レビュー

ゲーマーが試す! 「AQUOS sense3」の実力

60%強化されたGPUで3Dゲームはどこまで遊べる?

大ヒットモデルの後継機でGPUが大幅強化

 Android搭載スマートフォンの国内販売台数でトップを走っているシャープ。中でも2019年の好調を牽引したのは、スタンダードモデルの「AQUOS sense2」だった。2019年上半期には、「AQUOS sense2」が最も売れたAndroid端末になったとも報道されている。

 その後継機として2019年末に登場した「AQUOS sense3」も既に人気を集めている。ゲーミングスマホという位置づけではないが、ユーザーが多い分、本機でゲームをプレイする人も多いはずだ。

 では、本機でどこまでゲームを遊べるのか、またどんなゲームに向いているのか、実際に試して検証してみようと思う。今回は筆者が購入したSIMロックフリーモデル「AQUOS sense3 SH-M12」を使用する。

 まずはスペックの確認から。旧機種である「AQUOS sense2 SH-M08」と比較しながら見ていこう。

【AQUOS sense3 SH-M12】【AQUOS sense2 SH-M08】
チップセットSnapdragon 630(2.2GHz+1.8GHz)Snapdragon 450(1.8GHz)
メモリー(RAM)4GB3GB
ストレージ(ROM)64GB32GB
通信機能IEEE 802.11a/b/g/n/ac
カードスロットmicroSDXC
ディスプレイ約5.5インチIGZO、1,080×2,160ドット
スピーカーモノラル
バッテリー容量4000mAh2700mAh
充電方式USB PD対応(ACアダプター付属)USB PD非対応(ACアダプター付属)
SIMカードnano SIM×2(DSDV対応、1基はmicroSDXCと排他利用)nano SIM×1
重さ約167g約155g
大きさ(高さ×幅×厚さ)約147×70×8.9mm約148×71×8.4mm
OSAndroid 9(Android 10へバージョンアップ予定)Android 8.1(Android 10へバージョンアップ予定)

 「AQUOS sense2」と比較して、チップセット、メモリー、ストレージという性能を決める中心部分が全てアップグレードされている。

 特にチップセットは、エントリークラスのSnapdragon 450から、ミドルクラスのSnapdragon 630に変わった。シャープによると、CPUパフォーマンスは約15%、GPU(グラフィックス)パフォーマンスは約60%向上したという。チップセットの高速化に加え、メモリーの高速化もあり、特にグラフィックスの処理において恩恵が大きくなった形だ。

 普段使いにおいてはCPUの性能が重要になるが、ゲームになると話が変わる。特に3Dグラフィックスを使うゲームの場合、GPUの性能が高いほど、滑らかで美しいビジュアルで表示できる。本機はGPUの強化幅が大きいということは、3Dゲームのパフォーマンスの改善が期待できる。

 さらにバッテリー周りの変化も大きい。バッテリー容量は「AQUOS sense2」の約1.5倍となる4000mAhに増量。またUSB PDにも対応し、より高速な充電が可能になった。これもゲームユーザーには嬉しい。代わりに重さが12g増えているが、約167gという重量は昨今のスマートフォンとしては平均的だし、厚さが0.5mm増えただけでバッテリーを1.5倍にできた部分を高く評価すべきだろう。

 このほか4Gでの通信速度の向上(受信時最大150Mbps→350Mbps)、DSDV対応、GPSが新たにGalileoとQZSS(みちびき)に対応など、様々な部分に進化が見られる。1年ぶりの新型として、きっちりグレードアップできている印象だ。

裏面はカメラ部分が少し高く、他はフラット
重量は実測で169g(nano SIM未挿入)

3Dゲームは設定次第で十分遊べるものもある

 本機はスタンダードモデルのため、ゲーミング向けの特別な機能は有していない。早速、いつものように4つのゲームを試していこう。

ドラクエウォーク

「ドラゴンクエストウォーク」

 1つ目は位置情報ゲーム「ドラゴンクエストウォーク」。気温約15度の晴天時にプレイした。手に持ったままでしばらく歩いたところ、端末の裏面にほんの僅かに熱が感じられたものの、意識して触れればやっとわかる程度で、持っていて不快になるようなものではない。

 ゲームの動作はフレームレートが低く、戦闘時のキャラクターのモーションも少しぎこちない。タップの反応が遅れることも多く、操作性をやや損なっている。操作にシビアなゲームではないのでさほどの問題ではないが、快適とは言いがたい。

 そこで本作の設定にある「グラフィック簡易設定」をオンにしてみた。これはゲームの描画解像度を落とす設定で、フレームレートが少し改善するとともに、タップの反応は大幅に改善した。映像は輪郭がややギザギザしたり、ぼやけた感じに見えはするが、プレイ感を損なうほどの悪化ではない。ゲームの快適さを優先するなら使ってもいいだろう。

 GPSの挙動は正確で、位置が思わぬ場所にずれるようなことは一切見られなかった。位置情報ゲームを遊ぶ上では、GPSの高い精度は安心感がある。

 映像はコントラストが高く、明暗のメリハリがありながらも、全体の色味としてはとても自然で見やすい。また直射日光下でも明るさ自動調整がうまく機能しており、100%の明るさだと視認性は全く損なわれない。全体として目に優しい印象で、普段使いの心地よさを考慮したチューニングだと思う。

