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MVNOは停滞期を抜け市場シェア15%が目前に

 ここのところ、MVNO契約数の増加ペースが顕著な状況となっている。

2022年5月を境に、MVNO市場に対する逆風が追い風に反転

 総務省が公表している「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データ」によれば、昨年9月末時点でのMVNO契約数は3193万に達し、市場シェアは14.8%となった。

 MVNO市場はここ数年、楽天モバイルの動向に左右された面が大きい。2020年4月、楽天モバイルのキャリア(MNO)サービス本格始動に伴ってMVNOの新規受付が終了し、MNOへの巻き取りが進められた点は、非常に大きな逆風となった。楽天モバイルのMVNO契約数は、20年3月末時点で300万近くまで拡大したが、そこから2年間で約200万減少したとみられるからだ。

 他のMVNOに乗り換えたケースもあるため、200万がまるごと下押し圧力になった訳ではないが、それでも多大な影響があったと考えられる。あわせて、キャリア各社の”官製値下げ”によって、価格面でのメリットが薄まったこともMVNOにとってはマイナス要因となった。

 実際、2021年4~6月期のMVNO回線数は純減に転じたほどで、市場シェアも緩やかながら減少傾向が続いていた。

 風向きが変わったのは、楽天モバイルが1GB以下ゼロ円プラン廃止を発表した2022年5月以降で、そこを境に市場シェアが反転しているのはグラフからも見て取れる。

2024年のMVNO市場はプラスとマイナスの両面が混在

 MVNO市場では、機器などに組み込む「通信モジュール」向けが安定的に回線数を伸ばす一方で、スマートフォンなどに利用される「SIMカード型」は増減の振れ幅が大きい特徴を持っている。

 SIMカード型の契約数は、2021年以降ずっと減少が続いていたが、さきほど述べたとおり2022年4~6月期以降、純増へと勢いが変化している。

 最後に、MVNO市場の今後の動向だが、市場を取り巻く現下の環境はプラスとマイナスの両面が混在していると言える。

 プラス面として挙げられるのは「お得感の復活」だ。1つはスマホ端末割引規制で、これまでIIJmioとmineoも規制の適用対象となっていたが、昨年末にこの制約から除外された。もう1つが昨年投入されたキャリア各社の新プランで、金融・ポイントサービスとの連携強化やデータ容量増などの特典が打ち出されたものの、ユーザーが支払う月額料金が引き上がる改定が目立っている。これらは、MVNOのお得感が相対的に増すことにつながろう。

 他方、マイナス面となりうるのが、ピーク時に200万前後まで拡大していた「OCN モバイル ONE」契約者の動向だ。既に昨年6月26日に新規受付を終了しており、今後「irumo」などへの巻き取りが進めば下押し圧力が再燃することとなる。

 不安要因はあるものの、昨年から続くMVNO市場のさらなる活性化に期待したい。

IT専門の調査・コンサルティング会社として、1993年に設立。 主に「個別プロジェクトの受託」「調査レポート」「コンサルティング」サービスを展開。 所属アナリストとの意見交換も無償で随時受け付けている。 https://www.mca.co.jp/company/analyst/analystinfo/