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拡張性とコンパクトさが高次元で融合「GENIO e」
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広野忠敏 昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。 (写真:若林直樹) |
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あれは今からちょうど4年前。PHSを内蔵した画期的なPDAが東芝から発売された。そのPDA(というかPHS)の名前は「GENIO」。そう、今回のお題は「GENIO e」である。GENIO eって、あまりご存知の人はいないとは思うが、実は二代目のGENIOだったのである。ちなみに、初代GENIOについて私が書いたレビューはここにあるので、昔を懐かしんでみたいという奇特な人がいるようでしたらあわせてご覧ください。
二代目GENIOは一味も二味も違う
PHS機能がついているPDAでもないし、PDA機能がついているPHSでもないので、厳密には「二代目」とはいえないGENIO eなのだが、新しいGENIOは、とても戦略的なPocket PCなのだ。なにがどういう風に戦略的なのかというと、GENIO eはカシオペアやiPAQ、もしかしたらPalmキラーにまでなるかもしれないというとてもたくさんのキラーになる可能性を秘めたPocketPCなのである。ちなみに、私はカシオペアとiPAQを所有しているのだが、結構真剣にGENIOを買おうかどうか迷っている最中である(もしGENIO eにAirH"とかが搭載されていたら間違いなく予約して発売日当日に推定10人くらいに見せるハズ)。
GENIO eの最大の特徴はコンパクトさと拡張性を高次元にうまくまとめていることに尽きるだろう。PDAなんだからコンパクトなのはあたりまえと思う人もいるだろうが、そうじゃない。コンパクトであるハズの実際のPDAはというとタバコと共に胸ポケットにすんなり入るものは少ないし、ましてやポーチやハンドバックなど比較的収納スペースのないバッグにPDAを入れるときは、厚さ5mmの差、高さ1cmの差が明暗を分けることもあるひじょーにシビアな世界なのだ。1cmを笑うものは1cmで泣いてしまうかもしれないのである。
拡張性に関してはいまさら重要なのは語る必要がないとは思う。拡張性が高いに越したことはないし、繋がることはなにより良いことなのである。まったく拡張できないPDAよりは、P-in M@sterも使えるし、メモリも拡張できるし、cdmaOneも繋がるPDAの方が良いに決まっているのだ。
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Pocket PCとしてはかなりコンパクト
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ところが、実際のPDAに目を向けてみると、拡張性とコンパクトさを両立しているものは非常に少ない。かなりコンパクトなPDAとしての位置付けであるPalmは、おおむね拡張性が乏しい。また、ジャケットを搭載したiPAQは現時点で最も拡張性の高いPoket PCだが、本体のみで使うとコンパクトなのに、ジャケットを装着するとかなり厚くなってしまう。
GENIO eの本体サイズは125×77×17.5mm(高、幅、厚)で重さは約180gと非常にコンパクト。iPAQの厚さは本体のみで15.9mm、CLIE(PEG-N600C)は16.8mmとコンパクトな両者と比べても遜色のない厚さだ。また、拡張性に関しても申し分ない。本体にType2のCFスロットとSDカードスロットを搭載。C@rdH"64 petit、P-in Comp@ct、P-in M@ster、LANカードなどType2に準拠したCFカードが利用できる。さらに、SDカードスロットに関しては、SDIO規格に準拠しているので、メモリカードだけではなく、今後発売される予定のBluetoothカードなどの周辺機器が利用可能だ。また、オプションのPDC接続ケーブルやcdmaOne接続ケーブルを利用すれば、携帯電話と接続して通信も行なえる。このように、拡張性をスポイルせずに、非常にコンパクトな大きさにまとまっているGENIO eはPoket PCのベストバイであるだけではなく、Palmキラーにもなり得る実力を持っていると言えるだろう。つまり、GENIOはとても「e」のである。
操作に関しては、写真を見てもわかるように、Poket PCで一般的なアクションコントロール(上下に操作するダイヤル)ではなく、本体前面のカーソルキーで行うというiPAQに似たスタイル。このカーソルキーを使って上下左右の移動とボタンのクリック操作ができる。一見、上下左右の移動をするつもりがクリックになってしまいそうだが、そのようなことはない。誤動作がないように、カーソルキーをクリックしつつ上下左右に動かすと、クリックとしては認識されないようになっているのだ。
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CFとSD、2つのスロットを内蔵しているのでSDメモリーカードを差しつつP-in Comp@ctでインターネット、なんてことも可能なのだ
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スロットを上から見た図。カードが抜き差ししやすいよう設計されている
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搭載ソフトはどういう感じ?
