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年間契約なら1日33円でドコモLTE使い放題、パイオニアから「サイバーナビ」新モデル

 パイオニアは、自動車向けカーナビゲーションシステム「サイバーナビ」の新モデルを11月に発売する。年間契約であれば1カ月1000円相当というNTTドコモのLTE使い放題サービス「docomo in Car Connect」に、市販のカーナビゲーションシステムとして初めて対応する。

 LS(ラージサイズ)メインユニットタイプ4種類、200mmワイドメインユニットタイプ2種類、2Dメインユニットタイプ2種類、あわせて8種類がラインアップされる。モデルによって通信するために必要なネットワークスティックが同梱されるものがある。

ラインアップ

 大きな特徴として「docomo in Car Connect」に対応。ネットワークスティックを繋げば、定額でLTE通信が速度制限・容量制限がなく使い放題となり、サイバーナビが車内用のWi-Fiアクセスポイントとして機能する。開発中、映像ストリーミングのテストをしたところ、6時間で通信量は6GBに達した。それほど通信量が発生するとしても、先述のとおり制限なく利用できる。

ネットワークスティック
アクセスポイントモード

 サイバーナビ自身のオンデマンド機能で映像コンテンツを楽しめるほか、同乗する人は手元のスマートフォンやタブレットで、通信することもできる。Amazon Fire TV Stickをサイバーナビに繋げば、プライムビデオのコンテンツも楽しめる。このほか、地図も自動的に更新される。

 ネットワークスティック付属のモデルでは、「docomo in Car Connect」が1年間無料で利用できる。

 サイバーナビに表示されるQRコードをスマートフォンで読み取り、dアカウントをスマートフォンへ入力すれば、登録が完了する。

スマートフォンホルダーも
ワイヤレスチャージャーも用意
自動車ごとのモデルも

SIMカード、3年で交換

 新型サイバーナビ本体には、プラスチックのSIMカードが格納され、モデム機能が内蔵されている。ネットワークスティックはいわばアンテナとして機能するとのこと。

 またSIMカードには有効期限があり、3年経過すると交換する必要がある。手続きは、ナビ上、あるいはスマートフォンやパソコンからでも進められる。

 発表会場の担当者によれば、いわゆるeSIMのように、利用開始からアクティベートして料金が発生、という形ではないとのこと。

映像コンテンツをストリーミングで

 パイオニアモビリティプロダクトカンパニー商品企画部の橋本岳樹氏によれば、新型サイバーナビのオンデマンド機能は主に3つ。ひとつ目はYouTubeを再生できる「ストリーミングビデオ」、ふたつ目は自宅のレコーダーをリモートで楽しめる「レコーダーアクセス」、三つ目はサイバーナビがWi-Fiアクセスポイントになる「アクセスポイントモード」だ。

橋本氏

 ストリーミングビデオは、ナビ本体だけでYouTubeを再生できる。市販カーナビとして初めての機能になる。これまでもニーズはあったとのことで、カーナビの大画面で楽しめるようになる。Webブラウザとしてアクセスする仕組みで、ログインして好みのコンテンツへすぐアクセスできる。

 レコーダーアクセスは、自宅にあるHDDレコーダーを観られるというもの。これはユーザーの映像視聴体験として、テレビ番組の視聴が多く、なおかつネット経由で録画番組を楽しむ人が増えていることを踏まえた機能。

 地上デジタル放送だけではなく、レコーダーで録画したCS、BSの番組も視聴できる。有料チャンネルのコンテンツもそのままストリーミングできる。またリアルタイムの視聴もできるとのことで、橋本氏は「これまで、クルマで楽しめなかったBS/CSのリアルタイム鑑賞もできる」を胸を張る。

 仕組みとして、新たにスマートフォンを活用したペアリング手法を用いている。DigiOnと協力して、カーナビ向けに最適化した「DIXIM Player for Carrozzeria」を開発。自宅のWi-Fi環境下で、専用アプリを使ってスマートフォンとレコーダーをペアリング。そのスマートフォンをクルマに持ち込んで楽しむ。

 さらにパナソニック、シャープ、東芝、アイ・オー・データ機器、バッファローにも1年前、話を持ちかけて、パイオニア側のコンセプトに共感してもらい、各社のレコーダーと連携できるようにした。

