法林岳之・石川温・石野純也・佐藤文彦のスマホ会議(仮)

povoのトッピング強化と爆アゲ改定、U-NEXTのMVNOに見る通信業界の「粘着性」戦略

 通信業界を中心に活躍するライター4人による「スマホ会議(仮)」。ケータイ Watch編集長の関口も同席し、今回はpovoのトッピング強化や爆アゲセレクションの還元率改定、U-NEXTのMVNOについて話し合っていきます。

povoは5GB、30GBトッピングを追加

佐藤
 KDDIのpovoでは、新たに「5GB(30日間)」や、これまで期間限定で提供されていた「60GB(365日間)」といったトッピングが、「いつものトッピング」として追加されました。

佐藤

石野氏
 期間限定ではなく、いつでも購入できるトッピングとして、5GB/30日と、長期間で、ひと月あたり30GBになるものが2種類、1年間で60GB使えるトッピングが1つ追加されました。

石野氏

法林氏
 あと、ペイディの6回、12回後払いがいつでも使えるようになった。

法林氏

石川氏
 会見前に、povoのトッピングを見直すという話だったので、種類を減らすのかと思ったら、逆に増えたのが驚き。説明内容に納得はできるけど、トッピングが多すぎる問題は解決していません。

石川氏

法林氏
 どれを買えばいいかわからなくなるよね。

石川氏
 説明会でも指摘しましたが、どれがいいかわかりにくいので、ユーザーとしては、長期間でお得なものを買おうという感覚になってしまう。そればかりになると、povoとしては、アプリ経由での日々の接点が少なくなっていくのは、課題として残ると思います。

石野氏
 ほかのキャリアから移ってくる人が、長期トッピングを選びがちとのことです。せっかくのpovoなのに、月額料金みたいな形で使っているんだなと思ってしまいました。

 逆にpovoとしては、毎月990円を支払ってくれるかもわからないユーザーを多く抱えているよりも、長期トッピングを購入してくれた方が、経営としては安定します。長期トッピングが増えすぎると、普通の料金プランになってしまってつまらないし、逆にショットで買う人、しばらくはローソンでもらえるデータ容量だけで過ごす人が増えると、経営は苦しくなるので、うまくバランスを取ろうとしているんだろうなと感じました。

法林氏
 BIC SIMユーザーの座談会では、ユーザーのみなさんから、必ずpovoの名前があがっていた。povoとBIC SIMを併用している人が結構多くて、認知度の高さは改めて感じた。

 povoの説明会で面白かったのは、年間の契約をしているけど、24時間使い放題などのトッピングを、週末だけスポットで買っている人がいるという話。上手な使い方だと思う。ただ、こうやって便利に使っている人がいるのに、それをpovo側があまり発信できていないので、もう少し頑張ってほしい。

石川氏
 自分は、会見の生中継をする時には、6時間使い放題のトッピングを購入したりする。こういう使い方には便利です。

 あと、新しいトッピングに目が行きがちですが、20GBのトッピングをやめたのが象徴的だなと思います。ahamo対抗の役目を終えたことがわかりやすい。

石野氏
 でも、20GBはやめても、30GBが残っているので、まだahamoに引っ張られている感じはありますよね。

石川氏
 引っ張られているけど、昔は20GBが主役だったことを考えると、感慨深いものがある。

石野氏
 20GBの時代が終わった感じですね。povoって、データ使い放題のトッピングも月単位で見ると、実は楽天モバイルとほぼ同額になるくらい安いんですよね。トッピングが出た時には、楽天モバイルの色を暗に匂わせていたりもしましたが、最近はあまり匂わせなくなっていて、ちょっともったいないです。

関口
 今回のトッピング改定も、値上げ感はあまりないですよね。

石野氏
 ないですね。KDDI側は、20GBをなくし、30GBを追加することで、値上げとみなされる心配をしていましたが、もともと20GB/2700円だったのが、30GB/2780円になるだけなので、これを値上げと捉える人はほぼいないと思います。

石川氏
 そもそも、あれだけトッピングがあったら、ユーザーはよくわからないんじゃない?

法林氏
 だからこそ、ホームページで「迷ったらまずはこれ」といったアピールをしているよね。入り口を明確にしている。

関口
 9月に、KDDI Digital Lifeの濱田社長に取材をした際には、トッピングの種類が多くてわかりにくいという問題について、将来的にAIエージェントで解決していくとお話しされていました。

石野氏
 povo AIはそのために導入したのかと、スッキリしました。

石川氏
 早く進めてほしいですね。

関口
 現段階では、理想と現実のギャップが埋められていないのが、しんどいところですね。

法林氏
 あと、トッピングでさまざまな企業とコラボをしているのはいいけど、期間限定なので気がついたら終わっているパターンが多い。

石野氏
 コラボ期間はちょっと短すぎますよね。逆に言うと、ここまで頻繁にトッピングを変えられるシステムを作るのはすごい。ちゃんとゼロから作った、モダンなシステムになっている。