 バッテリー消費は、30分プレイして約6%。「グラフィック簡易設定」をオンにした場合でも30分のプレイで約6%となっており、差は見られなかった。

「グラフィック簡易設定」オフ。これが通常の画面
「グラフィック簡易設定」オン。よく見ると描画解像度が落ちている

フォートナイト

 2つ目は3Dアクションシューティングの「フォートナイト」。……と言いたいところなのだが、「非対応のデバイスです」と表示され、アプリをインストールできなかった。

 本作の技術情報欄には、Android 8.0以上、64bit(チップセットのことと思われる)、4GBのRAMが必要とされている。本機はスペック上はいずれも満たしているはずなので、何か他の問題かもしれない。

(※編集部注:記事掲載後、フォートナイトのWebサイトで案内されているFAQに、必要スペックが案内されていることを確認いたしました。 それによればAndroid 8.0以上、4GB以上のメモリ、Adreno530以上のGPUとありますが、AQUOS sense3のGPUはAdereno 508で、スペックを満たしておりません)

 高い処理能力が求められるゲームの中には、本作のようにインストールすらさせてもらえないものもあり得る。遊びたいゲームがあり、端末を新たに購入する時には、予め動作環境を確認しておくのも重要だ(と言っても、今回は動作環境を満たしているように見えるので、余計に困るのだが)。

「フォートナイト」は非対応のデバイスとされてインストールできず
技術情報を見る限り、動作環境は満たしているように思えるのだが……

スクスタ

「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS」

 気を取り直して3つ目、リズムゲーム「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS」を試す。画質は自動選択により「3D軽量」が選ばれた。3D描画を行う設定の中では、最も軽い(低画質の)設定となる。

 メニュー表示時や通常時は普通にプレイできているのだが、ライブシーンでエフェクトが増える場面になると処理落ちが発生し、タップの反応が遅れることがある。特に高得点が得られるSP特技を使うと、高確率で処理落ちしてしまう。

 画質を最も軽量な「2D」にすると、処理落ちは一切発生しなくなり、快適にプレイできる。ただ本作の見どころである3Dキャラクターのダンスシーンが表示されなくなってしまうのは少々痛い。

 サウンドはモノラルで、上部のスピーカーから出力される。スマートフォンのスピーカーとしては決して悪い音ではなく、音質的にも音声が聞き取りやすいので不自由はしないものの、やはり音楽を聞くには物足りない。ヘッドフォン端子を備えているので、音質にこだわるならこちらを使うのがいい。

 「フォートナイト」が動かないので、本作で発熱も確認した。裏面を触ると全面に温かさがあり、特に端末上部に熱が感じられる。それでもほんのり温かい程度で済んでおり、端末全体を使ってうまく放熱しようとしているのがわかる。

 バッテリー消費は30分のプレイで約7%。大容量バッテリーを搭載しているだけあり、持続時間には十分な余裕がある。

画質を「2D」にするとプレイ感は支障ないが、ダンスシーンが見られなくなるのは寂しい

クラロワ

「クラッシュ・ロワイヤル」

 4つ目は対戦型ストラテジーゲーム「クラッシュ・ロワイヤル」。本作のプレイ時には左手で片手持ちにするのだが、横幅が狭くて持ちやすい。側面は緩やかな傾斜があり、手に馴染むのもいい。

 発熱は少しあるものの、端末上部からの放熱が比較的多いおかげで、手に触れる側面や端末下部はそれほど温かさを感じない。縦持ちが基本になる普段使いを考えた放熱設計と思われ、本作とも相性がいい。

 また本作は2Dのゲームで描画負荷が小さいこともあって、操作の違和感は全くない。タップのズレや反応の遅れもないし、画面が広くてプレイ感も良好だ。最近流行のノッチもなく、画面端が僅かに丸くなっているだけなので、ゲームの表示や操作への影響もない。本機のベーシックなデザインが、本作にはいい方向に働いている。

 バッテリー消費は30分のプレイで約7%。本作は1プレイ数分で終わるが、出先で少し遊ぶくらいであれば、ほとんどバッテリーを気にする必要はないだろう。

シンプルだが手に馴染む形状もいい

3Dゲームも軽量なら

 検証の結果、「ドラゴンクエストウォーク」は何とか遊べるものの、「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS」の3Dモードは辛いというのがわかった。3Dの描画性能が強化されたおかげで、軽めの3Dゲームなら許容範囲だが、さすがに何でもOKとまではいかなかった。

 ただ「クラッシュ・ロワイヤル」のような2Dゲームであれば快適そのもの。放熱もうまくできていて快適だ。またバッテリーの持続時間もかなり長いので、出先でちょっとゲームを遊んだり、位置情報ゲームを遊んだりするのも気軽にできる。

 筆者の感覚としては、ハイレベルなゲームプレイを特に想定しないスタンダードモデルでこれだけ動かせれば上等だと思う。しかし人によってプレイするゲームは千差万別。さまざまな3Dゲームを遊びたいという人は、もっと高性能なモデルを選ぶのが無難だろう。本機に限らず、ゲームを遊ぶスマートフォン選びの基準として、本稿がお役に立てれば幸いだ。

 また本機(およびシャープ製端末)のいいところとして、OSのバージョンアップが発売後2年間、最大2回対応が明言されていることがある。OSのバージョンが古いと動作対象外になるアプリもあるので、端末を長く使いたい人にはとても安心できる。端末選びの際には、スペック上で見える性能だけでなく、こういったサポート部分にも注目して欲しい。

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