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「BIC SIM」ユーザーによる座談会「BIC SIMユーザーMeet UP!」を開催

 9月下旬、ケータイ Watchは、MVNOの「BIC SIM」を利用しているユーザーに、BIC SIMに対する本音を語ってもらう座談会「BIC SIMユーザーMeet UP!」を開催した。座談会にはモデレーターとして、本誌でお馴染みのライター法林岳之氏も参加。BIC SIMはもちろん、携帯電話サービスの多様な背景を解説していただいた。会の進行は編集部員の竹野弘祐が担当した。

モデレーター、解説者としてライターの法林岳之氏も参加

 参加者は、iPhone 17 Pro Maxユーザーの「あっきん」さん、iPhone SE(第3世代)ユーザーの「uuu」さん、arrows Alphaユーザーの「ひこにゃん」さん、moto g52j 5G IIユーザーの「まっく」さんの4人だ。

 BIC SIM利用歴はまっくさんが1年半程度、他3人は2年以上。料金プランは全員が「ギガプラン」を利用している。ギガプランは、2ギガの小容量から55ギガという大容量まで8種類から選べるBIC SIMの主力プランだ。複数回線を契約してデータ容量をシェアしながら使っている人もいたが、全員1回線あたり5ギガプラン(月額950円)を契約していた。

なぜBIC SIMを選んだのか

 なぜBIC SIMを選んだのか、まずその理由を聞いた。

 あっきんさんは、「iPhone 15に機種変更する際、eSIMにしたくなって」、当時eSIMに対応していた数少ないMVNOのBIC SIMにほかのMVNOからMNPした。

海外版も含め歴代のiPhoneを使ってきたあっきんさん

 ひこにゃんさんは、実家の家族とグループを組んでいたため、20年間、MNOの1回線を維持していた。家族はあまりデータ通信を利用しないため5GBを4人でシェア。そのため、ひこにゃんさんが少し使いすぎるだけで、あっという間に料金プランの階段が上がってしまう状況だった。

実家の家族グループでの使い方に悩んでいたひこにゃんさん

 ひこにゃんさん曰く「マイページを日々チェックするのが辛くて(笑)」低料金なBIC SIMとの2回線持ちになった。BIC SIMはMNO回線と異なる回線を選べたことも魅力だったという。現在は夫、ひこにゃんさん、子ども2人の4人家族で5回線、合計25GBをシェアしながら使っている。ただ、たくさん使うのはゲーマーの夫とスマホを2台使っているひこにゃんさんの2人だ。子どもの1人はまだキッズケータイを使っている。

 最年少20代のまっくさんは、学生のころは父親名義で契約。アプリごとの通信量を計測するアプリをスマホにインストールして、3GBを節約しながら使っていた。社会人になって自分名義で回線を契約したが、さすがに3GBだと「ゲームや動画で足が出る」ことが多くなり、BIC SIMは5ギガプランを選択した。ただ、自宅にWi-Fiがあるため3GB程度で済む月も多いそうだ。

小容量を工夫して使ってきたまっくさん

 uuuさんはスマホ使用歴は長いものの、動画視聴やゲームはあまりしないため、BIC SIM契約時は当時最小容量の3GBプランを選択。その後、5ギガプランにしたが、旅行などでデータを多く使う月は10ギガプランに変更するなど、「5ギガと10ギガを行ったり来たりすることが結構ある」という。

5ギガと10ギガを切り替えながら使うことも多いuuuさん

どこにメリットを感じているのか  BIC SIMの魅力

 4人とも選んでいる5ギガプランはコスパの高いプランだ。より小容量の2ギガプランは月額850円で、料金は100円しか違わないのにデータ容量は2倍以上になる。5GBまで使わないが、安心感のために5ギガプランを選んでいるという人も多い。しかも、余ったギガは翌月に繰り越せる。