 あと、まとめて数カ月分のトッピングを買って、ペイディで分割払いにするって、迂回しまくって、結局今までの料金プランと同じになる感じになっているのが面白いですね。

関口
 僕は、たまに出てくる「povoガチャ」を毎回買っちゃいますね。

石野氏
 povoガチャは、回線維持用にすごくいいですよ。100円のものとかも、時期によって登場するので。

法林氏
 今見ると、Huluとのコラボトッピングがある。こうやって、サブスクと組むのはありだよね。日本シリーズの期間だけ見たいとか、このドラマだけ見たいとか、ピンポイントで使える。DAZNがなくなってしまったのが、ちょっと痛いけどね。

石川氏
 DAZNがあった時には、F1の週末だけ、povoで見ようかなと思ったくらいですよ。

関口
 そういうユーザーが多かったのかもしれませんね。

法林氏
 DAZN側の売り方が変わったから、しょうがないけどね。

石野氏
 しかも、こういうコラボトッピングは、povoの料金はほぼタダや格安で、データ使い放題になったりします。計算すると、50円で1時間データ使い放題になるとか、かなりお得感は強いのですが、最近、セットにするトッピングが、データ使い放題ばっかりになっている。以前は1GB/30日間があったりしたので、ちょっと渋くなった気がしますね。

石川氏
 1時間の使い放題をもらっても、逆に使いにくいよね。

法林氏
 短時間で使い切らせようとしている感じはあるよね。難しいのは、24時間使い放題とかがどれくらい有用なのか。24時間ずっと、スマートフォンやモバイルのデータ通信の前にいるわけではないからね。

石川氏
 まだまだ、povo側がいろいろと試している段階なんだと思います。

関口
 今やっているコラボを見ると、たとえばスシローでは、料理が届くのを待っている間に、子供が駄々をこねるようだったら、スマートフォンやタブレットを与えるといったユースケースはありそうです。

石川氏
 確かに。

石野氏
 でも、やっぱりお得感は下がっている気がするんですよ。今もあるコラボトッピングだと、ローソンでのお買い物券500円分に0.3GB/24時間がついて500円なので、データ通信は実質タダ。これと比べると、スシローや丸亀製麺のコラボは、ちょっとしょっぱく感じます。

法林氏
 そこは、コラボ相手の風呂敷次第でもあるからね。

石野氏
 そうなんですけどね。DMMコラボも、昔はローソンコラボみたいな建て付けだったのに、使い放題にシフトしてきています。

法林氏
 ただ、これをうまく使っていくと、他社が握っているコンテンツサービスをうまく侵略してユーザーを獲得していけるかもね。

関口
 povoとしては、およそ1年前から「povo 3.0」として、パートナーが主体になると言っていましたが、この仕組みがいまいち進んでいるのかがわかりません。

石川氏
 ちょっとトーンダウンしましたよね。

石野氏
 新社長(濱田氏)は言わなくなりましたよね。

関口
 パートナーへの売り込みは頑張っているという答えをいただいたことはあります。

石野氏
 povo 3.0という言い方は微妙かもしれませんが、DMMとかだと、DMM側でもpovoのアピールをしています。

法林氏
 povoとしては本来、そういう形をやりたいんだと思う。ブランド側でやってもらいつつ、使っている回線や申し込みの仕組みは、povoを使っているという仕組みの方が、やりやすいんだろうね。

関口
 成功例として言われたのは、万博向けのOSAKA eSIMとか、外国人向けの、Suicaと一緒にSIMを入れるやつですね。

法林氏
 取り組みとしては悪くないよね。外国人の立場からすると、手を出しやすい。

石川氏
 povoって、アップルのサイトにも、eSIM対応キャリアとして掲載されているくらいなので、インバウンド向けにはいくらでもやりようがあります。

石野氏
 DMMから買ったりする方法もあります。あとは、ConnectINですね。

石川氏
 ConnectINでいうと、VAIOのモバイルのデータ通信に、ドコモ回線が追加されたニュースには驚きました。最初、VAIOがConnectINみたいなことをやるという話かと思ったら、ConnectINにドコモ回線が追加されていた。

法林氏
 VAIOとダイワボウがやりたいから、こういう関係になったんだと思うけどね。

石野氏
 このドコモ回線って、ソラコムとかじゃないですかね。BCP対策用とはいえ、KDDIが直接ドコモ回線を仕入れられなくないですか? KDDI SUMMITで聞いたら、MVNOとして回線を提供しているとのことでしたが。

石川氏
 副回線の延長じゃないの?

石野氏
 でも、使い放題ですよ。

法林氏
 ドコモ回線を使いたいというユーザーの要望があったんだと思うけど、じゃあモバイルのデータ通信に回線が入っていて、ドコモとKDDIのどっちが安定するのか。

石川氏
 ドコモ回線だと、ビデオ会議できないとかいう問題が起こりかねない。

石野氏
 NTTの会見室ですら、ドコモだけ5Gが繋がらないですからね。

石川氏
 あそこはWi-Fiが充実しているから。ドコモビジネスしかり、ドコモしかり、NTTグループ社員はドコモ回線じゃないといけないだろうし、ドコモビジネスがやろうと思ったら、こういう仕組みになるんじゃないですかね。

