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おとなのおもちゃタイトルGIF
Pocket PC 2002搭載「GENIO e550X」
伊藤 大地


 年末から来年にかけてPocket PC 2002搭載のPDAが各社から出揃いつつある。Pocket PC 2002を購入しようと思っている人は、どの機種を選べばいいか結構頭を悩ましているんじゃないだろうか。今回は発売早々に東芝のオンラインショップでゲットした「GENIO e」をレビューしつつ、Pocket PC 2002搭載PDAの傾向についても考えていくことにしよう。


Pocket PC 2002、どれを買う?

 現在発売されているPocket PC 2002搭載PDAは、東芝の「GENIO e」、HPの「Jornada 568」。そして、リリースが遅れに遅れているNECの「PocketGear」も来年早々に発売される見込みだ。こうして出揃いつつあるPocket PC 2002だが、「それじゃいったいどれを買えばいいの?」と頭を悩ましている人も多いことだと思う。まずはじめに、発売されている、あるいはこれからリリースされるPocket PC 2002搭載PDAの特徴を簡単な表にしてみた。

機種 CPU ROM
RAM
サイズ
幅、高さ、奥行
重さ 液晶画面 連続稼動 拡張手段
GENIO e ARM 206MHz 32/64 77.5×125×17.5 180g TFT
6万4556色
12時間 CF Type2
SD/IO
Jornada 568 ARM 206MHz 32/64 77.5×132×17.2 173g TFT
6万4556色
14時間 CF Type1
ジャケットでSDメモリ、PCカードを利用可
PocketGear ARM 206MHz 32/32 78.0×126×18.5 190g TFT
6万4556色
12時間 CF Type2
SDメモリ
ジャケットでPCカード
利用可


 この表を見て、PocketGearが64MB搭載だったら、とかJornada 568がCF Type2/SDのダブルスロットだったら、とかGENIO eでジャケットが使えたら、とか頭をよぎった人は私だけではあるまいと思う。現在、あるいはこれからリリースされるPocket PCを見てみると、搭載メモリと拡張手段で各社の傾向があきらかに異なっているのである。

 実際にどのPocket PCを選ぶかということになると、これは非常に難しい。デザインで選ぶという本末転倒なことはあっちに置いておいて。最も拡張手段が豊富なPocket Gearは本体メモリが32MBなのでちょっと不安。Jornada 568は最もコンパクトで長時間の連続稼働時間を誇るが、本体にはCF Type1スロットだけしか用意されていないのでちょっといやかも。GENIO eはバランスが取れているけれどもジャケットで拡張することができないのが問題かな。うーん、なんかどれを買っても後になってみると隣の家の芝生は青い状態になってしまうんじゃないかなと、発売前からとても頭を悩ませてしまう事態に陥ったわけである。


そんなわけで、「GENIO e」にしました

GENIO e550X。先代GENIO e500との違いは搭載OSがPocket PC 2002になったことと、内蔵メモリが64MBに拡張されたこと。ちなみに、東芝ではe500を対象にPocket PC 2002へのアップグレードサービス+メモリ増設サービスも行なっている
 色々検討した結果GENIO eを購入してしまったわたしだが、GENIO eを選んだ理由はいくつかある。まず、本体に内蔵されているメモリのサイズ。これは大きければ大きいに越したことはない。Pocket PCでは本体のメモリはプログラムやデータを格納するストレージと、プログラムを実行するためのメモリ両方に使うことができる。一方、外部メモリはストレージとして利用できるが、実行用のメモリとしては利用できない。経験上、必要最低限のプログラムやデータを本体のメモリに格納し、残りはプログラム実行用に確保。その他のものは外部メモリに保存するのが最も効率が良い。本体メモリが32MBだと、こうしたメモリのやりくりに困ることもあるが、64MBならば32MBを実行用メモリに、残りをストレージとして使っても十分に余裕のある使い方ができるのだ。

 iPAQやJornada 568、PocketGearなどが採用しているジャケットシステム。ジャケットを本体に装着して拡張する手段で、たしかに魅力的ではある。しかし、本体だけではなくジャケットを持ち歩いていないと拡張して使えないのもまた事実。いつもジャケットを持って歩くかというと、結局のところ面倒だから本体だけを持ち歩くことが多い(不精だし)。結果的にジャケットを使いたいときにジャケットはなしという経験をiPAQのときにしているので、ジャケットなんぞはなくてもいい。それに、ジャケットを装着するとサイズが大きくなってしまうのもいや。ならば、本体に最小限+αの拡張手段があったほうが断然使いやすいのである。

 本体にダブルスロットを搭載しているというのもポイントが高い。GENIO eは本体にSD/IO対応のSDカードスロット、Type2に対応したCFカードスロットの2つを搭載している。どちらもスロットもメモリ以外の周辺機器カードが使えるのがいい。たとえば、SDスロットにメモリカードを挿入し、ストレージとして利用する。一方、CFカードスロットは、メモリとして使うのではなくPHSカードや無線LANカードといった外部インターフェイスとして利用するという使い方ができる。さらに、GENIO eのSDスロットはSD/IOにも対応している。現在はまだSD/IOに対応した製品は少ないが、SD/IO対応の周辺機器が充実すれば、外部インターフェイスをSD/IOに、CFはストレージとして使うという使い方もできるのだ。外部インターフェイスが必要のないシチュエーションではCF、SD共にストレージとして使えば本体の64MBとあわせてかなり膨大な量のメモリを利用できるのである。

 まあ、ポイントとしては他社に先立ちSD/IOに対応したってことでしょうか。近日中にSD/IO対応のBluetoothカードもリリースされる予定だし、なにより新しいテクノロジ、新しいデバイスがサポートされているということはかなりイバれる要因になると思うんだけど、どんなもんでしょ。


で、Pocket PC 2002はどうなの?