 5ギガプランに関わらず、ギガプランは“格安”と言われるMVNO業界でも安価なプランとして名高い。3月には、5・10・30ギガプランが値下げされ、20・30・40・50ギガプランのデータ容量をそれぞれ5GB増量、25・35・45・55ギガプランへ改定された。

 法林氏は「データ繰り越しができることが大きなポイント。ただ、使い切ったとしても、追加データ容量は1GB220円で、1000円レベルのMNOより格段に安い」と主張。BIC SIMは上手に堅実に使うための環境が整っていると評価していた。

 たとえば、ギガプランはこれだけ低価格なのに家族割引も適用される。同一mioID(IIJmio会員専用ID。BIC SIMユーザーにも付与される)でギガプランの音声SIM・音声eSIMを2回線以上契約した場合、その月額料金が1回線あたり100円割引される。

 夫名義で家族4人利用しているひこにゃんさんは、MNOでは契約者を分けていた。しかしBIC SIMでは1名義で複数SIMをみんなで使った方が安上がりになるため、あえて契約を夫にまとめ、各回線で100円割引されるようにしている。

「家族割引ですべての回線が100円割引になっている」とひこにゃんさん

 料金改定と同時期に、長期利用特典も提供されるようになった。長期といってもBIC SIMを1年以上、使っていればOK。「BIC SIM長特」は、利用年数によって3GBから最大5GBのデータ容量が毎年プレゼントされ、1GB単位でチャージできる。また、1年あたり1回まで、SIM交換(eSIMへの交換・キャリア変更・SIM機能変更)やSIMの再発行にかかる手数料が0円になる。さらに、ギガプランの回線を追加する際の初期費用が、1年あたり1回まで割引される(割引額はご契約年数に応じて変わる)。

 uuuさんは、5GBのデータ容量をもらって適宜チャージ。ひこにゃんさんは機種変更の際にeSIMの再発行手数料が無料になったという。

毎年、長期利用特典のデータ容量5GBを活用しているuuuさん

 ただ、BIC SIM長特の特典を利用するには、会員専用ページにある「ご案内メールの設定と解除」で「ON(受け取る)」を選択していることが必要だ。あっきんさんは「ONに設定したので特典をいただいていると思うが、普段はあまり気にしていない」とのことだった。

 また、BIC SIMを1年以上利用しているユーザなら、公衆無線LANサービス「ギガぞうWi-Fi」スタンダードプラン通常月額500円のところ、無料で利用できる(詳細は後述)。

どんな風に使っている? 印象的なユースケース

 このほかにも、ユーザーのみなさんには特徴的な使い方を教えてもらった。

 uuuさんもよく利用しているように、BIC SIMは翌月のプランを手軽に変更できるのが魅力だ。あっきんさんは、愛車の電気自動車用にデータ通信専用SIMで2ギガプランを契約していたが、システムアップデートが頻繁に起こって、思いのほかたくさんのデータを消費するため、先月から5ギガプランに変更したという。その際には、BIC SIMユーザーでも使える「My IIJmio」アプリを使ってデータの利用状況をチェックしたそうだ。

電気自動車のアップデートが頻繁で、データ専用SIMのプランを変更したあっきんさん

 「アップデートはiPhoneのアップデートよりも多い印象で、1年に5、6回。1回1GBは下りません。ギガ単位でアクセスしている履歴がMy IIJmioアプリで見られるので、車のサービスセンターに行ったときに、何の通信をしているか聞いてみたのですが、分からないと言われました(笑)」。

 なお、あっきんさんは自分と妻、車用の3回線を契約し合計15GBをシェアしているが、「妻はあまり使わず、多くは私と車で使っている」とのことだ。

 「学生時代の3GB上限が身体に染みついている」というまっくさんのデータ利用は、毎月4GB程度で推移しているという。残りは繰り越しされるので、「積み上がっていくと5GB以上使える形になる」。アプリのアップデートは自動更新しないように設定し、Wi-Fiに接続したときにするようにしているそうだ。