法林氏
 法人のパソコンって、HPとかが一生懸命プロモーションしているけど、採用されているのはdynabookが多い。VAIOは、ソニー時代から法人をやりたくて、いろんなネタを仕込み続けている。ドコモ回線がバンドルされれば、もっとVAIOが売れるという目論見だと思うけど、ドコモ回線じゃなきゃだめという、何かしらのオーダーがあったのかもしれない。

石川氏
 ConnectINは、いろいろな特許があるから、他社は真似できないという話は以前からありました。なので、こういう座組になったんでしょう。

法林氏
 でも、もともとモバイルのデータ通信にモジュールを入れて、モバイルのデータ通信回線を使えるようにしたのは、ドコモが先だったよね。

石川氏
 そうですね。ただ、それをまとめて書き込む仕組みとか、この端末だけ使い放題にするといった仕組みまでは、ConnectINが作ったんでしょう。

法林氏
 iPhoneのeSIMの話と同じだね。情報が降ってくるのか、自分でEIDを入力するのか。管理する側からすると、全部の情報が降ってきた方が楽。

ポイント還元率を改定した爆アゲ セレクション

佐藤
 ドコモの話題だと、爆アゲ セレクションの還元率改定が発表されています。

石野氏
 しょっぱくなりましたね。

法林氏
 サブスクサービス自体、価格改定の波が来ているので、それに合わせた最適化だと思う。

石川氏
 あと、わかりやすく、DAZNがポイント還元対象から外れましたね。

石野氏
 対応を見ると、ドコモ MAX以外の料金プランはドコモにあらずと言わんばかりです。ドコモ ポイ活 20くらいは、還元率を継続してもよかったと思いますけどね。

法林氏
 僕もそう思う。

石野氏
 あとeximoも。ドコモ MAXを売りたいのはわかる。料金がそんなに変わらないから、eximoからドコモ MAXにしましょうという案内はしやすくなりましたけどね。

 一方で、ahamoはもともとの料金が安いので、還元率が下がっても仕方ない気もしますが、露骨にドコモ MAX誘導が強まっています。

法林氏
 ドコモ MAXは、もともとの料金が高いので、みんなドコモ割と、光回線のセット割が使える人にとってはいいけど、そうではない人にとって今回の改定は、DAZNもなくて還元率が下がることになってしまう。DAZNはドコモ MAXでバンドルしているので、仕方ないけどね。

関口
 Leminoの還元率も下がっているのが、逆に公平だなとは思います。爆アゲ セレクションの還元率改定にならって、他社の同じようなサービスはどう動きますかね。

佐藤
 auのサブスクぷらすポイントは、還元率が15%だったのが、20%に増えましたよね。

石野氏
 auバリューリンクプランの発表時に、1つの目玉として発表しました。

石川氏
 値上げ批判を回避するために、サブスクぷらすポイントの還元率を上げて、うやむやにしようとした(笑)。

関口
 僕は爆アゲ セレクションの対象になってから、Google Oneを使い始めました。

法林氏
 Google Oneについては、いろいろ話すことがあるよね。アップルもそうだけど、クラウドサービスにお金を払いたくないという人は一定数いる。でも、Google Oneとか、iCloud+は、ある程度使うと快適になる。こういうサービスに対して、キャリア側が支払いの窓口になると楽だよね。

 以前、石野くんが毎月グーグルに1000円以上も払いたくないと言っていたけど、AIがついていたりする今の形だったらいいんじゃない?

石野氏
 Google Oneではなくて、Google Workspaceの方に毎月数千円お金は払っていますけど、それに加えて、個人からもお金を取ろうとするのは、ちょっと……。

法林氏
 それは自分のドメインがあるからでしょう。

石野氏
 でも、1000円はちょっと高くないですかね。

法林氏
 まあそうか。iCloud+は、一番安いのだと毎月150円だもんね。それでも嫌がる人はいる。

石川氏
 嫌がる人はいるけど、だんだんそういう方向になると思います。グーグルは広告収入より、AIに対するサブスク収入がメインになっていくし、アップルもいろいろなサービスを使う上で、iCloud+が主体になっていく。毎月、グーグルとアップルにお金を払う人が増えていくと思う。

法林氏
 僕はクラウドサービスを使った方が楽だと思う。写真を撮るたび、いちいち写真を消してストレージ容量を確保するくらいなら、iCloud+に150円くらい払おうよって思う。

石川氏
 ただ、契約できる容量に柔軟性がないんですよね。povoならいろんな選択肢があるのに。

石野氏
 iCloud+は、200GBの次が2TBですからね。ちょっと悪どい感じがします。500GB、1TBくらいは欲しい。

佐藤
 せめて1TBは欲しいですよね。

石野氏
 こういうところこそ、スマホ新法で突いてほしい。

法林氏
 あと、グーグルもアップルもファミリー共有プランがいまいち知られていない。

石野氏
 iCloud+は、家族で合算ではなくて、誰かが2TBを買って、それを分けるみたいな仕組みですよね。

法林氏
 そうなんだけど、ファミリー共有でもらった容量にプラスして、自分で購入した容量も持てる。例えば、石野くんが2TBの契約をして、奥さんに分けたら、奥さんは共有の2TBに加えて、自分で200GBの契約をして、合算するみたいな使い方ができる。