 課題となったのは通信インフラだったが、ドコモのサービスで解決した。開発中には、橋本氏自身が全国各地を巡って、ドコモ回線が繋がることを確認したという。

完全フルフラット、UIも一新

 本体は、グリルにダークメタル調の蒸着塗装をあしらい、静電タイプのフラットキーを採用。キーはホームメニュー、自車位置、AV、ボリュームのプラスとマイナスという5つ。他の機能はタッチパネルで操作する。

 ユーザーインターフェイスも刷新され、近未来のエンターテイメントを感じさせるものにした。その日の天候にあわせて異なるアニメーションになったり、再生中の音楽のジャケットが表示されたりする。クリスマスやお正月など季節のイベントにあわせて異なるアニメも変わる。6月21日は同社初のカーナビが発売された日とのことで、当時のキャッチコピー「道は星に聞く」というワードやアニメーションが表示される。

 ナビ画面も、AV情報を常に表示するほか、「インフォガジェット」として近くの人気スポットを表示する。インフォガジェットではこのほか、行動履歴や走行中の道路から予想目的地の表示と到着時間の表示をする「スポットアドバイザー」、センサー情報を可視化する「ビークルアナライザー」、リアセパレートモードの簡易操作を表示できる。

 ディスプレイはIPS方式で、なおかつ黒の再現性に優れるNormally Black方式のパネルを採用する。

音響のこだわり

 音質面でも、ハイレゾ音源のネイティブ再生、オンデマンドの映像再生などをサポート。同社のノウハウを込めた「マスターサウンドアーキテクチャー」を搭載しており、市販カーナビとしてもっとS/N比が高い、電流出力型のDAコンバーターを採用。これは自動車向けでは採用が難しいものだという。

 こうした音響面でのこだわりに併せて、「車種専用エキスパートチューニングデータ」(7000円、税抜)が用意される。自動車ごとに異なるレイアウト、スピーカーに関するデータが収録されており、純正スピーカーのままでも高品質な映像・音楽を楽しめる。そこでさらに品質向上を目指すユーザーには、パイオニアのスピーカーが選択肢として浮上する、という形だ。

パイオニアが目指す「クルマの真のオンライン化」

 パイオニアのモビリティプロダクトカンパニーCEOである高島直人氏は、「パイオニアカロッツェリアは、クルマを真のオンライン化を提案する」と意気込みを見せる。

高島氏

 かねてより通信機能を自動車へ搭載する取り組みは進められてきたが、スマートフォンの普及やWi-Fiの拡がり、さらには今後の5G時代の当来など、環境は大きく変化しつつある。

 “真のオンライン化”のためには、パイオニアは何を提供すべきなのか。高島氏は、自動車産業としてのオンライン化を振り返ると「自動車メーカーの提案するサービスは、安全・安心に注力したものが多い」と指摘する。

 そこで今回、中核に据えられたのが、同社が提供し続けてきたエンターテイメントだと高島氏。3年ぶりの発表となる今回、「全く新しいカーナビを紹介する。クルマはもっと楽しくなる。自宅のようにくつろげて、ワクワクする空間にできる。ドライブをもっと楽しくしたい。若い人たちにもクルマでの快適な空間を実現したい」と差別化のポイントを解説した。

通信インフラ、ドコモは新たな料金プランを用意

 パイオニアは“クルマの真のオンライン化”でエンターテイメント分野に注力することを掲げつつも、課題として最も大きかったのが通信環境。

 そこで今回、課題解決の新たな仕組みとなったのが、NTTドコモの「docomo in Car Connect」だ。

ドコモの深井氏

 NTTドコモ コネクテッドカービジネス推進室の深井秀一氏は「docomo in Car Connectでこだわったのは、定額で使い放題ということ。3つの料金プランを用意しているが、たとえば1日使い放題というプランは、社内でも議論を重ねたが、ドコモにとって初めてのもの」と紹介。

 さらに同社の通信ネットワークが全国で隅々まで利用できること、あるいは利用することでdポイントも貯まることをあわせて紹介し、使い勝手の良さをアピールする。

 自動車は、通勤などの移動手段としての側面や、乗ること自体がレジャーになるといった面もある。その一方で、大規模災害発生時には、一時的な避難スペースとして活用されることもあり、自動車から電力を得る人もいる。深井氏は、「docomo in Car Connect」を利用することで、サイバーナビがWi-Fiスポットになることは、「クルマのWi-Fiをいろんな方に使っていただける。SIMが入っていないデバイスでも、Wi-Fi経由で通信できる」と説明。クルマが電源に加えて通信を供給できることは、公共的な面を備えることにもなると語っていた。