 また、4人ともeSIMを使っている。ひこにゃんさんはarrows Alphaに機種変更したときに物理SIMからeSIMに変更し、メイン回線で使っている。uuuさんもBIC SIMはタイプDからタイプAに切り替えたタイミングでeSIMに変えた。まっくさんは物理SIMとeSIMのデュアルSIM運用、海外渡航の多いあっきんさんは、「海外用SIMに入れ替えたときに、元の物理SIMをちゃんと保管できるか不安」という理由から、メイン回線はeSIMに変えたという。eSIMならソフトウェアなのでSIMを紛失する心配がなく、オフに切り替えるだけなので手軽だという。

 法林氏は、万が一、端末が盗難に遭ったときの対処のしやすさをeSIMのメリットとして挙げた。

 「物理SIMカードは大抵、PINロックをかけないまま使われている。すると、端末が盗まれたら、スロットからSIMカードが抜き出され、使われてしまう。国際電話をかけられようものなら大打撃です。eSIMは端末の機能ごとロックしたり消去したりできる。これはeSIMの隠れたメリットです」

 また、物理SIMカードにはバージョンがあり、端末によっては使えないものがあると法林氏は説明。新たにサービスを利用しようとしたら、SIMカードを交換しなくてはならない場合もある。しかも最近、SIMカードの交換や再発行の手数料が値上がりしている。まっくさんは不運にも初期不良のSIMカードに当たってしまったことがあり、交換してもらうのに手間と時間がかかったそうだ。それらを考慮するとeSIMには十分なメリットがある。

 一方、eSIMは複数端末での使い回しがしにくい。設定にハードルを感じている人もいるだろう。法林氏はeSIMの注意点として、端末が壊れたときの対応、特に2段階認証の際にSMSで認証しているときの対応を挙げた。

 「2段階認証でSMSによる認証を受けている場合は気をつけた方がいい。端末が壊れるなど万が一のときに、復旧する方法を自分でしっかり理解している必要がある」

 先日発売されたiPhone 17シリーズの日本向けモデルは、すべてeSIMしか利用できない。法林氏は「iPhone 17シリーズやiPhone Airに機種変更しない人も、BIC SIMのSIM交換手数料無料キャンペーン期間中(11月20日まで)のうちにeSIMに変えて、来年の準備をしておいてもいい」と勧めていた。

BIC SIM独自のサービスも魅力的!

 安価な料金プラン、データ容量のシェア以外にも、BIC SIMには強い魅力がある。

 1つは前述した「ギガぞうWi-Fi」をBIC SIM特典で無料で利用できることだ。

 ギガぞうWi-Fiは、KDDIグループのWi-Fi専門事業者ワイヤ・アンド・ワイヤレス(Wi2)が提供している公衆無線LANサービスで、au Wi-FiやWi2のステッカーが貼ってあるスポットで利用できる。

 Wi-Fiにアクセスするのでデータ容量を節約できるのはもちろんだが、もう1つ、法林氏が「推しの機能」と強調したのが、VPNが使えることだ。安全なインターネットアクセスを実現するメリットに加え、海外でも日本国内で接続しているのと同じIPアドレスが割り当てられるので、動画配信サービスなどを利用する際に日本いるのと同じ状態でコンテンツを見ることができる。

 「海外のホテルのWi-Fiに接続して動画配信サービスを利用すると、『あなたのお住まいの国では放送されていません』という表示が出ることがある。キガぞうWi-Fiを利用していると日本のコンテンツがちゃんと見られます。ヨーロッパで表示できないポータルサイトも表示されます。これは海外渡航時に非常に便利な機能なので、ぜひ活用してください」(法林氏)

