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はじめてのeSIM、使い始める時はどうすればいい? 各キャリアの注意事項まとめ
2021年10月1日 00:00
2020年春に商用サービスを本格開始した楽天モバイルに続き、2021年春〜夏にNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが相次いでeSIMサービスを提供開始しました。
今回は、はじめてeSIMを使い始める方に向けて、オンラインでのeSIMの申込み方法や、eSIMを使うにあたっての注意事項などをキャリア・サービス別にご紹介します。
eSIMとは?
eSIMは、eSIMチップを内蔵するスマートフォンなどのデバイスに、通信事業者のWebサイトやEメール経由で配信される「プロファイル」をダウンロード・インストールして利用します。
ざっくりと説明すると、プラスチック型のSIMカード(物理SIM)を”入れ替え“する作業を、インターネット経由で行う……と言えばわかりやすいでしょうか。
eSIMの詳細については、ケータイ用語の基礎知識で紹介されているので参照してください。
eSIMでは、従来の物理SIMと異なり、リアルな流通網を使ってSIMカードを配送する必要がなくなります。
このため、オンラインで新規契約の申込み手続きを完了すれば、最短で1時間以内でサービスが利用可能となるなど、従来よりも短時間かつ店頭を訪問することなく、通信サービスが利用可能となります。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって海外渡航に関する制限が多くなっているため、以前よりも気軽に行き来することは難しくなっていますが、物理的な流通網に依存しないeSIMであれば、渡航先で利用するための通信サービスを、出発前に入手することも難しくありません。
また、物理SIMでは、SIMカードのサイズが合致しないと、SIMカードの交換が必要となりますが、ユーザー側は物理的な”大きさ“を意識することがないeSIMは、端末側がサポートするSIMカードのサイズを気にする必要がなくなります。
一方、2021年9月の時点で、端末と回線をセットで新規契約・機種変更する際にeSIMを選ぶケースを除き、原則としてeSIMに対応するスマートフォンなどの対応機種だけでなく、eSIMプロファイルをダウンロード用のQRコードを確認するための通信手段と、QRコードを表示させるディスプレイが、eSIMをインストールするデバイス以外にも必要になります。
つまり、eSIMを入れるスマホに加えて、eSIMを表示するデバイス(スマホやタブレット、パソコン)が必要です。
この理由は、一部の事業者のサービスを除いて、eSIMのインストールにはパソコンやタブレットなどのディスプレイにQRコードを表示して、そのQRコードをスマートフォンなどで読み取ることになるためです。
もし「eSIMのプロファイル」を直接、スマートフォンへダウンロードできれば、もっと手軽にeSIMを使い始められますが、少なくとも本稿の執筆時点では「eSIMを使い始める際には、eSIMを使うデバイスとは別のデバイスと通信回線がインストールに必要」ということを覚えておきましょう。
主な対応機種は?
eSIMを搭載するスマートフォンの中で、日本国内で最も利用している方が多いデバイスはiPhoneシリーズです。
iPhoneは、Face IDを搭載するiPhone(XR/XS/XS Max以降)およびiPhone SE(第2世代)でeSIMをサポートしています。国内向けに販売されているiPhoneでeSIMをサポートする機種については、すべて物理SIMに加えてeSIMが利用できます。
国内向けのiPhoneでは、物理SIMに加えてeSIMが利用できるため、複数の通信事業者のサービスを1台のiPhoneで使うには、物理SIM+eSIMを組み合わせて使う必要があります。
国内で発売されるAndroidスマートフォンでは、Pixel 4以降のPixelスマートフォンがeSIMをサポートするほか、 iPadなどのタブレット、Surface Pro XもeSIMもサポートするモデルが発売されています。
なお、SIMロックがかけられている機種で、販売元の通信事業者と異なる通信事業者のサービスを使う場合は、物理SIM利用時と同様に、SIMロックの解除が必要です。
ドコモのeSIMを申込みする方法・注意点
NTTドコモは、9月8日からドコモとahamoで「eSIM」への対応を開始しました。
NTTドコモのeSIMは、ドコモオンラインショップで「ドコモeSIM」を申し込みます。
ドコモオンラインショップでは、新規契約・MNP契約・既に契約中のSIMをeSIMに変更する手続きをそれぞれ受け付けています。従来の物理SIMをオンライン契約するのと同様に、手数料は無料です。
eSIMサービスの申込みには、dアカウントのほか、eKYC(オンライン本人確認)に必要となる運手免許証など本人確認書類、支払い設定用のクレジットカードまたは銀行口座が必要です。
ドコモショップやドコモインフォメーションセンターでeSIMの再発行、SIMカードとeSIMを変更するには、2200円の手数料が発生しますが、キャンペーンにより手数料は当面の間無料です。
