MWC Barcelona 2023

イヤホンにeSIM? 英企業が開発した「Titan」の特徴とは

 eSIMと4Gの通信機能を組み込んだイヤホンがMWC Barcelonaで発表された。英国に拠点を構えるCEH Technologiesが開発した、「Titan」がそれだ。イヤホンとしてはやや大型で首から下げるユニットが搭載されているが、スマートフォンとペアリングせず、単独で利用できるのが特徴だ。

eSIM対応イヤホンのTitan

 会場の説明員によると、英国など、世界各国で6月に発売を予定しており、価格はおよそ250ドル(約3万4000円)程度になる見込みだという。欧州の大手キャリアとも協業しており、主要な周波数帯に対応する予定。日本での展開も目指しているという。

首にかけるユニットがあり、そこから有線でイヤホンが伸びている

 同社は、「mymanu」というブランドを展開。独自のリアルタイム翻訳機能を売りにしたワイヤレスイヤホンの「CLIK S」を開発、販売しており、このモデルの第2世代にあたるデバイスは2019年、米国で開催された「CES」で発表された。

 日本でも第2世代のCLIK Sが22年に発売されており、「大変好評を博している」(説明員)という。翻訳機としてのイヤホンというコンセプトはTitanに近いが、こちらはBluetoothでスマートフォンと接続するスタイル。Titanは、そのスタンドアローン版と言えるだろう。

日本でも販売されているCLIK S。Bluetoothイヤホンだが、独自の翻訳機能を売りにしている

 翻訳機としての側面が強いが、音声コントロールができ、Titan単体で電話をかけることが可能。Spotifyの音楽をストリーミングで再生するなど、さまざまな用途に利用できる。店頭での接客など、スマートフォンを持ち込みずらいようなシーンで活躍しそうなデバイスだ。翻訳可能な言語の数は37になるという。

 ただし、アカウントの設定やeSIMプロファイルの書き込み、ストリーミングサービスの設定など、画面上で操作する必要がある際にはスマートフォンとペアリングしたうえで、アプリ上での操作が必要になる。

eSIMプロファイルの書き込みなど、設定にはスマートフォンとのペアリングが必要

 日本での発売も目指したいとのことだが、スマートフォン経由でeSIMプロファイルを書き込む必要があるため、キャリアとの協力は不可欠になる。Bluetoothイヤホンほど、スムーズに投入するのは難しい可能性もありそうだ。今後の展開に期待したい。