通信業界をしたたかに立ち回るU-NEXT

関口
 サブスク繋がりだと、最近はU-NEXTの動きが話題ですね。

法林氏
 したたかだよね。

関口
 U-NEXT fot スマートシネマ、楽天モバイルとのモバイルsetプランに加え、自分たちでもMVNOサービスを11月より開始します。

石川氏
 自分たちでMVNOをやるのは驚きでしたね。

法林氏
 U-NEXTのMVNOとしては、y.u mobileがあるけど、以前提供していたU-mobileでは、一度失敗しているよね。一応サービスはまだ継続しているけど、新規申し込みは終了している。

石野氏
 楽天モバイルとタッグを組む際、y.u mobileはどうするのかと質問をしたら、宇野代表にちょっと嫌な顔をされたのは、こういうことだったのかと(笑)。

法林氏
 2022年に終了したU-mobileのページを見ると、今後はy.u mobileへと案内されているね。

佐藤
 y.u mobileは、現時点では物理SIMのみなんですね。

法林氏
 そういう棲み分けなのかな。

石野氏
 あとは資本関係ですよね。y.u mobileは、ヤマダホールディングスのお金が入っているので、自分たち単独でもやりたかったのかな。

法林氏
 でも、楽天モバイルと一緒に会見までして、日本企業の最強タッグですと大風呂敷を広げておきながら、単独でもサービスを開始する。すごくしたたかだよね。

石野氏
 ただ、今後U-NEXTのように、コンテンツを持っている企業がMVNOを始めて、回線を選べるようになっていくのが主流になっていくのかなとも思います。DMMも、DMMモバイル Plusとして、povoのトッピングがありながら、IIJとMVNOの提供をしています。ホワイトレーベルに近い感じで、コンテンツと組んで回線を売る流れができていくかもしれません。

関口
 まだ、携帯電話会社っぽいことをやりたい方たちが、それなりにいらっしゃるんですね。

石川氏
 コンテンツを提供する企業からすると、簡単に解約されてしまうので、粘着性を上げるには回線とセットにしたいんだと思います。

石野氏
 JALとかもそうですね。回線があると簡単に解約されないし、経済圏に組み込まれていく。

石川氏
 そうだね。こういったビジネスモデルに、コンテンツを提供する企業も気がつき始めた。

関口
 爆アゲ セレクションみたいに、キャリアが窓口となってサービスを売るというやり方と、基本的な考え方は同じということですね。

法林氏
 そうだね。入り口をどう考えるかという話。コンテンツプロバイダー側が入り口になることもあるし、ヨーロッパに行くと家電量販店のSIMとか、スーパーのSIMがたくさんあるので、それに近い。日本で言うと、イオンとかが近い。

石野氏
 こうやって、回線を相手先のブランドで出していく旨みに気づいたのがIIJであり、先に触れたpovoであるという感じですね。

CEATEC 2025から考える日本の展示会ビジネス

佐藤
 10月14日から17日にかけて、CEATEC 2025が開催されました。

石野氏
 4キャリアがそれぞれプレゼンをしていて、ドコモはネットワークスライシングを始めると言っていましたが、KDDIやソフトバンクと比べると、出遅れ感がありましたね。KDDIやソフトバンクは、5Gが整備されたことを前提に次の話をしている。

石川氏
 ドコモの5G整備が遅れていることは、みんなわかっていることじゃん。

石野氏
 そうなんですけど、4キャリアで並べたことで差がはっきりとしてしまっていました。一方で楽天モバイルは、ネットワークの話をする場なのになぜか料金の話から始めていて、このテーマで語ることがあまりないんだなと感じてしまいました。

関口
 CEATECを通じて、キャリアの現在地が見えた感じですかね。

石野氏
 そうですね。5Gの話は面白かったですよ。ただ、それが展示とリンクしているかというと、別にそういうわけではありませんでした。そもそも、かなり空いていたというか、広々としていたというか、混んでいないというか……。MWCやCESと比べると、規模の小ささが目立ってしまいますよね。

関口
 MWCと比べると、どうしても規模感の小ささは感じてしまいますよね。

石野氏
 各企業、そこまでコストをかけるわけにはいかないんだろうなというのはわかりますけど。来場者も10万人を切っています。

法林氏
 減ったね。

石川氏
 以前、経産省の人から、展示会ビジネスをどうするべきかと相談を受けて、日本の展示会がいまいち盛り上がらない理由を考えたんですけど、現状は単に企業が展示をするだけになっているんですよね。

 MWCは、世界中から人が集まって、美味しいものを食べながら仕事の話をする場になっている。日本の展示会には、そういう視点が足りないと思います。幕張でやっても、周辺に美味しいものがあるわけではないし、泊まらずに都心に帰れてしまうので、中途半端なホスピタリティになってしまっています。

法林氏
 熱海とかがいいかな。

石川氏
 熱海もいいですし、自分は福岡がいいなと思いました。

法林氏
 福岡はいいね。

石川氏
 福岡なら、取材のためにみんな出張するし、ホテルの数もあるし、美味しいものもたくさんある。そういうみんなが行きたいと思える展示以外の要素があれば、展示会自体ももっと盛り上がると思います。