ドコモオンラインショップでは、メンテナンス時などを除いて24時間手続きを受け付けていますが、MNPでのりかえて契約する場合の開通手続きは、9時〜21時の間に行う必要があります。
ahamoのeSIMを申込みする方法・注意点
NTTドコモの「ahamo」では、ahamoのWebサイトより「eSIM」の新規契約・MNP契約・物理SIMカードとeSIMの変更手続きを行います。通常のSIMカードと同様に、新規契約やMNP契約時の事務手数料は無料です。
ahamoのeSIMを使い始めるには、ahamoのWebサイトで eSIMを利用する端末のEID(32桁)の入力 が必要です。
EIDの情報をahamoのWebサイト上で登録すると、EIDを登録した端末で使えるeSIMプロファイルがダウンロード可能になります。
iOSデバイスの場合、EIDは設定>一般>情報のページで確認できます。
eSIMを削除した場合の再発行は2200円ですが、2021年9月時点ではキャンペーンとして無料です。ただし、ドコモショップでの手続きには2200円の手数料が必要になる場合がある旨がWebサイト上に記載されています。
このほか、ドコモオンラインショップと同様に、MNPの場合の開通手続きの受付時間は9時〜21時までの制限があります。
auのeSIMを申込みする方法・注意点
auのeSIMサービスは、2021年8月26日より利用可能となりました。
auのWebサイトおよびauショップ、au Styleで新規契約・MNPを受け付けています。契約に伴う事務手数料は3300円で、これは物理SIMと同額です。
eSIMサービスの申込みには、au・UQ mobile回線に紐付かないau IDのほか、本人確認書類、クレジットカードが必要です。
eSIMの再発行はスマートフォン向けの「My au」で無料で行えますが、プロファイルを誤って削除してしまうと、My auでの手続きが行えなくなります。店頭での再発行には2200円の手数料が発生します。auオンラインショップでの契約の場合は、電話で再発行の相談を受け付けています。
povoのeSIMを申込みする方法・注意点
KDDIの「povo」は、サービス開始日の2021年3月23日よりeSIMに対応しています。
契約時の事務手数料は物理SIMと同様に無料。povoの申込みは、povoのWebサイトで受け付けています。
povoの新規契約には「au ID」が必要となるほか、povoでeSIMを新規契約するには、eKYCによる本人確認が必須のため、カメラ搭載のスマートフォンのWebブラウザで手続きを進めます。9月29日開始の「povo2.0」向けのアプリも登場しており、同アプリから申し込むこともできます。
9月28日まで新規申込を受け付けていた「povo1.0」の場合、eSIMの再発行にかかる手数料は無料ですが、その手続きはWebサイトで完結せず、カスタマーサポートに電話し再発行を行います。
この時、既に端末からeSIMを削除している場合は、再発行を行うために別途回線が必要となりますので注意しましょう。電話の受付時間は9時〜20時までです。
一方、9月29日開始の「povo2.0」では電話は不要、チャットで再発行依頼が可能になりました。povo2.0のチャット受付は9時~22時までです。なお、eSIMの再発行手数料は通常440円ですが、当面の間は無料です。
その他の制限事項として、auからpovo1.0へ変更する場合、eSIMサービスが利用できません。
UQ mobileのeSIMを申込みする方法・注意点
KDDIの「UQ mobile」は、2021年9月2日よりeSIMに対応しています。
契約時の事務手数料は、物理SIMと同様に3300円。UQ mobileのWebサイトで申込みが可能です。新規契約には、「au ID」と本人確認書類が必要です。UQ mobileのeSIM申込みはeKYCにも対応しています。
eSIMの再発行は、「my UQ mobile」からは無料、UQスポットなどの店頭で手続きをする場合は2200円の手数料が発生します。
また、eSIMを誤って削除してしまった場合、my UQ mobileでの手続きが行えないため、原則としてUQスポットやauショップでの対応となりますが、UQ mobileオンラインショップでの契約の場合は、電話での相談も可能としています。
ソフトバンクのeSIMを申込みする方法・注意点
ソフトバンクの「ソフトバンク」は、2021年7月14日よりeSIMに対応しています。
ソフトバンクオンラインショップでの契約時の事務手数料は、物理SIMと同様に無料。新規契約には、クレジットカード、本人確認書類、メールアドレスが必要です。
ソフトバンク、LINEMO、ワイモバイルのeSIMは、カメラ機能を備えるiPhoneやAndroidスマートフォンが必要となります。
eSIMの再発行はオンラインポータル「My SoftBank」から行うと無料ですが、受付時間は9時〜21時までの制限があります。受付時間の制限は、ソフトバンクのサービスであるLINEMO、ワイモバイルで共通です。ソフトバンクショップで手続きをする場合にはeSIM再発行手数料として3300円が発生します。
LINEMOのeSIMを申込みする方法・注意点
ソフトバンクの「LINEMO」は、サービス開始時の2021年3月17日よりeSIMサービスを提供しています。
契約時の事務手数料は、物理SIMと同様に無料。新規契約時には、本人確認書類と、月額料金の支払いに用いるクレジットカードまたは口座の設定が必要です。