SDカードとCFカードの両方を一度に使うことができる。ストレージを拡張しつつ無線LANでアクセスとかPHSカードで通信することも可能だ
 ところで、GENIO eにも搭載されたPocket PC 2002だが、Pocket PCとどこが違うのだろうか。まず、大きく変わった点は外見やユーザーインターフェイスだ。Today画面をみると、ユーザーインターフェイスはPocket PCに比べてよりカラフルになり、Windows XPのそれに近い。たとえば、Today画面に自由にバックグラウンドのグラフィックを設定できるようになった。また、テーマもサポートされ(デフォルトではFire、Manekineko、Sakuraの3種類)テーマを選ぶことでTodayのバックグラウンドだけではなく、ウィンドウタイトルの色やメニューのバックグラウンドなども変更できる。また、アラームや色々な通知についてはバルーン表示のポップアップウィンドウが利用されるようになった。さらに、リセットからの起動もPocket PCよりも高速になっている、実際に計測してみたがリセットからTodayが表示されるまでは約5秒とかなり素早く起動できる。

 それぞれのアプリケーションの改良については、大きく変わった点は少なく、細かい部分の改良が多い。Pocket PC 2002の概要についてはマイクロソフトのホームページを見てもらうとして、ネットワーク関連での改良についていくつか書いておこう。

 まずは、ActiveSyncについて。今まではネットワーク経由でのActiveSyncはLAN内でホスト(パソコン)側のIPを固定しておいてかつWinsの設定が必要だったが、面倒な設定は必要なくなった。Pocket PC 2002ではこうした設定をしなくても、一度USBケーブルや赤外線でパートナーシップを設定しておけば、ネットワーク経由でも簡単にSyncができる。さらにCF型の無線LANカードを利用すれば、さらに快適にパソコンとのデータ連携が可能になるはずだ。

 ネットワークについてもうひとつの改良が、Pocket PC側からパソコンのリソースを参照できるようになったこと。今まではパソコン側のファイルをPocket PCに転送するにはActiveSyncや赤外線を使うしか方法がなかったが、Pocket PC 2002のファイルエクスプローラでは、ネットワークに接続されたWindowsパソコンの共有フォルダにアクセスできるようになった。そのため、ActiveSyncを使わなくても、Pocket PC側からパソコンの共有フォルダにアクセスしてファイルをコピーといったことができるようになった。これは、ネットワーク経由でActiveSyncを実行しているときも利用可能で、たとえばある特定のパソコンとネットワークでActiveSync接続しているときに、Pocket PCから同一のネットワークにある別のパソコンの共有リソースにアクセス、なんてこともできるのだ。

 実はそのほかにも細かい改良がいろいろあったりするのだが、いずれにしても新しいデバイス、新しいOSを試してみるのはなんか楽しいんだよね、ということで締めておこう。


GENIO eユーザにはおなじみの「ホーム(アプリケーションランチャ)」の画面。本体のホームボタンでタブの切り替えができるようになったので、スタイラスなしでアプリケーションの起動が可能 これがPocket PC 2002のToday画面。以前のバージョンに比べるとかなり洗練された感じがする

Todayの画面やウィンドウタイトル、メニューのバックグランドなどは「テーマ」を選ぶことで変更できる。Windows XPのユーザインターフェイスのそれに近い印象を受ける ファイルエクスプローラからネットワーク接続された別のパソコンの共有リソースを扱うことができるようになった。画面下部のボタンで「My Documents」、「メモリカード」、「ネットワークリソース」を切り替えられるのも便利だ

■ 評価(最高点は★5つ)

イバリ度 ★★★★★ 先代GENIO eとの違いは搭載OSと内蔵メモリ。あと本体ロゴの「e」の色がブルーからオレンジになりました。とりあえず旧型ユーザに自慢しておきましょう。
実用性 ★★★★ 他社製のPocket PCと比較すると唯一の弱点はジャケットがサポートされていないこと。たしかにジャケットは便利なんだけど、ジャケットつけるとサイズが大きくなるので、私には必要ありません。
お値段 ★★★ このクラスの製品としては妥当な価格付けだと思います。
価格 6万4800円
GENIO eオンラインストアにて
きっと来年後半にもまた新しいデバイスがリリースされるだろうと予測して、利用期間は1年。初代Palm-size PCから数えると、私はいったい何台のPocket PCデバイスを購入したんでしょうか。ちなみに、正解は6台。すでにYahoo!オークションで売ってしまったものもあるけれど、全部重ねると15cmくらいになったりして
利用期間 1年
1日あたり単価 178円


・ ニュースリリース
  http://www.toshiba.co.jp/about/press/2001_11/pr_j2001.htm
・ GENIO e ホームページ
  http://genio-e.com/pda/

拡張性とコンパクトさが高次元で融合「GENIO e」
東芝、SD・CF両対応、Pocket PC 2002搭載のPDA「GENIO e」


(伊藤 大地)
2001/12/19 12:24

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