石野氏
 日本全体で言うと、ポテンシャルはあると思いますけどね。特に東京なら、美味しいお店も多くて、価格も世界的に見たら安い。

法林氏
 会場で商談をした後に、このあとご飯でも食べながら、新製品の話をしようっていう流れになるのかと考えたら、幕張の周りにそういう店はあまりないよね。

石川氏
 あと、東京だと分散してしまうし、みんな帰ることができてしまう。宿泊込みで、しばらくその場に滞在しないといけないという環境が必要です。数日泊まれば、それだけ来場者数も増えます。

法林氏
 そう考えると、九州はちょうどいいね。

石川氏
 日本の展示会は、こういう視点があまりないですよね。MWCも食事の比重は大きいじゃないですか。

石野氏
 そういう意味では、大阪の万博跡地に、IRを作っていくといいですよね。

石川氏
 そうそう。シンガポールとかもそうで、カジノやホテルがある。そういう遊びの要素が欲しいけど、幕張メッセや東京ビッグサイトにはない。

石野氏
 それでいて、街からかなり遠いかと言われると、そうでもなくて、電車で行けてしまう。

関口
 このまま行くと、展示会ビジネスは中国に持って行かれてしまいそうですよね。

石野氏
 実際、その傾向はあります。

石川氏
 ただ、中国は自国内で完結してしまうからね。

名称より気になる「MUFG スタジアム」の電波事情

佐藤
 CEATECの裏では、国立競技場がMUFG スタジアムに名称を変更することが発表されました。

法林氏
 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)がネーミングライツを取るのは、MUFGの戦略なのでどうぞどうぞという話でしかないけど、国立競技場の運営事業体の中にドコモがいるのはいいこと。ミリ波の追加にもすでに取り組んでいるらしいです。

 IGアリーナを見た時に、ようやく5G時代のエンターテインメントができるかもと言ったけど、同じことが国立競技場でもできるかもしれない。スポーツイベントはそうだけど、音楽イベントなども音響が考えられていて、今度のライブ用の外装はすでに作っているとのことです。

石川氏
 ただ、聞いたところによると、音響の1番の対策は、近所の人に話して理解をしてもらうことらしい(笑)。記者会見の声ですら、かなり広がっていましたからね。

石野氏
 最近も、横浜で開催されたライブで、音漏れがすごいというニュースになっていましたね。

石川氏
 いろいろ思ったけど、1つは、最初から屋根をつけておこうよという話。万博もそうだけど、赤字になるからやめとけという意見に日和ってしまっている。

法林氏
 ザハ案(ザハ・ハディドがデザインした新国立競技場の案)を流しちゃったからね。

石川氏
 結果、屋根を作らなかっただけでなく、木で作ってしまったのでそのうち朽ちていく。

法林氏
 結局、メンテナンスにお金がかかる。

石川氏
 そうですよ。屋根があればメチャクチャ稼働率が上がるのに、それができなかったのが残念。もちろん、当初のザハ案でお金がかかりすぎるのはわかるけど、もうちょっとコストカットをしながら、将来にわたって実用性があるデザインにはできたと思う。

法林氏
 最初のザハ案を、フルスペックで作るのは厳しかったと思うけど、屋根を開閉するくらいなら、できるスタジアムは実際にある。稼働率を上げることを考えたら、できることはあった。

石野氏
 オリンピック関係はいろいろと日和ったというか、ネットの声に左右されすぎた感じですよね。

法林氏
 木材を使うのは、建築の世界でいろいろな意見があると思うけど、そもそも、始まる前からいろんなメディアが文句をつけすぎだよね。これは何とかしたほうがいい。

 ザハ案がよかったかどうかはわからないけど、木を使いまくって、メンテナンスにお金がかかるスタジアムを作るのは、果たしてどうなのかと思う。あと、サッカーファンからすると、陸上トラックはいらないよね。

佐藤
 僕はそこまでは言ってないですよ(笑)。

石野氏
 世界陸上ができなくなっちゃう(笑)。

法林氏
 でも、海外にはトラック部分に席を出せるような仕組みを作っているスタジアムもある。両用ができていないのがちょっと残念。

石川氏
 ドコモの取り組みとして評価したいのは、VIPルームを強化して作っているところ。スポーツや公演を見るときって、知らない人が隣にいたり、誰かに紹介してもらうといった機会が多いので、VIPルームが交流の場として機能するのはありです。展示会の福岡理論じゃないですけど、高いけどそこに人が集まって、仕事が増えるみたいなことはあるので、こういう仕組みは必要です。

法林氏
 海外には普通にある仕組みだもんね。

石川氏
 ようやく、日本のスタジアムもこういったビジネスに気がつき始めた。

法林氏
 ヨーロッパのサッカースタジアムに行くと、スタンドの上にVIPルームがあって、有名な選手が来ているみたいな話になるし、それが普通。

石川氏
 東京ドームや福岡ドームで、孫さんがいるようなスペースがいっぱいあるイメージ。

法林氏
 それが普通に売っているっていうことね。一方、日本は年間シートみたいなのはあるけど、VIPルームみたいなシートが全然ないので、そこを国立競技場で変えようとしているのはいいと思う。

