシリーズでは、Pixel 4/4 XLがeSIM対応となっているため、おそらくPixel 4/4 XLでも申し込みができるはず(保証はしませんが……)。

 申し込みの流れとしては、同サイトに表示されている「eSIM2Fly - The Reloadable Prepaid eSIM」で[BUY NOW]ボタンをタップし、名前やメールアドレスなどの必要な情報を入力する。このとき、登録したメールアドレスに登録に必要なQRコードが送られてくるので、確実にメールを受け取ることができるメールアドレスを登録する。支払いはJCB、マスターカード、VISAのクレジットカードが利用でき、オンライン決済サービスのPayPalにも対応する。筆者はPayPalで決済した。
 こうした海外サービスの場合、日本で発行されたクレジットカードが利用できないケースがあり、AISのWebサイトでも日本のクレジットカードが利用できないと言われているが、前述のように、「eSIM2Fly Shop」は「MobileTopup.com」の業者が運営しているため、日本で発行したクレジットカードでもほぼ利用できる。最終的な判断はクレジットカードの発行元次第だが、筆者は同サイトで日本のクレジットカードを何度も決済しており、特に問題は起きていない(保証しませんが……)。ただし、念のため、決済後は自分のクレジットカードの利用状況をしっかりとチェックするようにしておきたい。

 決済が完了すると、すぐにQRコードが表示されるので、iPhoneの設定画面から[モバイル通信]-[モバイル通信プランを追加]を選ぶ。QRコードの読み取り画面が表示されるので、それを読み取れば、あとは画面の指示に従うだけで、セットアップは完了する。ちなみに、QRコードはメールでも送られてくるので、そちらを読み取っても構わない。

iPhoneに登録するときは設定画面で、[モバイル通信]-[モバイル通信プランを追加]を選択する
QRコードの読み取り画面が表示されるので、送られてきたQRコード、もしくは決済画面に表示されたQRコードを読み取る。画面下には同じApple IDで登録した転送可能なeSIM対応モバイル通信プランが表示される。ただし、転送できるかは未確認

 実際に使うときは他のeSIMサービスと同様で、iPhoneの設定画面の[モバイル通信]-[モバイルデータ通信]で切り替える。[データローミング]が有効になっていれば、SMSが送られてきて、すぐにSIM2Flyの「Asia Plan」の利用がスタートする。

無事に登録完了。主回線は物理SIMカードのau回線。追加した回線は自分で名前を付けられる。「AIS SIM2FLY」と入力するつもりが、間違えてしまった。もちろん、あとで修正は可能

 年末旅行の出発直前にセットアップして、今回はAsia Planのまま、シンガポールとインドネシアで利用したが、物理的なSIMカードを利用していたときと同じように、eSIM版SIM2Flyを利用することができた。残高やデータ通信量の確認はアプリで利用できるだけでなく、「USSDコード」と呼ばれる電話アプリが操作するコマンドも利用できた。帰国後に、「MobileTopup.com」で残高をチャージし、今のところ、eSIMの有効期限は2020年4月まで延長されている。

AppStoreで公開されている「MyAIS」のアプリを利用すれば、データ残量や有効期限なども確認できる。この後、早速、残高(Balance)をチャージして、有効期限を春先まで延ばしておいた

 さて、無事にeSIMでSIM2Flyが利用できるようになったわけだけど、ひとつ気になるのがiPhoneを買い換えたり、交換したりしたときの対応。実は、多くのeSIMサービスは端末を交換したとき、再登録をする必要があり、過去に本コーナーで取り上げた「3香港」の「Roaming Data Prepaid eSIM」もiPhone XS Maxで利用していた契約が機種変更で継続できず、残高を使い切って、削除することになった。

 AISのeSIMについては、まだ実際に試していないものの、どうやらタイのAISショップに出向けば、手続きができるようだ。

 また、「eSIM2Fly Shop」ではQRコードの再発行の手続きを受け付けているようで、手動のプロセスを経るものの、1~2日程度で再発行が可能だとしている。当面、iPhone 11 Pro Maxは使い続けるつもりなので、次期iPhoneに買い換えたときに試してみたい。