石川温の「スマホ業界 Watch」
2026年のスマホは“衛星”がカギ、「AST」と組む楽天モバイルはKDDI依存を脱却できるか
2026年1月14日 00:00
2026年のスマホ業界で盛り上がりそうなのは何と言っても「衛星」だ。
昨年、KDDIがStarlink(スターリンク)とスマホの直接通信を実現させたが、いよいよNTTドコモとソフトバンクもスマホとの直接通信を開始する予定だ。といっても、どこか別の衛星通信会社と組むというわけではなく、NTTドコモもソフトバンクも、Starlinkとの契約ということになりそうだ。
つまり、3社で同じ衛星プラットフォームを採用するということで、これまでKDDIが築いてきた他社との差別化ポイントは消滅することになる。
Starlinkで横並びの3社、独自路線の楽天
ただ、NTTドコモとソフトバンクとしてみれば、衛星とスマホの直接通信サービスを始められるといっても、世間的に見れば、明らかに「KDDIの後追い」という印象は避けられない。
彼らにとっては、衛星との直接通信で、KDDIと差別化できるわけもなく、単に「他社と比較されても、遜色のないサービスラインアップ」として、穴埋めできただけに過ぎない。KDDIとしてみれば、この1年で「Starlink=au」といったイメージを世間に植え付けることができただけに、御の字と言えるのではないだろうか。
一方、衛星とスマホの直接通信に社運をかけているのが楽天モバイルだ。
楽天モバイルも今年中に、衛星とスマホとの直接通信サービスを開始する予定だ。パートナーはアメリカのAST社だ。AST社に対しては、三木谷浩史会長が早いタイミングから支援してきたこともあり、AT&Tなどほかのパートナーのなかでも相当、有利なポジションで衛星サービスを導入できるようだ。
なぜ楽天モバイルは「空からのエリア化」を急ぐのか
この年末年始、北海道・富良野に行ってきた。
新千歳空港からバスに乗り、道央自動車道を通っていくのだが、道中、暇なので、ずっとスマホをいじっていた。試しに楽天モバイル回線が入ったスマホを見てみると、結構な頻度でBand 18をつかんでいた。
楽天モバイルのBand 18といえば、KDDIのローミング回線だ。つまり、北海道のような場所では、割り当てられているプラチナバンド(Band 28)ではなく、KDDIのローミングに頼っているということになる。
楽天モバイルとKDDIのローミング契約は、9月までに見直しが入るとされている。楽天モバイルとしては「最強のネットワーク」と胸を張るが、KDDIとしては「それ、うちのローミング回線があってのことでしょ」というスタンスをとる。
KDDIはローミング接続で年間、数百億円規模の接続料を楽天モバイルから得ているとされている。常識的には「ローミング契約は継続」なのは間違いないのだが、楽天モバイルとしても、これ以上、KDDIのローミングに頼っていては、いつまで経っても赤字体質を脱却できない。
とはいえ、北海道の高速道路しかなくほとんど人の居ない場所に基地局を設置しまくるというのはあまりに設備投資がかかってしまい、効率的とはいえない。楽天モバイルとしては「ASTの衛星から電波を吹いて、一気に空からエリア化してしまう」というのが現実的な解だろう。
実際、道央自動車道を降り、山間の一般道を走ると、結構な頻度で、au回線のスマホではStarlinkに接続された。XなどはStarlink経由で閲覧することができたほどだ。やはり、北海道のような場所は、衛星とスマホのダイレクト通信が適しているのは間違いなく、楽天モバイルがASTに頼りたくなるというのも理解できるのだ。
ちなみに、富良野で泊まったホテルの部屋やスキー場の一部では、楽天モバイルは思いっきり「圏外」であった。KDDIのローミングにもなっていないのは驚きであった。
楽天モバイルは自前の“最強ネットワーク”を作れるか
もちろん、楽天モバイルとしては、こうした場所もASTで一気にエリア化させるつもりなのだろう。三木谷浩史会長は「ASTはプラチナバンドでやる」と宣言しているので、単に屋外だけでなく、屋内にもプラチナバンドの電波が浸透すると見られている。
ただ、楽天モバイルが持つプラチナバンドはかなり狭いため、どこまで快適な通信ができるかは不透明だ。あくまで「つながって見える」程度にしかならないのではないだろうか。
いずれにしても、ASTとのダイレクト通信により、楽天モバイルがKDDIに依存することのない「最強ネットワーク」を作れるかが、今年の注目ポイントと言えそうだ。