石川氏
 ぜひ、どこかに招待してほしいですね。

法林氏
 あと、公演とか推し活の話だと、最近は映画館でVRゴーグルを付けて、目の前にアーティストがいるような体験ができる公演がある。こうやって盛り上がっている人がいるのを見ると、案外VR、MRの市場はあるのかもと思いましたね。

石野氏
 自分でデバイスを買うわけではないですからね。逆に言うと、こういう会場でミリ波を整備するニーズはあるのかなと思います。ドコモがスタジアムにミリ波を入れるのも、大容量のコンテンツを配信することを想定しているとのことなので、こういうニーズはありますね。

関口
 ミリ波普及のためにも、はやく日本版のiPhoneもミリ波対応になってほしいですね。

法林氏
 今、ミリ波対応のスマートフォンって、GalaxyのUltra系と、PixelのFoldくらい?

石野氏
 あとXperiaですね。無線技術のためにスマートフォンをやっていると言うくらいですから。

 ミリ波で言うと、KDDIが京セラと一緒にやっている、ミリ波を反射させる無線中継機は、結構すごいなと思いました。西新宿にあるKDDIのビル周辺は、ミリ波でしっかりとエリア化されています。まだエリアは限定的ですが、応用の幅は広そうです。

法林氏
 国立競技場でミリ波が使えるようになっても、ミリ波を受信できるドコモ端末を誰も持っていないということになりかねないよね。

関口
 KDDIと京セラの無線中継機は、万博会場にも追加されていましたね。

石野氏
 そうですね。ちゃんとミリ波を面展開できているのがすごい。こういう話がドコモからは出てこない。

法林氏
 ドコモは今それどころじゃないからね。他にやらないといけないことがある。

石川氏
 結局、ドコモのネットワーク品質は上がるんですかね。

関口
 最初話題になっていた渋谷エリアなどは、体感では繋がるようになっている印象ですが、今度はこっちが繋がらないみたいな状況が続いていますよね。

石野氏
 モグラ叩きになっていますよね。

石川氏
 京浜東北線に乗りながら、My docomoの操作をしていたんですけど、すぐ接続が途切れました。

関口
 ゲームアプリなどをしていると、チート対策などでかなり頻繁にサーバーと通信するのですが、電車に乗りながらプレイすると厳しさを実感します。

石川氏
 アンテナを増やすとか、そういう話ではなくなっていますよね。

関口
 電波干渉ではないんですよね。

石野氏
 上りに問題があります。周波数転用エリアが密じゃないのが、結構効いています。

法林氏
 この話って、割り当てられた周波数の特性もあるし、ドコモの契約者数と、転用できる周波数のキャパシティを考えると、厳しさはあったと思う。一概にドコモがダメという話ではないけど、それを見越してできることはあった。

石野氏
 ただ、ドコモは3.5GHzの割り当てがあるのに、4Gの時にちゃんと広げていなかったし、5Gに転用していなかったのは、責められるべきだと思います。TD-LTEや転用に消極的だったり、なんちゃって5Gと揶揄したり、その状況で使い放題を始めたり。

法林氏
 挙げ句の果てに、サービスをどんどん終了して、コストカットばかりしていた。

関口
 ミリ波は、本当にスポット的にしか展開できていませんね。

石川氏
 そもそも、対応端末がほとんどないですからね。

法林氏
 iPhoneがミリ波対応になったら、みんな一生懸命やるだろうけど、そもそもコミケや東京ドームのイベントで、5Gをオンにしてくれとアナウンスをしないといけない状況なのが問題。イメージが悪いまま来てしまっている。

石野氏
 でも、KDDIもソフトバンクも、都内ではずっと5Gに繋がります。むしろ4Gのアイコンが少ない。

石川氏
 5G+にも繋がる。

石野氏
 ドコモは、頑張ってくださいとしか言えないですよね。

関口
 みなさんは、体感としてよくなったとは感じていない?

石野氏
 渋谷とかはよくなっていますが、繋がらない場所が移っているだけのように感じます。ネットワークは生き物みたいなものなので、時系列で変化します。ソフトバンクも最近、ちょっと渋谷で繋がりにくくなっているとは思いますが、ひどくなった時のダメっぷりは、ドコモが結構深刻です。

法林氏
 それは、エリア内のユーザー数も関係しているよね。

石川氏
 劇的に変わる気がしないですよね。

法林氏
 取り組んでいることは確かだし、よくなっているエリアもあるけど、3社の中では一番繋がらないのは事実だよね。

石川氏
 やっぱり、電話ボックスの上にアンテナをつけるレベルでは、どうにもならないですよね。

石野氏
 そんなにたくさん電話ボックスがあるわけじゃないですからね(笑)。電柱に比べるとちょっと弱いですよね。

関口
 10月に発表された、Opensignalの5Gグローバル・モバイル・ネットワーク・エクスペリエンス・アワード2025では、ドコモは5G音声アプリ体験という項目で、Global Leaderを受賞していますね。