eSIMの再発行手続きは、オンラインポータル「My Menu」から行うと無料です。ソフトバンクショップなどでのeSIM再発行には非対応です。
Y!mobileのeSIMを申込みする方法・注意点
ソフトバンクの「Y!mobile」は、2021年3月17日よりeSIMサービスを提供しています。
契約時の事務手数料は、ワイモバイルオンラインストアで契約すると無料です。新規契約時には、本人確認書類と、月額料金の支払に用いるクレジットカードが必要となります。
新規契約や他社からの乗り換えの場合、審査完了時間の目安は、10時〜18時に申し込みをすると約1時間、18時以降の申込では翌日10時以降です。
eSIMの再発行手続きは、オンラインポータル「My Y!mobile」より手続きが行えます。再発行手数料は無料です。
楽天モバイルのeSIMを申込みする方法・注意点
楽天モバイルは、商用サービスを本格開始した2020年4月から、eSIMサービスに対応しています。
楽天モバイルのeSIMは、新規契約・MNP契約・eSIMと物理SIMの切り替えや再発行をすべて楽天モバイルのWebサイトより申込み手続きを行います。
物理SIMと同様に、新規契約・MNP契約時の事務手数料は無料、オンラインでeSIMを再発行する際の事務手数料も無料です。
楽天モバイルは、サービス開始時にeSIMの再発行手数料を設定していましたが、2020年10月12日にスタートした「Rakuten UN-LIMIT V」で、各種手数料を無料化しました。
楽天モバイルのeSIMサービスは、スマートフォン向けの「my 楽天モバイル」を使うと、アプリ上の操作のみでeSIMのインストールができます。
QRコードを表示するためのデバイスが不要である点や、基本的に24時間オンラインで手続きが完結する点を含めると、他社よりもeSIMを使うための環境が整っていると評価できます。
eSIM関連の費用・制限まとめ
続いて、各社のeSIM関連の費用や制限を整理します。
サービス/ブランド | 事務手数料(税込) | eKYC対応 |
ドコモ | 無料 | ○ |
ahamo | 無料 | ○ |
au | 3300円 | ○ |
povo | 無料 | ○ |
UQ mobile | 3300円 | ○ |
ソフトバンク | 無料 | ○ |
LINEMO | 無料 | ○ |
ワイモバイル | 無料 | ○ |
楽天モバイル | 無料 | ○ |
サービス/ブランド | 受付方法 | 受付時間 | 手数料 |
ドコモ | My docomo | 24時間 | 無料 |
ドコモショップ | 各店舗の営業時間内 | 2200円(※) | |
インフォメーションセンター(電話) | 9時~19時 | 2200円(※) | |
ahamo | ahamoサイト | 24時間 | 無料 |
ドコモショップ | 各店舗の営業時間内 | 2200円 | |
インフォメーションセンター(電話) | 9時〜19時 | 2200円(※) | |
au | my au | 9時〜20時 | 無料 |
auショップ | 各店舗の営業時間内 | 2200円 | |
povo | インフォメーションセンター(電話) | 9時〜20時 | 無料 |
povo2.0 | Webサイト(チャット) | 9時〜22時 | 440円(※) |
UQ mobile | my UQ mobile | 24時間 | 無料 |
auショップ/UQスポット | 各店舗の営業時間内 | 2200円 | |
ソフトバンク | My SoftBank | 9時〜21時 | 無料 |
ソフトバンクショップ | 各店舗の営業時間内 | 3300円 | |
LINEMO | My Menu | 9時~21時 | 無料 |
ワイモバイル | My Y!mobile | 9時〜21時 | 無料 |
ワイモバイルショップ | 各店舗の営業時間内 | 3300円 | |
楽天モバイル | my 楽天モバイル | 24時間 | 無料 |
新規契約やのりかえ(MNP)、機種変更時のeSIMへの切り替えについては、各社ともに”eSIMであること“を理由に、手数料の上乗せなどはありません。物理SIMと同様に、発行手数料が無料になるケースでは無料、そうではないケースでは有料です。
また、再発行についてもオンラインでの手続きは基本的に無料です。物理SIMと利用するスマートフォンが多数あり、SIMカードを入れ替えているうちについ紛失してしまう……というような方にとっては嬉しい仕様と言えます。
一方で、eSIMをインストールするためには、eSIMをインストールして使うスマートフォンなどのデバイス以外にもインターネット接続のための通信手段とディスプレイが必要になるケースも多いため、現在のサービス仕様はやや上級者向けと言わざるを得ません。
特に、eSIMの再発行がオンラインで完結できない通信事業者があり、”いつでも気軽に再発行できる“わけではないなど、eSIMのメリットを活かす環境が十分に整っていない事業者もあるため、慣れないうちは誤ってデバイス上のeSIMを削除しないように、十分注意しましょう。
eSIMを誤って削除してしまった場合、別の通信手段からeSIM再発行のための問い合わせや店頭での手続きが必要となりますが、他に通信手段を持っていない場合には特に手間が大きくなりそうです。