ギガぞうWi-FiのVPN機能の便利さを力説する法林氏

 ギガぞうWi-Fiは長期利用特典にも含まれており、1年以上BIC SIMを利用すると、利用可能台数がそれまでのスマホ1台から、スマホ、パソコンなども含めて5台に増える。「かなり高機能でお得」なサービスなので、「ギガぞうWi-Fiの特典のために1年がんばってお使いくださいって言いたいくらい」と法林氏は力説していた。

 2つ目は、月額料金の支払いに、ビックカメラの「ビックポイント」が使える、「ビックポイント支払い」だ。全国のビックカメラグループで貯めたポイントを、1ビックポイント=1円で利用できる。

 まっくさんは「ビックポイントを使えるからBIC SIMを契約した」ほどのビックカメラ&BIC SIMユーザーで、大きな魅力だと強調。uuuさんも、メールで通知が来るので、貯まっていたら使うという。

ビックポイントが使えるからBIC SIMを契約したというまっくさん

 ひこにゃんさんもポイントは大きな魅力としながらも、ポイントを支払いに使う申請を忘れがちだという。それに対し、まっくさんは「利用料より充当申請したポイントが多いと返却される仕組みになっている。わざわざ請求額を見て使うポイントを決めるのは面倒なので、全部突っ込んで、残ったら返してもらう」という使い方をお勧めしていた。

 3つ目はビックカメラという店舗があることだ。店舗内にBIC SIMカウンターが設置されており、対面で契約の相談や手続きができる。

 ひこにゃんさんは、両親がBIC SIMを契約する際に「安心感を持ったようだ」と語っていた。

 「両親はSIMカードを差し替えることさえできない。eSIMの設定は丁寧な説明書があったとしても、 1人でできるかどうか疑問。親世代には安さだけではない、安心感が良かったようです。しかもビックカメラは全国至る所にある」(ひこにゃんさん)

 そして、BIC SIMカウンターのそばには端末の売り場がある。端末に関する各種キャンペーンが定期的に行われており、BIC SIMと一緒にSIMフリースマートフォンを購入すると、 1万6500円の割引があったりビックポイントが進呈されたりする。

 法林氏は量販店ならではの品揃え、他の製品と組み合わせた販売ができることの強さを指摘している。

 「当初、ショップを広く展開するMNOに対し、MVNOは店舗が少ないことが弱点とされてきたが、今はそうでもなくなってきている。キャリアショップには、キャリアが扱う製品しか並んでいない。ビックカメラのような量販店はメーカー各社の製品があり、しかもスタッフの知識が豊富。付与されたポイントで他の様々な製品を安価に購入できる。経済圏がちゃんとできている。そこが家電量販店の強いところですね」

BIC SIMに改善してもらいたい点

 以上のように、BIC SIMにはたくさんのメリットがあるが、集まったユーザーからはいくつかの要望も提示された。

 あっきんさんからは、データ通信容量の上限を超過する前に通知してほしいという要望があった。通信速度が遅くなってアクセスしにくくなり、「My IIJmioアプリを開いて初めてデータ容量がゼロになっていることに気がつく」のはユーザビリティが悪いと指摘する。「『あと○ギガです』のように教えてほしい」と訴えていた。

 また、MNO次第だが、iPhoneのeSIMクイック転送に対応してほしいという要望もあった。現在、クイック転送に対応しているのはMNOのみだ。

 法林氏は「対応が別個に必要」としながらも、「iPhoneがeSIMオンリーになったので、MNOも徐々にMVNOに対応させていくのでは」と予想していた。

 まっくさんは、「BIC SIMに限らずMNP優遇が多いので、長期利用者への特典も充実させてほしい」と要望。これについてはビックポイントの進呈を期待する人が多かった。

 最後にひこにゃんさんは、「ギガぞうWi-Fiついては、名前は知っていたけれど利用したことなかった。ぜひ利用してみたい」と語っていた。

 BIC SIMにはユーザーもまだ知らない魅力がある。4ユーザーの使い方や法林氏の解説を参考に、BIC SIMの利用を検討してみてほしい。