法林氏
 でも、音声に関してもソフトバンクがVoNR(5G SAで音声通話を行うサービス)を開始しているよね。

石川氏
 Xperia 10 VIIから始めるのかという驚き。

石野氏
 それはたまたまじゃないですか(笑)。

関口
 影響が少なそうなボリューム感の端末から始めたのでしょうか。

石野氏
 タイミングの問題じゃないですか? ソフトウェアでオンにするだけなので、アップデートをこのためだけにかけるのは微妙だから、既存の端末は、別のアップデートのタイミングでやるんじゃないですかね。

石川氏
 そういう意味では、Apple Watchの5G RedCap(スマートフォンなどが利用するNRほどの無線帯域、通信速度が必要ない用途のIoTのために規定された規格)もそうですし、ソフトバンクのネットワーク部門は頑張っていますよね。

法林氏
 新しい規格にいち早く対応しようとしているのは好印象。

石野氏
 ソフトバンクは、5G SAも安定していますしね。細々と切り替わらない。

関口
 ドコモは、止まったなと思ってしばらく待ったら、5Gマークが4Gマークに切り替わることがあります。

石野氏
 そこのシステムを切り替える際のタイムラグとか、ネットワークへの接続失敗とかがあると思います。NSAはそこの難しさがあって、SAの方がシステムがシンプルなのは、ドコモ自身も言い始めています。

法林氏
 5Gをオンにしてくださいとお願いしている件と同じで、ユーザーが5G SAに繋がってくれれば、残りの部分は整理できるはず。

石川氏
 4G転用について、なんちゃって5Gと言っていましたが、5G SAをなるべく早く導入するための布石として、KDDIとソフトバンクはいち早く取り組んでいた。これをわかっていなかったドコモが、強烈なしっぺ返しを喰らっている。

関口
 ドコモの5G SAエリアを見ると、かなりスポット的になっていますね。

石川氏
 ミリ波ならまだしも、5G SAはスポット的に展開するものではないですからね。ここで、SAからNSAに切り替わる時にもたついている。本来であれば、SAでバッと面展開しないといけない。

石野氏
 駅からちょっと離れたらVoLTEに切り替わるようでは、意味がないですからね。

石川氏
 駅の出入り口にスポット的に展開しても、そこにいるのは数秒ですからね。エリアの話で言うと、この前久々に確認したら、楽天モバイルのKDDIローミングエリアって、まだ結構残っていました。

法林氏
 ローミング期間を延長するんじゃない?

石川氏
 やめられないですよね。

関口
 首都圏はかなり自前のエリアになっていますけどね。

石川氏
 でも、23区内も建物内などはまだまだなので、ローミングが残っています。これがなくなったらかなり大変ですよ。これでよくネットワーク最強と言えるなと。

佐藤
 この状況だと、むしろ値上げはできないですよね。

関口
 ディズニーリゾートとかは、全然エリア化できていませんね。

法林氏
 ディズニーみたいな施設は、地下鉄と同じで、営業終了後しか工事ができないから、エリア化するのは大変だよね。でも、MNOになってから何年経ったのかと言う話ではある。

石野氏
 船をつけておくしかないんじゃないですか(笑)。

石川氏
 逆にこれだけのローミングエリアが残っていて、KDDIの収入が減っていると言うのが、いまいち理解できないんですよね。

石野氏
 少しずつ減ってはいるんじゃないですか。

法林氏
 減っていると言っても、結構な金額はかかっているよね。

石川氏
 年間数百億円はかかっていると思います。一方で、楽天モバイルユーザーは1人あたり30GBを使っているという話なので、結構負担になっていると思います。

関口
 楽天モバイルのエリアマップを見ると、5Gは結構広がってきているようなので、5Gへの分散ができているのかもしれません。

石野氏
 あと、データ通信をめちゃくちゃ使うのは、都市部の人が多いらしい。楽天モバイルの契約者は、東京の比率が高いみたいです。

法林氏
 結局、最初に言っていた通り、都市型の通信サービスにすればよかったのにね。

石野氏
 エリアマップを見ると、ローミングエリアが必ずしも楽天モバイルのエリアになっていないというわけではなくて、重なっているところもあります。

関口
 ローミングで面を作りつつ、5Gエリアの展開を広めていると。

石川氏
 ただ、Sub6がどこまで繋がっているのか。

法林氏
 楽天モバイルの4G展開が辛いのは、帯域を考えればわかる。5Gは帯域があるので、基地局を立てればエリアは広げられる。じゃあ、ゴルフ場みたいな郊外で繋がるのかと言われると、まだまだローミングの助けが必要。