搭載されているソフトはPocket PC標準のPoket OutlookやPoket IEに加えてMPEG4 Videoが再生できるWindows Media Player 7.1、辞書ソフトの辞スパ、「ホーム」と呼ばれるランチャソフトが内蔵メモリに標準搭載されている。さらに、JRトラベルナビゲータやEasyViewer for Poket PCなどがCD-ROMで添付されている。添付アプリケーションを使ってみたところ、CPUにStrongArm 206MHzを搭載しているためか結構キビキビと動作する。また、液晶には6万5536色表示反射型カラーTFTが搭載されているため、発色もキレイだ。
ランチャーアプリケーションの「ホーム」はプログラムの起動と終了が行なえるソフト。デフォルトでは「ホーム」ボタンを押すことで起動し、プログラムはカテゴリごとにタブで管理される。カーソルキーでタブ内のプログラムを選んで起動はできるが、タブの切り替えは画面をタップしなければならない。つまりボタン操作だけでは、現在表示されているタブ以外に設定されているプログラムは起動できない。そのため、結局はスタイラスを使うことになる。ホーム起動時に「ホーム」ボタンを押すことでタブの切り替えができれば便利なのだが…。
実際、東芝に限らずこうしたちょっとした配慮をすれば格段に使いやすくなるメーカー独自のアプリケーションは多い。こうしたことは、かろうじて身動きがとれる程度(ただし両手は使えない)の満員電車に乗りつつ「片手」でしばらく使ってみる、あるいは利き腕以外の手だけを使って使ってみると欠点がわかるのだ。本当にちょっとしたことなのだが、こうしたちょっとしたことを改善すればかなり使いやすくなるので残念だ。
その他の詳しいスペックはGENIO eのホームページを見てもらうとして、しばらく使ってみた感想は90点というところ(ちなみに、GENIO eのホームページはGENIO eでは見られません)。ハードウェアは非常に素晴らしいのだが、「ホーム」など独自ソフトの作り込みが、いま一歩なのだ。ただし、いま一歩とはいってもとても高い次元でのいま一歩なので、かなりカラい採点ではある。しかし、ハードウェアが素晴らしいからこそ、いつもはそれほど気にならない程度のソフトの仕様も結構気になってしまうのだ。
■ 評価(最高点は★5つ)
イバリ度 |
★★★ |
iPAQのようなギミックはありませんが、質実剛健にまとまっていてかつ比較的オシャレなデザインが東芝らしいところ。CLIEユーザにイバることも可能です。それにしても、拡張性といい、持ったときの質感といい、なかなか所有欲をそそられます。
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実用性 |
★★★★★ |
よくこの大きさにこんなに詰め込んだなあって感じの拡張性が◎。つーか、欲しいぞ、コレ。予約しとけば良かったかも。
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お値段 |
★★ |
このクラスのPoket PCとしては高価。Palmと比較するとかなり高価。
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価格 |
7万円前後 |
マジでめちゃめちゃ「e」ですという冗談は置いておいて、お金があれば現時点でリリースされているPoket PCのベストバイだと言えるでしょう。次はぜひ初代GENIOのようにPHS機能もつけてください。あ、もちろんAirH" inでお願いします。 |
利用期間 |
1年くらい |
1日あたり単価 |
192円 |
・ GENIO e ホームページ
http://genio-e.com/
・ ニュースリリース
http://www.toshiba.co.jp/about/press/2001_07/pr_j1601.htm
・ 東芝、SD・CF両対応、重さ180gのPocket PC「GENIO e」発表
(広野忠敏)
2001/08/22 12:57
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