石野氏
 現状は、実質都市型になっていますよね。

法林氏
 だから、最初からそう言っているのに。最強を目指す前にやることがある。

関口
 一応、ミリ波のエリアもあるみたいですね。ドコモよりミリ波エリアは多いです。

法林氏
 でも、ミリ波対応端末はほぼ取り扱っていない。

石川氏
 そうなんですよ。

石野氏
 これこそ無駄遣いですよ。

石川氏
 SIMフリーで買ったミリ波対応端末じゃないと、実質使えない。

関口
 あと、5年前に販売されたRakuten BIGはミリ波対応ですね。

石川氏
 楽天モバイルは、なんのためにアンテナをつけているんですかね。

法林氏
 総務省がミリ波割引とか言っているけど、そもそも世の中にミリ波対応端末が少なすぎるよね。

石川氏
 時すでに遅しですよ。5Gがスタートした段階でやっておかないと。

法林氏
 奨励金が出ても、端末が出ていないと、買うものがない。

石川氏
 結局、端末とセットで売らないと、普及しないですよね。変に分離したから、普及しないまま来てしまっている。

法林氏
 つまり、ミリ波対応のSIMフリー端末などに、楽天モバイルのSIMを移して、ミリ波エリアに行けば、超快適に使えると。

石野氏
 それは端末も提供しているキャリアとして、ちょっと無責任ですよね。

石川氏
 ただ、総務省が出している資料で、28GHz帯のトラフィック量を見ると、楽天モバイルは結構使われている。

法林氏
 ソフトバンク、少ないね。

石野氏
 前年比で見ると、ドコモは減っているじゃないですか。

佐藤
 減ることってあるんですね。

関口
 楽天モバイルは、ちゃんと伸びていますね。

石野氏
 自前で端末を買った人が繋がっているということですね。ドコモが減っているのは、端末が減っているからという気もしますね。

法林氏
 auが頑張っているのはわかるし、意外とソフトバンクは少ないなと思うのもあるけど、ドコモと楽天モバイルは、同じくらいというのが驚き。

石野氏
 楽天モバイルは、あれだけ基地局があっても、これくらいに止まっているという見方もできます。KDDIは、京セラの中継機技術の凄さを感じますし、端末もちゃんと用意しています。

関口
 そう考えると、自前でミリ波対応端末を売っていない楽天モバイルが、これだけ使われているのがすごくないですか。

石川氏
 謎ですね。

石野氏
 Rakuten BIGですかね。

石川氏
 でも、確かに家で楽天モバイルのミリ波が入ったら、絶対使い倒すな。

佐藤
 ミリ波に対応しているハイエンド端末を買うユーザーは、リテラシーが高い人が多くて、楽天モバイルをサブ回線として契約している層と重なっているのかもしれません。

石野氏
 それは確かにありそう。

石川氏
 あと、この資料は2024年4月時点ですけど、5G基地局数が、ドコモは5144局、KDDIが1万2763局、ソフトバンクが6407局、楽天モバイルが1万3340局。楽天モバイルが一番多くなっています。

 この資料だと、2.5GHz帯のTD-LTEにどれだけトラフィックが流れているのかもわかる。KDDIとソフトバンクが、いかに2.5G帯に流しているのかがわかります。

石野氏
 2.5GHz帯って絶妙で、5Gに転用しても、もともとが早いので、なんちゃって感がないんですよね。

石川氏
 これを見ると、ドコモが2.5GHz帯を持っていないのが効いていることがよくわかります。

石野氏
 3.5GHz帯をもらった時に、もっとやるべきことがあった感じですよね。

法林氏
 近年の周波数帯の割り当ては、ドコモにとっては、痛い感じが続いているね。

石川氏
 戦略立ててないですよね。その点、KDDIはめちゃくちゃ考えている。

法林氏
 そういう意味では、ソフトバンクがイー・モバイルを買収したのもそう。周波数の特性、流れをよくわかっているからね。

石野氏
 ソフトバンクは、この前もSub6の周波数帯をとったりしていますね。先に2.5GHz帯とか、転用でエリアを整備しておいて、後からSub6を追加する戦略。

法林氏
 周波数戦略的に、これからドコモが他の周波数帯を獲得しても、それで解決できるようなレベルにないよね。

石野氏
 数が全然違うので、今からキャッチアップするのは無理ですよね。

石川氏
 じゃあ、楽天モバイルはこれで足りているのかという話もあります。

石野氏
 明らかに足りていませんし、Band3だけだと、転用もできない。4Gを切る覚悟で転用することはできないので、辛いところがありますね。

迷惑電話対策の普及は急務か

法林氏
 国際電話番号ブロックシステムとして、デジポリスアプリが発表されているけど、そもそもキャリア側で、国際電話の受信を切る機能をつけるべきだよね。

関口
 アプリとしては、電話はかかってくるけど、通知が来ないようにするというものですね。

石野氏
 逆にいうと、AndroidもiPhoneも、AIで応答できるようになってきています。

法林氏
 それも設定しないといけないんだけど、電話で特殊詐欺にあうような人たちが、自分で機能をオンにできるのかという問題がある。キャリアももう少し工夫してほしい。

石川氏
 ウイルス対策ソフトでオプション料を取るよりも、こっちの方が大事ですよね。スマートフォンは、そんなにウイルスに感染しません。

法林氏
 迷惑電話対策の方が機能としては大事だよね。

関口
 機能としては、プラットフォーマーに先んじられていますよね。サポートセンターの対応をAIでするとか、ちょっと後手に回っている感じがします。

法林氏
 そうだよね。そもそも、何か困ったときに電話をして、相手がAIだとわかった時にどういう気持ちになるのか。

石川氏
 怒っているお客さんが、話し相手がAIだとわかったらもっと怒りますよ。

石野氏
 せめて解決してくれるならいいんですけど、そこまで対応してくれないんですよね。